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音楽は時代でどう変わった?昭和と令和のJ-Popの違いをPythonで分析してみた

Last updated at Posted at 2025-10-26

はじめに

J-Popは時代によって曲の雰囲気が違うって感じたことありませんか?
個人的に「昭和の曲は落ち着いていて、令和は派手」という感じがします。

この記事では、Rapid APIから取得した昭和と令和のヒット曲データを使って、Pythonで統計分析と可視化を行い、本当に時代で曲の特徴が変わったのかを調べてみました。

⚠️自分はただの学生で趣味でこの記事を作成しています。そのため少し間違った表現などがあるかもしれないです。それを考慮してみていただけると助かります。



データの準備と前処理

今回、Spotifyが公式に提供しているプレイリスト 「昭和Pops(約150曲)」 と 「令和Pops(約100曲)」 を対象に、RapidAPIを通じて各曲の特徴量を取得し、時代ごとの音楽の傾向を分析してみました。

取得できる主な項目は以下のとおりです。

項目名 意味 説明
id 曲の識別ID Spotifyなどで使われるユニークな曲のID。1曲ごとに固有の値。
name 曲名 曲のタイトル。
album アルバム名 曲が収録されているアルバムの名前。
key 曲のキー 音楽の調。例:「C」「D#」「F」など。
mode 長調/短調 長調(major)か短調(minor)かを示す。
camelot DJ用キー表記 DJがミックスしやすいようにした「12B」「10A」などの番号表記。
tempo テンポ(BPM) 1分間あたりの拍数(Beats Per Minute)。テンポの速さを表す。
duration 曲の長さ 曲の再生時間(秒単位)。
popularity 人気度 Spotifyなどでの再生数・お気に入り数に基づくスコア(0〜100)。
energy エネルギー感 曲の勢いや迫力の度合い(0〜100)。大きいほど激しい。
danceability 踊りやすさ リズムやテンポの踊りやすさ(0〜100)。高いほどダンス向き。
happiness 明るさ 曲のポジティブさ・明るさ(0〜100)。高いほど陽気な曲。
acousticness アコースティック度 生音(アコースティック楽器)中心かどうか(0〜100)。高いほどアコースティック。
instrumentalness インスト度 ボーカルがない(または少ない)度合い(0〜100)。高いとインスト曲。
liveness ライブ感 観客の音などが含まれる度合い(0〜100)。高いとライブ録音っぽい。
speechiness 話し言葉度 ラップやナレーションなど、話し言葉の割合(0〜100)。高いとラップ調。
loudness 音の大きさ 全体の平均音量(デシベル単位、負の値)。0に近いほど大音量。



分析を正確に行うために、極端に長い曲や短い曲は除きます。こういう曲のことを「外れ値」と呼びます。

外れ値を判断するのには、四分位範囲(IQR)を使いました。IQRとは、データを小さい順に並べたときの上の方の25%(第3四分位数)と下の方の25%(第1四分位数)の差のことです。
今回は、このIQRに 2.0倍した範囲から外れた曲を外れ値として除きました。
こうすることで、極端に長い曲や短い曲に引っ張られず、全体の傾向をより正しく比べられるようになります。


余談ですが、なぜか一部の曲については、id をはじめとするすべての値が重複した状態でCSVファイルに保存されているものがありました。分析後に発覚したため、結局すべての処理をやり直すことになりました!!!!

おそらく、Rapid API 側で対象の楽曲データが存在しない場合に、特定のデフォルト値を返す仕様になっていたのだと思われます。(多分、、しらないけど)
もちろんそういう曲は全て省きました。


その結果、昭和のPopsは64曲、令和のPopsは58曲になりました。
かなり減りましたね、
以下がその曲の一覧です。


昭和曲リスト(クリックして展開)
  • シーズン・イン・ザ・サン / TUBE
  • I LOVE YOU / 尾崎豊
  • 万里の河 / CHAGE and ASKA
  • 少女A / 中森明菜
  • ルビーの指環 / 寺尾聰
  • 悲しい気持ち(Just a man in love) / 桑田佳祐
  • My Revolution / 渡辺美里
  • 想い出がいっぱい / H2O
  • 夢の中へ - 2017 Remaster / 井上陽水
  • 翼の折れたエンジェル / 中村あゆみ
  • 魅せられて / ジュディ・オング
  • スローモーション / 中森明菜
  • め組のひと / ラッツ&スター
  • 銀河鉄道999 / ゴダイゴ
  • ダンシング・ヒーロー(Eat You Up) / 荻野目洋子
  • 十戒(1984) / 中森明菜
  • 悲しみがとまらない I CAN'T STOP THE LONELINESS / 杏里
  • 木綿のハンカチーフ / 太田裕美
  • Missing / 久保田利伸
  • 飾りじゃないのよ涙は - 30th anniversary mix / 中森明菜
  • ラヴ・イズ・オーヴァー / 欧陽菲菲
  • 世界でいちばん熱い夏 / PRINCESS PRINCESS
  • オリビアを聴きながら / 杏里
  • Get Wild / TM NETWORK
  • バレンタイン・キッス / 国生さゆり
  • 異邦人 / 久保田早紀
  • 2億4千万の瞳 -エキゾチック・ジャパン- / 郷ひろみ
  • ミス・ブランニュー・デイ(MISS BRAND-NEW DAY) / サザンオールスターズ
  • 夢をあきらめないで / 岡村孝子
  • 津軽海峡・冬景色 / 石川さゆり
  • MARIONETTE / BOØWY
  • MUGO・ん・・・色っぽい / 工藤静香
  • 初恋 / 村下孝蔵
  • DESIRE -情熱- - 30th anniversary mix / 中森明菜
  • けんかをやめて / 河合奈保子
  • 北酒場 / 細川たかし
  • Last Summer Whisper / 杏里
  • 真夜中のドア〜stay with me / 松原みき
  • また逢う日まで / 尾崎紀世彦
  • 関白宣言 / さだまさし
  • 壊れかけのRadio / 徳永英明
  • Woman - 「Wの悲劇」より / 薬師丸ひろ子
  • 愛が止まらない ~Turn it into love~ (Original Remastered 2018) / Wink
  • センチメンタル・ジャーニー / 松本伊代
  • セーラー服と機関銃 / 薬師丸ひろ子
  • ビューティフル・ネーム / ゴダイゴ
  • City Hunter 〜愛よ消えないで〜 / 小比類巻かほる
  • September / 竹内まりや
  • 勝手にしやがれ / 沢田研二
  • 星空のディスタンス - 2012 New Recording / THE ALFEE
  • まちぶせ / 石川ひとみ
  • 君は1000% / 1986 OMEGA TRIBE
  • 水の星へ愛をこめて / 森口博子
  • OH NO,OH YES! / 中森明菜
  • 夏色のナンシー / 早見優
  • TOKIO (Single Version) / 沢田研二
  • 夏のクラクション / 稲垣潤一
  • 碧いうさぎ / 酒井法子
  • 大空と大地の中で / 松山千春
  • セーラー服を脱がさないで / おニャン子クラブ
  • 淋しい熱帯魚 / Wink
  • 私がオバさんになっても - シングル・ヴァージョン / 森高千里
  • 夏をあきらめて / 研ナオコ
  • 愛のメモリー / 松崎しげる
令和曲リスト(クリックして展開)
  • IRIS OUT / 米津玄師
  • My Body / HANA
  • GALA / XG
  • らしさ / Official髭男dism
  • 晩餐歌 - Bansanka / tuki.
  • I / BUMP OF CHICKEN
  • Pretender / Official髭男dism
  • Bunny Girl / AKASAKI
  • さよーならまたいつか!- Sayonara / 米津玄師
  • ダンスホール / Mrs. GREEN APPLE
  • 1000日間 / 乃紫
  • 感電 / 米津玄師
  • ドライフラワー / 優里
  • Mela! / 緑黄色社会
  • Never Grow Up / ちゃんみな
  • 幾億光年 / Omoinotake
  • ROSE / HANA
  • 貴方観測日和 / 7co
  • スパークル / 幾田りら
  • I LOVE... / Official髭男dism
  • I wonder / Da-iCE
  • 花になって - Be a flower / 緑黄色社会
  • 涙のスイマー / Lavt
  • Nagisa / imase
  • Dive / ziproom
  • Overdose / なとり
  • TATTOO / Official髭男dism
  • あいつら全員同窓会 / ずっと真夜中でいいのに。
  • LADY / 米津玄師
  • IS THIS LOVE / XG
  • NEW LOOK / MISAMO
  • Subtitle / Official髭男dism
  • おもかげ (produced by Vaundy) / milet×Aimer×幾田りら
  • カタオモイ / Aimer
  • 魔性の女A / 紫今
  • Blue Jeans / HANA
  • 地獄恋文 - Inferno Love Letter / tuki.
  • 夜撫でるメノウ / Ayase
  • UNDEAD / YOASOBI
  • 水平線 / back number
  • 名前は片想い / indigo la End
  • 恥ずかしいか青春は / 緑黄色社会
  • 貴方の恋人になりたい / キョーキューメイ
  • fake face dance music / 音田 雅則
  • 美しい鰭 / スピッツ
  • オレンジ / SPYAIR
  • Tiger / HANA
  • I'm a mess / MY FIRST STORY
  • Have a nice day / imase
  • Drop / HANA
  • SAD SONG / ちゃんみな
  • 唱 / Ado
  • 超最強 / 超ときめき♡宣伝部
  • Answer / 幾田りら
  • Ginger / TOMOO
  • SOMETHING AIN'T RIGHT / XG
  • HEARTRIS / NiziU
  • 私は最強 - ウタ from ONE... / Ado
     


本記事での分析対象は、前処理を経た結果、昭和64曲、令和58曲となっています。 このサンプル数は、昭和・令和という時代全体の傾向を統計的に分析するには、十分な数とは言えません。

当初はより多くのデータを扱う予定でしたが、本文でも触れたとおり、APIからのデータ取得時に「IDの重複」といった予期せぬトラブルが多数発生しました。このデータを一つ一つクリーンアップ(前処理)する作業が非常に煩雑であり、またAPIの仕様上、さらに大規模なデータを取得・処理することが現実的に難しかったため、今回はこのサンプル数での分析となりました。

そのため、本記事の結論は、あくまで「今回分析に使用した公式が出している特定のSpotifyプレイリスト」の傾向を示したものとなります。
昭和・令和のJ-Pop全体の傾向として一般化することはできませんので、その点をご留意の上、お読みいただけますと幸いです。
将来的に時間が取れれば、数百曲規模での分析に更新する可能性もあります。



昭和と令和の曲を分析する4ステップ

今回は様々な手法を使って昭和の曲と令和の曲の違いを見ていこうと思います。


①基本統計量

こちらが全10特徴量を比較したヒストグラムと箱ひげ図です。水色が「昭和」、ピンクが「令和」を示しています。

これらのグラフから読み取れる違いを、大きく2つのグループに分けて解説します。まず「制作技術の変化」、次に「楽曲トレンドの変化」です。


hisutoguramu.png

hakohigezu.png


まず、音楽の作り方がどう変わったかを見ていきます。

第1部:制作技術の変化


・Acousticness(アコースティック感)

まず、最も違いがあったのがAcousticness(アコースティック感)です。

sadfa.png

まず箱ひげ図を見てください。昭和(水色)は箱が縦に長く、0から100まで幅広く分布しています。これは、生楽器を使った曲が多かったことを示しています。一方、令和(ピンク)は、箱が0に近い位置にあります。

次に、この詳細をヒストグラムで確認します。見事に令和(ピンク)のグラフは0〜10、つまり非アコースティックな部分にデータが集中していることがわかります。

ここから、主に昭和の曲は生楽器の録音だったのに対し、令和の曲は電子楽器やPCでの打ち込みが主流であることが、データから明確に読み取れます。


・Loudness(音量)

次にLoudness(音量)の違いです。

lound.png

これは箱ひげ図が最も分かりやすいです。令和(ピンク)の箱全体が、昭和(水色)の箱よりも高い位置(大きい値)にあるので一目瞭然です。

ヒストグラムでも、令和(ピンク)の山が昭和の山よりも右側にズレているのが確認できます。

これは、サブスクリプションサービスなどで目立つように音圧を上げる、いわゆる音圧戦争の結果がそのまま表れていると考えられ、非常に面白い結果です。





第2部:楽曲トレンドの変化


・Duration (曲の長さ)

まず Duration(曲の長さ)です。箱ひげ図に注目してください。

dura.png

昭和(水色)の中央値が約250秒(4分10秒)なのに対し、令和(ピンク)の中央値は約200秒(3分20秒)と、明らかに令和の曲の方が短くなっています。

ヒストグラムでも、令和の曲は昭和より短い時間にピークが集中しています。

これはSNSで「スキップされにくい」コンパクトな構成が好まれるようになった、という現代のトレンドを反映しているのだと思います。


・Speechiness (話し言葉の多さ)

次に Speechiness(話し言葉の多さ)です。

これは箱ひげ図が分かりやすいです。

spi.png

どちらも中央値は低い(歌がメイン)ですが、令和(ピンク)には外れ値(丸印)が非常に多く、高い値にまで散らばっています。

これは、昭和のポップスにはほぼ見られなかった、ラップといった「話し言葉」の要素が、令和になって楽曲に取り入れられるようになったことを示しているのだと思います。


・Danceability (踊りやすさ)

続いて Danceability(踊りやすさ)です。ヒストグラムを見てください。

dan.png

昭和(水色)は70台に一つのなだらかな山があります。 一方、令和(ピンク)は、60台と70〜80台に二つの山があるように見えます。

箱ひげ図でも、令和の方がわずかに中央値が高いです。

これはTikTokやダンスが流行った影響により踊りやすい曲が増えたことがわかります。



・Energy (エナジー)

最後にEnergy(エナジー)です。

ene.png

ヒストグラムでは、昭和(水色)は比較的フラットな分布ですが、令和(ピンク)は70〜90のエナジーな割合が高い領域にピークが寄っています。

箱ひげ図でも、令和の方が中央値がわずかに高いことがわかります。

先ほどの「踊りやすさ」とも関連しそうですが、令和の曲の方が平均してエネルギッシュで、激しい曲の割合が多い傾向にあるようです。


基本統計量まとめ

このように、昭和と令和のポップスを比較すると、単に音が変わっただけでなく、

制作面で「非アコースティック化」「高音圧化」が進み、

トレンド面で「曲が短く」「ラップ要素が増え」「より踊れてエネルギッシュな」曲が好まれるようになった という明確な違いがデータから読み取れました。

なおpopularityについてはプラットフォーム上の再生回数などが反映されるため、当然ながら新しい曲のほうがスコアが高くなるため今回は対象から外しています。


②統計検定(t検定)


箱ひげ図で見えた違いは、「見た目だけの差」なのか、それとも「時代による本物の変化」なのかを確かめるために、t検定を行いました。

その結果が以下になります。

==== 昭和 vs 令和 t検定 ====
tempo: t=0.14, p=0.8868 → 有意差なし
popularity: t=-7.59, p=0.0000 → 有意差あり
energy: t=-2.67, p=0.0086 → 有意差あり
danceability: t=-3.25, p=0.0015 → 有意差あり
happiness: t=-1.00, p=0.3177 → 有意差なし
acousticness: t=6.27, p=0.0000 → 有意差あり
liveness: t=0.57, p=0.5701 → 有意差なし
speechiness: t=-5.49, p=0.0000 → 有意差あり
loudness: t=-6.10, p=0.0000 → 有意差あり
duration: t=5.48, p=0.0000 → 有意差あり

ここで、p値が 0.05 未満の項目を「有意差あり」と判断します。

有意差あり(時代で変化した)
 → popularity, energy, danceability, acousticness, speechiness, loudness, duration

有意差なし(ほぼ変化なし)
 → tempo, happiness, liveness

つまり先程行った、基本統計量の分析があっていたことがわかりました。



③相関分析


次に、これらの特徴量同士が「どのように関連しているか」を分析します。

例えば、「energyが高い曲はloudnessも高い」といった関係性(=相関)が、時代によってどう変わったかを見ることで、より深い考察ができると考えました。

相関ヒートマップ

heatMap.png


・energy と happiness の関係(音の激しさとポジティブさ)

昭和: 相関係数は 0.70 です。これは「エネルギッシュな曲 = 明るくポジティブな曲」という非常に強い関係性があったことを示します。

令和: 相関係数は 0.09 です。これは、両者の関係がほぼ無くなったことを示します。

つまり昭和の「元気な曲は明るい」という単純な関係が、令和では崩壊しています。

これは、曲調は激しくエネルギッシュでも、歌詞やメロディは暗いなどの複雑な感情表現の楽曲が令和で増えたことを示しています。

例として、Eveの廻廻奇譚やYOASOBIの夜に駆けるなどが挙げられます。(個人的な意見です)





・danceability vs happiness (踊りやすさとポジティブさ)

energy と happiness の関係が崩壊した(昭和 0.70 → 令和 0.09)ことを見つけたと思うのですが、danceability にも同じことが起きています。

昭和: 0.55 (強い正の相関)

令和: 0.13 (ほぼ無相関)

これは、昭和時代は「踊りやすい曲 = 明るくポジティブな曲」という関係が強かったのですが、令和ではその関係性も崩壊しています。

テンポやリズムはノリノリなのに、歌詞やメロディは暗くて内省的という、少し複雑な感情をもった曲が多くなってきたことを示しています。





・danceability vs duration (踊りやすさと曲の長さ)

昭和: -0.18 (弱い負の相関)

令和: -0.40 (強い負の相関)

令和では「踊りやすい曲ほど、曲が短い」という関係が非常に強くなっています。これは第2部で考察した「TikTokなどSNSでのダンスチャレンジ」のトレンドと完全に一致していることがわかります。



・danceability vs loudness (踊りやすさと音量)

昭和: 0.17 (弱い正の相関)

令和: -0.38 (強い負の相関)

これも驚くべき逆転ですね。令和では「踊りやすい曲ほど、音量が(相対的に)小さい」という傾向があります。
これは、energy vs loudness (令和 0.65) と合わせて考えると、「エネルギッシュな曲(ロックなど)は音圧を上げる」一方で、「踊れる曲(ダンスミュージック)」はそこまで音圧を追求しない、というジャンルごとの制作アプローチの分化がわかります。




t検定では有意差がなかった liveness(ライブ感)ですが、相関を見ると令和で新しい傾向が出ています。

・energy vs liveness (エナジーとライブ感)

昭和: 0.17 (ほぼ無相関)

令和: 0.43 (強い正の相関)



・tempo vs liveness (テンポとライブ感)

昭和: 0.07 (ほぼ無相関)

令和: 0.31 (中程度の正の相関)

令和において、「エネルギッシュでテンポが速い曲ほど、ライブ感が高まる」という新しい関係性が出ています。
これは現代において、フェスが増えているからと考えることができます。



相関分析まとめ

昭和は「元気=明るい」「踊れる=明るい」という単純な正の相関が多かったのですが、
令和ではこれらの相関が弱まり、感情表現が複雑化しました。

また、踊りやすさや音量、曲の長さなど、現代のトレンドやSNS文化・ジャンルの多様化が影響して、新しい相関パターンが出現していることがわかりました。

t検定では有意差が見られなかった項目(liveness)でも、相関分析により令和特有の傾向を発見することができました。



④PCA(主成分分析)


個別の比較ではenergyやloudnessなどで違いが見えてきました。 では、11個すべての特徴量を「総合的」に判断したらどうなるでしょうか?

ここでPCA(主成分分析)を使います。

PCAは、たくさんの特徴量(11個)を、傾向が最もよく現れる2つの軸(PC1, PC2)に要約してくれる手法です。

分析結果が、このグラフです。


pca.png


これ以上ないほど、明確な結果が出ました。

ここからわかることが2つあります。

1.昭和と令和は明確に分離できる

もし両時代の曲の傾向が似ていれば、赤(令和)と水色(昭和)の点はランダムに混ざり合ってしまいます。

しかし、このグラフでは赤の点は左側に、水色の点は右側に、それぞれ分かれて分布しています。

これは、11個の特徴量を総合すると、2つの時代は統計的に明確な「別グループ」であることを示していると考えます。

2.「均質性の令和」と「多様性の昭和」

これが最も重要な発見です。

令和 (赤色): 点がグラフの左側の狭い範囲にギッシリと「密集」しています。
これは、令和のヒット曲が互いに似通った音楽的特徴(=均質性)を持っていることを意味しているのだと考えます。


昭和 (水色): 点がグラフの横方向(PC1軸)に非常に「広く分散」しています。
これは、昭和のヒット曲が非常に多様であったことを意味しているのだと考えます。


まとめ

今回の分析から、昭和と令和のJ-Popにははっきりとした違いがあることがわかりました。
わかりやすく書くとこんな感じでしょうか。

1. 制作面の変化

  • 昭和の曲は生楽器中心でアコースティックな雰囲気が多かった
  • 令和は電子楽器やPC打ち込みが中心で、音量も大きめ(「音圧戦争」の影響)

2. 曲のトレンドの変化

  • 曲の長さが短くなり、SNSでスキップされにくいコンパクトな構成に
  • ラップなど話し言葉的な要素(Speechiness)が増え、歌詞表現の幅が広がった
  • DanceabilityやEnergyの高い曲が増え、TikTokやダンス文化の影響を反映

3. 特徴量同士の関係の変化(相関分析)

  • 昭和:元気=明るい、踊れる=明るいなど、単純な正の相関が多い
  • 令和:これらの相関は弱まり、感情表現が複雑化
  • 踊りやすさと曲の長さ・音量の関係など、SNS文化やジャンルの多様化による新しい相関パターンが出現
  • ライブ感(Liveness)は平均値に有意差はないが、相関分析で令和特有の傾向が見える

4. 総合的な傾向(PCA)

  • 11個の特徴量をまとめると、昭和と令和は明確に分かれる
  • 昭和:多様性が高く、ヒット曲ごとの個性が豊か
  • 令和:均質性が高く、ヒット曲の特徴が似通っている

結論

制作技術や流行、SNS文化の影響により、昭和と令和の曲は特徴や感情表現が大きく変化。

  • 昭和:多様性が高く、単純な相関が中心
  • 令和:均質性が高く、新しい相関パターンが出現

感想

思ったよりも、データとして別物で少し驚きました。
昔は生楽器が多くて、元気=明るいって感じの単純な曲が多いですが、今はPCで作った曲が多くて踊れる曲やラップみたいなのが増えてることがわかりました。

曲の長さも短くて、SNSで流行りやすい工夫があるんだなって感じました。
データで見ると、時代ごとの特徴がちゃんと違って面白かったです。

免責事項

本記事は個人の学習・趣味目的で作成されたものであり、Spotify社やアーティスト本人・所属事務所とは一切関係ありません。
記事内で行った分析や解説は、あくまで個人の見解やAIを用いた結果に基づくものであり、正確性や完全性を保証するものではありません。

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