前書き
著名なアスリート、経営者など多くの偉大な先人が「運」について語っている。
今日読んだ致知出版社『1日1話、読めば心が熱くなる365人の仕事の教科書』。将棋棋士、谷川浩司さんの記事も「運」について語っていた。
『「運」という不確実なものについて、世の先人たちが語る「運」には、ある種の共通項があるのではないか?』
これまでも「運」について語る先人たちの記事を読んできた私は、そう思い始めている。
毎日続けている読書感想文、1日1話の記事の読書も「7月30日」目だ。エンジニアのみんなにも有益だと思う記事はQiitaにもいくつかアップしてきた。
今7か月目を終えるところだが、これからもきっと「運」について語る記事と出会うだろう。
ということで、「運」について語る記事について「運シリーズ」というタグを振ることにし、先人たちが語る「共通項」について今後も考察してみよう、という話です。
本題 【7月30日】 運を無駄使いする人、味方につける人
谷川浩司 日本将棋連盟棋士九段
谷川浩司。棋士。十七世名人の資格を保持する超一流の将棋棋士である。
今、将棋界は藤井聡太棋士が史上最年少記録の四冠目制覇でセンセーションを起こしているが、谷川もかつて天才少年としてデビューし、史上最年少名人を勝ちとった。
そして、四冠王となっている。谷川は引退後に「十七世名人」としての栄誉の称号を得ることが約束された棋士である。
後に、天才羽生善治が現れ、羽生との闘いはゴールデンカードと呼ばれ世間の注目を浴びた。
今、一世代離れた藤井聡太が、棋士界のスター少年として注目を浴びている時期に、谷川の記事に出会ったのは興味深い。
1962年生まれ。御年59歳。
谷川が語るのは「運」。
ほう、これまでもこの本で数々の先人が「運」について語ってきたが、永世名人が語る「運」とはどんな話だろう。
『私は、一人ひとりが持っている運の量っていうのは平等だと思うんです。そして、運が悪い人というのは、つまらないところで使っているんじゃないかと思うんです。
将棋の棋士を見ていると、例えばトップクラスの棋士がやっぱり一番将棋に対する愛情、敬意をもって接していますね。対局前の一例にしても、羽生善治さんをはじめとするトップの人ほど深々と礼をするんです。その姿勢は相手が先輩でも後輩でも変わらない。そして対局後に「負けました」と言うのは一番辛いですけれども、それでもやっぱり強い人ほどハッキリ言うんですね。
それから、棋士の中には対局開始前ギリギリにやってくる人もいます。さすがにトップ棋士は対局の十分、十五分前にはちゃんと対局室に入るけれども、そういう心掛けのできていない人は、電車が遅れたりしたら大変です。なんとか対局に間に合ったとしても、その人はそこで運を使い果たしていると思うんです。
将棋も囲碁も先を読みますが、どんなに頑張ってもどこか読み切れない部分があります。そういう最後の最後、一番大事なところで運が残っているかどうかというのが非常に大事だと思うんです。
ですからどんな対局であっても、与えられた条件で最善を尽くして運を味方につけることが大事です。
対局の持ち時間を残して勝負をあっさり諦めるような人は、やっぱり成績も振るわないし、最後の最後の大事な場面で勝ちを逃すことが多いような気がします。』
なるほど。永世名人・谷川が語る「運」。それは
『どんなに頑張ってもどこかに読み切れない部分』、『そういう最後の最後、一番大事なところ』で【頼るもの】
と理解した。
そして、谷川が【頼る】その「運」は、ほかの先人が語るように、
やはり「自分自身で掴み取るもの」であった。
**日ごろから、気を抜いてはいけない。横柄にやってはいけない。与えられた条件で常に最善を尽くせ、**と。
そして、
「運」とは皆平等にあるものだから、自分が「ここぞ」と頼りたいときに「使え」 と。
「使え」というのは語弊があるかも。自分で使える類のものではないからな。**「くだらないところで使っちまうようなことはするな」**かな。
谷川は続ける。
『よく天才とか才能とかいう言葉を使うんですけれども、それは決して一瞬の閃きではなくて、毎日の積み重ねが自然にできることがやっぱり才能だと思いますね。
どんなに酷い負け方をしても、翌朝には盤の前に自然と座れることが大事で、やけ酒を飲んで次の日を無駄にしてしまうような人は、やっぱりだんだん差をつけられていくんでしょうね。
私は最近「心想事成(しんそうじせい)」とうう言葉が好きでよく揮毫させていただくんです。心に想うことは成るという意味ですが、そのためには平素からどれだけ本気で勝負に打ち込んできたかということが大切だと思います。
真剣に、本気で打ち込んできた時間が長く、思いが強い人ほどよい結果を得ることができるし、そのための運も呼び寄せられるのではないでしょうか。
勝負の神様はそういうところをきちんと見ておられるし、それはその対局の時だけでなく、普段の生活すべてを見ておられると思うんです。
もちろん人間ですから一日中将棋のことを考えているわけにはいきませんが、体の中心に将棋というものが軸としてあるか、そこが問われると思います。』
ふむ。『心想事成(しんそうじせい)』か。この本の【5月19日】の記事、植松努さんのTED動画、『思うは招く』に通じるコトバだ。いや、同じ意味のコトバだ。
「心に想ったことは叶うのだ。」 そういう、ポジティブで勇気を与える意味のコトバだ。
逆にいうと、
**心に想わないことは叶わないのだ。**自分が思いもしなかったことが訪れるはずもない。
思うからこそ、行動し、成功へと近づき、それは訪れるのだ。
私の尊敬する、荒木飛呂彦先生の作品「ジョジョの奇妙な冒険」の第5部主人公、ジョルノ・ジョバーナを彷彿とさせる。
未来への希望、そして、覚悟。
永世名人、谷川浩司さんは、私の中では、ジョルノ・ジョバーナという結論になった。
(参考)
後書き
なお、関連する以下の2つの過去執筆記事にも「運シリーズ」のタグを付けました。
こちらもよろしければ是非読んでください。