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【徹底解説】Zapier MCPの全貌:AIエージェントが8,000アプリを使用

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1. はじめに

現在、大規模言語モデル(LLM)を活用した自動化やエージェント開発が盛り上がっており、API連携やノーコードツールの活用がますます重要となっています。
特に、クラウドRPA/ノーコード連携サービスの代表格であるZapierは、多数のアプリを統合した自動化基盤として長く支持されてきました。
そこに新たに登場したのがMCP(Model Context Protocol) 対応機能です。

MCPは、LLMから外部サービスやツールを安全・効率的に呼び出すためのオープンなプロトコルとして提唱されています。

ZapierがこのMCPに対応したことによって、エンジニアや開発者は 「LLMエージェントに8,000以上のアプリ、30,000以上のアクションを一挙に使わせる」 ことが可能となり、よりスムーズなワークフロー自動化を実現できます。

本記事では、MCPの技術的な仕組みからZapierにおける役割、他のAIツールやAPIとの統合方法、そしてエンジニアが具体的にどう利用できるのかを幅広く・掘り下げて解説します。


2. MCPの技術的概要

MCPとは何か

MCP(Model Context Protocol)は、LLMが外部ツールやサービスを呼び出す際にやり取りする共通のインタフェース規格です。

  • オープン標準として設計されており、特定ベンダーに依存しない
  • LLMが外部リソースを活用する際の 「発見」「実行」「認証」「結果取得」 といった一連の流れを統一的に扱える

MCPはしばしば 「AIアプリ向けのUSB-Cポート」 と例えられます。多様なサービスを1つの規格を通じて扱えるようにする点が重要です。

基本アーキテクチャ(サーバー・クライアント・ホスト)

以下の図はMCPを利用した処理の流れを簡単に表したものです。
LLMを搭載したホスト(AIアプリやエージェント)がクライアントを経由してMCPサーバーに接続し、各ツールを呼び出します。

  • MCPサーバー
    例:Zapier MCPサーバー
    外部サービスの機能(ツール)を標準化された形で提供する。
  • MCPクライアント
    サーバーと通信してツールを探索・呼び出しする。複数サーバーに同時接続も可能。
  • MCPホスト
    ユーザーが直接触れるAIアプリ(例:カスタムAIエージェント、LLM搭載チャットUI)。
    ホスト内部でMCPクライアントを使い、必要なときに外部ツールを呼ぶ。

ツールの定義と呼び出し方法

MCPでは、サーバーが提供する各機能を 「ツール (tool)」 という単位で管理します。

  • tools/list:利用できるツールの一覧を取得
  • tools/call:指定のツールを実行し、結果を受け取る

ツールには名前、説明、入力スキーマ(JSON形式)が定義されており、LLMはツール一覧を参照して「どのツールを使うか」「必要な引数は何か」を自律的に判断します。
読み取り専用の問い合わせから外部サービスへの書き込み・操作
まで、幅広いアクションが実行可能です。

通信・セキュリティの仕組み

HTTPベースでの通信が一般的で、認証・認可もプロトコルレベルで管理されます。
具体的には、

  • HTTPSエンドポイント + 認証トークン
  • SSE(Server-Sent Events) によるイベント送信
  • HTTP POSTによるコマンド実行

Zapier MCPの場合、ユーザーごとのエンドポイントURLに利用制限(例:無料枠40件/時・80件/日・160件/月)やアプリごとの権限設定を細かく施せるのが特徴です。
AIが実行可能な操作を制限できるため、安全面でも優れています。


3. ZapierにおけるMCPの役割

Zapier MCPの全体像

Zapierは従来より、8,000を超えるクラウドサービスのAPI連携をノーコードで提供してきました。
MCP対応によって、

「LLMエージェントがZapierの豊富な連携アクションを直接呼び出せる」

ようになったことが最大のポイントです。

つまり、これまでユーザー自身がZapのステップとして組んでいたワークフローを、AIが指示に応じて自動で使い分けられるようになります。
「AIに実世界のタスク実行権限を与えるインタフェース」 と捉えてもよいでしょう。

実際のユースケース

  1. 営業支援

    • ユーザーのチャットでの指示に応じて、AIがCRMにリード登録 → 自動でGmailでフォローアップメール送信
    • 営業活動や顧客管理を対話感覚で進められる
  2. 日程調整

    • 「来週チーム会議を設定して」とAIに依頼 → AIがGoogleカレンダーを検索・予定登録
    • メール往復やカレンダー操作などの手間を削減
  3. データ収集・レポート

    • 「売上データを集計してSlackに送って」 → AIがスプレッドシートからデータ取得し、結果をSlackに投稿
    • データ確認や集計作業が瞬時に完結
  4. 定型業務の自動化

    • 受信メールの内容を解析 → AIがZendeskにチケット起票Salesforceに登録
    • 事務作業のオペレーションコストを大幅削減

ここで重要なのは、「APIの細かい仕様」や「Oauth認証まわり」 などはすでにZapierが裏で管理している点です。
開発者はZapier MCP用エンドポイントをAIに教えるだけで、数万通りのアクションをすぐ利用できるようになります。


4. 他AI機能・APIとの統合

Natural Language Actions (NLA)との関係

Zapierでは従来、NLA(Natural Language Actions) というAPIを使って自然言語→アクションを提供していました。
しかしNLAは2023年11月17日をもって提供終了となり、現在はMCPベースの「Zapier AI Actions」 として一本化されています。

  • NLAからMCPへの移行で得られる主なメリット
    • オープン標準に沿った実装 → 他社製LLMやフレームワークとも連携しやすい
    • ツール管理・セキュリティ機能の強化

ChatGPTプラグインや他プラットフォームとの連携

  • ChatGPTプラグイン: OpenAI公式のZapierプラグインを使うと、ChatGPTの画面からZapierアクションを呼び出せます。
  • OpenAI GPTsとの統合: カスタムGPT(GPT Builder)にZapier AI Actionsを組み込むことで、「Slack投稿」「スプレッドシート更新」 などのアクションを対話ベースで行える。
  • LangChain・LlamaIndex・Cursorなど: 主要なLLMフレームワークやエディタ拡張がMCP対応を進めており、Zapier MCPのエンドポイントを登録するだけでツール一覧を活用可能。

つまり、OpenAIに限らずAnthropicのClaudeなどあらゆるLLMとZapier MCPが連携できるため、特定プラットフォームに縛られないのが大きな強みです。


5. 開発者向け活用方法

自作AIエージェントへの組み込み手順

  1. Zapier AI Actions(MCP)でエンドポイント取得
    • Zapierの管理画面で専用エンドポイントURL + 認証トークンを発行
    • どのアプリ・アクションをAIに解放するかをチェックボックスで設定
  2. AIエージェントにMCPを実装
    • AIエージェントが起動時に tools/list で利用可能ツール一覧を取得し、LLMに認識させる
    • ユーザーの指示→LLMの判断→必要なツールへのtools/call呼び出しを実装
  3. 結果を受け取り、ユーザーに報告
    • Zapier MCPから返ってきた実行結果をLLMに戻して、「メールを送信しました」 などのレスポンスを返す

認証やレート制限などはZapier側で管理されるため、開発者は 「MCPサーバーへのHTTPリクエスト」 だけ実装すればOKです。
さらにZapierダッシュボードで実行ログを確認できるので、デバッグ時の追跡もしやすくなっています。

Zapier内でのMCP利用事例

通常の「Zap」ワークフローはトリガー→ステップ実行の固定フローですが、MCP連携ではAI側が必要に応じて好きなタイミングでステップを呼べる点が大きく異なります。

  • 個別のZapを作り込む手間を省き、AIの判断結果に応じて幅広いZapierアクションを呼び出せる
  • Zapier独自のOAuth管理フィールドマッピングなども自動で引き継がれる

そのため、アプリ同士の「ひな型的な」連携はZapierに任せ、指示と実行のオーケストレーションをAIが動的に行うという新しい使い方が可能になります。


7. まとめと今後の展望

MCP(Model Context Protocol)は、LLMが外部ツールを安全かつ自在に活用するためのオープン標準として注目を集めています。
Zapier MCPを使えば、8,000以上のサービス・30,000以上のアクション単一のエンドポイントから呼び出し可能で、開発者の工数を大幅に削減できるメリットがあります。

さらに、Natural Language Actionsからの移行OpenAI ChatGPTプラグインとのシームレス連携など、Zapier独自の強みも相まって、より多くの現場で 「LLM × 業務自動化」 が加速していくでしょう。

  • 細かなアクセス制御(許可アクションの限定)やログ管理が可能 → 企業ユースでも安全性を担保
  • LangChain、LlamaIndex、CursorなどさまざまなAIフレームワークがMCP対応 → 相互運用性が高い

今後は、さらに多様なMCPサーバーが登場したり、新しいLLM機能と組み合わせたりすることで、複雑なビジネスロジックをAIが自律的に運用する時代が訪れると期待されます。
ノーコード/ローコードという枠を超えた、自動化とAIの融合がますます進むことでしょう。


参考文献

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