ミニPC+ミニSSDで作る、IC設計用Linux環境
オープンソースPDKで IC 設計を始めるにあたって、
最初にやるべきことは環境づくりです。
第1回となる今回は、
- ミニPCに Linux Mint をインストールする
- さらに ミニSSD(USB SSD)で環境を分離する
ところまでを解説します。
👉 まだ PDK や EDA ツールは出てきませんが、
この一歩が 後のすべての作業を楽にしてくれます。
なぜ最初に「ミニPC × Linux」なのか?
理由はとてもシンプルです。
- 普段使いのPCを汚さずに済む
- IC設計専用マシンが持てる
- とにかく安い(2万円程度、失敗しても精神的ダメージが少ない)
オープンソースPDKで遊ぼうとすると、
- 複数の PDK を扱うことがある
- Linux 上で動作するソフトウエアが多い
- いろいろなツールを試したくなる
- 試しているうちに環境がおかしくなることもある
👉 専用マシン化が正解でした。
👉 実際に使っているミニPC(CHUWI LarkBox X)
今回のゴール
この回で完成する状態は以下です。
- ミニPCに刺した ミニSSD(USB SSD) から Linux Mint が起動する
- IC設計用の「安全な遊び場」ができる
※ PDK や設計ツールは次回以降です。
使用する OS:Linux Mint
なぜ Linux Mint?
- Windows から移行しやすい UI
- Ubuntu ベースで情報が多い
- ミニPCでも軽快
- 実は当時 Ubuntu がうまくインストールできなかった(ハードとの相性??)
それで特におすすめなのが:
Linux Mint Cinnamon(Edge ISO)
- 購入したミニPC CHUWI LarkBox X と相性が良かった
1. Linux Mint の ISO をダウンロード
Linux Mint の公式ダウンロードページから ISO を入手します。
👉 Linux Mint Cinnamon Edge ISO(公式)
https://linuxmint.com/edition.php?id=314
- エディション:Cinnamon
- 種類:Edge ISO
最新では無いですが、いろいろなエディションを試した結果、Cinnamon Edge ISO は、トラブルが少なめです。
2. ブータブル USB を作成
ダウンロードした ISO を USB メモリに書き込みます。
- Windows:Rufus
ファイルシステムは FAT32 で問題ありません。
3. BIOS 設定(重要)
BIOS に入り、以下を設定します。
- Secure Boot:無効
- Fast Boot:無効
BIOS の入り方(例)
- Windows から再起動 → UEFI 設定
- これができると以降は起動時に
F2キー
※ この機種の場合、ブートメニューは F7 キー
4. 最初から「外付けSSD」に Linux Mint を入れる
今回やりたかった構成は最初から決まっていました。
- 内蔵 SSD(Windows)は残す
- Linux Mint は 外付け USB SSD にインストール
- USB SSD を挿せば Linux
- 挿さなければ Windows
つまり、
外付けSSDだけで完結する Linux 環境
を作るのが目的です。
👉 外付けSSDにLinuxを入れて、刺す・抜くでOSを切り替える構成

5. まずは普通に試してみた(うまくいかなかった)
最初は次のようにインストールしました。
- 内蔵 SSD(Windows)は接続したまま
- 外付け USB SSD を接続
- Linux Mint の ISO が入った USB メモリから起動
- インストール先に 外付け SSD を指定
インストール自体は正常に完了します。
しかし再起動してみると、
- いったん内蔵 SSD 側が優先され
- そのまま Windows が起動してしまう
という状態になりました。
補足:なぜこうなったのか(GRUB の話)
詳しい内部実装まで把握しているわけではありませんが、
Linux をインストールすると
GRUB(グラブ) というブートローダーが一緒にインストールされます。
GRUB は、
- 電源投入時に最初に動く
- どの OS を起動するかを制御する
という役割を持っています。
本来は、
- Linux 本体:外付け SSD
- GRUB:外付け SSD
という構成にしたかったのですが、
インストール時に内蔵 SSD が見えていると、
GRUB が内蔵 SSD 側に入ってしまう
ケースがあるようでした。
6. 試行錯誤の末にたどり着いた結論
いろいろ試した結果、分かったことはこれです。
確実に外付けSSDに GRUB を入れたいなら、
インストール時に内蔵SSDを見せてはいけない
7. 最終的に採用した方法(確実に動いた)
そこで最終的に取った方法がこちらです。
👉 内蔵 SSD(Windows)を物理的に外してインストールする
手順は以下の通りです。
- 内蔵 SSD を取り外す
- 外付け USB SSD を接続
- Linux Mint の ISO が入った USB メモリから起動
- インストール先に外付け SSD を指定
- Linux Mint をインストール
この状態では、
- インストール先のディスクは外付け SSD しか存在しない
- GRUB も必ず外付け SSD にインストールされる
という、狙い通りの構成になります。
8. インストール後の挙動(完成形)
インストール完了後、内蔵 SSD を元に戻しました。
結果として挙動は次の通りです。
-
USB SSD を挿していない場合
→ 内蔵 SSD の Windows が起動 -
USB SSD を挿している場合
→ 外付け SSD の Linux Mint が起動
最初に想定していた、
「SSDを挿すかどうかで OS が切り替わる」
という構成が完成しました。
👉 外付けSSDにLinuxとPDKを入れて、それぞれの環境で楽しむ

この時点で完成しているもの
- USB SSD から Linux Mint が起動する
- IC設計用の「安全な遊び場」が完成
まだ IC 設計はしていませんが、
「いつでも遊べる状態」
にはなっています。
次回予告
次回はいよいよ中身です。
- PDK とツールの一括セットアップ
まとめ
- お手軽に始める環境づくり
- ミニPC+Linux Mint は最高の入口
- ミニSSD運用で失敗を恐れず遊べる
壊してもいい環境を作るのが、上達への近道

