✅【6日目】スケジュール・マネジメント(Schedule Management)とは?
スケジュール・マネジメントとは、
作業の順序・所要時間・開始日・終了日を明確にし、プロジェクト全体の時間計画を管理すること
🕒 なぜスケジュールが重要?
- 「いつ終わるかわからない」では顧客も社内も不安
- 他チーム・取引先との連携も「スケジュール前提」
- スケジュールが遅れると、コスト増・信頼低下・人手不足につながる
🔧 スケジュール・マネジメントの主なプロセス
プロセス群 | プロセス名 | 説明 |
---|---|---|
計画 | スケジュール・マネジメント計画の作成 | スケジュール管理の方針や使うツールを決める |
計画 | 活動の定義 | WBSをさらに分解して「具体的な作業」にする |
計画 | 活動の順序関係の設定 | 作業の前後関係(依存関係)を明らかにする |
計画 | 活動資源の見積もり | 各作業に必要なリソース(人・設備など)を見積もる |
計画 | 活動期間の見積もり | 各作業にどれくらい時間がかかるかを見積もる |
計画 | スケジュールの作成 | 全体のガントチャートやクリティカルパスを作成 |
監視 | スケジュールのコントロール | 実績と比較し、遅れがあれば対策を打つ |
📏 代表的な技法
- クリティカルパス法(CPM):納期に直結する作業の流れを把握
- 前後関係の設定(FS, SS, FF, SF):作業の依存関係を明確にする
- リード&ラグ:開始・終了タイミングの調整
🟥 クリティカルパス法(CPM: Critical Path Method)
プロジェクトの全作業の中で、**最も時間がかかる作業の流れ(=クリティカルパス)**を特定する手法。
このクリティカルパス上の作業が1つでも遅れると、プロジェクト全体の納期が遅延する。
✅ 例:
A(1日) → B(3日) → D(2日) = 6日
A(1日) → C(2日) → D(2日) = 5日
この場合、上段(A→B→D)がクリティカルパス。
✅ ポイント:
- クリティカルパス上の作業を重点的に管理する
- バッファがないため遅れに弱い
- ガントチャートやネットワーク図で可視化可能
🟩 前後関係の設定(依存関係)
作業同士のつながり(依存関係)を明確にする。代表的な4パターン:
略語 | 名称 | 説明(例) |
---|---|---|
FS | Finish to Start(終了→開始) | Aが終わってからBを始める(例:デザインが終わってからコーディング) |
SS | Start to Start(開始→開始) | AとBを同時に開始(例:デザインとライティングを同時に始める) |
FF | Finish to Finish(終了→終了) | AとBを同時に終える(例:テストとドキュメントを同時に完了) |
SF | Start to Finish(開始→終了) | Aが始まって初めてBが終えられる(特殊ケース) |
✅ ポイント:
- FSが最も基本でよく使われる
- 他の関係性も把握しておくとスケジュール調整に強くなる
🟦 リード & ラグ(Lead & Lag)
作業の開始・終了タイミングに“ズラし”を加えるテクニック。
✅ 用語説明:
-
リード(Lead):
- 後続作業を前倒しで始める
- 例:デザインが100%完了する前にコーディングを先行して着手
-
ラグ(Lag):
- 後続作業をあえて遅らせる
- 例:塗装後、乾くまで2日空けて次の作業を始める
✅ ポイント:
- スケジュールの最適化・調整に有効
- リードを使いすぎるとリスク増、ラグを使いすぎると納期遅延の原因になる
✅ 技法まとめ
技法 | 主な目的 | リスク・注意点 |
---|---|---|
クリティカルパス法 | 納期に直結する作業を把握 | 遅延の影響が大きい |
依存関係設定 | 作業の流れと連携を明確化する | 関係を誤ると不整合発生 |
リード&ラグ | タイミングを微調整して効率化 | 調整しすぎると破綻リスク or 遅延発生 |
✅ 今日のまとめ
- スケジュール管理は「作業をいつ・どれくらいで行うか」を明確にする
- 計画 → 見積もり → 作成 → 監視という流れが基本
- 遅延は放置せず、早期に気づいて修正することが重要
🔜 次回予定
次回は「コスト・マネジメント(Cost Management)」です。
「お金」の話なので、現実的かつ重要なスキルとなります!