はじめに
今、2023年12月です。来年2024年の後期、9月下旬より、IoT演習と言う授業を担当することになりました。この授業をより良いものにするため、シラバスと授業計画をQiitaに書いてみようと思います。
授業のねらい、概要
以下、シラバスの、「授業のねらい、概要」の案です。
(IoT演習シラバス案その2(授業計画表)に、授業計画表を載せています)
IoT (Internet of Things) は物のインターネットのことを表し、様々な「物」がインターネットに接続され、情報交換を行うことにより相互に制御する仕組みである(Wikipedia)。
経済産業省が推進するコネクテッドインダストリーズやソサエティー5.0との関連でも注目を集めている。 2016年4月20日に成立した法律により改正された特定通信・放送開発事業実施円滑化法の附則では「インターネット・オブ・シングスの実現」を「インターネットに多様かつ多数の物が接続され、及びそれらの物から送信され、又はそれらの物に送信される大量の情報の円滑な流通が国民生活及び経済活動の基盤となる社会の実現」として定義されている。IoTは仮想空間と現実空間の橋渡しを行い、未来を創造する重要な技術の一つである。現在でも様々な分野で活用され、スマートホーム、コネクテッドカー等の身近なものから、コマツのKOMTRAXなどの規模の大きなシステムなどで利用されている。IoT技術を活用し、どのような職場が生産性が高いか定量的に計測し、それによって職場の生産性を高めた例もある(渡邉他「コールセンタにおける職場の活発度が生産性に与える影響の定量評価」、情報処理学会論文誌 vol.54, No.4, pp.1470-1479, 2013.)。
本授業では、簡単なIoTシステム(IoTを応用した簡単なシステム)を構築する演習を通じて、受講者がIoTおよびIoTを実現するためのハードウェアとソフトウェアに関する知識・技能・態度を身に付けることを目標とする。具体的には、小さなコンピュータや、IoTを実現するための部品、インターネット上のサーバ等を受講者に割り当て、受講者はグループ学習によって助け合いながら簡単なIoTシステムを構築し、その過程をレポートで報告することによって知識・技能・態度の定着化を図り、期末試験によって、その定着度の確認を行う。
IoTシステムの使い方や未熟な設計や製作の誤りにより、人間や社会に重大な悪い影響を与える可能性があることについても述べる。
授業担当者はIoTシステムに関する学術論文を複数執筆している。作成したIoTシステムについて、情報処理学会IOT研究会の受賞経験(IOTS2018 PTCジャパン賞)や、国際会議(IIAI International Conference on Advanced Applied Informatics)の受賞経験(Honorable Mention Award)がある。日本のIoTに関する発表会の一つである、IoTLTの常連発表者であり、IoTシステムや情報システムなどの様々な物づくりの発表の場である、Qiita や Proto Pedia でも作品を発表している。Proto Pedia で発表した作品の一つはヒーローズリーグ2023において「トランジスタ技術賞」を受賞している。参考書に上げているCQ出版社の「インターフェース」の記事を執筆したこともある。これらの数多くの作品の製作経験や受賞経験に基づく授業を行う。
ディプロマ・ポリシーとの関連
以下、シラバスの、「授業のねらい、概要」の案です。
この科目は、情報工学科のディプロマ・ポリシーに記載されている卒業時に必要とされる資質の中で、次の3つの資質の修得に関連している。
「1.情報処理技術者として設計や開発の諸原理を応用する能力を身に付けている。」
「2.ITと情報処理及び社会安全工学に関する専門知識を持ち,活用できる。」
「3.情報を収集し,チームとして対話と創造性を発揮して課題解決できる。」
また、これらの資質は、各年次の終了時に配布する「資質(中項目)修得度」の表とレーダーチャートの中項目2と3と4にそれぞれ該当する。
授業(学修)の到達目標
以下、授業(学修)の到達目標の案です。
- IoTを理解し、簡単なIoTシステム構築が可能になること(資質1と2に関連:レポートの提出状況と定期試験で評価する)。
- IoTシステムの負の側面を理解し、安全なIoTシステムを構築し、安全にIoTシステムを利用できるようになること(資質1と2に関連:レポートの提出状況と定期試験で評価する)。
- IoTシステムを仲間と協力して開発することができる(資質3に関連:Cerezo上でのグループ内の協力状況と、レポート提出状況で評価する)。
授業計画表
IoT演習シラバス案その2(授業計画表)に、授業計画表を載せています
終わりに
この後、授業計画を少しずつ書いていこうと思います。
参考文献
- 情報処理学会 J17 カリキュラム標準コンピュータ科学領域(CE)(コンピュータ工学の知識体系)
- 福知山公立大学 IoT
- 早稲田大学スマートSE IoT/AIコースシラバス
- 山梨大学電子シラバス IoT/AIシステム
- ESP32でクラウドにつなげる電子工作をはじめよう!
- CQ出版社「インターフェース」1980年6月号
- Takashi Yamanoue, "A Campus Equipment Controller Using an IoT System that Can Configure and Control its Edge Devices Behind a NAT Using Wiki Pages on the Internet", Journal of Information Processing(JIP), 2022 Volume 30 Pages 251-259
- Takashi Yamanoue, "Monitoring of Servers and Server Rooms by IoT System that Can Configure and Control its Terminal Sensors Behind a NAT Using a Wiki Page on the Internet", Journal of Information Processing(JIP), 2020 Volume 28 Pages 204-213