2017年末、会社で初めてQiitaアドベントカレンダーを作りました。社内のデザイナー・エンジニアの有志25人で技術系の記事を書いて、社外に向けて公開しました。
アドベントカレンダーのように会社のブログとして情報を社外に向けて発信するのは弊社では初めての取り組みだった事もあり、「なぜやるのか?」を説明しました。そこで考えたことを書きます。
やる前に考えたこと
採用
真っ先に考えた意義は採用です。ブログ記事を社外公開する事によって、それを見た人がうちの会社の面接に来てくれて入社に至ったならば、その採用はブログの成果と言えます。優秀なエンジニアを1人採用するのに何円かかるかを考えれば、ブログがどれくらいの成果だったのかは定量化できます。
しかし、果たして本当に採用が最大の意義なのかは私にとって疑問でした。
例えばクラスメソッド株式会社のDevelopers.IOには良質な記事が継続的に提供されていますが、これは会社の技術ブランドを向上することにより案件受注に繋げる意図があると思います。しかし、弊社のビジネスモデルにはそういう本業とのシナジーもありませんでした。
インターナルコミュニケーション
ブログをやる事の意義として、対外的なメッセージ発信に加えて、ブログを通したインターナルコミュニケーションの活性化もあるかなと思っていました。実際に、社内でお伺いを立てた時には採用に加えてこの事も目的として明記しました。
会社が一定以上の規模になってきて、勤務地も複数個所で分かれて、社内のエンジニア同士でも顔が分からない人が出てきました。そこで「この人はこんな技術が得意なのか、今度聞いてみよう」みたいなゆるい繋がりを生むことができれば、それはブログが無かったら生まれないコミュニケーションであり、ブログをやる価値のひとつだと言えると思います。
このように社外に情報発信することにより社内にも何らかのメリットがある事は分かっていたものの、なかなか上手く言語化できないままアドベントカレンダーを終えてしまいました。
終わってみて改めて考えたこと
今になって色々考えてみて、ブログの意義は採用だけでなく、それを含めた人事活動にあるのではないかと思いました。
- 誰がどんな能力を持っているか明文化する
- 人が持っている暗黙知を、形式知として共有する
- アウトプットするために能力を伸ばす
- 優良な記事を書く事によって活躍する
- それらを見た人がこの会社に魅力を感じ、採用に繋がったり、会社に誇りを持てるようになる
このような採用・成長・活躍という人事の要素が、非連続ではあるものの「アドベントカレンダー」という1つの行事に詰まっていたと思います。
成長
たとえばアドベントカレンダーを書くにあたって、ものすごく色々な事を調べてきたり、社内チャットで「○○について知っている人いますか?」といった質問が生まれたりしていました。メンバーに成長の機会を少しでも作ることができたかなと思っています。
また、アドベントカレンダー自体をナレッジとして残すこともできます。後から同じような技術を使う時に、QiitaのURLを渡すだけで個人の技術ナレッジをチームに還元できます。弊社で使っている技術はオープンソースソフトウェアが多いので、込み入った内容であっても割と積極的にQiita等で情報公開する事ができます。
活躍
たとえレベルの高いノウハウを持っている人でも、毎日毎日の業務で必ずしも最高レベルの技術を求められ続け、最大のスキルを発揮し続けられるとは限りません。アドベントカレンダーは、そういったレベルの高さを思う存分に発揮して頂ける機会となりました。
また、アドベントカレンダーをやってみて意外だったのが文章化して伝えるスキルの高さも発揮できるという事です。たとえ技術レベルがめちゃくちゃ高い内容ではなくても、文章化が上手かった場合、その記事はみんなから必要とされます。
こういった、人が持っているタレントを少しでも引き出す機会を、アドベントカレンダーによって作ることができたと思っています。私は人を評価する役割ではありませんが、アドベントカレンダーに参加して記事を書いた事が上長からの評価に繋がったという声も執筆者から頂いたので、これも人事活動に含まれると思います。
正直、「成長」の機会を作るだけであれば社内ブログでも構わないと思います。ですが社外に記事を公開することで、「活躍」の機会をより効果的に作ることができたと感じています。
まとめ
アドベントカレンダーのような会社ブログを作る意義は、採用・成長・活躍の機会を作る、人事の活動にあるのではないかと思いました。その中でも採用は定量的に評価しやすいという側面を持っているので、成果の指標としては使いやすいと思います。
弊社の名刺には、デザイナーでもエンジニアでも全員に「人事部」という肩書が付いています。「全員で協力して採用に取り組もう」という狙いによるものですが、意図せずしてより人事部らしい事をしていました。