1. はじめに
IoT演習シラバス案その2(授業計画表)の第1週に予定している内容の一部です。
IoT (Internet of Things) は物のインターネットのことを表し、様々な「物」がインターネットに接続され、情報交換を行うことにより相互に制御する仕組みです。
本授業では、簡単なIoTシステム(IoTを応用した簡単なシステム)を構築する演習を通じて、受講者がIoTおよびIoTを実現するためのハードウェアとソフトウェアに関する知識・技能・態度を身に付けることを目標としています。具体的には、小さなコンピュータ(マイクロコントローラ、マイコン)や、IoTを実現するための部品、インターネット上のサーバ等を受講者に割り当て、受講者はグループ学習によって助け合いながら簡単なIoTシステムを構築し、その過程をレポートで報告することによって知識・技能・態度の定着化を図り、期末試験によって、その定着度の確認を行います。
IoTシステムの使い方や未熟な設計や製作の誤りにより、人間や社会に重大な悪い影響を与える可能性があることについても述べます。
今回は、授業の進め方と授業の全体像とIoTの例について説明します。内容は以下のとおりです。
- 授業の進め方について、グループ学習について
- 今後のスケジュールの説明
- IoT (Internet of Things, 物のインターネット)の概要
- IoTの例
- 演習:グループで他のIoTの応用例について調べてレポート提出
- 授業の振り返り
2. 授業の進め方について、グループ学習について
毎週、班(グループ)に分かれて、以下を行います。各班は毎週異なるメンバーになる予定です(乱数を使ってグループ分けするので、たまたま、同じメンバーのグループになる場合はあり得ます)。班のテーブルはCMS(Cerezo)で示します。講義演習は、Cerezoと、Qiitaのページを使います。各自、BYODを持参してきてください(BYODとしてUSBが使えるノートパソコンを持ってきてください。スマホではできない演習があります)。
- 事前にその週の授業の自分班とテーブルの場所をCerezoを読んで確認しておいてください
- 授業が始まる時、演習に必要な部品が入った箱を受け取って(取りに来て)ください。この箱には各自の出席番号の下3桁の番号を書いています
- 割り当てられたテーブルに着席してください
- respon で出席を調べます
- その日の授業の概要・講義を行います
- 演習を行います。この時、各班でCerezoの掲示板機能を使って相談してください。まず、Cerezoの上で挨拶をしてください。その後、できた、とか、できないので助けて、とか、こうすれば良いよ、などを掲示板に書き込みながら、演習を行なってください。雑談の書き込みも歓迎します。直接口頭で相談しても構いませんが、掲示板にも何か書いてください(演習の過程の記録を行なってください)。掲示板への書き込みの量などを、班活動の活発・不活発度合いの指標として、成績に反映させる予定です。各班の掲示板は、班同士で閲覧可能にする予定です。授業・演習中、この掲示板の様子を見て教員がアドバイスを行う場合があります
- 演習が終わったら、使った部品を箱に入れ、部品が全て揃っていることを確認して、箱を返しにきてください。
- 授業時間の終了前に、授業終了前報告を各自でCerezoのレポートととして提出してもらいます。片付けを行なってください
- 授業終了前報告とは別に、演習のレポートを、毎週Cerezoのレポートととして提出してもらいます
- 演習が授業時間内で終了しない場合も、授業の復習として、演習を行なっても良いです。この時、演習が終わったら部品を箱に入れて部品が揃っていることを確認し、箱を戻してください。片付けを行なってください
3. 今後のスケジュールの説明
3.1 シラバスをもう一度読んでみる。
3.2 授業計画表
4. IoT (Internet of Things, 物のインターネット)の概要
先に述べたように、IoTとは物のインターネットのことですが、IoTを構成する物を以下のように分けて考えることができます。
- 物の状態を調べるセンサ
- 物を動かすアクチュエータ
- インターネット上のサーバ
- センサとアクチュエータとサーバ間で情報伝達を行うコンピュータ(エッジコンピュータ)
- 情報伝達を行うための通信手段
センサ
センサとは情報を入手する素子のことです。この授業では、スイッチ、温度・湿度・気圧センサなどを使います。この授業では使いませんが、画像を入力するカメラ、音声を入力するマイクなどもセンサです。
アクチュエータ
アクチュエータとは情報に従って、何かを動かす物ですが、光を出力するものもアクチュエータと考えることにします。この授業では2種類のモータ、LED(発光ダイオード)などを使います。なお、スマートスピーカの場合、赤外線を出力することで家電製品を遠隔操作を可能にしているものが多いです。
サーバ
サーバとは外部から得られる情報を蓄積したり処理したりするコンピュータです。この授業ではインターネットではなく、LANに繋がったRaspberry Pi のサーバ(Puki Wiki のサーバ)を使います。
コンピュータ(エッジコンピュータ)
センサやアクチュエータとサーバとの間で情報交換したり、情報処理したりするコンピュータです。小さなマイクロコントローラ(マイコン)がよく使われます。この授業ではRaspberry Pi Pico W (Pico W)を使います。エッジコンピュータとセンサとアクチュエータをまとめたものを、IoTデバイスと呼ぶことがあります。
通信手段
IoTデバイスとサーバ間の通信手段として、インターネットが使われます。インターネットとは、TCP/IPという通信プロトコル(通信規約)を使った、世界中に張り巡らされている唯一のネットワーク(ネットワークのネットワーク)のことです。インターネットの上で、IoT特有の通信プロトコルを使った通信が行われる場合があります。この授業では、HTTPという、Webの読み書きで使われるプロトコルを使いますが、他のIoTシステムでは、MQTTというプロトコルがよく使われるようになっています。
センサやアクチュエータとマイクロコントローラの間では、I2Cという規格を使った通信が使われることが多いです。
監視・制御・最適化・自律化
IoTがもたらす効果として、監視、制御、最適化、自律化がある、と考えることができます。情報処理技術者試験の以下の問題をやってみてください。
5. IoTの例
5.1 スマートスピーカー....Alexa, Google Home等
5.2 電力会社やガス会社などのスマートメーター
5.3 コマツのKomtrax
5.4 コールセンターの業績と職場環境の関係の調査(日立製作所)
5.5 IoTの持つ負の側面
6. 演習:グループで他のIoTの応用例について調べてレポート提出
各グループで、授業で紹介したIoTの応用例の他に、何か面白い応用例を探し、以下の、感想以外の部分についてグループで相談し、CMS(Cerezo)の授業のレポートの指定した場所に提出してください。
- 応用例の概要
- この応用例が何に役立つのか?
- この応用例の構成...この応用例がどのようにしてできているのか?
- この応用例の実績
- この応用例の問題点
- 各自(グループではなく、各個人)の感想
なお、IoTLTという、IoTおよびその周辺の話題について情報交換する勉強会が1月に一回開催されています。IoTLTで発表された物事についても参考にしてみてください。この授業の担当教員はIoTLTの常連発表者です。受講者も何か発表してもらえると嬉しいです。
7. 授業の振り返り
各自でCerezoの授業のレポートの指定した場所に、授業の感想などを書いてください。
8. 次回までの事前学習
Raspberry Pi Pico とはどのようなものか?調べてきてください。
次回、プログラミング環境を構築しますが、その中でAnacondaというソフトウェアをインストールします。このソフトウェアのダウンロードに時間がかかる場合があるので、事前にダウンロードして、インストールしておいてください。