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AI-102からAI-103へ:Azure AI資格の変化からみる、Microsoftが求めるAI人材像

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Last updated at Posted at 2026-05-08

はじめに

 2026年5月8日時点で、Microsoft LearnではAzure AI Engineer Associate(試験 AI-102)の廃止日を2026年6月30日23:59(米国中部標準時)と案内しており、Azure AI Apps and Agents Developer Associate(試験 AI-103)はベータ版として公開されています。本稿では、AI-102の2025年12月23日版学習ガイドと、AI-103の2026年4月16日版学習ガイドを比較し、Azure AI人材に求められる役割の変化を整理します。
 AI-102 でも生成AIやエージェント ソリューション、Azure AI ソリューションの計画・実装・監視はすでに求められていました。AI-103で変わったのは、それらが周辺的な出題領域ではなく、Microsoft Foundryを軸に、生成AIアプリやエージェントを評価・監視・ガバナンス込みで本番投入する中核スキルとして再配置された点です。
※ 更新日の比較と資格説明の引用は、更新反映の早い英語版 Microsoft Learnを基準にしています。日本語版は補助参照です。

主な変更点

 まず整理したいのは、単なる名称変更ではなく、AI-102の廃止に合わせて、後継に近い位置づけの AI-103がベータ版として公開されている点です。
以下は、各学習ガイドの Skills at a glance(スキルの概要)に記載された出題領域の比率目安です。

項目 AI-103 スキルの概要 AI-102 スキルの概要
Azure AI ソリューションの計画と管理 25〜30% 20〜25%
生成 AI ソリューションの実装 - 15〜20%
生成 AI とエージェント ソリューションの実装 30〜35% -
エージェント ソリューションの実装 - 5〜10%
コンピューター ビジョン ソリューションを実装する 10〜15% 10〜15%
テキスト分析ソリューションの実装 10〜15% -
自然言語処理のソリューションを実装する - 15〜20%
情報抽出ソリューションの実装 10〜15% -
ナレッジ マイニングと情報抽出ソリューションを実装する - 15〜20%

※ 試験カテゴリは再編されているため、AI-102 と AI-103 は完全な1対1比較ではありません。生成AI / エージェント 領域の中心性は増していますが、vision・text analysis・information extraction といった従来寄りの実装領域も引き続き重要です。

変更から読み取れる役割の重心移動

 新資格の名称が「Azure AI Apps and Agents Developer Associate」であること自体が、「Azure AI全般」から「AIアプリとエージェント」へ移ったことを示していると考えられます。
実際に、AI-102の公式情報を見ると、Design and implement an Azure AI solution using Azure AI services, Azure AI Search, and Azure Open AI. とあり、AI-103では、This certification validates your expertise in designing, developing, and deploying advanced Azure AI solutions using Python and Microsoft Foundry. となっています。スキル概要でも、AI-103は「生成AIとエージェント ソリューションの実装」が最大の比重を占めています。つまりMicrosoftは、従来の個別AIサービス活用を土台にしつつ、Azure AI実装の重心を、生成AIアプリとエージェントへより強く移していると読めます。
 また、AI-103では「Azure AI ソリューションの計画と管理」は25〜30%と高い比率になっています。
 さらに、内容的にも変化が見られます。AI-102でも生成AI、RAG、評価、監視、エージェント ソリューションはすでに扱われていました。
しかし、AI-103では、managed identity、private networking、role policies、trace logging、approval workflows、tool-access controls などがより具体的に前面化しており、AIアプリとエージェントの本番運用・ガバナンスを強く意識した構成になっています。

受験者は何を重視して学ぶべきか

 学習者の立場から見ると、AI-102はAzure AIの各サービスを横断的に理解し、用途に応じて使い分けることが重要でした。AI-103ではそれに加えて、Microsoft Foundry を使って生成AI アプリとエージェントを設計・実装・展開する力が必要になります。したがって、学習の優先順位も「個別機能の暗記」より、ソリューション全体の構成、エージェント化、運用を含めた設計に移していく必要があると考えられます。

 特に意識したいのは、AI-103では「計画と管理」の比重が依然として高いことです。これは、生成AIを扱う際に、モデルの選定だけでなく、データ接続、権限管理、評価、監視、ガバナンスまで含めて考える必要があるからだと読み取れます。学習としては、単に「動くものを作る」だけでなく、安全に運用できる設計まで意識するのが重要です。具体的には、Microsoft Foundry上でのプロジェクト構成、RAGやツール接続を含むエージェント設計、評価・監視・権限管理までを一連の流れとして学ぶ意識が重要です。

企業にとっての示唆

 企業にとっても、この変更は示唆的です。Microsoftが Microsoft FoundryをAI app and agent factory と位置づけていることからも分かるように、今後はAIを単体機能として導入するに留まらず、業務に組み込まれたアプリケーションやエージェントとして運用することが前提になっていくと考えられます。

 そのため、企業にとって重要になるのは、PoCを作る力だけではありません。今後は、評価基準の定義、監視とトレース、権限設計、コスト管理まで含めてAIアプリ/エージェントを運用する体制が求められます。Microsoft Foundryの方向性を見ると、Microsoft はそうした本番運用力を持つチームを前提にしているように見えます。

おわりに

 AI-102は、Azure AIの各サービスを理解し、適切に組み合わせてソリューションを構築する力を測る資格でした。
一方、AI-103は、Microsoft Foundryを軸に、生成AIアプリとエージェントを開発・展開し、運用まで見据える力をより強く問う資格へと変わっています。

 つまり、Microsoftが求めるAI人材は、AIサービスを扱えることに加えて、AIアプリやエージェントを設計・実装し、運用まで担える人へと重心が移っている、とまとめられるでしょう。

参考文献

Certification Microsoft Certified: Azure AI Apps and Agents Developer Associate (beta) (https://learn.microsoft.com/en-us/credentials/certifications/azure-ai-apps-and-agents-developer-associate/?practice-assessment-type=certification)
Certification Microsoft Certified: Azure AI Engineer Associate (https://learn.microsoft.com/en-us/credentials/certifications/azure-ai-engineer/?practice-assessment-type=certification)
Study guide for Exam AI-102: Designing and Implementing a Microsoft Azure AI Solution (https://learn.microsoft.com/en-us/credentials/certifications/resources/study-guides/ai-102)
Study guide for Exam AI-103: Developing AI Apps and Agents on Azure (https://learn.microsoft.com/en-us/credentials/certifications/resources/study-guides/ai-103)
試験 AI-102: Microsoft Azure AI ソリューションの設計と実装に関する学習ガイド (https://learn.microsoft.com/ja-jp/credentials/certifications/resources/study-guides/ai-102)
試験 AI-103 の学習ガイド: Azureでの AI アプリとエージェントの開発 (https://learn.microsoft.com/ja-jp/credentials/certifications/resources/study-guides/ai-103)

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