最近、ますます強く感じていることがあります。
AIコーディングはすでにかなり強力になりました。しかし、実際にひとつの完成したプロジェクトを作ろうとすると、コードを書くこと自体は、もう一番面倒な作業ではないことも多いです。
今では Codex、Claude Code、あるいは各種 AI Agent に、
- 管理画面を作って
- 公式サイトを作って
- 業務システムを作って
と頼めば、多くの場合かなりのところまで自動で進めてくれます。
でも、プロジェクトの途中で意外と細かいところに引っかかります。
たとえば:
- トップページに Banner が足りない
- 製品紹介用の画像が必要
- Landing Page に未来感のある背景が欲しい
- README にプロモーション画像を追加したい
- Webサイト完成後に OG 画像も必要
- ブログ記事を書き終えたあと、さらにカバー画像も作らないといけない
こういうところで、作業フローが一度途切れます。
AI はターミナルでコードを書いている。
私は画像生成サイトを開く。
プロンプトをコピーする。
画像を生成する。
ダウンロードする。
ダウンロードフォルダを探す。
画像をプロジェクトに移動する。
そしてまた AI に戻って、
画像を入れたので、ページの修正を続けて。
と伝える。
ひとつひとつは難しくありません。
でも、これを一日に何十回もやると、本当に面倒です。
そこで最近、かなりシンプルなものを作りました。
Silico Grove Image Skill です。
目的はひとつだけです。
Codex や Claude Code のような AI Agent に、自分で画像を生成させる。
プロジェクトはこちらです。
https://github.com/Rodert/silicogrove-image-skill
現在すでにオープンソースで公開しており、リポジトリには Skill ファイル、スクリプト、リファレンスドキュメント、Agent 関連の設定が含まれています。
1. 以前はAIがコードを書くだけだった。今は画像まで自分で作れる
この Skill を一番簡単に説明すると、
AI コーディングアシスタントに「画像生成能力」を追加するためのツールです。
たとえば、Codex に AI 製品の公式サイトを作らせているとします。
以前なら、こんなふうに頼みます。
AI 製品のWebサイトを作ってください。
Next.js を使用。
全体はダークで未来的なデザイン。
トップページにはインパクトのある Hero セクションを作る。
Codex はかなり早くページを作ってくれます。
でも次に問題になるのが Hero の背景画像です。
以前なら、適当なグラデーションを使うか、Unsplash などで画像を探していました。
今はそのまま Agent にこう言えます。
このWebサイト用に16:9のトップページ Banner を生成してください。
ダークで未来的なテイスト。
AIチップ、データストリーム、未来都市を含める。
文字は入れない。
生成が完了したら public/images ディレクトリに保存し、
トップページのコードも修正して、この画像を使用してください。
その後の作業は Agent に任せられます。
流れはだいたいこうなります。
要件を理解
↓
ページを実装
↓
画像生成 Skill を呼び出す
↓
画像を生成
↓
生成完了を待つ
↓
画像をダウンロード
↓
プロジェクト内に保存
↓
コードを修正
↓
開発を続行
この変化は、実はかなり重要だと思っています。
単に、
「AI がもうひとつ画像 API を呼べるようになった」
という話ではありません。
本質的には、
画像生成が、Agent の一連のワークフローの中に入った。
ということです。
2. ChatGPTで直接画像を作るのと何が違うのか?
こう思う人もいるかもしれません。
今は画像生成サービスがたくさんあるのに、なぜ Skill が必要なのか?
理由は簡単です。
この2つは、そもそもの使い方が違います。
自分で ChatGPT や画像生成サービスを使う場合は、普通こうなります。
自分
↓
画像生成サービスを開く
↓
プロンプトを入力
↓
画像生成
↓
ダウンロード
↓
画像を探す
↓
プロジェクトへ移動
↓
開発を続ける
Skill を使うと、
自分
↓
AI Agent
↓
Silico Grove Image Skill
↓
画像モデル
↓
ローカルプロジェクト
となります。
途中の多くの作業に、自分が関与する必要がなくなります。
ここが Skill の一番面白いところです。
Skill の目的は、画像生成サイトをひとつ開かなくて済むことではありません。
本当にやりたいのは、
人間が途中の操作からできるだけ抜けることです。
3. インストールすらAIに任せられる
この Skill を作るとき、かなり重視したことがあります。
それは、
インストール自体を複雑なチュートリアルにしないこと。
です。
そのため README の上部には、AI Agent にそのまま渡せるプロンプトを用意しています。
たとえば Codex に直接こう伝えられます。
この Silico Grove Image Skill をインストールして使用してください。
https://github.com/Rodert/silicogrove-image-skill
README 自体も、
「そのまま Agent に読ませる」
ことを前提に設計しています。
初回利用時には、Agent がローカル環境に API Key が設定されているかを確認します。
設定されていなければ、ユーザーに設定を促します。
設定後は Key を現在のユーザーのローカル設定ディレクトリに保存し、次回以降はそのまま再利用します。
毎回入力し直す必要はありません。
また、毎回ユーザー自身が環境変数を設定する必要もありません。
この細かい部分は、かなり重要だと思っています。
もし毎回 Skill を使う前に、
export API_KEY=xxxx
のようなコマンドを入力し、さらに複数の環境変数を設定しなければならないなら、体験はすぐに悪くなります。
4. Text-to-Image だけではなく、画像編集にも対応
この Skill は、単純な Text-to-Image だけではありません。
参照画像を使った編集にも対応しています。
プロジェクト内では generate と edit の2種類のワークフローを定義しています。
たとえば既存の製品画像がある場合、Agent にこう伝えられます。
この製品画像の背景を白い撮影スタジオ風に変更してください。
製品本体は変更しない。
リアルな写真表現を維持する。
あるいは、
この画像を参考にしてください。
人物とメインの被写体は残し、
全体をサイバーパンク風に変更。
背景は未来の東京の街並みにする。
また、開発中にこういう指示もできます。
この Banner は現在のWebサイトのデザインと合っていません。
現在のUIを参考にして、
黒、シルバー、未来感のあるスタイルに修正してください。
サイズは変更しない。
こうすることで、画像編集も開発コンテキストの中に残せます。
Webサイト、App、ミニアプリ、ECページなどを作るときには、かなり便利です。
現在はローカル参照画像として PNG、JPG、JPEG、WebP に対応し、アップロード画像のサイズにも制限を設けています。
5. あえて非同期タスクとして設計した
画像生成とテキスト生成には大きな違いがあります。
画像生成には待ち時間があります。
数十秒かかることもあれば、もっと長い場合もあります。
そのため、この Skill では単純に1回の HTTP リクエストで待ち続ける方式にはしていません。
非同期タスクとして設計しています。
Agent が画像生成タスクを送信すると Task ID を受け取ります。
その後、タスクの状態を継続的に確認します。
画像生成が完了したら、ローカルへダウンロードします。
Task ID 自体も記録されます。
仮に途中でローカル接続が切れても、すでにサーバーで受け付けられた生成タスクはそのまま継続します。
さらに、状態が不明なときにクライアント側で無闇に再送信しないようにすることで、重複生成や重複課金のリスクも抑えています。
簡単にすると、こうです。
Agent
│
├── 画像生成タスクを送信
│
├── Task ID を取得
│
├── 待機 / 状態確認
│
├── 画像生成完了
│
└── ローカルへダウンロード
ではなく、
リクエスト失敗?
↓
生成できたか分からない
↓
もう一度送信
↓
2回生成される可能性
という状況を避けます。
手動でWebサイト上のボタンを押しているだけなら、それほど気にならない問題かもしれません。
でも Agent の自動ワークフローに入ると、タスク状態の管理はかなり重要になります。
6. 返ってくるのはURLではなく、本物のローカルファイル
ここも、私がかなりこだわったポイントです。
多くの API は、生成後にこういった結果だけを返します。
{
"url": "https://xxxxx/image.png"
}
チャットで使うだけなら問題ありません。
でも Coding Agent にとっては、それだけでは不十分です。
次のステップで、こうしたコードを使う必要があるからです。
<img src="/images/banner.png" />
そのため Silico Grove Image Skill では、
画像生成完了後に、直接ローカルの出力ディレクトリへダウンロードする
ことを基本設計にしています。
すると Agent はそのまま次の作業へ進めます。
banner.png を生成
↓
public/images/ に保存
↓
index.tsx を修正
↓
/images/banner.png を参照
↓
プロジェクトを実行
一見すると小さな違いです。
でも、これこそが単なる「画像生成ツール」と「Agent Skill」の違いのひとつだと思っています。
7. GPT ImageにもGeminiの画像モデルにも対応
現在、この Skill のデフォルトモデルは gpt-image-2 です。
デフォルトサイズは 1024x1024、品質は high です。
さらに Gemini の画像生成ワークフローにも対応しており、たとえば gemini-3.1-flash-image のようなモデルも利用できます。
Agent 側から見ると、裏側がどのプロバイダーなのかをあまり意識する必要はありません。
今後はさらに多くの画像モデルを追加することもできます。
最終的に目指したい体験は、
ユーザー:
このページ用に未来感のある Banner を作って。
であって、
ユーザー:
POST /v1/images/xxx
model=xxx
quality=xxx
size=xxx
response_format=xxx
ではありません。
API パラメータは、少しずつ裏側に隠れていくべきです。
前に出るべきなのは、ユーザーの意図です。
8. Skillの面白さは「プラグインが増えること」ではない
最近、私は Agent と Skill をかなり面白いと思っています。
でも、「Skill」という名前そのものが新しいからではありません。
実際、多くの Skill の中身は、
プロンプト
+
スクリプト
+
API
+
ツール
+
ルール
です。
本当に面白いのは、
これまで人間がソフトウェアを操作して実行していた能力が、少しずつ Agent に渡されていることです。
以前なら、
情報検索 → ブラウザを開く。
画像生成 → 画像生成サービスを開く。
デプロイ → サーバーへ接続する。
データベース操作 → DB クライアントを開く。
メール送信 → メールソフトを開く。
という形でした。
今は、それらが少しずつ、
Search Skill
Image Skill
Deploy Skill
Database Skill
Email Skill
...
へ変わっています。
そして Agent が直接呼び出せるようになります。
最終的には、
あなた
↓
Agent
├── Coding
├── Search
├── Browser
├── Image
├── Video
├── Database
├── Deploy
└── ...
という形になるかもしれません。
そのとき AI コーディングが変えるのは、
「プログラマーがコードを書く速度」
だけではありません。
ひとりの人間が操作できる能力やツールの数そのものが増えていく。
私はそこが本当に面白いと思っています。
9. 将来、Webサイト制作は本当に一言で終わるかもしれない
たとえば将来、私は Codex にこんな一言だけ伝えたいと思っています。
AI画像生成サービスの公式Webサイトを作ってください。
要件:
1. Next.js
2. トップページはダークで未来的なデザイン
3. Hero Banner は自分で生成
4. 製品機能用の画像を3枚自分で生成
5. 仮のLogo画像も自分で生成
6. すべての画像を public/images に保存
7. ページ完成後にテストを実行
8. 問題があれば自分で修正
そして私は別のことをする。
Agent は自分で、
コードを書く
↓
画像を生成
↓
画像を編集
↓
画像を保存
↓
コードから参照
↓
実行
↓
問題を発見
↓
修正を続ける
という作業を進める。
私は、これこそが Coding Agent の次の面白いところだと思っています。
AI にもっと多くのソフトウェアを操作させたいのではありません。
少しずつ、
人間がそれらのソフトウェアを操作しなくてもよくなる状態
を目指したいのです。
10. では、DeepSeekにどうやって画像を生成させるのか?
ここまで読んで、一番気になるのはおそらくこれだと思います。
この Skill と DeepSeek はどう関係するのか?
答えはシンプルです。
DeepSeek はもともと、
- 要件理解
- コード生成
- プロンプト作成
- ワークフローの整理
が得意です。
そこに画像生成 Skill を追加すれば、コードを書く以外のこともできるようになります。
たとえば、
- ページに必要な画像を理解する
- 自動で画像生成用のプロンプトを書く
- 画像生成 API を呼び出す
- タスク完了まで待つ
- 画像をローカルへダウンロードする
- プロジェクトのコードを続けて修正する
- 生成した画像を自動でページに組み込む
といったことができます。
つまり、
DeepSeek が「頭脳」、Image Skill が「手」になる。
イメージとしてはこうです。
あなた
↓
DeepSeek
↓
Silico Grove Image Skill
↓
画像モデル
↓
画像生成・ローカル保存
↓
DeepSeek がコード修正やページ開発を続ける
厳密に言えば、DeepSeek 自体が突然ネイティブで画像生成できるようになったわけではありません。
そうではなく、
DeepSeek に画像生成 Skill を追加したことで、画像生成を自分のワークフローの一部として扱えるようになった。
ということです。
最近、私はこの方向性がかなり面白いと感じています。
大事なのは、モデル単体で何ができるかだけではありません。
もっと面白いのは、
モデルにどれだけ多くの能力を接続できるか。
ということです。
最後に
Silico Grove Image Skill は現在 GitHub で公開しています。
https://github.com/Rodert/silicogrove-image-skill
使い方もかなりシンプルです。
インストール手順を細かく読む必要すらありません。
リポジトリの URL を Codex、Claude Code、あるいは Skill に対応した Agent にそのまま渡してください。
そして、
画像を1枚生成して。
と伝えるだけです。
私は最近、本当に今は技術者にとってかなり面白い時代だと思っています。
大規模モデルはこれまでにない速度で進化しています。
中国には成熟していてコストパフォーマンスの高い製造業があります。
そして今は、インターネット、デジタル決済、グローバル物流も非常に発達しています。
以前なら、ひとつのチームが必要だった仕事も多くありました。
今では、ひとりの開発者と複数の Agent だけで、数年前なら想像しにくかったことまでできるようになっています。
だから最近、私がより気になっているのは、
AI がコードを書く速度をどこまで上げられるか
ではありません。
それよりも、
コード、画像、動画、検索、デプロイ、運用など、あらゆる能力が Skill になったとき、ひとりの人間はいったいどこまでできるようになるのか?
ということです。
私にとっては、この問いのほうが、
どのモデルのベンチマークスコアが一番高いか
を議論するより、ずっと面白いです。