はじめに
私事ではありますが、2023年5月から約3年間在籍した会社を2026年6月末をもって退職し、7月より新しい環境へ挑戦する運びとなりました。人生の大きな節目ということもあり、これまでの振り返りと、今回の転職活動で大きな武器となった「転職ドラフト」を2年連続(2025年春・2026年冬)で使ってみた感想を、エンジニアのキャリア戦略の記録を兼ねて Qiita に残しておこうと思います。
1回目の「不完全燃焼に終わった失敗」から学び、2回目で「システムとAIをフル活用して内定を獲得した」という一連の流れをまとめました。激務の中で転職活動に悩むエンジニアの方々にとって、実用的なノウハウとして少しでも参考になれば幸いです。
※こちらの記事は転職ドラフトスカウト体験談投稿キャンペーンに参加しています。
1. 一回目の転職ドラフトの利用と失敗
初めて転職ドラフトに参加したのは2025年の春でした。当時は、社内の働き方が大きく変わってくるタイミングだったことや、開発において自分はもっとスピード感を持って進めたかったのに対し、当時の組織の意思決定やプロセスがそれとは異なるアプローチだったことに、少しギャップを感じ始めたことがきっかけでした。「そこまで深刻ではないけれど、もし自分に合う良い会社があれば転職を検討しよう」という、市場価値の確認を兼ねたスタンスでのスタートでした。
レジュメの事前審査を通過し、ありがたいことに述べ28社という多くの指名をいただきました。平均5~6社とのことだったので非常に嬉しかったです。しかし、 結果として1回目の挑戦では転職に至りませんでした。
原因は明確で、「リアルな仕事の多忙さからスケジュールに余裕がなく、指名への承諾を慎重に絞りすぎてしまったこと」にあります。当時は28社から指名が届いたものの、スケジュール的なキャパシティへの懸念から8社しか承諾せず、実際に選考へ進んだのは4社のみでした。せっかく多くの企業から評価をいただいたにもかかわらず、自ら打席(承諾数)を制限してしまい、チャンスを活かしきれなかったのが大きな反省点でした。
2. そもそも、転職ドラフトとは?
ここで、まだサービスに馴染みがない方向けに、そもそも「転職ドラフト」とはどのような仕組みなのかを簡単に解説します。
転職ドラフトとは、エンジニアが自身のレジュメ(職務経歴や技術スタック、成果など)を登録し、それを見た企業から具体的な「提示年収」や「期待されるミッション」が書かれた指名(スカウト)をいただくという、入札型の転職プラットフォームです。主な特徴として、以下の3点が挙げられます。
- 年収・条件が出発点: 従来の転職活動とは異なり、最初に具体的な年収が提示された状態で選考(カジュアル面談)がスタートします
- 情報の透明性: 参加している他のエンジニアがどれくらいの年収で指名されているか、企業がどのような条件を出しているかがリアルタイムで可視化されます
- 厳しいレジュメ審査: 登録すれば誰でも参加できるわけではなく、エンジニアとしてのスキルや成果がしっかりと書かれているか、事前の厳しい審査があります
私がこのサービスに挑戦しようと決めた最大の理由は、やはり「 最初に提示年収や条件がクリアになっている 」という画期的なシステムに強く惹かれたからです。
従来の転職活動では、複数回の面接を重ねてお互いの熱量を高めた最終オファーの段階で、初めて具体的な年収を提示されるケースが一般的です。しかし、その最終提示を見て、自分の想定や希望と乖離していて、「今までの選考時間は何だったのだろう...」と、すれ違いによるモヤモヤを経験したことが過去に何度かありました。
最初から企業が私のレジュメに対していくらの価値を感じてくれているかがオープンになっている転職ドラフトであれば、ミスマッチによる徒労感を防ぎ、お互いに非常にスッキリとした気持ちで誠実に選考へ臨めるのではないかと考え、登録を決めました。
3. 二回目の利用と内定
1回目の失敗の後、在籍していた組織がさらに急拡大するにつれて、現場主導での迅速な品質改善(バグの根本治療やリファクタリングなど)を進めることが構造的に難しくなっていきました。さらに、予期せぬ外部要因による大規模なシステム障害や事業環境の急変が重なり、エンジニアとして本質的な技術的挑戦に集中することが極めて難しい状況に直面しました。
「組織全体の意思決定が迅速で、チームの壁を越えて裁量を持って課題解決にコミットできる環境で力を発揮したい」と強く再認識し、2026年冬に2回目の転職ドラフトへの参加を決めました。
今回は、述べ 26 社から指名をいただくことができました。最終的に4社の内定を獲得できた背景には、前回の利用から1年が経ち実務における実績がさらに強固についたことや、自分が求めていた組織像と企業のフェーズが合致したことなど、様々な要因があると考えています。ただ、純粋に転職ドラフトを使ってみた感想として振り返ると、やはり 「承諾数を多く確保し、多くの企業と実際に面接・面談をする打席を最大化したこと」 が非常に良かったと感じています。
転職ドラフトには「承諾はするけれど、現在は時間が取れないため日程調整を少し遅らせてほしい」といった条件を企業側へ事前に伝える機能があります。これを利用し、激務の中でもパニックにならず、以下のように選考数をコントロールしました。
- 1回目(2025年): 28社指名 ➡️ 8社承諾 ➡️ 4社選考(内定なし)
- 2回目(2026年): 26社指名 ➡️ 14社承諾 ➡️ 8社選考 ( 4社内定 )
指名数自体はほぼ同じですが、しっかりとレジュメを用意した上で、機能を使って多くの企業との打席に立ち続けたことが、最終的な結果を分ける大きなブレイクスルーとなりました。
4. 修羅場を乗り越えたAI活用術
今回はFindy経由の選考も並行して進めていたため、実際のスケジュール管理は想像を絶する大変さでした。当時、会社が出社回帰に舵を切ったタイミングだったこともあり、有給や早上がりを限界まで駆使せざるを得ず、ひどい時は 1日に5社ものカジュアル面談や面接 を詰め込むこともありました。
この人間の処理能力を超えるような状況を乗り越えるために、私は NotebookLM や Gemini などのAIツールを活用しました。
インプットするデータは、企業のIR情報やテックブログなどの「すでに世の中に公開されている情報」のみに限定して運用しました。
スプレッドシートに各企業のドラフト情報URLを網羅しておき、AIに公開情報を一括でインプットして整理させておくことで、1日複数回の面接があっても、直前に一瞬で各企業のコア情報を正確にキャッチアップできる強力なフローを構築できました。
AIを活用した自分軸の精査
そして最も重要だったのは、「 AIを使って自分の軸を徹底的に洗練させ、面接には自然体で臨んだこと 」です。
1日数社も受けていると話がブレがちになりますが、私は「自分がこれまでやってきたこと、これから伝えたいこと」のコアを決して変えないと決めていました。自分のこれまでの強みや、今までのキャリアを棚卸ししたデータをAIと対話させながら徹底的に精査し、どのような角度の質問がきても、自分の言葉で自然体に、かつロジカルに評価してもらえるよう準備を整えました。
5. 転職ドラフトを使ったメリット
実際に選考へ進む中で、転職ドラフトだからこそ得られた最大の精神的メリットは、 「 選考で見送りになった際、過剰に落ち込まず客観的に受け止められる 」 ということでした。
最初から企業が高い評価(具体的な年収提示)を出してスタートしているため、万が一見送りになっても「今回は提示額に見合うだけの、企業が求めるピンポイントのスキルマッチを自分が提供できなかったんだな」と、プロフェッショナル同士の取引として冷静に納得することができ、心理的な負担がかなり緩和されました。
また、ありがたいことに今回のドラフトでは、指名をいただいたほぼ全ての企業から現在の年収から+200万円以上の評価を提示していただくことができました。自分のプロダクトエンジニアとしてのこれまでの実績や技術的な取り組みが、現在の市場が求めるフェーズと完全に合致しているのだということを、明確な「数字」として実感できたことは、自分自身の大きな自信へと繋がりました。
また、レジュメに自分の「伝えたいこと」を丁寧に書き、それに共感してくれた会社と、お互いの相性を自然体で確かめ合う面接ができる点も、このシステムならではの大きなメリットだと強く感じています。
6. 転職活動を通しての感想
最終的には、ありがたいことに4社から内定をいただくことができました。提示いただいたほぼ全てのオファーが現在の年収から+200万円以上という、エンジニアとして身に余るような高い評価であり、選考を通じてお話しさせていただいたどの企業も本当に魅力的で、「もし体が複数あれば、色々な会社に同時に入って一緒に働いてみたかった」と本気で悩んだほど、素晴らしい出会いばかりでした。真摯に向き合ってくださり、魅力的なオファーを提示してくださった各社には、今でも心から深く感謝しています。
その嬉しい葛藤のなかで、私のこれまでの技術的な取り組みを最も必要とし、熱意を持ってミッションを提示してくれた「少数精鋭の新天地」への内定承諾を決めました。
7月から飛び込む新しい環境は、今までよりも少ない人数の少数精鋭のチームです。これまでとは違ったスピード感や責任の大きさに緊張もありますが、自分自身の培ってきた経験を信じ、新たなプロダクトの成長に全力でコミットしていく所存です。
「転職ドラフト」は一概に全員におすすめできるかは分かりませんが、私にとっては自分の肌に非常に合っており、利用して本当に良かったと感じています。激務の中で自分の市場価値を信じて一歩踏み出したいエンジニアの方は、ぜひ一度、この打席に立ってみることをおすすめします。
最後までお読みいただき、ありがとうございました!