概要

QtSharpはCppSharpを用いて生成されるC#向けQtです。
現在githubで開発されています。
Github

今年の最初にコンパイル方法を紹介しましたが、バージョンアップされていたので
最新版でのコンパイル方法について紹介します。

ちなみに、Qtの不具合によりQtのヘッダファイルを編集する必要があるので、コンパイル自体に興味なければ、公式からコンパイル済みのバイナリをダウンロードしたほうがいいです。

Qtのインストール、編集

まず、
Qt 5.8.0 for Windows 32-bit (MinGW 5.3)をダウンロードしてインストールします。インストール先を<QtRoot>とします。


Qtの不具合を無理やり修正します。

### qtmultimediadefs.h

[Bug](https://bugreports.qt.io/browse/QTBUG-58432)

修正前


修正後

// #include "../../src/multimedia/qtmultimediadefs.h"


### qopenglversionfunctions.h

[Bug](https://bugreports.qt.io/browse/QTBUG-55951)

修正前

void init()


修正後

void init() {}


## QtSharpの実行

```git clone https://github.com/ddobrev/QtSharp.git```
を実行しQtSharpをクローンします。

QtSharp.slnを開き、QtSharp.CLIを実行します。
実行時の引数に、

\5.8\mingw53_32\bin\qmake.exe \Tools\mingw53_32\bin\mingw32-make.exe

を指定します。

Debugで実行すると、

```QtSharp.CLI\bin\Debug\ ```

に

QtCore.Sharp.dll
QtWidgets.Sharp.dll
QtGui.Sharp.dll

といったQtに対応するファイル、

```QtSharp.CLI\bin\Debug\release\ ```

に

QtCore-inlines.dll
QtWidgets-inlines.dll
QtGui-inlines.dll


といったQtに対応するファイルが生成されます。

## サンプルの実行

```QtSharp.CLI\bin\Debug\ ``` から

QtCore.Sharp.dll
QtWidgets.Sharp.dll
QtGui.Sharp.dll

をコピーします。

```QtSharp.CLI\bin\Debug\release\ ``` から

QtCore-inlines.dll
QtWidgets-inlines.dll
QtGui-inlines.dll


をコピーします。

さらにQtにパスを通してQtのDLLを参照できるように、と言いたいところですが既に他のアプリでQtが使用されており、そちらを参照してしまう可能性があるため、以下のファイルを```<QtRoot>\5.8\mingw53_32\bin\```からコピーします。

libgcc_s_dw2-1.dll
libstdc++-6.dll
libwinpthread-1.dll
Qt5Core.dll
Qt5Gui.dll
Qt5Widgets.dll

そして以下のファイルを参照に加えます。

QtCore.Sharp.dll
QtWidgets.Sharp.dll
QtGui.Sharp.dll


それ以外のファイルはプロジェクトに追加し、実行ファイルのディレクトリに、常にコピーするようにします。

そして、以下のようなコードを記述するとウインドウが表示されます。

class Program
{
[STAThread]
static void Main(string[] args)
{
unsafe
{
int count = 0;
var qapp = new QtWidgets.QApplication(ref count, null);

		var window = new QtWidgets.QWidget();
		window.Show();

		
		QtGui.QGuiApplication.Exec();
	}
}

}


他のサンプルとして、ここが参考になります。

[QtSharp.TestApps](https://github.com/grbd/QtSharp.TestApps)

初期化部分はここにあるコードが参考になります。