はじめに
AWS(Amazon Web Services)を日々活用する中で、技術的な課題や運用上の悩みに直面したとき、頼りになるのが「AWSサポート」です。
現場の不具合について相談したり、時には技術的な質問をしてみたり、私は躓いたら即サポートに問い合わせるヘビーユーザーでもあります。
そんな日々お世話になっているAWSサポートに感謝を込めて、記事にまとめます。
1. 対応言語について
AWSサポートでは、日本語、英語、中国語、韓国語でサポートをご利用いただけます。AWS エンタープライズサポートプランをご利用の場合は、中国語、英語、フランス語、ドイツ語、イタリア語、日本語、韓国語、ポルトガル語、スペイン語、タイ語などの言語で対応可能です。
参考:AWS サポート FAQ
2. AWS サポートプランについて
AWSのサポートプランには、お客様のニーズに合わせて選択できる複数のオプションがあります。主なプランとして、ベーシックサポート、デベロッパーサポート、ビジネスサポート、エンタープライズ On-Ramp、エンタープライズサポートの5つが提供されています。これらのプランは、テクニカルサポートの応答時間、ケースの起票方法、アーキテクチャガイダンスのレベル、プロアクティブなレビュー、テクニカルアカウントマネージャーのアサインなど、提供されるサービス内容が異なります。
各プランの詳細な比較については、AWSサポートプランの料金ページをご参照ください。それぞれの違いを分かりやすく説明しています。
3. AWSサポート活用ポイント
AWSサポートに技術的な問い合わせをする際に、AWS公式のベストプラクティスに沿って問い合わせることで問題解決までの時間がぐっと短縮されたり、より的確なアドバイスがもらえたりします。ここでは、そのための大切なポイントについて紹介します。
技術的なお問い合わせに関するガイドライン
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まずは自分で調べてみて解決策を探る
- AWSの公式ドキュメント、よくある質問がまとまっている「AWS re:Post」、技術ブログ、公式SNSなどを確認すると同じような問題の解決策やヒントが載っていることがよくあります。
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適切な窓口を選ぶ「アカウント系」or「技術系」
- 請求やアカウントの運用に関する相談は「アカウント・請求サポート窓口」へ。
- AWSサービスの技術的な仕様やエラーについては「テクニカルサポート窓口」へ。
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「何を実現したいか」「何に困ってる」を具体的に伝える
- 目的と問題点: 「何をしようとしていて、結果どうなってほしいのか」「具体的にどんな問題が発生しているのか」を明確に書きましょう。
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必須情報:
- 対象リソース: EC2インスタンスID、S3バケット名など、問題が起きている具体的なリソース名。
- リージョン: us-east-1、ap-northeast-1など、問題が発生しているリージョン。
- 発生時刻: 問題がいつ起きたか (例: 2025年5月25日 15:30 JST)
- 現在の状況: 問題は継続中なのか、一時的なものだったのかなど。
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作業ログ等のエビデンスの連携:
- ログやエラーメッセージ
- 画面キャプチャ
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経緯を明確に:
- 行った操作や設定: 問題発生前にどんな操作や設定変更を行ったか。
- 試した対応策: すでに試したトラブルシューティングの手順や、その結果どうだったか。
- 参考にした情報: 参考にしたドキュメントのURLなども共有すると、スムーズにやり取りができます。
4. 問い合わせのコツ
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1つの問い合わせには、1つの質問にする
- 複数の異なる問題を1つの問い合わせにまとめず、それぞれ別の問い合わせとして作成する
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誰にでも伝わる言葉にし、社内用語や略語は避ける
- AWSの公式ドキュメントで使われているような、一般的な技術用語で説明しましょう。
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緊急度を伝える
- 問題がビジネスにどれくらい影響しているか(例:本番サービスが停止している、特定の機能が使えず業務が滞っているなど)を具体的に伝えることで、適切な緊急度で対応してもらえます。
解決後の感謝とフィードバック
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解決したら、理由を添えてクローズしてあげましょう
- サポートの支援で解決した場合はもちろん、自分で解決できた場合や、実はAWS以外の問題だった場合も、その旨を伝えて問い合わせをクローズしましょう。
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問い合わせが無事解決したら満点評価をする
- サポート担当者の対応が解決したら★5の評価にしてあげましょう。
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サポートのやり取りをナレッジにする
サポートのやり取り社内でナレッジ化すること同じ不具合が起きた場合に迅速に対応できます。
サポートとの上手な付き合い方
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答えられないこともある
AWSの内部的な仕組みや、障害の根本的な原因といった詳細情報は、セキュリティの観点などから原則として開示されません。 「どのような背景でその情報を知りたいのか」を伝えることで、関連する情報やベストプラクティス、回避策などを案内してもらえることがあります。
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お客様独自のコードに対する詳細な記述支援やデバッグ:
例えば「このPythonコードのどこが間違っているか教えてほしい」「この処理を実現するJavaのコードを書いてほしい」といった、
お客様が開発されたアプリケーションコードそのものの具体的な設計、プログラミング、バグ修正はサポート対象外となります。 -
サードパーティ製ソフトウェアの専門的なサポートについて:
- AWS環境にインストールしたOS(AWS提供のものを除く)、ミドルウェア、データベース(RDSなどのマネージドサービス以外)、アプリケーションなど、AWSが直接提供していないサードパーティ製品の専門的な設定方法、トラブルシューティング、ライセンス管理などは、その製品の提供元にお問い合わせいただく必要があります。ただし、AWSサービス上でサードパーティ製品を動作させる際の一般的な考慮事項や、AWSサービスとの連携部分についてはアドバイスできる場合があります。
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5. AWSサポートを利用する手順
AWSサポートを利用するには、以下の手順でサポートケースを起票します。
1. AWSマネジメントコンソールにログイン
サポートを利用するAWSアカウントでAWSマネジメントコンソールにログインします。
2. サポートセンターにアクセス
コンソール上部の「サポート」を選択して、「お客様のサポートケース」を選択します。
「技術」を選択します。
サービスタブを開くと、サービスの一覧が表示されるので、問い合わせたい内容に沿って選択してください。
カテゴリーはサービスで選択したものの問い合わせケースが表示されるので、問い合わせ内容に沿って選択してください。
緊急度は、本番環境でのエラーなど深刻な内容以外は、一般的な質問または機能要望を選択しましょう。
以上の選択が完了したら、「次のステップ:追加情報」をクリックしてください。
連絡の際に希望する言語は、ご自身が理解できる言語で選択してください。
英語を選択すると、英語でサポートのやり取りが始まります。
次に、件名欄には「〇〇について」など問い合わせ内容を簡潔に記入し、説明欄には詳細な問い合わせ内容を記入します。
いつも思うのですが、記入する枠が小さくて不便です……
入力が完了したら、「お問い合わせ」をクリックしてください。
※おふざけが過ぎてしまった問い合わせ内容ですが、サポートに敬意を払った問い合わせを行いましょう!(実際は送っていません。PC越しで土下座しています
)
メールで通知を受け取りたい場合は、追加の連絡先に連絡の取れるメールアドレスを入力してください。
入力が完了したら「送信」をクリックして、問い合わせ完了です。
サポートの回答が届いたら、ケース履歴から確認しましょう。
満足する回答が得られた場合は、サポートの評価で星を5にしてあげましょう。
6. 問い合わせ内容の書き方
簡潔な文章で要点をまとめることで、よりスムーズにサポートとコミュニケーションをとることができます。問い合わせ内容のテンプレートとポイントをまとめます。
問い合わせ内容(サンプル)
いつもお世話になっております。〇〇と申します。
【質問背景】
IAMユーザー `test-user`(ARN: `arn:aws:iam::123456789012:user/test-
user`)が、S3バケット `my-secure-data-bucket` 内の `confidentialreports/`
配下のオブジェクトに限り、読み取り(s3:GetObject, s3:ListBucket)できるよ
うにしたい。
【現状】
IAMポリシーおよびS3バケットポリシーを設定しましたが、当該ユーザーで対象オブ
ジェクトにアクセスしようとすると「Access Denied」エラーが発生します。
【質問内容】
1. 上記の目的を達成するための、推奨されるIAMポリシーおよび/またはS3
バケットポリシーの正しい設定例をご教示いただけますでしょうか。
2. もし可能であれば、試行中のポリシー(必要であれば別途提示いたします)
の問題点についてご指摘いただけますでしょうか。
【補足情報】
- AWSアカウントID: `123456789012`
- リージョン:(例: `ap-northeast-1`)
- エラー発生を確認したコマンド:(例: `aws s3 cp s3://my-secure-data-bucket/confidential-reports/sample.txt ./`)
- 施行したIAMポリシーを添付
以上となります。よろしくお願いいたします。
問い合わせ内容のポイント
1. 明確な件名
件名「S3特定プレフィックスへのアクセス権限設定(Access Denied)」のように、問題の対象サービス(S3)と事象(Access Denied)が一目でわかるようにしましょう。これにより、適切な担当者にスムーズに振り分けられやすくなります。
2. 具体的な目的の提示
「目的」セクションで、どのIAMユーザーが、どのS3バケットの、どのプレフィックスに対して、何をしたいのか(読み取り権限の付与)が具体的に記載します。これにより、サポート担当者はユーザーが達成したい状態を正確に理解できます。
3. 問題の現状説明
「現状」セクションで、試したこと(IAMポリシーおよびS3バケットポリシーの設定)と、その結果発生している問題(Access Deniedエラー)を記載しています。
4. 具体的な質問内容
「質問」セクションで、ユーザーがサポートに求めていることが2点に絞られて明確です。
- 正しい設定例の提示
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試行中ポリシーの問題点の指摘
これにより、サポート担当者は何に回答すればよいかを的確に把握できます。
5. 補足情報の提供
「補足情報」セクションで、問題解決に役立つアカウントID、リージョン、エラー確認コマンドといった具体的な環境情報を提示します。これにより、サポート担当者は状況を再現したり、関連ログを調査したりする際の手がかりを得やすくなります。
まとめ
AWSサポートは、心強いパートナー
困ったときは積極的にサポートを活用していきましょう!
AWSサポートの皆さま、いつも本当にありがとうございます。