reddit/lisp
英語圏のreddit/lispで投稿しましたら、思いのほか反響がありました。日本訳をここに投稿します。
よくある質問
reddit/lispを見ていると、頻繁に同じ質問が繰り返し出てくるのを目にします。
「Lispは優れているにもかかわらず、なぜもっと広く使われないのでしょうか？」
私は、その答えはLispの本質そのものにあると考えています。私の意見では、Lispは知的なおもちゃです。ここでは、この問題に関する私の考えを共有したいと思います。
個人的なチューリングマシンへの欲求
1958年、マッカーシー博士はLispを考案し、発表しました。当時、IPL-Vというシステムが存在していましたが、マッカーシー博士はおそらくこれよりも優れたものを求めていたのでしょう。彼はかつて、自分の個人的なチューリングマシンが欲しいと言ったことがあります。Lispは多くの研究者に受け入れられ、AI研究に広く利用されるようになりました。マッカーシー博士の内心については推測するしかありませんが、彼は自分の研究を単なる仕事とは見なしていなかったと思います。彼にとって、研究は未知への楽しい挑戦であり、Lispはその探求のための楽しい知的ツールだったのです。
現代のプログラマーが失ったもの
ホイジンガは『ホモ・ルーデンス』で、遊びが人間の本質に深く関わっていると主張しました。彼は遊びを5つの主要な要素で定義しており、その中で最も重要なのは自由であると私は思います。もし活動が強制されたものであれば、それはもはや遊びではありません。義務によって押し付けられた真剣さほど退屈なものはありません。
一方で、企業は利益を追求する組織です。ソフトウェア開発においては、効率が最も重要です：指定された時間内に、必要な性能を満たす製品を作り、一貫して利益を生み出すこと。そうした環境では、自由を見つけることは難しいです。効率が求められるタスクには、現在主流のPythonのような言語が優れています。会社のルールは物事の進め方を決定し、製品は既に無数に作られたウェブアプリケーションで終わることが多いです。自由な挑戦の余地はなく、ソフトウェアエンジニアたちは生活のために働く必要に駆られ、日々労働に明け暮れています。
Lispの道
Lispは、その起源からして自由を体現しています。あの奇才、マッカーシー博士は決して仕事を義務と考えたことはありませんでした。Lispには彼の自由な魂が宿っています。Lispを企業の利益を効率的に生み出すためのツールと期待するのは無謀です。火星探査ローバーの制御ソフトウェアがCommon Lispで書かれたと言われています。NASAのエンジニアたちは、これを仕事の一環として作成したのでしょうか？私は、それが人類史上初の問題に挑戦するという知的好奇心から生まれたものであったと信じています。彼らはこの前例のない挑戦に取り組みながら、喜びに満ちて遊んでいたに違いありません。
今日、存在するプログラミング言語のほぼ99%は、仕事のために存在しています。ソフトウェア開発者たちは、企業の利益を生み出し、生計を立てる義務に追われて日々労働しています。しかし、そんな彼らもLispを遊ぶときには、自分たちの自由を存分に享受できます。Lispほど楽しいおもちゃはありません。Lispは人間の本質を満たす上で大きな貢献をしています。真剣さだけで満ちた人生は、何としても避けたいものです！Lispを楽しんで遊びましょう。新しい技術はしばしば遊びから生まれ、時には利益に結びつくことさえあります。人間の文化は遊びから発展してきました。Lispを使って楽しむ人々を見ることは、きっと天国から見守っているマッカーシー博士にとって大きな喜びとなるでしょう。