1. はじめに
Figma-Context-MCPは、Figmaのデザイン情報をCursorなどのAIコーディング支援ツールに伝える橋渡し役となる、オープンソースのMCPサーバーです。
従来のデザインからのコーディングは、スクショを貼ったり、手作業で情報を確認したりと、時間と手間がかかる作業でした。
Figma-Context-MCPを使えば、AIがFigma上のレイアウト、スタイル、テキスト情報などを直接理解。
その結果、「このFigmaデザインをReactにして」と指示するだけで、驚くほど忠実なコード生成が期待できます。
2. Figma-Context-MCPで何ができる?(目的と概要)
Figma-Context-MCPの目的は、デザインとコーディングのギャップを埋め、開発プロセスを効率化することです。
具体的には以下の機能を提供します。
- Figmaデザイン情報のAI提供: 特定要素のレイアウト、スタイル、テキスト等をAIが理解できる形式で提供。
- コード自動生成: 提供された情報に基づき、HTML/CSSやReact等のコードを自動生成。コーディング時間を大幅削減。
- デザインに関する質問応答: 「このボタンの色は?」といった質問に、Figma情報を基に回答。
- Figmaコメント操作: コメントの読み取りやAIによる書き込みも可能(※トークン権限による)。
これを支えるのがMCP (Model Context Protocol)。AIと外部データソース(Figma等)が対話するための標準ルールです。
Figma-Context-MCPはこのルールに準拠しているため、Cursor以外にも対応AIツール(Windsurf、Cline等)で利用できます。
特徴は、Figma APIから得た膨大な情報から必要な情報だけを抽出・整理してAIに渡す点。
これにより、AIはノイズに惑わされず、より正確な応答が可能になります。
要するに、Figma-Context-MCPは:
- FigmaとAIを繋ぐオープンソースの無料サーバー
- MCP準拠で複数ツールに対応
- Figmaデザインを高精度でコード化
- 必要な情報だけを効率的にAIへ提供
- デザインとコーディングの垣根を下げる画期的なツールです。
3. 使う前に:必要な知識と準備
導入前に、以下のスキルや環境を確認しましょう。
-
Figma基本操作:
- ファイル開封、要素選択。
- 要素へのリンクコピー (右クリック > Copy/Paste as > Copy link to selection)。
- アカウント設定へのアクセス(トークン発行のため)。
-
Figma API基礎知識(推奨):
- Personal Access Tokenとは何か(Figmaデータへのアクセスキー)。
- REST APIの基本概念。
- 注意: 個人トークンは読み取り専用。Figmaファイルの直接編集は不可。
-
基本開発環境:
- Node.js (v18以上推奨) と npm/pnpm。
-
ターミナルでの基本コマンド操作 (
git clone
,npm/pnpm install
,npx
など)。 -
pnpm
がない場合:npm install -g pnpm
で導入。
-
AIコーディングツール基本:
- Cursor等、MCP対応ツールの基本操作知識。
-
MCP概要理解(推奨):
- 「AIと外部ツール連携の共通ルール」程度の認識。
これらが準備できていれば、セットアップはスムーズです。
4. セットアップ方法:アクセストークン取得からツール連携まで
Figma-Context-MCPを使うためのセットアップ手順です。
セットアップの全体像
ステップ1:Figma個人アクセストークンの発行
MCPサーバーがFigmaデータにアクセスするための個人アクセストークンを取得します。
- Figma設定画面 (Settings) を開く (左上プロフィール > Settings)。
- 「Account」 タブ等にある 「Personal access tokens」 セクションへ移動。
- 「Generate new token」 をクリック。
- トークン名を入力 (例:
Figma_MCP_Token
)。 - 権限は 「File content: Read-only」 を確認。
- 有効期限を設定 (期限設定推奨)。
- 「Generate token」後、表示されるトークン文字列を必ずコピーし、安全な場所に保管(一度しか表示されません)。
⚠️ 重要:トークンの管理
- トークンは絶対に公開・共有しないでください。
- 流出疑い時は、Figma設定から すぐにRevoke(無効化) を。
ステップ2:MCPサーバーのインストールと起動
あなたのPC上でMCPサーバーを起動します。
2つの方法があります。
方法A:npxを使ったクイック起動(簡単!)
ターミナルで以下を実行(Node.jsが必要)。
npx figma-developer-mcp --figma-api-key=【ここにコピーしたFigmaトークン】
HTTP server listening on port 3333
のようなログが出れば成功。
デフォルトは http://localhost:3333
で起動します。
(安全のため、トークンは方法Bの.env
ファイル利用も検討を。)
方法B:リポジトリをクローンしてローカルでセットアップ
ソースコードを見たい、カスタマイズしたい場合。
-
リポジトリをクローン:
git clone https://github.com/GLips/Figma-Context-MCP.git cd Figma-Context-MCP
-
依存パッケージをインストール: (pnpm推奨)
pnpm install
- pnpmがない場合:
npm install -g pnpm
後に再実行。
- pnpmがない場合:
-
.envファイルを作成・編集:
-
.env.example
を.env
にコピー。 -
.env
内のFIGMA_API_KEY=
にトークンを記入。 - (任意)
PORT=
でポート番号変更可。
-
-
開発サーバーを起動:
pnpm run dev
方法Aと同様にサーバーが起動します。
💡 設定の優先順位
コマンドライン引数 >.env
ファイル > 環境変数
--stdio
オプションで標準入出力モード起動も可能。
https://socket.dev/npm/package/figma-developer-mcp
ステップ3:AIツール(Cursorなど)への登録
起動したサーバーをAIツールに認識させます (Cursor例)。
- Cursorの設定 (Settings) を開く。
- 「MCP」 セクションへ移動。
- 「Add New MCP Server」 をクリック。
-
「Server Name」 を入力 (例:
My Figma Server
)。 - 「Connection Type」 で 「SSE (Server-Sent Events)」 を選択。
-
「Server URL」 にサーバーURLを入力 (デフォルト:
http://localhost:3333
)。 - 保存。
サーバー名の横に緑色のドットが表示されれば接続成功です!
5. 実践!Figmaのデザインをコード化する手順
セットアップ完了後、実際にデザインをコード化してみましょう (Cursor例)。
-
Figmaで要素リンクをコピー:
- コード化したいフレームやグループを選択(特定要素の選択が重要)。
- 右クリック > Copy/Paste as > Copy link to selection (ショートカット:
Ctrl/Cmd+L
)。 -
https://www.figma.com/file/...node-id=...
形式のURLをコピー。
-
Cursorでリンク貼り付け & 指示:
- Cursorのチャット画面を開く。
- コピーしたFigmaリンクを貼り付け。
- 続けて具体的な指示を入力。例:
- 「このFigmaデザインをReactコンポーネントにして」
- 「Implement this using HTML and Tailwind CSS.」
- 「この要素のCSSを生成して」
- 送信。
-
AIによるコード生成:
- AIがリンクを認識し、ローカルのMCPサーバー経由でFigma情報を取得。
- AIは受け取ったデザイン情報に基づき、指示された形式でコードを生成・表示。
-
結果確認 & 調整:
- 生成コードとFigmaデザインを比較。多くの場合、高精度なコードが出力されます。
- 必要ならAIに追加修正を依頼するか、手動で微調整。
-
応用:
- 「再利用可能なコンポーネントを抽出して」
- 「レイアウトの問題点を指摘して」
- 「Figmaコメントを一覧表示して」
といった指示も可能。
この「Figmaでリンクコピー → AIにペーストして指示」の流れで、コーディング作業を大幅に効率化できます。
6. こんな時に便利!具体的な活用ユースケース
Figma-Context-MCPが役立つ具体的なシーンです。
-
ユースケース1: デザインカンプからの高速コーディング
- Figmaデザインからコードの「たたき台」をAIに生成させ、ゼロからの実装時間を大幅短縮。特に繰り返しパターン(カード、ナビバー等)に有効。
-
ユースケース2: デザインシステム連携強化
- Figma上のカラーパレットやタイポグラフィ等のデザインシステム情報をAIに読み込ませ、コード側の設定ファイル(CSS変数等)を自動生成。デザインとコードの一貫性を維持。(※ スタイル読み取りのみ可能)
-
ユースケース3: プロトタイピング高速化
- Figmaモックアップを即座にコード化しブラウザで確認。デザインアイデアを素早く検証し、フィードバックループを高速化。アジャイル開発に貢献。
-
ユースケース4: コードレビュー/品質チェック補助
- (将来的に)AIにFigmaデザインと実装コードを比較させ、スタイルの乖離などを自動チェックさせる応用も期待。
-
ユースケース5: デザインレビュー効率化
- Figmaコメントの要約や、デザイン内テキスト抽出による校正支援。AIによるコメント書き込み(
post_comment
)でデザインプロセス自体へのAI活用も。
- Figmaコメントの要約や、デザイン内テキスト抽出による校正支援。AIによるコメント書き込み(
Figma-Context-MCPは、デザインと開発の連携を多角的に強化するプラットフォームです。
7. まとめ
FigmaデザインとAIコーディングツールを繋ぐ「Figma-Context-MCP」を解説しました。
このツールで、デザインからのコード変換作業を劇的に効率化し、より創造的な開発に集中できます。
- セットアップは簡単
- 使い方もシンプル (リンクコピー → AIへ指示)
- 高速コーディング、デザインシステム連携、プロトタイピング等に活用可
- オープンソース
まだ発展途上ながら、デザインと開発の未来を示すエキサイティングなツールです。
特にFigmaとAIツールを日常使いする開発者の方は、ぜひ試してみてください。
開発プロセスがよりスムーズでクリエイティブになるはずです。