みなさんこんにちは。
今回は最新技術リサーチということで、「量子通信」について概要と現在の状況を簡単に調べました。
備忘録として残しておきます。
目次
- 本記事の概要
- 量子とは?
- 量子通信とは?
- ユースケース
- 量子通信のロードマップ
- 日本の量子技術 推進動向
- 市場規模
- 各国特許、論文数
- まとめ
本記事の概要
・量子とは?
原子や光子など、粒子と波動の性質を持った、限りなく小さい物質やエネルギーの事。
量子の世界では、私たちの身の回りの物理法則は通用しない。
・量子技術とは?
量子コンピューティング、量子通信、量子センシングが代表的。
いずれもデータの扱いに量子を用いることで、これまでより速く、安全に、正確にデータのやり取りを処理することが可能。
・量子ネットワーク/量子通信とは?
量子の物理的性質を用いることで、盗聴や解読が実質できなくなる、高いセキュリティの通信が実現する。
・量子技術関連の研究開発は、難易度が高く予算がかかる。
そのため、海外との提携我々も海外の視点が必要かもしれない。
・量子ネットワークの各国、日本の動向 熱感を知る。
・技術成熟度を確認すると、QKDネットワークは進んでおり、量子技術をつかって鍵を交換する仕組みはできてきている。
しかし量子通信・インターネットは これから。 今後実用段階にもっていくために、プロトコルや量子中継、コストを抑えたスケーリングの方法など様々な課題がある。

[15]から引用。
量子とは?
そもそも量子とはなんでしょうか。
量子、量子と口には出してきた人も多いのではないでしょうか。
量子とは、粒子と波の性質をあわせ持つ、とても小さな物質やエネルギーの単位のこと。
例えば、物質を形作っている原子や、原子を形作っているさらに小さな電子・中性子・陽子といったもの。
光の光子やニュートリノやクォーク、ミュオンなどといった素粒子も量子に含まれる。
量子の世界は、原子や分子といったナノサイズ(1メートルの10億分の1)あるいはそれよりも小さな世界です。このような極めて小さな世界では、私たちの身の回りにある物理法則(ニュートン力学や電磁気学)は通用せず、「量子力学」というとても不思議な法則に従うという。
こちらの図は運動方程式を比較した図です。
学生時代に物理を学んできた方は、Newton力学が懐かしく感じるかと思います。
量子の世界だと私たちが学んできた物理法則はどうやら通用しないようです、、!!

[10]から引用。
こちらの図は、量子の特性です。
これらの主な特徴を活かして、量子技術が構成されているようなので、知っていると良いかと思います。
- 二重性
量子と波動の2つの性質をもつ - 量子重ね合わせ
1つの量子が複数の状態を同時に保有。0でもあり、1でもある状態 - 量子もつれ
2つの量子がもつれの状態にある時、関係性が決まっており、どんなに物理的に離れていたとしても片方の状態が、もう一方の量子に強く影響を与える
量子の世界は不思議な世界であることがうかがえます。
量子通信とは?(+なにが変わる?)
それでは本題の量子インターネット/通信に入ります。
量子通信は量子技術を用いてデータを安全にネットワーク上に配信する技術です。
古典的なデジタル情報(0,1)、量子データを、様々なアプリケーションやサービスに利活用するための通信基盤を指します。

[15]から引用。
こちらの図にあるように、デジタルデータや量子で表現された「量子データ」をデジタルデータに変換することなく、ネットワーク内で安全に送受信することが将来的な量子通信の目指す姿になります。
〇量子鍵配送の仕組み
量子通信を実現する重要な技術として、量子鍵配送があります。

[14]から引用。
こちらの図は、現在の通信方法と量子鍵配送による通信を並べた図です。
・現在の通信
データを通信する前に、お互いに暗号化するための共通鍵を交換します。
その際には公開鍵暗号を用いて、鍵の交換が行われます。
・量子鍵配送を用いた量子暗号通信
こちらも共通鍵を交換するのですが、その際には公開鍵暗号ではなく量子の物理的性質を用います。
送受信間の機器で光ファイバーを通して、量子に変換された(1bitが1量子に対応)鍵を交換します。しかし、そうすると第三者により光ファイバーの中身を盗聴される恐れがあります。
そこでQKDでは量子もつれの技術を用いることで、安全性を確保します。
配送中の量子が盗聴されると、その量子は状態が変化し、量子もつれの関係にあるもう一方の量子の状態も変化します。この性質を用いることで盗聴を検知し鍵を安全に交換することで、量子暗号通信が実現します。
これが量子の性質を用いた量子鍵配送で、量子暗号通信の基盤となる技術です。
■ユースケース
量子通信を用いたユースケースの候補です。

[2]から引用。
量子通信の特徴は、安全な通信と量子データをそのまま伝送できる点にあります。
具体的には、個人情報や診療データを安全に共有する医療分野、国家機密や行政情報を保護する政府・行政機関での利用が想定されています。
また、膨大な分子構造やゲノムデータを安全にやり取りする創薬・生命科学分野でも注目されています。
さらに、サプライチェーンや物流分野では、インフラ間通信や認証の安全性を高める手段としての応用が考えられます。
通信キャリア分野においては、量子通信技術を活用してネットワーク全体のセキュリティを強化し、次世代通信である6Gとの統合が期待されています。
■量子通信のロードマップ
内閣府が出している[7]から量子通信に関連するロードマップを抜粋しました。
現在の状況や目標までのプロセスがなんとなく見て取れるかと思います。
量子通信の実証実験は始まっていますが、実用に向けては様々な課題が存在します。
例えば、光ファイバを用いた量子通信では、距離が延びるほど損失が指数関数的に増加し、100km以上の長距離通信は極端に困難になります。
そこで、エンドエンドを結ぶ中間地点に、量子を中継する量子中継器を配置します。
ここでの中継は量子的な信号の複製や増幅をすることではなく、送信者の量子ビット1つに対して、それぞれの中継機で量子もつれのペアを生成し、量子の状態変化を送信者~中継器~受信者間で段階的に伝達させることで、通信距離を伸ばします。

他にも鍵をセキュアに管理する技術、普及していくにあたり現在のTCP/IP通信のような通信プロトコル、そもそも量子通信のユースケースをの検討も大事になってきます。
■日本の量子技術 推進動向
日本は量子技術に対してどのような方針や投資を行っているのでしょうか。

[8]から引用。
日本は2030年を目標に現在、量子技術の人材を増やし、量子技術に取り組むベンチャー企業の創出に力を注いでいます。

[8]から引用。
こちらの図にあるように、量子技術は日本だけで独占/推進していくのではなく、有志国と連携して、
発展させていく方針のようです。
■ 市場規模
直近では様々なものがインターネットに接続および動画コンテンツの人気などインターネットの利用率は格段に急増している。一方で量子コンピュータが普及してくると通信の安全性の懸念から量子通信・インターネットの市場は格段に増えていくと予想されます。

[14]から引用。
■各国特許、論文数
2021年ですが、量子技術における各国の特許や論文数です。
日本は量子マテリアルの比率が高いようです。
〇特許
■さいごに
ここまでいかがだったでしょうか。
量子通信は、光の粒(量子)を使って情報をやりとりする、新しいタイプの通信技術です。
現在は、国家レベルの安全通信や医療・金融分野など、特に高いセキュリティが求められる場面での活用が期待されています。一方で、通信距離やコスト、装置の大きさなど、解決すべき課題もまだ多くあります。
それでも、量子通信は未来の社会で「安心してデータをやりとりできる仕組み」を支える重要な技術になるでしょう。私たちの生活に本格的に取り入れられる日も、そう遠くないかもしれません。
参考
- [1] MIT Technology Review 量子インターネットとは何か?
- [2]NICT 量子ネットワーク ホワイトペーパー
- [3][総務省 情報通信白書 令和5年
- [4]ITU Y.3805 : Quantum key distribution networks - Software-defined networking control
- [5]内閣府 統合イノベーション戦略推進会議 量子未来産業創出戦略
- [6]内閣府 統合イノベーション戦略推進会議 量子未来社会ビジョン
- [7]内閣府 量子技術イノベーション戦略 ロードマップ改定 2022
- [8]量子産業の創出・発展に向けた推進方策概要
- [9]Q-STAR 量子暗号の現状と実用化に向けて
- [10]NTT技術研究所 量子技術イノベーションへの期待と展望
- [11]JST 論文・特許マップで見る量子技術の国際動向
- [12]マクニカ 量子インターネットの未来と実現への道筋
- [13]CRDS 量子技術に関する最新の研究開発動向の紹介
- [14]総務省 量子暗号通信の現状と課題
- [15]CRDS 量子コンピュータ・量子インターネットの最先端と未来社会






