3
6

Delete article

Deleted articles cannot be recovered.

Draft of this article would be also deleted.

Are you sure you want to delete this article?

More than 3 years have passed since last update.

VBAユーザがPython・Rを使ってみた:基本的な文法

Last updated at Posted at 2021-01-14

はじめに

機械学習の勉強を始めたVBAユーザです。
備忘録としてPython・Rの文法をVBAと比較しながらまとめていきたいと思います。

目次

基本的な文法

今回は、基本的な文法についてまとめます。

変数の宣言

まず、変数の宣言についてです。

Python
Pythonでは、変数を宣言しないで使えます。

R
Rでは、変数を宣言しないで使えます。

VBA
VBAでは、変数を宣言して使います。(宣言しなくても使えますが。)
モジュールの先頭に Option Explicit と記述しておくと、変数の宣言を強制することができます(宣言していない変数が使われているときエラーを出してくれます。)。
変数の宣言は、Dim x As Integer, Dim s As String のように Dim 変数名 As 変数型 の形で宣言します。

VBA
Option Explicit

Sub test_grammar()
Dim x As Integer
Dim s As String

End Sub

大文字と小文字の区別

変数名などにおける大文字と小文字の区別についてです。

Python
Pythonでは、大文字と小文字は区別されます。

Python3
x = 1
X = 2
print(x)   # 1
print(X)   # 2

R
Rでは、大文字と小文字は区別されます。

R
x <- 1
X <- 2
print(x)   # 1 
print(X)   # 2

VBA
VBAでは、大文字と小文字は区別されません。

VBA
x = 1
X = 2

VBEではこのように大文字と小文字を区別して書けません。

ステートメントの区切り

Python、R、VBAとも、基本的に命令(処理)は行単位で区切って書きます。

複数行を1行にまとめて書く

どうしても複数の命令(複数の処理)を1行にまとめて書きたいときについてです。

Python
Pythonでは、(複数の処理)を;(セミコロン)区切りで1行に書くこともできます。

Python3
x = 1; y = 2
print(x)   # 1
print(y)   # 2

z = 3; print(z)   # 3

R
Rでは複数行(複数の処理)を;(セミコロン)区切りで1行に書くこともできます。

R
x <- 1; y <- 2
x   # 1
y   # 2

z <- 3; print(z)   # 3

VBA
VBAでは、複数行(複数の処理)を:(コロン)区切りで1行に書くこともできます。

VBA
x = 1: y = 2
Debug.Print x   ' 1
Debug.Print y   ' 2

z = 3: Debug.Print z   ' 3

1行を複数行に分けて書く

逆に、1行が長くなって見づらかったりして複数行に分けて書きたいときについてです。
引数の区切りなどの ,(カンマ)で改行して書くのはどの言語でも大丈夫です。それ以外では:

Python
Pythonでは、\(バックスラッシュ)で改行できます。

Python3
x = 1 + 2 + \
    3
print(x)   # 6

x = 1 + 2 \
    + 3
print(x)   # 6

s = "abc" + "def" + \
    "ghi"
print(s)   # abcdefghi

s = "abc" + "def" \
    + "ghi"
print(s)   # abcdefghi

R
Rでは、こういうことはできます。

R
x <- 1 + 2 +
     3
x   # 6

VBA
VBAでは、_(アンダーバー)で改行できます。

VBA
x = 1 + 2 _
    + 3
Debug.Print x   ' 6

x = 1 + 2 + _
    3
Debug.Print x   ' 6

s = "abc" & "def" & _
    "ghi"
Debug.Print s   ' abcdefghi

s = "abc" & "def" _
    & "ghi"
Debug.Print s   ' abcdefghi

スペースなど

スペース

演算子や括弧の前後のスペースなどについてです。

Python
Pythonでは、演算子や括弧の前後のスペースはかなり自由に書けます。

Python3
x=1+2+3
x = 1 + 2  +  3
abs(x)
abs ( x )

R
Rでは、演算子や括弧の前後のスペースはかなり自由に書けます。

R
x<-1+2+3
x <- 1 + 2  +  3
abs(x)
abs ( x )

VBA
VBAでは、あまり自由には書けません。VBEで書くときには自動的に調整されます。

VBA
x = 1 + 2
Debug.Print Abs(x)

インデント

インデント(字下げ)についてです。

Python
Pythonでは、インデントに意味があります。制御構文などでブロックを表します。

R
Rでは、インデントには意味がありませんので、自由にできます。

VBA
VBAでは、インデントには意味がありませんので、自由にできます。

コメント

コメントの書き方です。

Python
Pythonでは、#(シャープ)の後にコメントを書けます。#の後からその行の終わりまでがコメントアウトされます。

Python3
# ここはコメントです。
x = 1   # xについてのコメント
print(x)   # 1

Jupyter Notebook では、Ctrl + / でその行頭に#が挿入されます(その行全体がコメントアウトされます。)。もう一度 Ctrl + / でコメントアウトが解除されます。

R
Rでは、#(シャープ)の後にコメントを書けます。#の後からその行の終わりまでがコメントアウトされます。

R
# ここはコメントです。
x <- 1   # xについてのコメント
print(x)   # 1

RStudio では、Ctrl + Shift + C でその行頭に#が挿入されます(その行全体がコメントアウトされます。)。もう一度 Ctrl + Shift + C でコメントアウトが解除されます。
また、Ctrl + Shift + R でコメント行を挿入できます。

VBA
VBAでは、'(アポストロフィー)の後にコメントを書けます。'の後からその行の終わりまでがコメントアウトされます。

VBA
' ここはコメントです。
x = 1   ' xについてのコメント
Debug.Print x   ' 1

文字列

Python
Pythonでは、文字列の表記にシングルクォーテーション'``'囲みもダブルクォーテーション"``"も使えます。

Python3
# 文字列
s = 'abc'
print(s)   # abc
s = "abc"
print(s)   # abc

R
Rでは、文字列の表記にシングルクォーテーション'``'囲みもダブルクォーテーション"``"囲みも使えます。

R
s <- 'abc'
print(s)   # "abc"
s <- "abc"
print(s)   # "abc"

VBA
VBAでは、文字列の表記にダブルクォーテーション"``"囲みを使います。

VBA
s = "abc"
Debug.Print s

代入

Python
Pythonでは、代入に = を使います。
また、Pythonでは、複数の変数に同時に代入することができます(データ型が異なっても構いません。)。

Python3
x = 1

# 複数同時代入
x, y = 1, 2
print(x, y)   # 1 2
a, b, c = 1, 2, 3
print(a, b, c)   # 1 2 3
a, b, c = 1, 2.345, "abc"
print(a, b, c)   # 1 2.345 abc

R
Rでは、代入演算子に <-=-> があります。
-> は左から右に代入します。複雑な式を書いて最後に代入するときに便利です。

R
x <- 1
print(x)   # 1

x = 2
print(x)   # 2

3 -> x
print(x)   # 3

1 + 2 * (3 - 4) / 5 -> x
print(x)   # 0.6

VBA
VBAでは代入演算子と比較演算子に同じ記号=を使います。
なお、VBAではオブジェクトへの代入はSetステートメントを使います。

VBA
x = 1
Debug.Print x   ' 1

複合代入演算子

演算と代入を合わせて行う複合代入演算子(累算代入演算子、累積代入文)についてです。

Python

Python3
n = 1
n += 1
print(n)   # 2
n -= 1
print(n)   # 1
n *= 2
print(n)   # 2
n /= 2
print(n)   # 1.0

s = "abc"
s *= 3
print(s)   # abcabcabc

R

R

Rには複合代入演算子はなさそうです。

VBA

VBA

VBAには複合代入演算子はなさそうです。

出力

変数の値を出力する方法についてです。

Python
Pythonでは、print関数を使います。

Python3
x = 1
print(x)   # 1
s = 'abc'
print(s)   # abc

Jupyter Notebook 上では、変数名を書いたセルを実行すると、その変数の値が表示されます(セル内に複数ある場合は最後に書いた変数のみ)。

R
Rでは、変数名を書いて実行すると、その変数の値が表示されます。また、print関数、cat関数が使えます。
また、Rでは、代入文を(``)で囲むと、代入して出力されます。

R
x <- 1
x          # 1
print(x)   # 1
cat(x)     # 1
s <- "abc"
s          # "abc"
print(s)   # "abc"
cat(s)     # abc

(x <- 1)     # 1
(s <- "abc") # abc"

VBA
VBAでは、Debug.Printでイミディエイトウィンドウへ出力、MsgBoxでメッセージボックスへの出力ができます。

VBA
x = 1
Debug.Print x
MsgBox x

入力

変数に値を入力する方法についてです。

Python
Pythonでは、input関数が使えます。

Python3
x = int(input("xを入力してください。"))
print(x)

input関数の返り値は文字列(str型)なので、int関数でint型に変換しています。

R

R

VBA
VBAでは、InputBox関数とApplication.InputBoxメソッドが使えます。

VBA
x = InputBox("xを入力してください。")
Debug.Print x

x = Application.InputBox("xを入力してください。")
Debug.Print x

制御構文

条件分岐

条件分岐(主に、if文)については、こちら

繰り返し

繰り返し(主に、for文とwhile文)については、こちら

基本的な演算

算術演算については、こちら
比較演算については、こちら
論理演算については、こちら

関数

標準で使える基本的な関数については、こちら

ディレクトリ操作等

カレントディレクトリ

Python
Pythonでは、カレントワーキングディレクトリ(作業ディレクトリ)の確認には osモジュールを使います(import os)。os.getcwd()でカレントディレクトリの確認、os.chdir()でカレントディレクトリを変更できます。

Python3
import os
os.getcwd()
os.path.abspath(".")
os.chdir('C://Users/test')

R
Rでは、getwd関数でワーキングディレクトリが確認できます。また、setwd関数でワーキングディレクトリを設定できます。

R
getwd()
setwd("C:/Users/test")

VBA
VBAでは、ThisWorkbook.Pathで実行しているブック(エクセルファイル)のパスが取得できます。

VBA
Debug.Print ThisWorkbook.Path
ChDir "C:\Users\test"

ファイル一覧

ディレクトリ内のファイル一覧を表示する方法です。

Python
Pythonでは、osモジュールを使います。

Python3
import os
os.listdir()
os.listdir('.')
os.listdir('./data')
os.listdir('..')

R

R
dir()
list.files(".")
list.files("./data")
list.files("..")
list.dirs(".")

VBA
VBAでは、PythonやRのように簡単にファイル一覧を表示はできません。

VBA

まとめ

一覧

各言語の文法等を一覧にまとめます。

基本的な書き方

||Python|R|VBA|
|:--|:--|:--|:--|:--|
|変数の宣言|宣言しない|宣言しない|Dim 変数名 As 変数型
の形で宣言|
|大文字と小文字の区別|区別あり|区別あり|区別なし|
|複数行を1行にまとめて書く|;区切り|;区切り|:区切り|
|1行を複数行に分けて書く|/で改行||_で改行|
|スペース|自由|自由|自動的に調整|
|インデント|制御文でブロックを表す|自由|自由|
|コメントアウト|#の後|#の後|'の後|
|文字列|'``'囲み
"``"囲み|'``'囲み
"``"囲み|"``"囲み|

代入

Python R VBA
代入 = <-
=
->
=
複数同時代入 可能
複合代入演算子 あり
代入後出力 代入文を(``)囲み

入出力

Python R VBA
出力 print() print()
cat()
Debug.Print
MsgBox
入力 input() InputBox()
Application.InputBox()

ディレクトリ

Python R VBA
カレントディレクトリの取得 import os
os.getcwd()
getwd() Debug.Print ThisWorkbook.Path
カレントディレクトリの変更 import os
os.chdir('C://.../...')
setwd("C:/.../...") ChDir "C:\...\..."
ファイル一覧の表示 import os
os.listdir('.')
dir()

プログラム全体

参考までに使ったプログラムの全体を示します。

Python

Python3
# 大文字と小文字の区別
x = 1
X = 2
print(x)   # 1
print(X)   # 2


# 複数行を1行にまとめて書く
x = 1; y = 2
print(x)   # 1
print(y)   # 2

z = 3; print(z)   # 3


# 1行を複数行に分けて書く
x = 1 + 2 + \
    3
print(x)   # 6

x = 1 + 2 \
    + 3
print(x)   # 6

s = "abc" + "def" + \
    "ghi"
print(s)   # abcdefghi

s = "abc" + "def" \
    + "ghi"
print(s)   # abcdefghi


# スペース
x=1+2+3
x = 1 + 2  +  3
abs(x)
abs ( x )


# コメント
# ここはコメントです。
x = 1   # xについてのコメント
print(x)   # 1


# 文字列
s = 'abc'
print(s)   # abc
s = "abc"
print(s)   # abc


# 代入
x = 1

# 複数同時代入
x, y = 1, 2
print(x, y)   # 1 2
a, b, c = 1, 2, 3
print(a, b, c)   # 1 2 3
a, b, c = 1, 2.345, "abc"
print(a, b, c)   # 1 2.345 abc


# 複合代入演算子
n = 1
n += 1
print(n)   # 2
n -= 1
print(n)   # 1
n *= 2
print(n)   # 2
n /= 2
print(n)   # 1.0

s = "abc"
s *= 3
print(s)   # abcabcabc


# 出力
x = 1
print(x)   # 1
s = 'abc'
print(s)   # abc


# 入力
x = int(input("xを入力してください。"))
print(x)


# カレントディレクトリ
import os
os.getcwd()
os.path.abspath(".")
os.chdir('C://Users/test')


# ファイル一覧
import os
os.listdir()
os.listdir('.')
os.listdir('./data')
os.listdir('..')

R

R
# 大文字と小文字の区別
x <- 1
X <- 2
print(x)   # 1 
print(X)   # 2


# 複数行を1行にまとめて書く
x <- 1; y <- 2
x   # 1
y   # 2

z <- 3; print(z)   # 3


# 1行を複数行に分けて書く
x <- 1 + 2 +
  3
x   # 6


# スペース
x<-1+2+3
x <- 1 + 2  +  3
abs(x)
abs ( x )


# コメント
# ここはコメントです。
x <- 1   # xについてのコメント
print(x)   # 1


# 文字列
s <- 'abc'
print(s)   # "abc"
s <- "abc"
print(s)   # "abc"


# 代入
x <- 1
print(x)   # 1

x = 2
print(x)   # 2

3 -> x
print(x)   # 3

1 + 2 * (3 - 4) / 5 -> x
print(x)   # 0.6


# 出力
x <- 1
x          # 1
print(x)   # 1
cat(x)     # 1
s <- "abc"
s          # "abc"
print(s)   # "abc"
cat(s)     # abc

(x <- 1)     # 1
(s <- "abc") # abc"


# 入力


# カレントディレクトリ
getwd()
setwd("C:/Users/test")


# ファイル一覧
dir()
list.files(".")
list.files("./data")
list.files("..")
list.dirs(".")

VBA

VBA
Option Explicit

Sub test_grammar()
' 変数の宣言
Dim x As Integer
Dim y As Integer
Dim z As Integer
Dim s As String


' 大文字と小文字の区別
x = 1
' X = 2


' 複数行を1行にまとめて書く
x = 1: y = 2
Debug.Print x   ' 1
Debug.Print y   ' 2

z = 3: Debug.Print z   ' 3


' 1行を複数行に分けて書く
x = 1 + 2 _
    + 3
Debug.Print x   ' 6

x = 1 + 2 + _
    3
Debug.Print x   ' 6

s = "abc" & "def" & _
    "ghi"
Debug.Print s   ' abcdefghi

s = "abc" & "def" _
    & "ghi"
Debug.Print s   ' abcdefghi


' スペース
x = 1 + 2
Debug.Print Abs(x)


' コメント
' ここはコメントです。
x = 1   ' xについてのコメント
Debug.Print x   ' 1


' 文字列
s = "abc"
Debug.Print s


' 代入
x = 1
Debug.Print x   ' 1


' 出力
x = 1
Debug.Print x
MsgBox x


' 入力
x = InputBox("xを入力してください。")
Debug.Print x

x = Application.InputBox("xを入力してください。")
Debug.Print x


' カレントディレクトリ
Debug.Print ThisWorkbook.Path
'ChDir "C:\Users\test"

End Sub

参考

3
6
2

Register as a new user and use Qiita more conveniently

  1. You get articles that match your needs
  2. You can efficiently read back useful information
  3. You can use dark theme
What you can do with signing up
3
6

Delete article

Deleted articles cannot be recovered.

Draft of this article would be also deleted.

Are you sure you want to delete this article?