どうも、こんにちは。セプテーニ・テクノロジー(ベトナム・ハノイ)駐在の鎌田です。
前回こんな記事書きました。
「いまどき!?」CakePHPでPHPUnit入門
で、続きを書こうかとも思ったのですが、筆者自身、最近PHPから離れたこともあり、
**「CakePHPでUnitテストとか、いまどき…」**という気分なので、今回は趣向かえて別のこと書きます^^
ITエンジニアに必要な会計知識
これを書いてるときは2015年の4月で、ちょうど会社にも新人エンジニア達が入ってくる季節です。
趣味や学業でプログラミングしていたときには考える必要もなかったかもしれませんが、
IT会社に就職したとなれば、エンジニアの技術以外にも、社会で必要な知識とかマナーとか、何かそういうものがいろいろあります(適当)
会計知識もその中の一つでしょう
ここでいう会計とは、会社として、「売上」「費用」「損益」とかをもっとちゃんと考えるということです。
IT会社も会社なので、毎期ちゃんと利益を出さないといけません。
総額1億円の売上を生むアプリを、3億円のコストかけて作ってたらダメってことです。
(売上) 1億 - (費用) 3億 = (損益) △2億 (!)
基本知識
##「決算書」
ざっくり言うと、会社の業績を表す書類です。貸借対照表(B/S)、損益計算書(P/L)などがあります
##「貸借対照表 (たいしゃくたいしょうひょう B/S)」
一時点(決算日など)における会社のステータスを表示します。
左側が会社の資産
右上が会社の負債
右下が会社の純資産(資産 - 負債、企業価値を意味する)
左右の合計金額は常に一致します(だからB/S:バランスシート)
例) 2014年9月末時点で会社に残っている現金は100万円、借入金は200万円など
◯◯株式会社 B/S 単位(万円)
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
現金 100 | 借入金 200
棚卸資産 200 |ーーーーーーーーーー
パソコン 200 | 資本金 200
| 利益剰余金 100
##「損益計算書 (そんえきけいさんしょ P/L)」
一定期間における事業業績を意味します。
例) 2014年9月末事業年度(2013/10/1 〜 2014/9/30)の会社の売上800万円、当期利益80万円
◯◯株式会社 P/L 単位(万円)
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
売上 800
売上原価 650
(内訳)
/人件費 600
/原価償却費 50
ーーーーー
営業利益 150
借入利息 30
ーーーーー
経常利益 130
税金 50
ーーーーー
当期利益 80
##「棚卸資産」
ソフトウェア開発会社でいうと、開発中のソフトウェア、あるいは開発完了後お客さんに引渡前のソフトウェアなどをイメージしてればだいたい合ってるでしょう。
棚卸資産の金額は、開発したソフトウェアに今までつぎ込んだ人件費、パソコンの減価償却費などを意味します。
##「人件費」
会社から社員に支払われる給料です。
例えばエンジニアの人件費は、ソフトウェアを開発するために発生した費用なので、ソフトウェアの原価(棚卸資産)に含めて計算します。
##「減価償却費」
パソコンなど、購入した後、数年使用する資産(固定資産)は、使用年数が経つと同時にその価値が減少してきます。これを減価償却費といいます。
エンジニアのパソコンの減価償却費は、ソフトウェアを開発するために発生した費用なので、開発したソフトウェアの原価(棚卸資産)に含めて計算します。
##「利益剰余金」
会社が事業活動の結果得られた、毎期の利益(当期利益)の、蓄積結果です。
#決算書と仕訳
会社は日々の取引を記録し、その結果を次年度の決算書に反映させます。
日々の取引を表す式を仕訳(しわけ)といいます。
例えば2014年10月1日時点の会社のステータス(B/S)が以下のようだとします。
◯◯株式会社 B/S 単位(万円)
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
現金 100 | 借入金 200
棚卸資産 200 |ーーーーーーーーーー
パソコン 200 | 資本金 200
| 利益剰余金 100
新しい事業年度は2014/10/1 〜 2015/9/30
新しい事業年度が始まったばかりなので、P/Lはまだないです。
例 ) [2014/10/20] エンジニアに給料を払った(=人件費を払って、ソフトウェアを開発した)
人件費 100 / 現金 100
- 会社からみて資産(現金)の減少なので、現金を右側に書きます。
棚卸資産 100 / 人件費 100- 会社からみて資産(棚卸資産)の増加なので、棚卸資産を左側に書きます。
すると、、、
◯◯株式会社 B/S 単位(万円)
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
現金 0 | 借入金 200
棚卸資産 300 |ーーーーーーーーーー
パソコン 200 | 資本金 200
| 利益剰余金 100 (当期利益0)
◯◯株式会社 P/L 単位(万円)
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
売上 0
売上原価 0
(内訳)
/人件費 0
ーーーーー
営業利益 0
ーーーーー
当期利益 0
※この時点では、まだ人件費に対応する売上が発生していません
※売上が立っていないため、この時点では発生した人件費を費用として認識しないで、棚卸資産にプールします
例 )[2014/10/29] 原価100(人件費70+パソコン減価償却費30)のソフトウェアを顧客に200で売上げた(納品した)
現金 200 / 売上 200
- 会社からみて資産(現金)の増加なので、現金を左側に書きます。
売上原価 100 / 棚卸資産 100- 会社からみて資産(棚卸資産)の減少なので、棚卸資産を右側に書きます。
すると、、、
◯◯株式会社 B/S 単位(万円)
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
現金 200 | 借入金 200
棚卸資産 200 |ーーーーーーーーーー
パソコン 200 | 資本金 200
| 利益剰余金 100 + 当期利益100
◯◯株式会社 P/L 単位(万円)
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
売上 200
売上原価 100
(内訳)
/人件費 70
/減価償却費 30
ーーーーー
営業利益 100
ーーーーー
当期利益 100
※ソフトウェアが売上計上されたので、対応する棚卸資産を原価費用として認識します
(費用として認識されるタイミングはいろいろありますが、売上した日に認識するのが一般的)
上記のような、決算書と仕訳の計算がわかりにくいエンジニアの方々は、MySQLなどのデータベースをイメージしてください。
※B/S、P/Lという「テーブル」に、仕訳という名の「SQLクエリ」を投げてる、筆者はそんなイメージ持ってますが、他の人どうなんだろう。。。
日々の会社取引は続く
そんな感じで会社の取引は続いていきます
-月-日: 銀行からの借入金100を返済、利子20と共に支払う
借入金 100 / 現金 120
支払利息 20
-月-日: 新規採用もあって、当期の人件費が2014/11 〜 2015/9で合計800
人件費 800 / 現金 800
棚卸資産 800 / 人件費 800
-月-日: 大型受注案件のソフトウェアを無事納品した。売上1400、原価900(人件費800 + パソコン減価償却費100)
現金 1400 / 売上 1400
売上原価 900 / 棚卸資産 900
-月-日: 資金が余ったので社長が社用と称して車買った
車(固定資産) 500 / 現金 500
-月-日: 資金がショートしそうなので再び借入実行。300
現金 300 / 借入金 300
-月-日: 期末決算。使用した固定資産の減価償却費を計算
減価償却費 50 / パソコン 50
減価償却費 100 / 車 100
当期のパソコンの減価償却費は、まだ次期のソフトウェアが売上られていないので、棚卸資産にプール
棚卸資産 50 / 減価償却費 50
-月-日: 税金を支払う
税金(費用) 150 / 現金 150
すると、、、
・2015年9月末決算書
◯◯株式会社 B/S 単位(万円)
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
現金 330 | 借入金 400
棚卸資産 150 |ーーーーーーーーーー
パソコン 150 | 資本金 200
車 400 | 利益剰余金 430 (前期100+当期利益330)
◯◯株式会社 P/L 単位(万円)
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
売上 1600
売上原価 1000
(内訳)
/人件費 870
/減価償却費(PC) 130
ーーーーー
営業利益 600
減価償却費(車) 100
借入利息 20
ーーーーー
経常利益 480
税金 150
ーーーーー
当期利益 330
無事、2015年9月度も利益が出たようですね!(ただし借入負債が膨らんだ…)