はじめに
エンジニアに転職して4年。ありがたいことに、最近は後輩の教育を任せてもらう機会が増えてきました。
試行錯誤を繰り返す中で、自分なりに見えてきた「教育の際に意識していること」をまとめてみようと思います。現在、教育担当として奮闘している方や、これから教える立場になる方のヒントになれば幸いです。
また、教育に精通している諸先輩方がいれば、ぜひコメントでアドバイスをいただけると嬉しいです。
前提
弊社の開発チームには、完全未経験の方から経験豊富な方まで、多様なメンバーが集まります。
今回は特に、完全未経験で入社したばかり方 への教育において、私が大切にしているマインドセットやTipsに焦点を当てます。
余談
ちなみに弊社で使っているDiscordサーバーでは新人さんのアイコンに「ひよこ」がついています(かわいい)

普段意識している3つのポイント
1. 相手の「現在地」を解像度高く把握する
教育において一番難しく、かつ重要なのが、相手の理解レベルを探ることです。
初学者の方に「どこまでわかりますか?」と聞いても、本人は「何がわからないかが、わからない」状態なので、定量的な答えは返ってきません。
そのため、私は会話の中の 微細なシグナル を拾うようにしています。
- レスポンスの速度
- 即答できるか、数秒の沈黙があるか
- 言葉選びの解像度
- 技術用語を「自分の言葉」に置き換えて説明できているか
- 微妙な違和感
- 「用語は知っているけれど、文脈がズレている」瞬間に注目する
「ここまでは盤石だな」「ここから先は霧の中だな」という境界線を見極めることで、その後のアプローチを最適化します。
2. 「理解の助走」を設計する
何か新しい概念を教える際、いきなり本題(ステップ①)から入るのではなく、ステップ0.5 から話し始めるようにしています。
- ステップ0.5: 相手が「あ、そこなら知ってる」と思える既知のポイント
- ステップ1.0: 今回伝えたい新しい知識
大切なのは、相手がすでに知っている場所まで一度戻り、そこから一緒に一歩目を踏み出す「助走」を作ってあげることです。
「いきなり知らない話が始まる」という不安を取り除き、「今からこの話をしますよ」という共通認識を作る。
これだけで、相手は安心して聞く態勢に入ることができ、新しい知識を受け入れる心の準備が整います。
3. 「相手の持っている引き出し」で例える
抽象的な概念を伝えるには例え話が有効ですが、「自分が得意な例え」ではなく 相手がイメージしやすい例え を選ぶのがコツです。
例えば関数というものを教える際、
- 料理が好きな人なら、「食材(引数)を入れて、切る(処理)をして、カット野菜(戻り値)を出す」
- ゲームが好きな人なら、「攻撃スキル」に例える(過去に記事にしてみました)
相手の趣味や前職の経験、興味関心に合わせて例え話をカスタマイズすることで、相手の脳内にある既存の知識と新しい知識がパズルのように噛み合います。
自分が新人時代に感じていた「壁」
今の教育方針の根底には、私自身が苦労した経験があります。
わからない が重なると、思考がロックされる
「わからないこと」が2つ、3つと重なると、人間は負のスパイラルに陥ります。「自分は根本的に向いていないのでは?」と疑心暗鬼になり、普段ならわかるはずの単純なロジックすら理解できなくなってしまうのです。
だからこそ、教育の現場では「こまめに不安を解消すること」を何より大切にしています。
先輩の言葉が「日本語なのに日本語じゃない」
新人時代、先輩の話す言葉がすべて呪文のように聞こえた時期がありました。
「デプロイして、マージして、リバートして……」
単語一つひとつは日本語の文脈に含まれていても、概念が伴っていないと、それはただの音でしかありません。
「この説明、専門用語が混じりすぎていないかな?」と、説明前に自問自答するようにしています。
おわりに
教育は「教える側」にとっても、自分の知識を再定義する素晴らしい機会だと感じています。
ひよこがいつか立派な親鳥になって、また次のひよこを育てる。そんな良いサイクルを作っていけるよう、これからも精進していきたいです🐓
最後まで読んでいただきありがとうございました!