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CubeSatAdvent Calendar 2024

Day 8

衛星開発0歳、略語の波に揉まれる。

Last updated at Posted at 2024-12-07

まえがき

この記事はCubeSat Advent Calender 2024の8日目の記事です。
しかし場違いなことにここでは衛星開発要素0。
技術ブログでもノウハウ共有でもなくただの感想文なので、
CubeSatに関する技術的なものが見たい方は他の記事をどうぞ。

この記事のターゲット

  • 略語に苦しい日々を強いられている方
  • GARDENsのファン

衛星開発0歳

私はCIT1GARDENs2の一員です。
2024年12月現在私は学科2年生で、5号機の開発メンバーにあたります。
しかし現在5号機、「具体的に人工衛星になにをさせたいのか?」というミッション選定の段階にあるため、開発にはまだ携わっていません。

というわけで開発年齢0歳を名乗ります。

ちなみに所属したのは2024年1月ぐらい。つまり2024年12月現在は生後11ヶ月(結構ギリギリ)

11ヶ月間、周辺機能などをちょこちょこ触って関連知識を蓄えていましたが、定期的にとある壁にぶつかっては打ち砕いてを繰り返していました…

用語・略語の壁

この壁は生後11ヶ月の赤ちゃんが登るのは険しすぎるものでした。

正直私は社会経験がないので、この状態が一般的な可能性は全然あります。が、少なくとも私は大変な思いをしました。

そしてもし一般的であった場合、世の中にこんな思いをしている人がたくさんいるということ。これは死活問題。

なにをするにも新出用語が絡む。しかもアルファベット3文字の略語として。

ここで例としてBTN3のMDR4に出てくる用語の一覧をお見せします。

用語.png

こ れ は つ ら い 。

綴りがわかれば一般用語であることもあります。
一般用語でなくともワンチャン衛星開発界隈の日常語である可能性もあります。
GARDENs内のローカルワードだったらもう終わり。

この画像はあくまでMDR4のプレゼンで用いたスライドの一枚。
つまりプレゼンに出てくる用語だけでこの量。
この他にも多くの語句が存在するわけです。
しかもそれが当たり前のように会話の中で飛び交う。あぁ辛い。

物申す

例えば図の上からAOS5
今となっては私もめっちゃ使う語句です。多いときは私も一日に10回くらい会話で使う語句です。
このような高頻繁に使う単語であればいいと思います。
さすがに私もスマートフォンのことはスマホと呼びます。

しかし問題なものもあります。
これは私が生後2ヶ月のときの話。OBC6系のPIC7のソースコードにBC8という単語が使われた関数が2つほどありました。

当時の私は
「OBCからOを抜いたらBCだな。Onboard ComputerのOn抜きだな。🧐」
と推論したわけです。
正解は残念、
「Burner Circuit」の略でした。☺️
全然違う。

私は思いました。
それはもうBurnerとかでよくないかと。

この略語は先述した通り2回ほどしか使われていないわけです。しかも現在までそのソースコード中でしか使われているところを見たことがない。

当時私は当たり前の権利のように作業中の先輩の手を止めさせ単語の意味を聞きました。
しかしまさかの先輩すらすぐには理解できないレベルの単語。

もうこれは略語じゃなくて良くないか?

本当にそれ略さなきゃだめ?

そもそも略語はコミュニケーションを円滑にすることを目的として使われます。

しかし使用頻度の少ないものを略する意味は?
しかもそれで伝わらないとは??

特に今回のようなソースコードの場合、本人が目の前に居なければその場での聞きようがないです。(関連書類がない限り)(多分今回もちゃんと時間をかけて探せばあったかも)

また新しく身を置く人間には、その語句を学習する必要があるためハードルが高い。

略語を生むということは、その場の人間、その場に今後身をおきうる人間がその略語を聞かされるわけです。その点を考慮したうえで生む略語を選定してはいかがでしょうか。

いや、してほしい。

特に今回私がこのような思いをした主な原因の一つとして、そもそも衛星開発などはグローバリズムの進んだ分野であること、そして英語が多いことから、「教科用図書→教科書」のような「漢字の略語だから意味がわかる!」みたいなことにならず、アルファベットの略語なので字面を見ても意味がわからないということが頻繁に発生しているのがかなり大きいと思います。

機械語を生み出しているわけじゃあるまいし、「GF9」は「G-Flash」、「SMF10」は「MIS-Flash」とか、一部分の単語を残すのもありなのではないでしょうか。

上記の例の場合、類語として「SCF11」があります。
つまり、「*F」、「S*F」は「フラッシュメモリ」であるという符号としての役割をもたせ、*のアルファベット一文字にその分類分けの役割をさせているわけですが、私にとってはその部分を符号として読み取るまでにかなりの労力を要される。
周りが英語しか書いていないソースコード中とかは特に。

略語の使用に生後11ヶ月の赤ちゃんが口を挟むのもおかしな話なのはわかっていますが、少しばかりの優しさで救われる赤ちゃんはおそらく日本に多くいるはず。

言いたいこと

あなたの身の回りにいる新人はこんな思いをしながらその環境の略語を学習しているわけです…

しかも略語がわからないどころかそもそもその単語すら知らないのに…!!!

  • 略語が適切な使われ方をすること
  • 新人にいきなり略語の波をぶつけないこと

この記事が読まれることで誰かの略語環境が改善されることを切に願います…

あとがき

以下の脚注はあくまでGARDENsでの用いられ方です。
必ずしも正しい意味を示しているとは限りません。

  1. CIT(Chiba Institute of Technology)、千葉工業大学

  2. GARDENs(Growing Advanced and Refined space Development Engineers in succession and under the satellite)、高度技術者育成プログラム:千葉工業大学の人工衛星を作っている団体名

  3. BTN(BOTAN)、GARDENs人工衛星4号機

  4. MDR(Mission Definition Review)、ミッション定義審査 2

  5. AOS(Acuisition Of Signal):衛星が通信可能範囲に突入する時間

  6. OBC(Onboard Computer)、基盤上に搭載される小型のコンピューター

  7. PIC(Peripheral Interface Controller):ICの製品群の総称

  8. BC(Burner Circuit)、バーナーサーキット:熱線を加熱する機器

  9. GF(Gyro Flash):ジャイロセンサーの情報を保持するフラッシュメモリー

  10. SMF(Shared Mission Flash):ミッションに用いるフラッシュメモリー

  11. SCF(Shared Communication Flash):衛星通信に用いるフラッシュメモリー

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