Microsoft Azure Fundamentals試験(AZ-900)が最近改訂されました(英語版は2022年5月)。この改訂版に対応した試験対策本は9月中旬現在、まだ発売されていないようです。しかし、マイクロソフト社と総務省、IPAが公開している資料、マイクロソフト社の無料トレーニングで十分合格できます。私はこれで合格できました。よかったら、その続きの解説もご覧ください。
読むべきドキュメントと無料トレーニングへのリンク
お役所の公開教材
これから読むのがおすすめ:
経産省が公開しているICT学習資料のうち、クラウドサービスに関わる部分。
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ICTスキル総合習得プログラム
- 2-2 クラウドのサービスモデル・実装モデル (PDF)
- 2-3 クラウドの特性とセキュリティ (PDF)
読まなくても可:
IPAが公開しているNISTのドキュメントの日本語版。ちょっとカタイ文書だけど実質的なボリュームは少なめ。
- NIST によるクラウドコンピューティングの定義 (PDF)
これが本題:Micosoft Learnと無料トレーニング
- 試験 AZ-900: Microsoft Azure の基礎
- ラーニングパス Microsoft Azure の基礎: クラウドの概念について説明する
- ラーニングパス Azure の基礎: Azure のアーキテクチャとサービスについて説明する
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ラーニングパス Azure Fundamentals: Describe Azure management and governance
タイトルは英語のままですが、本文は日本語化されています。 - 無料のサンプル問題 AZ-900: Microsoft Azure Fundamentals のサンプルの質問
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試験サンドボックス
全編英語です。 -
Microsoft Virtual Training Days
「Microsoft Azure Virtual Training Day: Azureの基礎」が該当します。半日の講義が2日連続であり、月に1、2回機会があるようです。
この学習方法の向き不向き
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向いているのはこんな方
- 多少堅苦しい資料、こなれていない日本語でもへこたれない方
- わからない単語が出てきたら自分で調べられる方
- 受験の際、問題文・選択肢をしっかり読んで考えるのが苦にならない方
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向いていないのはこんな方
- 懇切丁寧な説明をしてほしい方
- 試験対策本・問題集じゃないと不安な方
- 動画教材で学習したい方
解説
前説
あらためて、株式会社船井総研デジタルのよもぎたと申します、よろしくお願いいたします。
私のクラウドに関するスペックはこんな感じです。
- AzureもAWSもGCPも、パブリッククラウドの実務経験はない。
- これまでのお仕事は基本オンプレのITインフラエンジニア。今はAzureの研修中。
- AWS Cloud Practitionerの資格を1年と少し前に短期の詰込み型学習をして取得(今はもう忘れた)。
- 直近1年ほど、最初AWS Lightsail、途中からEC2でブログを運用しているけれど、VPSと変わらない使い方しかしていない。
まったくの初心者ではないじゃん!と思われた方、すみません。
確かに、自分が合格するだけなら、試験範囲を解説したドキュメントを一通り読み、理解が浅いところをMicrosoft Learnを詰め込めば良いかもしれません。しかし、自分が合格するだけでなく、社内に資格取得者を増やしたい、という考えがあり「この学習方法で合格できるか?」という検証もかねて受験しました。社内での普及は、Fundamentalsレベルに関してはエンジニア職以外の人にも広めていきたいと考えています。それも踏まえて、合格できるだろう、という結論に至り、この記事を書いています。
ここからドキュメントについて解説
経産省の資料をお勧めする理由
クラウドについて、実装モデルとサービスモデルという、よく似た言葉だけど違う概念が出てきます。言葉の出どころまでは調べていませんが、経産省の資料は下記のような流れで出てきたようです。
- NIST(米国国立標準技術研究所)がクラウドを分類する資料を発表(2011年最終化)
- IPAが上記文書の日本語訳を公開
- 総務省が「総務省 ICTスキル総合習得プログラム」の一部として、上記文書を土台にした教育資料を公開(今回お勧めの資料)
AZ-900試験も、実装モデルとサービスモデルの分類はNISTの資料に沿っているようです。Azureに限らない内容で、試験の割合の25-30%を占める「クラウドの概念について説明」について丁寧に説明されています。資料に余白がほとんどないのが、いかにもお役所らしいです(偏見?)。
なお、サービスモデルについて総務省の資料で言う「役割分担」がMicrosoft Learnでいう「共同責任モデル」です。
Microsoft Learnについて
Microsoft Leanがおすすめな理由
- マイクロソフト社が公開しているという安心感と、情報・カバー範囲が最新なこと。
- サンドボックスでの演習がある。
- サインインすれば進捗管理ができる。
- 試験サンドボックスで試験を体験できる。
Microsoft Leanのいけてないところ
- 日本語がこなれていない。日本語・カタカナ・英単語が混在している。
- 前提知識としている用語には一切解説がない。
- 練習問題が少ない。とても少ない。
それぞれ説明いたします。
お勧めな理由一つ目ですが、これは文字通りですが、試験対策本の更新が追い付いてない時期でも最新の試験範囲に基づいた教材が、しかも無料で読めるというのはありがたいことです。しかし、いけてないところの一つ目にもつながるのですが、機械翻訳ベースらしく、日本語がこなれていないだけでなく、英単語のままのところがあります。たとえば、"Introduction"というリンクテキストをクリックすると「はじめに」というタイトルのページに飛んだりします。
お勧めな理由二つ目のサンドボックスでの演習は、制限付きながら実際にAzure環境を触れます。1日の制限回数はありますが普通に学習してる分には問題にならないでしょうし、なによりこれも無償です。試験対策本で勉強するとしても、Azureを実際に触った経験が無いか少ないなら、やる価値はあると思います。演習として示されている内容に近いことなら、自分で興味関心があることを試すことも出来ました。とことん使い倒すことをお勧めします。
お勧めな理由三つ目は、書いた通りです。
お勧めな理由四つ目はの試験サンドボックスは、試験範囲の学習ではありません。実際の試験形式で回答する練習です。これまでCBT形式の試験を受けたことがない方はぜひ体験してみてください。CBTの経験はあるけどマイクロソフト社の試験が初めて、という方もやってみる価値はあると思います。時間は10分程度です。全部英語なのが難点です。私含め英語アレルギーな方は、"Here is a sample question." の次の1,2行だけ読んで、回答形式の練習をするのがよいと思います。
いけてないところの二つ目ですが、これは仕方のないことでしょう。何もかも説明していたらキリがありません。分からない用語が出てきたら、情報システム用語事典やIT用語辞典 e-Wordsで調べたり、検索したり、知っていそうな人に聞いたりしてみてください。あまりにも分からないことだらけだったら、AZ-900試験以前の基礎からやった方がよいのかもしれません。
いけてないところの三つ目ですが、これも仕方のないこと・・・と理解しようとしても、もう少し充実させてもいいじゃない、と思います。それくらい少ないです。それだけに、受験時には問題文と選択肢をしっかり読んで考えて回答する必要があります。問題集で慣れたい人にはお勧めできない理由です。
おまけ情報
「Microsoft Azure Virtual Training Day: Azureの基礎」を申し込んで受講すると「Microsoft Azure Fundamentals 認定試験を無料で受験できます」。私はトレーニングデイ→Microsoft Learnというルートでお金をかけずに資格取得できました。まぁ、受験費用くらい経費で出るのですが。
最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。