追記(2025/10/28)
昭和64曲、令和58曲でしたがサンプル数が少なかったため、昭和235曲・令和180曲を使って再分析しました。
昭和、令和で合計1200曲近く取得しましたが、例のトラブルや前処理を行った結果使える楽曲はかなり少ないですね。
ちなみに令和のほうには、平成後期のポップスも少し混ざっています。
令和だけだと曲数が少なかったので、最近のJ-Pop全体の傾向としてまとめています。
その結果、記事の内容が大幅に変わっています。
はじめに
J-Popは時代によって曲の雰囲気が違うって感じたことありませんか?
個人的に「昭和の曲は落ち着いていて、令和は派手」という感じがします。
この記事では、Rapid APIから取得した昭和と令和のヒット曲データを使って、Pythonで統計分析と可視化を行い、本当に時代で曲の特徴が変わったのかを調べてみました。
注意事項
自分はただの学生で趣味でこの記事を作成しています。
またデータ分析や統計学を専門にしているわけでもありません。
そのため少し間違った表現などがあるかもしれないです。それを考慮してみていただけると助かります。
データの準備と前処理
今回、Spotifyが公式に提供しているプレイリスト 「昭和Pops(約150曲)」 と 「令和Pops(約100曲)」 を対象に、
RapidAPIを通じて各曲の特徴量を取得し、時代ごとの音楽の傾向を分析してみました。
取得できる主な項目は以下のとおりです。
| 項目名 | 意味 | 説明 |
|---|---|---|
| id | 曲の識別ID | Spotifyなどで使われるユニークな曲のID。1曲ごとに固有の値。 |
| name | 曲名 | 曲のタイトル。 |
| album | アルバム名 | 曲が収録されているアルバムの名前。 |
| key | 曲のキー | 音楽の調。例:「C」「D#」「F」など。 |
| mode | 長調/短調 | 長調(major)か短調(minor)かを示す。 |
| camelot | DJ用キー表記 | DJがミックスしやすいようにした「12B」「10A」などの番号表記。 |
| tempo | テンポ(BPM) | 1分間あたりの拍数(Beats Per Minute)。テンポの速さを表す。 |
| duration | 曲の長さ | 曲の再生時間(秒単位)。 |
| popularity | 人気度 | Spotifyなどでの再生数・お気に入り数に基づくスコア(0〜100)。 |
| energy | エネルギー感 | 曲の勢いや迫力の度合い(0〜100)。大きいほど激しい。 |
| danceability | 踊りやすさ | リズムやテンポの踊りやすさ(0〜100)。高いほどダンス向き。 |
| happiness | 明るさ | 曲のポジティブさ・明るさ(0〜100)。高いほど陽気な曲。 |
| acousticness | アコースティック度 | 生音(アコースティック楽器)中心かどうか(0〜100)。高いほどアコースティック。 |
| instrumentalness | インスト度 | ボーカルがない(または少ない)度合い(0〜100)。高いとインスト曲。 |
| liveness | ライブ感 | 観客の音などが含まれる度合い(0〜100)。高いとライブ録音っぽい。 |
| speechiness | 話し言葉度 | ラップやナレーションなど、話し言葉の割合(0〜100)。高いとラップ調。 |
| loudness | 音の大きさ | 全体の平均音量(デシベル単位、負の値)。0に近いほど大音量。 |
分析を正確に行うために、極端に長い曲や短い曲は除きます。こういう曲のことを「外れ値」と呼びます。
外れ値を判断するのには、四分位範囲(IQR)を使いました。IQRとは、データを小さい順に並べたときの上の方の25%(第3四分位数)と下の方の25%(第1四分位数)の差のことです。
今回は、このIQRに 1.5倍した範囲から外れた曲を外れ値として除きました。
こうすることで、極端に長い曲や短い曲に引っ張られず、全体の傾向をより正しく比べられるようになります。
余談ですが、なぜか一部の曲については、id をはじめとするすべての値が重複した状態でCSVファイルに保存されているものがありました。分析後に発覚したため、結局すべての処理をやり直すことになりました!!!!
おそらく、Rapid API 側で対象の楽曲データが存在しない場合に、特定のデフォルト値を返す仕様になっていたのだと思われます。(多分、、しらないけど)
もちろんそういう曲は全て省きました。
その結果、かなりの曲目が減りました。
以下がその曲の一部です。
昭和曲リスト(クリックして展開)
- シーズン・イン・ザ・サン / TUBE
- I LOVE YOU / 尾崎豊
- 万里の河 / CHAGE and ASKA
- 少女A / 中森明菜
- ルビーの指環 / 寺尾聰
- 悲しい気持ち(Just a man in love) / 桑田佳祐
- My Revolution / 渡辺美里
- 想い出がいっぱい / H2O
- 夢の中へ - 2017 Remaster / 井上陽水
- 翼の折れたエンジェル / 中村あゆみ
- 魅せられて / ジュディ・オング
- スローモーション / 中森明菜
- め組のひと / ラッツ&スター
- 銀河鉄道999 / ゴダイゴ
- ダンシング・ヒーロー(Eat You Up) / 荻野目洋子
- 十戒(1984) / 中森明菜
- 悲しみがとまらない I CAN'T STOP THE LONELINESS / 杏里
- 木綿のハンカチーフ / 太田裕美
- Missing / 久保田利伸
- 飾りじゃないのよ涙は - 30th anniversary mix / 中森明菜
- ラヴ・イズ・オーヴァー / 欧陽菲菲
- 世界でいちばん熱い夏 / PRINCESS PRINCESS
- オリビアを聴きながら / 杏里
- Get Wild / TM NETWORK
- バレンタイン・キッス / 国生さゆり
- 異邦人 / 久保田早紀
- 2億4千万の瞳 -エキゾチック・ジャパン- / 郷ひろみ
- ミス・ブランニュー・デイ(MISS BRAND-NEW DAY) / サザンオールスターズ
- 夢をあきらめないで / 岡村孝子
- 津軽海峡・冬景色 / 石川さゆり
- MARIONETTE / BOØWY
- MUGO・ん・・・色っぽい / 工藤静香
- 初恋 / 村下孝蔵
- DESIRE -情熱- - 30th anniversary mix / 中森明菜
- けんかをやめて / 河合奈保子
- 北酒場 / 細川たかし
- Last Summer Whisper / 杏里
- 真夜中のドア〜stay with me / 松原みき
- また逢う日まで / 尾崎紀世彦
- 関白宣言 / さだまさし
- 壊れかけのRadio / 徳永英明
- Woman - 「Wの悲劇」より / 薬師丸ひろ子
- 愛が止まらない ~Turn it into love~ (Original Remastered 2018) / Wink
- センチメンタル・ジャーニー / 松本伊代
- セーラー服と機関銃 / 薬師丸ひろ子
- ビューティフル・ネーム / ゴダイゴ
- City Hunter 〜愛よ消えないで〜 / 小比類巻かほる
- September / 竹内まりや
- 勝手にしやがれ / 沢田研二
- 星空のディスタンス - 2012 New Recording / THE ALFEE
- まちぶせ / 石川ひとみ
- 君は1000% / 1986 OMEGA TRIBE
- 水の星へ愛をこめて / 森口博子
- OH NO,OH YES! / 中森明菜
- 夏色のナンシー / 早見優
- TOKIO (Single Version) / 沢田研二
- 夏のクラクション / 稲垣潤一
- 碧いうさぎ / 酒井法子
- 大空と大地の中で / 松山千春
- セーラー服を脱がさないで / おニャン子クラブ
- 淋しい熱帯魚 / Wink
- 私がオバさんになっても - シングル・ヴァージョン / 森高千里
- 夏をあきらめて / 研ナオコ
- 愛のメモリー / 松崎しげる
続く
令和曲リスト(クリックして展開)
- IRIS OUT / 米津玄師
- My Body / HANA
- GALA / XG
- らしさ / Official髭男dism
- 晩餐歌 - Bansanka / tuki.
- I / BUMP OF CHICKEN
- Pretender / Official髭男dism
- Bunny Girl / AKASAKI
- さよーならまたいつか!- Sayonara / 米津玄師
- ダンスホール / Mrs. GREEN APPLE
- 1000日間 / 乃紫
- 感電 / 米津玄師
- ドライフラワー / 優里
- Mela! / 緑黄色社会
- Never Grow Up / ちゃんみな
- 幾億光年 / Omoinotake
- ROSE / HANA
- 貴方観測日和 / 7co
- スパークル / 幾田りら
- I LOVE... / Official髭男dism
- I wonder / Da-iCE
- 花になって - Be a flower / 緑黄色社会
- 涙のスイマー / Lavt
- Nagisa / imase
- Dive / ziproom
- Overdose / なとり
- TATTOO / Official髭男dism
- あいつら全員同窓会 / ずっと真夜中でいいのに。
- LADY / 米津玄師
- IS THIS LOVE / XG
- NEW LOOK / MISAMO
- Subtitle / Official髭男dism
- おもかげ (produced by Vaundy) / milet×Aimer×幾田りら
- カタオモイ / Aimer
- 魔性の女A / 紫今
- Blue Jeans / HANA
- 地獄恋文 - Inferno Love Letter / tuki.
- 夜撫でるメノウ / Ayase
- UNDEAD / YOASOBI
- 水平線 / back number
- 名前は片想い / indigo la End
- 恥ずかしいか青春は / 緑黄色社会
- 貴方の恋人になりたい / キョーキューメイ
- fake face dance music / 音田 雅則
- 美しい鰭 / スピッツ
- オレンジ / SPYAIR
- Tiger / HANA
- I'm a mess / MY FIRST STORY
- Have a nice day / imase
- Drop / HANA
- SAD SONG / ちゃんみな
- 唱 / Ado
- 超最強 / 超ときめき♡宣伝部
- Answer / 幾田りら
- Ginger / TOMOO
- SOMETHING AIN'T RIGHT / XG
- HEARTRIS / NiziU
- 私は最強 - ウタ from ONE... / Ado
続く
本記事での分析対象は、前処理を経た結果、昭和64曲、令和58曲となっています。
このサンプル数は、昭和・令和という時代全体の傾向を統計的に分析するには、十分な数とは言えません。
当初はより多くのデータを扱う予定でしたが、本文でも触れたとおり、APIからのデータ取得時に「IDの重複」といった予期せぬトラブルが多数発生しました。このデータを一つ一つクリーンアップ(前処理)する作業が非常に煩雑であり、またAPIの仕様上、さらに大規模なデータを取得・処理することが現実的に難しかったため、今回はこのサンプル数での分析となりました。
そのため、本記事の結論は、あくまで「今回分析に使用した公式が出している特定のSpotifyプレイリスト」の傾向を示したものとなります。
昭和・令和のJ-Pop全体の傾向として一般化することはできませんので、その点をご留意の上、お読みいただけますと幸いです。
将来的に時間が取れれば、数百曲規模での分析に更新する可能性もあります。
昭和と令和の曲を分析する4ステップ
今回は様々な手法を使って昭和の曲と令和の曲の違いを見ていこうと思います。
①基本統計量
こちらが全10特徴量を比較したヒストグラムと箱ひげ図です。水色が「昭和」、ピンクが「令和」を示しています。
これらのグラフから読み取れる違いを、大きく2つのグループに分けて解説します。まず「制作技術の変化」、次に「楽曲トレンドの変化」です。
まず、音楽の作り方がどう変わったかを見ていきます。
第1部:制作技術の変化
・Acousticness(アコースティック感)
まず、Acousticness(アコースティック感)です。
まず箱ひげ図を見てください。昭和(水色)は箱が縦に長く、値が全体的に高めで、分布が広いことがわかります。
また最大値も令和のほうが低くなっている事がわかります。
これは、生楽器を使った録音が多かったことを示唆しています。一方、令和(ピンク)は、箱が0に非常に近い低い位置にあり、値が狭い範囲に密集しています。
次に、この詳細をヒストグラムで確認します。
見事に令和(ピンク)のグラフは0〜10にほぼすべての曲(80%以上)が当てはまっている事がわかります。昭和(青)もある程度0~10ありますがその割合は半分程度(約50%)とどまっています。
ここから、主に昭和の曲は生楽器の録音だったのに対し、令和の曲は電子楽器やPCでの打ち込みが主流であることが、データから明確に読み取れます。
・Loudness(音量)
次にLoudness(音量)の違いです。
これは箱ひげ図が最も分かりやすいです。令和(ピンク)の箱全体が、昭和(水色)の箱よりも高い位置(大きい値)にあるので一目瞭然です。
ヒストグラムでも令和のほうがloudnessが高い場所に密集しているため、よくわかります。
これは、サブスクリプションサービスなどで目立つように音圧を上げる、いわゆる音圧戦争の結果がそのまま表れていると考えられ、非常に面白い結果です。
第2部:楽曲トレンドの変化
・Duration (曲の長さ)
まず Duration(曲の長さ)です。箱ひげ図に注目してください。
昭和(水色)の中央値が約270秒(4分30秒)なのに対し、令和(ピンク)の中央値は約240秒(4分)と、明らかに令和の曲の方が短くなっています。
ヒストグラムでも、令和の曲は昭和より短い時間にピークが集中しています。
これはSNS(TikTok)でスキップされにくいコンパクトな構成が好まれるようになった、という現代のトレンドを反映しているのだと思います。
・Speechiness (話し言葉の多さ)
次に Speechiness(話し言葉の多さ)です。
これは箱ひげ図が分かりやすいです。
どちらも中央値は低い(歌がメイン)ですが、令和(ピンク)には外れ値(丸印)があり、高い値にまで散らばっています。
これは、昭和のポップスにはほぼ見られなかった、ラップといった「話し言葉」の要素が、令和になって楽曲に取り入れられるようになったことを示しているのだと思います。
・Energy (エナジー)
次にEnergy(エナジー)です。
箱ひげ図を見ると、昭和(水色)のほうが高エナジーであることがわかります。
ヒストグラムを見ると令和の自体はこれといった山が無いように思えます。
これは高エネルギーな曲もある一方で、それよりエネルギーが中程度(チル系や落ち着いた曲など)の曲も多く、楽曲の多様性が豊かになっている事がわかります。
・Tempo(テンポ)
テンポです。
昭和(水色)楽曲のテンポは 120-140 BPM に集中する傾向があります。
令和(ピンク)テンポが多様化している。120-130 BPMの曲も依然として多いですが、特定のテンポに縛られない多彩な楽曲が生まれていることがわかります。
・Happiness(ポジティブさ)
昭和(水色)は令和(ピンク)より箱が高い位置にあり、「明るく、ポジティブ」な曲調に強く集中していることがわかります。
令和(ピンク)はヒストグラムからみても、ムードが多様化している事がわかります。明るい曲もあれば、暗い曲も多く存在し、様々な感情表現の曲が混在していることがわかります。
基本統計量まとめ
昭和の楽曲が「明るく、元気が良く、王道テンポの」という比較的均一なスタイルに集まっていたのに対し、
令和の楽曲は様々なスタイル、ムード、テンポが共存していることがデータから明確に読み取れました。
なおpopularityについてはプラットフォーム上の再生回数などが反映されるため、当然ながら新しい曲のほうがスコアが高くなるため今回は対象から外しています。
②統計検定(t検定)
箱ひげ図で見えた違いは、「見た目だけの差」なのか、それとも「時代による本物の変化」なのかを確かめるために、t検定を行いました。
その結果が以下になります。
==== 昭和 vs 令和 t検定 ====
tempo: t=1.33, p=0.1840 → 有意差なし
energy: t=3.58, p=0.0004 → 有意差あり
danceability: t=-0.21, p=0.8338 → 有意差なし
happiness: t=4.05, p=0.0001 → 有意差あり
acousticness: t=2.05, p=0.0410 → 有意差あり
liveness: t=0.59, p=0.5576 → 有意差なし
speechiness: t=-6.74, p=0.0000 → 有意差あり
loudness: t=-4.23, p=0.0000 → 有意差あり
duration: t=5.91, p=0.0000 → 有意差あり
ここで、p値が 0.05 未満の項目を「有意差あり」と判断します。
有意差あり(時代で変化した)
→ energy, acousticness, speechiness, loudness, duration
有意差なし(ほぼ変化なし)
→ tempo, danceability, liveness
つまり先程行った、基本統計量の分析があっていたことがわかりました。
なお、tempoについては有意差はなしと面白い結果になりました。
統計に詳しいわけではないので原因がよくわかりません、、
③相関分析
次に、これらの特徴量同士が「どのように関連しているか」を分析します。
例えば、「energyが高い曲はloudnessも高い」といった関係性(=相関)が、時代によってどう変わったかを見ることで、より深い考察ができると考えました。
相関ヒートマップ
1. 共通点:陽気な曲
まず、時代を超えて変わらないポップスの基本ルール的なものが見て取れます。
・energy vs loudness(エネルギーと音圧)
昭和: 0.61
令和: 0.59
・energy vs happiness(エネルギーとポジティブさ)
昭和: 0.46
令和: 0.39
昭和も令和も共通して、 「エネルギッシュな曲は、音圧が大きく(ラウドで)、かつポジティブで明るい曲調である」 という強い関係性が見られます。
・danceability vs happiness(踊りやすさとポジティブさ)
昭和: 0.44
令和: 0.39
踊りやすい曲は、ポジティブで明るい曲調であるという関係は、両時代に共通しています。
2.変わった点:音楽の作り方
ここからが本題です。令和の楽曲には、昭和には見られなかった新しい相関が生まれています。
違い①:技術の進化による「energy」の立ち位置
・energy vs acousticness(エネルギーとアコースティック感)
昭和: -0.42
令和: -0.53
・energy vs tempo(エネルギーとテンポ)
昭和: 0.31
令和: 0.14
昭和から令和にかけて、エネルギッシュな曲の作り方が根本から変わりました。
昭和の時代、エネルギッシュな曲とはテンポが速い曲が重視されていたことがわかります。
しかし令和の時代では、技術が進化したことで速さは重要ではなくなりました。
代わりに、PC(DTM)で作られる音の迫力こそがエネルギーの源となっています。
違い②:SNSの影響による「duration」の立ち位置
duration vs danceability(曲の長さと踊りやすさ)
昭和: -0.11
令和: -0.33
duration vs speechiness(曲の長さと話し言葉)
昭和: -0.20
令和: -0.30
昭和の時代には曲の長さは他の要素とほとんど関係がありませんでした。
しかし令和では、曲が短いほど、ダンス向きで、ラップ要素が多いという明確な相関が生まれています。これはやはりTikTokなどの影響が大きく出ていると思います。
違い③:ラップ「speechiness」の立ち位置が変わった
speechiness vs tempo(話し言葉とテンポ)
昭和: 0.21
令和: 0.03
昭和の時代、話し言葉(早口など)はテンポが速い曲で使われる傾向がありました。
しかし、令和ではラップやリズミカルなボーカルは曲のテンポと全く関係なく使われています。これは、ラップがスタイルでしか使用されないのではなく、あらゆるテンポの楽曲で使われるものに進化したことを示しています。
相関分析まとめ
-
昭和のポップス:
比較的シンプルな構造。速いテンポで、明るく、音圧が大き曲が、エネルギッシュでダンサブル、とされていました。
-
令和のポップス:
構造が複雑化・多様化。エネルギーはテンポではなくデジタルな音作り (非アコースティック) から生まれ、曲の短さはダンスやラップと結びつくという、SNS時代を反映した新しい設計思想が見て取れます。
④PCA(主成分分析)
個別の比較ではenergyやloudnessなどで違いが見えてきました。 では、9個すべての特徴量を「総合的」に判断したらどうなるでしょうか?
ここでPCA(主成分分析)を使います。
PCAは、たくさんの特徴量(9個)を、傾向が最もよく現れる2つの軸(PC1, PC2)に要約してくれる手法です。
分析結果が、このグラフです。
もし昭和と令和の曲がまったく異なる特徴を持っていれば、グラフ上で水色(昭和)とピンク(令和)の点がくっきりと2つの島に分かれるはずです。
loudnessやduration、speechinessなど、個別の特徴量で見れば、t検定が示した通り時代による明確な平均値の差があります。
しかし、このPCAの結果は、 9個の特徴量を総合した曲の全体的なとしては、昭和と令和は完全に別物ではないということを示しています。
これは、それぞれの時代の中に非常に多様な曲が存在するためです。
サンプル数が少ないときと違う結果になりました。サンプル数が大事なことを改めて気付かされました。
まとめ
今回、昭和235曲・令和180曲という十分なデータを使って統計分析を行った結果、当初の昭和は落ち着いていて、令和は派手という感覚的な印象は、データによって正しくもあり、間違ってもいることがわかりました。
昭和の曲は明るくエネルギッシュで王道ポップスに集中していました。
しかし、令和はムードが多様化し、様々な曲が作られるようになりました。
さらに、令和の曲は昭和の曲より平均30秒短く、音圧が高く、サウンドも電子的です。
またラップ要素も増えました。
SNS(TikTokなど)の影響も受け、短い曲+ダンス+ラップという曲が増えています。
これだけの違いがありながらもPCAでは両時代の曲の分布は大きく重なりました。
これは、平均的なトレンドは変わっても、どちらの時代も多様性に富んでおり、音楽の本質は共通していることを示していると考えました。
感想
今回、昭和の曲は落ち着いていて、令和は派手という、ぼんやりとした自分の感覚が本当なのかを知りたくて分析を始めました。
正直、APIからのデータ取得や前処理(特に重複データのトラブル!!!!!)で何度も心が折れそうになりましたが、苦労して集めたデータを可視化した瞬間に、そうした苦労が報われました。
音圧や曲の短さ、アコースティック感など、感覚でしか分からなかった時代の違いが、t検定やヒストグラムで「有意差あり」としてハッキリ数字に表れたのは、データ分析の純粋な面白さだと感じます。
特に衝撃的だったのは相関分析です。エネルギッシュ=明るい曲という昭和のポップスが、令和では多様化によって崩壊していたこと。
そして「短い曲=ダンス+ラップ」という、SNS時代を反映していたこと。
これらは、データを見なければ絶対に気づけない発見でした。
最後のPCAで、あれだけ違いがあるはずの昭和と令和が大きく重なり合っているのを見たときは、少し安心しました。
トレンドは変わっても、音楽が持つ多様性や本質は変わらないんだなと実感できました。 趣味で始めた分析でしたが、すっかりハマりそうです。
そしてRapid APIは、日本の楽曲より海外の楽曲のほうがうまくデータを拾えるのではないかと考えました。
免責事項
本記事は個人の学習・趣味目的で作成されたものであり、Spotify社やアーティスト本人・所属事務所とは一切関係ありません。
記事内で行った分析や解説は、あくまで個人の見解やAIを用いた結果に基づくものであり、正確性や完全性を保証するものではありません。










