はじめに:知識は「思い出す」より「呼び出す」
エンジニアの仕事は、覚えることが多いです。技術だけじゃなく、仕様の背景、過去の判断、トラブルの理由、関係者の暗黙知…etc.
現実的には、全部を頭で覚え続けるのは無理です。でも慌てているときほどそれらが必要で、脳のメモリーから見つけ出せず更にあわあわさせられたりします。
なので大事なのは「覚える」よりも「必要なときに取り出せる」状態にしておくことだと私は考えています。
この“取り出しやすさ”を上げるのが、知識管理の肝です。
今日は私がたどり着いた知識管理、Zettelkasten(ツェッテルカステン)についてお話しします。
知識管理をざっくり定義すると
私は、知識管理を次の3つに分けて考えています。
- 集める:メモ・リンク・学び・気づきを、とにかく逃さない(まずはキャッチ!)
- 育てる:あとで読んでわかる形に整える(短く、再利用できる形にメイク!)
- つなぐ:似たテーマや関係する話をリンクして、再発見しやすくする(コネクション!)
この3つが回ると、「あとで役に立つメモ」になっていきます。
得てしていきなりNo.2から作ろうとすることがあるのですが、「面倒くさい」が勝り後回しになり結局知識が流れて行ってしまいます。まずは要不要を考えず集めることに注力します。これらはZettelkastenを使って実現します。
そもそもZettelkastenって何?
Zettelkastenは、例えるならば、小さなメモを、リンクで育てていくやり方です。きれいなノートを作ることが目的ではなく、考え直せる材料を貯めることが目的です。
そのポイントは3つ。難しそうに見えるけど、やることはシンプルです。
- 「気になる」「あとでしっかり見よう」「覚えていこう」と思ったものは、一時メモに1メモ1テーマで保存する
- 保存するときには、長文は避ける。でもそのメモだけ読んでも意味が通るようにはする。
- 関係する永久メモ同士をリンクする
具体的にそれを行うには?
ここからは、じゃあGoogle Workspaceでどうやっているかについて、実例を簡単にお話ししますね。私はGoogle Workspaceで、だいたい次の流れで脳(知識)を育てています。
まずは受け皿を分ける
「タスク」と「メモ」や「学び(知識)」を同じ場所に混ぜてしまうと、後から探すのが一気に大変になります。まずは自分ルールで置き場を明確に分けるだけで、ノイズが消えて楽になります。
- Google ToDoリスト:タスクの受け皿。やること・期限・進捗を設定する
- Google Keep:一時メモの受け皿。タスク以外の気になったサイト/情報/あらゆるものを放り込む
- Googleドキュメント:永久メモ/学び(知識)の受け皿。一時メモの受け皿から学びや、自分の知識(ナレッジ)となるものを抽出し整形して保存します
- NotebookLM:サーチツール。自分の言葉でまとめた永久メモを効果的に引き出すツールとなります
一時メモの粒度は「未来の自分が読める最小単位」にする
Google Keepに保存するメモは、決して長文にしてはなりません。長いと二度と読み返さないのと、「しっかり保存するの手間だな」となるのを防止するためです。あとから閲覧しやすいようにラベルを付けておきます。
永久メモに1メモ1テーマでまとめる
ラベリングされた一時メモに対して、ドキュメントのサイドパネルでKeepを開き永久メモにペーストしていきます。この時注意してほしいのは、まとめた情報について ①自分の言葉で再執筆する、②複数のテーマを記載しない(長文を避ける) の2点を必ず心がけてください。ただのコピペは見返しません。ここはコストを少しかけます。使用した一時メモはアーカイブしておきましょう。
タスクと永久メモ、永久メモ同士をつなげる
メモがデッドストックになりがちなのは、使う場面(仕事)や他の知識とつながっていないからです。ToDoリストが発生したときや新しい永久メモを作成したときに、関連や参照する永久メモへのリンク(Googleドキュメントへの「@メンション」やKeepの「固有URL」など)を貼り付けておきます。
5. 永久メモをNotebookLMに保存する
自分の言葉で書いた永久メモは、自分だけの簡易脳メモリとなります。そこで完成した永久メモをNotebookLMに保存します。これでNotebookLMがこの脳メモリをソースとした動くAIになります。
すぐ始めるためのミニ手順
最後に、まず始めるならこの手順でイメージを掴んでいただくのがおすすめです。
- 受け皿を作る
Googleドライブに「Zettelkasten」フォルダを作る。NotebookLMに「Zettelkasten」ノートブックを作成する。(永久メモの保存先) - 一時メモを1つのテーマで作る
Keepに「1テーマ」に絞った一時メモを3本だけ作成する(短くてOK・主語と前提は書く)。あとから抽出しやすいように何について書いた(保存した)かのラベルをつける - 一時メモ→永久メモに育てる
手順2でKeepに溜めたメモをドキュメントに貼り、必ず自分の言葉で短く書き直す。終わったKeepはアーカイブして一時メモを常に未対応の情報だけにする。 - NotebookLMに永久メモを保存する
これで自分の言葉だけでできた、検索も質問もできる簡易脳メモリの完成です。
おわりに
知識管理は、がんばって整えようとするほど続かなくなりがちです。
まずは少しずつ日々あふれる情報の坩堝から、自分が必要な粒度に落とし込んでいくのに注力することで、「あれなんだっけ?」「どこにあったっけ?」が減っていくかと思います。