はじめに
AIモデルの選択に悩んでいませんか?
「どのモデルを選べばいいのか分からない」
「コストと性能のバランスが取れない」
など、多くの方が同じような課題を抱えているのではないでしょうか。
そこで本記事では、OpenAI の Reasoningモデル(o-series) と GPT モデル(GPT-4oなど) を比較して、
- 利用ケースの要件からどのモデルを使えばいいか判断
- ReasoningモデルとGPTモデルの組み合わせ方
- Reasoningモデルの主な活用パターン7選 + α
- Reasoningモデルの推奨プロンプト設計
について解説していきます。
OpenAIの新ガイド:シンプルなプロンプト設計を重視
最近、OpenAIはReasoningモデル向けの新たなプロンプティングガイドを公開しました。
このガイドでは以下の点が強調されています。
- シンプルさ(simplicity)
- Chain-of-Thought プロンプトの使用を避けること
- 区切り文字(delimiters)の使い方と利用タイミング
ReasoningモデルとGPTモデル:それぞれの「得意分野」
ガイドによれば、ChatGPTモデル(ここでは ReasoningモデルとGPTモデル)にはそれぞれ得意分野があります。
o-series(“the planners”)
- 深い思考が必要な複雑なタスクに適している
- 戦略、計画、意思決定が得意
- 数学、科学、金融、法律など専門性の高い分野に最適
GPT(“the workhorses”)
- 速度と効率性を最適化
- 単純明快な作業を素早く実行
- 完璧な正確性よりコストと速度を優先する場面でベスト
どのようにモデルを選ぶべきか
o-series(Reasoningモデル)を使うべきシチュエーション
- 曖昧なタスクを扱う場合
- 大量の非構造化情報を処理する場合
- マルチステップのエージェント的な計画
- ビジュアル推論
- コードレビューやデバッグ、品質向上
- 大量データ間の関係性・ニュアンスを見つける場合
基本的には 「不確定要素が多く、複雑さや精度重視のタスク」 に適していると言えます。
GPTモデルを使うシチュエーション
上記のように複雑な思考や深い戦略立案が必要ない、つまり明確な作業指示があるタスクや、スピードとコストを優先したい場合はGPTモデルが最適です。
利用ケースからどのモデルを使うか判断
多くのAIアプリケーションではハイブリッド運用
「o-seriesでエージェント的な計画・意思決定を行い、GPTシリーズでタスクを実行する」
これはOpenAIの新ガイドでも強調されています。
ほとんどのAIアプリケーションは、Reasoningモデル(o-series) を戦略立案や複雑な判断に用い、GPTモデルで具体的なタスクをこなす形で組み合わせています。
たとえば、以下のような利用例が考えられます。
「私たちのGPT-4oおよびGPT-4o miniモデルは、顧客情報を使って注文の詳細をトリアージし、問題点や返品ポリシーを識別します。その上でo3-miniにデータを渡し、返品がポリシー上妥当であるか最終的に判断させます。」
このように、GPTモデルで高速にタスクを整理 → Reasoningモデルで判断を下すプロセスが代表的な事例の一つです。
Reasoningモデル(o-series)の主な活用パターン7選 + α
ここからは、Reasoningモデル(o-series)をどのようなシチュエーションで使うと効果が高いのか、具体的な7つの成功パターンを事例とともに紹介します。
- 曖昧なタスクをナビゲートする
- 大量の非構造データから必要部分を見つける
- 大量データ間の関係性やニュアンスを見つける
- マルチステップのエージェント的プランニング
- ビジュアル推論
- コードレビュー、デバッグ、品質向上
- 他モデルの評価・ベンチマーク
- + α : Deep Research
ChatGPT で Deep Research を使用すると、ユーザーが質問に対して深掘りをしてくれます。
個人的な予想ですが、Deep Research で質問の深掘り部分では 4o-mini モデルを使用して、検索や最終的な調査結果を出力する部分で o3 モデルが使用されているんではないかと考えています。
その結論に至った理由については、以下をご拝読ください。
また、詳しい事例は本文内に記載の通りですので、興味のある方はぜひご覧ください。
Reasoningモデルを効果的に使うためのプロンプト設計
OpenAIのガイドでも指摘されているとおり、Reasoningモデル(o-series)を使うときのポイントは 「シンプルで直接的なプロンプト」 です。
-
チェーン・オブ・ソート(Chain-of-Thought)を強要しない
- 「内部思考を可視化せよ」「理由を一から説明せよ」など、冗長な指定はむしろ逆効果になりやすい。
- 区切り文字やセクションタイトルなどで、情報を明確に構造化
- まずはZero-Shotで試し、必要に応じてFew-Shotを追加
- 必要な制約条件や成功基準(フォーマットなど)をはっきり指定
- Markdownでの出力を望む場合は、その旨を先に明示
OpenAI推奨のプロンプト例
OpenAIが新ガイドの中で示している “簡単にコピペできる”最適化済みのプロンプト例 は以下の通りです(日本語コメントを適宜挿入)。
<context>
以下の例文における文体、トーン、構成を分析してください。
語彙の選択、文の複雑さ、ペース配分、全体的な文章の声など、これらの要素に注目してください。
</context>
<examples>
[ここに文章サンプルを挿入してください。サンプル間には区切りを入れてください]
</examples>
<instruction>
[コンテンツの種類、例えば「情報記事」や「ブログ記事」など]を[特定のトピック]について作成してください。
内容は、提供された例文の文体、トーン、構成に合わせてください。
オリジナルで魅力的な内容とし、[ターゲット読者層や目的]に適したものにしてください。
</instruction>
ポイント:
<context>
や<examples>
のように、区切りタグを使って入力情報を整理するのが特徴です。
こうすることでモデルがどの部分を「文体分析」に使い、どの部分を「具体的な指示」に使うかを認識しやすくします。
ReasoningモデルとGPTモデルの違いを再整理
先に挙げたガイドで説明されているように、ChatGPTモデル(Reasoningモデル vs. GPTモデル)は以下のように整理できます。
-
o-series(“the planners”)
- 複雑タスクを深く考える
- 戦略、計画、意思決定が必要な分野(数学、科学、金融、法律など)に最適
-
GPT(“the workhorses”)
- スピード・効率性重視の単純作業が得意
- コストや速度を優先するタスクに最適
まとめと今後のステップ
Reasoningモデル(o-series) は、高度な推論を要するタスク、曖昧な情報が多いマルチステップの問題、数百ページにわたる契約書や金融文書の分析などで、非常に高いパフォーマンスを発揮します。
一方、GPTモデルはコスト効率とスピードに優れ、明確な指示があるタスクを高速に処理するのに向いています。
OpenAIの新ガイドが示すように、多くの実務ではこれら2つのモデルを組み合わせて活用することで、問題解決と生産性向上の両面を最大化できます。
- o-seriesモデル → 複雑タスクの「プランニング」や重要意思決定
- GPTモデル → 「実行」や素早いやり取り
実際には、o-seriesモデルで解決策やステップを策定し、GPTモデルがそのステップを順番に実行するといった形が典型例として挙げられます。
参考リンク
-
OpenAI Cookbook
→ プロンプト例やコードスニペットが多数掲載。 -
Meet the models
→ OpenAIの各モデル概要。 -
Reasoning guide
→ Reasoningモデルの詳細ガイド。 -
How to use reasoning for validation
→ データ検証への応用例。 -
Video course: Reasoning with o1
→ o1の使い方を動画で学習。 -
Papers on advanced prompting to improve reasoning
→ 推論向上のための高度なプロンプト設計。 - https://qiita.com/syukan3/items/ee61bb3bbd8684a8cc59