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書籍批評:有限要素法のつくり方!(3)

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 同名書籍の批評その3である。
 1.3.2で漸くBマトリックスの説明に入る。冒頭の説明で「線形に変化すると仮定する。即ち…」と書いているが、ここでは「線形に変化する。従って…」の方がいい。次の式(1.27)はこのように書いた方がいい。

u=ax+by+c\\
v=ax+by+c

 つまり、面内の変位$u,v$は同じ変数$a,b,c$を用いて表される。従ってこれ以降の説明では$x$軸方向変位$u$のみについて説明し、$Y$軸方向変位である$v$は$u$を$v$に置き換えれば同じになるので省略できる。
 こっちの方が重要だが、変位の補間方法が同じなのだから式は同一でなければならない。それをわざわざ異なる変数というかダッシュをつけて区別する理由は何か。紙面稼ぎでなければ、何か邪悪な意図でもあるのかと勘繰りたくなる。
 次の文は

節点1,2,3における節点変位$(u_1,v_1),(u_2,v_2),(u_3,v_3)$も式$(1.27)を満たす。

だが、ここは次のように書くほうがいい。

各節点上の変位についても式$(1.27)$を満たす必要がある。

満たす、のではない。満たす必要がある、なのだ。そうでないと式$(1.27)$の意味がなくなる。
 このページ(P16)の吹き出しはともに不要である。係数cの計算は不要ですとあるが軸対称問題ではこの部分計算は必須であり、体積力の計算にも必要である。軽率なことを書いてはいけない。

 P17の式(1.30)の最初の3個の式が必要だが、この後の文章も「三角形要素の面積の2倍になる」ではなく、「三角形要素の面積の2倍に等しい」とした方がいいだろう。何故2倍かというと、この値がアイソパラメトリック3角形1次要素のヤコビアンに等しくなるからである。このヤコビアンは座標変換に用いられる係数でもあるが、正であることが条件になる。ヤコビアンは要素の面積や体積と関係する量でもあるから、当然の帰結として面積や体積が正にならないと正しい計算ができないのである。初心者に吹き出しで不親切な説明をしてどうするんだ。
 結局この吹き出しも不要である。

 式(1.32)と(1.33)の間にある説明は、「式(1.32)を(1.27)に代入し、変位ごとにまとめると次のようになる」である。この後の文は不要である。必要であっても、「各変位の係数は節点座標値で表される」で十分だろう。
 式(1.33)の後の説明も初めに「各変位の係数を次のように置き換える」と書き、式(1.34)を続け、その後に「式(1.34)の$N_1,N_2,N_3$を形状関数と称し各節点ごとに定義される。3角形一次要素の場合、形状関数は各節点座標から定義できる」と書く。何故この様に書くかというと、四角形要素であれ高次要素であれ、本書の式(1.27)のような多項式定義は出来るが、解析的に求めるのが面倒なのでアイソパラメトリック要素が使われるからである。

 式(1.35)について書くと

u=N_1u_1+N_2u_2+N_3u_3=\sum^3_{i=1}N_iu_i

と書く方が好ましい。何故かというと、この先出てくる要素でもこの式の最右辺は常に成立するからである。各要素で異なるのは要素当たりの節点数である。
 この式の後にある説明は初心者には不要である。それよりもこの後に続くコラムを本文に追加するべきだっただろう。
 形状関数にはいくつか性質がある。一つ目は対応する節点座標を代入した場合、その関数値は1になるが他は0になることで、二つ目は形状関数の総和は1になるということである。

 そして漸くBマトリックスの説明に入る。手順前後を見ている気がするが、この部分は式(1.37)→式(1.38)→式(1.36)の順に説明した方がいいだろうし、その方が自然である。
 Dマトリックスの説明でマトリックス表記に慣れておくことが重要とあったが、まともな専門書ではマトリックス表記より添え字表記が嫌というほど出てくるのでこちらに慣れる方がより重要である。そういう訳で先の式を用いてひずみ成分を書くと次のようになる。更に簡略に書くにはアインシュタインの総和規約を用いるが、ここでは総和記号を用いる。

\epsilon_x=\frac{\partial u}{\partial x}=\sum\limits^3_{i=1}\frac{\partial N_iu_i}{\partial x}

この式の最右辺の$u$は微分の範囲外にあるから、微分記号から追い出せる。

\epsilon_x=\frac{\partial u}{\partial x}=\sum\limits^3_{i=1}\frac{\partial N_iu_i}{\partial x}=\sum\limits^3_{i=1}\frac{\partial N_i}{\partial x}u_i

三角形1次要素の形状関数は次のように表れる。

N_1=\frac{1}{2\Delta} \{(y_2-y_3)x+(x_3-x_2)y+(x_2y_3-x_3y_2)\} \\
N_2=\frac{1}{2\Delta} \{(y_3-y_1)x+(x_1-x_3)y+(x_3y_1-x_1y_3)\} \\
N_3=\frac{1}{2\Delta} \{(y_1-y_2)x+(x_2-x_1)y+(x_1y_2-x_2y_1)\}

$x$で偏微分すると次のようになる。

\frac{\partial N_1}{\partial x}=\frac{1}{2\Delta} (y_2-y_3) \\
\frac{\partial N_2}{\partial x}=\frac{1}{2\Delta} (y_3-y_1) \\
\frac{\partial N_3}{\partial x}=\frac{1}{2\Delta} (y_1-y_2)

これを用いて右辺を展開するとひずみ成分は次のようになる。

\epsilon_x=\sum\limits^3_{i=1}\frac{\partial N_i}{\partial x}u_i
=\frac{\partial N_1}{\partial x}u_1
+\frac{\partial N_2}{\partial x}u_2
+\frac{\partial N_3}{\partial x}u_3 \\
=\frac{1}{2\Delta} (y_2-y_3) u_1
+\frac{1}{2\Delta} (y_3-y_1) u_2
+\frac{1}{2\Delta} (y_1-y_2) u_3

同様に他の成分も展開でき、最終的にひずみは次のように離散化される。

\left\{ \matrix {\epsilon_x \\ \epsilon_y\\ \gamma_{xy}} \right\}=
\frac{1}{2\Delta} \left[\matrix{
y_2-y_3 & 0 & y_3-y_1 & 0 & y_1-y_2 & 0 \\
0 & x_3-x_2 & 0 & x_1-x_3 & 0 & x_2-x_1 \\
x_3-x_2 & y_2-y_3 & x_1-x_3 & y_3-y_1 & x_2-x_1 & y_1-y_2
}\right]
\left[\matrix{
u_1 \\ v_1 \\ u_2 \\ v_2 \\ u_3 \\ v_3
}\right]
 \\
\mathbf \epsilon = \mathbf B \mathbf u

 最後の式は微小変形状態のひずみと変位の式になり、Bはひずみ変位マトリックスと称する。なお本書と違い大概の専門書ではベクトルやマトリックスはボールドで表し、かっこを付けない。かっこを付ける場合ボールドにしない。というか、かっこをつけているのに変数名をボールドにするというのは基本的にはない。
で、なんでこういう所が標準的な書法に従っていないんだ。

 説明が正確さを欠き雑になっているのはいつものことだが、文章の構成にも問題がある。あと数学的な記法は標準的なものに従いましょう。

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