はじめに
この記事は、仕事だけでなく日常でも使えるようなリスクとの付き合い方を知ることを目的とした記事です。
想定読者
- 予期せぬ危機に邪魔されずに人生を目一杯おもしろく過ごしたい人
- なんとなくリスク管理するほうがいいんだろうなと思いつつもとっつきにくく思っている人
- 新任プロジェクトリーダー/マネージャー
この記事の範囲
- 扱うこと :リスク管理についての考え方や心構え
- 扱わないこと:リスク管理の具体的な手法、フレームワーク、TIPS
リスクとの上手な付き合い方とは
- リスクと上手に付き合うには、リスクを管理すればいい
- リスク管理って、なんだか難しそうだし、自分には無理かも。。。
リスク管理は難しくない
- リスク管理というと難しく聞こえるかもしれないが、 みなさん日常的にしていること
- 決して、手に負えないものではない
- リスクを取る ≠ リスクを無視する ≠ リスクに気付いていない
リスクを取る ≠ リスクを無視する ≠ リスクに気付いていない ってどんなイメージ?
赤信号を無視して道路を渡るような場合において、それぞれの状態を考えてみる。
状態イメージ | |
---|---|
リスクを取る | 赤信号であることもわかっていて、向こうまでの距離や交通状況もわかったうえで渡っているような状態 |
リスクを無視する | 赤信号であることはわかっているが、交通状況などその他の状況については一切わからずに渡っているような状態 |
リスクに気付いていない | 歩きスマホで手元にだけ集中していて、赤信号であることもその他の状況もすべてわからずに渡っているような状態 |
傍にいる第三者から見たら、一見どのパターンの人も**「赤信号を無視して渡っている」**ように見える。しかし、実際には全然ちがっている。
例えばトラックが突っ込んできた場合に、その結果が大きく異なってくる。
用語定義:リスクと問題
リスク管理において、「リスク」と「問題」という概念がある。ここではそれらについて用語定義をしておく。
リスクが実現し問題となった場合、もしくはその問題を対処した場合、新たなリスクが生まれたり既存リスクに影響を与えたりする。そのため図のようにリスクと問題は相互に影響を及ぼす関係である。
なぜリスクを管理するのか
- リスクとチャンスは紙一重のところにある。
リスクなきチャレンジはチャレンジですらなく、何のうまみもない。 - リスク管理によって問題が消えてなくなるわけではない。 問題がなんの前触れもなくやってくることがなくなる。
- リスクを管理することができれば、
- チャンスをものにし、最大限のうまみを得られる(可能性が上がる)。
- 負け戦になったとしても致命傷を避けることができ、反撃のチャンスを得られる。
リスク管理の各要素
1. プロジェクト定義(ターゲットとする範囲を明確にする)
期間、完了条件を定める
2. 発見・定義
リスクを洗い出し、分類し、回避策・軽減策・対策を検討しておく (きちんと洗い出し、想定しておく)
3. エクスポージャー分析
それぞれのリスクが実現する確率と、それによるインパクト(影響)を 数量化する
4. 危機対応計画
リスクが実現した場合に何をするべきか計画する
5. 軽減
- 回避:リスクが問題とならないように事前に手を打っておく
- 軽減:確度が上がってきたときに、実現時のインパクトを最小限に抑えるために事前に手を打っておく
- 対策:リスクが実現し問題となってしまったときに、インパクトを最小限に抑え事態を収集させるために行う
6. 継続的な移行監視
管理するリスクを追跡し、実現しないかどうか監視する
リスクを発見しよう
リスクは**「発生頻度」** × 「発生確度」 × 「発生後のインパクト」の大きさで考える。
発見できたリスクの中から目標達成を困難とするような致命傷となるコアリスクを見つけ出そう!
例
リスク | 発生頻度 | 発生確度 | インパクト | どうするか |
---|---|---|---|---|
明日、隕石が衝突して地球が滅びる | 極小 | 不明 | 極大 | インパクト極大で事業継続どころではないので無視してよい。 ここまで考えてもしかたがない。運にまかせる。 |
体調不良で主要メンバーが急遽対応不可になる | 中 | 中〜高(時期変動) | 大 | 発生頻度は高くないかもしれないが、 時期によってはリスクが高まる。 あり得るリスクなのでキチンと想定しておく。 |
通常許容量を超えるほどアクセスが集中し、システムがダウンする | 中 | 高 | 大 | 不定期ではあるが、発生することがわかっているのであれば、 運用方法まで具体的に取り決めておく。 |
リスク管理ってどんなふうにやればいいの?
リスク管理シート、問題管理シートの例
それぞれ次のような項目の管理シートを作成して運用すれば、管理しやすいのではないかという私からの提案。
あくまで私のシンプル案。
他の項目を追加するなど、プロジェクト特性に合わせてフォーマットを作成するとよい。
リスク管理シートの項目
- No.
- リスク内容
- 問題が実現する条件
- 発生する可能性(確度)
- 発生しうる頻度
- 発生した場合のインパクト(与える影響範囲、対応工数・費用、etc)
- 回避策、軽減策、発生した場合の対策(いつ、誰が、何を、どのように行うのか)
- 結果(実際に問題として実現したかどうか。実現したのなら問題管理シートのNoを記載)
問題管理シートの項目
- No.
- 発生時期
- 問題の内容
- 実際のインパクト(影響範囲、度合い)
- 実施した対策とその結果(いつ、誰が、何を、どのように行い、どうなったか)
- これから行う予定の対策とその期待効果 (いつ、誰が、何を、どのように行い、どうなることを期待するか)
- この問題が発生したこと/対応したことにより、新たに生まれるリスクは何か、影響を与えるリスクは何か (リスク管理シートのNoを記載)
リスク管理の精度を上げる要素
- 能力(知識、テクニック、習慣、etc)
- 経験値
- 手に入る情報の量や質
⇒考え方や手法を知り、習慣付けることで 誰もがリスク管理を行うことができる!
<閑話休題>
職域が上の人のほうが適切な判断を行えるように感じるのは、職域が上がるほど俯瞰的かつ幅広い情報が集まるし、経験値もあることが多いから。妥当な判断ができるのはある意味では当然。気にしすぎる必要はない。
局所的な範囲においては、実務者のほうが質のよい情報を持ち合わせている。考え方や手法を知り、習慣付けることで誰もがリスク管理を行うことができる!自信をもって行動しよう!
まとめ
- リスク管理は手に負えないものではない。
しかし想定しきれるものでもない。見直しを習慣化しよう。 - スピード重視の運営下においては、 コアリスクをいかに管理できるかどうかにかかっている。
- 価値に見合ったリスクをとることが大切。
さいごに
仕事だけでなく日常生活においても予期せぬ危機はたくさん潜んでいる。
そんなさまざまなリスクと愉しく付き合うことで、人生をよりよく過ごしましょう♪