🧑💻コードレビューとは何か?
〜初心者から20年選手まで、それぞれが陥りやすい落とし穴〜
コードレビュー。それは、ソフトウェア開発において“コードを書く”ことと同じくらい、いや、場合によってはそれ以上に重要なプロセスです。
どんなに優秀なエンジニアでも、レビューの質は年次・経験・マインドによって驚くほど差が出ます。
本記事では、キャリアごとに陥りやすいレビューの落とし穴を紹介しながら、「プロフェッショナルなコードレビューとは何か」を一緒に考えてみたいと思います。
👶 初心者(新人〜1年目)が陥りやすいこと
「コードを読む=正誤判定」だと思ってしまう
🧠 レビューを“間違い探しゲーム”と誤解してしまう背景
新人にとって「コードレビュー」は、多くの場合「自分が書いたコードが通るか否かを判定される場」という体験から始まります。その結果、自分がレビューする側に回ったときも、”何か間違っていないか”を探すゲームのように思いがちです。
これは 日本の悪い学校のテスト文化の影響 とも言えます。正解か間違いかでしか判断されない中で育ってきたエンジニアは、自然とコードも “模範解答があるもの” として見る傾向にあります。
☔ なぜそれが危険なのか?
現実のコードは「動けば正解」ではありません。
以下のような観点は、実行時には表に出ず、レビューでしか拾えない問題です。
- コードが 将来の変更に弱い構造 になっていないか
- 他のモジュールとの責務の境界線 が曖昧になっていないか
- 命名が意図と一致しているか(例:
isValid()
が true を返す条件が不自然) - ドメイン知識の文脈と一致しているか(例:業務ルールの順序や境界条件)
これらは、「正誤」ではなく “理解と合意”が必要な設計判断 です。
🔻 初心者がやりがちな落とし穴(詳細解説)
1. 🔤 命名の意味を深く考えない
const r = calc(a, b);
上記のようなコードで「r
は何の略? calc
は何を計算するの?」と疑問に思わず、スルーしてしまうケースが多いです。
レビューの観点:
-
result
やtotalPrice
のような意図がわかる命名になっているか - 命名と実際の処理内容がズレていないか(例:
validate()
の中で更新処理をしている など)
2. 🎯 「動いているから問題ない」と判断してしまう
ユニットテストが通っていれば安心、と思ってしまいがちですが、それだけでは読みやすさ・保守性・安全性は測れません。
レビューの観点:
- そのロジックは既存処理と重複していないか
- たとえば「1ヶ月前に同じような処理を別ファイルで書いていなかったか?」など
3. 🌀 わからないコードに沈黙する/不要なNGを出す
自分の知識で理解できないとき、
- 「なんか難しいから大丈夫だろう」と流す
- または逆に「わかんないから書き直して」と言ってしまう
レビューの観点:
- 「わからない=悪」ではなく、「わからないことを言語化」することが大切
- 例:「この処理は業務要件的にこういう意図でしょうか?」
- 例:「このトリッキーな書き方は、既存の制約への対応ですか?」
4. 🧩 Gitの差分だけ見て、ファイル全体や関連コードを読まない
差分が5行でも、周囲100行に前提知識や共通処理があることはよくあります。
レビューの観点:
- レビュー前に「どのコンテキストでこの変更が行われているか?」を確認する
- 周囲のコードに類似ロジックがあるなら、抽象化や共通化の余地があるかを考える
✅ 将来のためレビュー習慣を育てるために
💬 1. コメントでは「質問+背景」を意識しよう
❌ 「この変数名だとわかりにくいです」
✅ 「この変数名、XXXXXXXXという意味だと理解したのですが、YYYYYYYYの可能性もあるように見えました。意図を教えてもらえますか?」
👁🗨 2. 「過去・未来・他人」の視点を持つ
- このコードが 半年後の自分が読んだとき どう感じるか?
- 他のチームメンバーが使うときにバグの温床にならないか?
- 既存コードと 一貫性があるか?
📚 3. レビューは「学びの場」である
新人のうちは、レビューで学ぶことがとても多いです。
以下のような習慣を意識しましょう。
- レビューで出た指摘を自分のチェックリストに反映する
- 気になったロジックは「あとで復習する用」としてメモを取る
- 先輩レビューアのコメント文も読み込んで、「こういう聞き方があるのか」と表現方法を学ぶ
「レビューは育て合いの場」
新人のレビューは、間違っても「完璧である必要」はありません。
大切なのは、相手のコードを真剣に読もうとする姿勢と、チームの中で学び成長していく意志です。
コードレビューは、自分の目を通してチームの品質を守る行為。
まずはその役割の重さと面白さに気づくことが、プロへの第一歩です。
👨 入社3年目が陥りやすいこと
「レビュー=改善の場」だが、それを“攻撃”にしてしまう
3年目エンジニアは、開発の全体像が見え始め、自信も付いてきて、ようやく「レビューで改善提案ができる立場」になります。
その成長は素晴らしいのですが、実はここにレビューの“人間関係トラブル”の火種が潜んでいます。
🔻 ありがちな問題①:「マサカリ(過激な指摘)」を振り回す
レビューコメントがこうなっていませんか?
✘ 「これ、設計がダメですね」
✘ 「この書き方だとバグるのは時間の問題です」
✘ 「この実装は全体の思想とズレてます」
たしかに内容は正しいかもしれません。
ですが、レビューコメントが相手に刺さる表現になってしまうと、その瞬間から「改善」ではなく「対立」に変わります。
❗背景にあるのは「技術への熱量」と「言葉の未熟さ」
3年目の方は、ある程度仕事に慣れて来ているが・・・
- チームの技術的負債が見えてきて、放っておけない気持ちになる
- 正しいことを言っている自分に「自信とプライド」が芽生える
- 「自分のほうが正しい」と思ってしまい、相手の考慮や背景を想像できなくなる
こうした情熱と未熟さがぶつかる時期とも言えるでしょう。
🔻 ありがちな問題②:自分のスタイルを押しつける
✘ 「こんなの関数に分けたほうがいいに決まってる」
✘ 「僕ならこう書きます」
✘ 「ここ、Promiseじゃなくてasync/awaitにしてください」
改善提案のつもりでも、こうした指摘が連発すると、レビュー対象者はこう思います:
「え、俺の書き方じゃダメなの?なんでそれが正解って決まってるの?」
ベストプラクティスは確かに存在しますが、チームの事情・文脈・開発方針によって最適解は変わります。
「正しいはず」と思っても、それが相手にとって納得できる説明でなければ意味がありません。
🔻 ありがちな問題③:「レビューで目立ちたい」欲求
これは無意識に起きやすい現象です。
- チームに自分の存在をアピールしたい
- 他のメンバーより先に問題に気づいて“頼れる存在”になりたい
- 上司や先輩に「さすが」と言われたい
結果、マウント目的のコメントになってしまうことがあります。
✘ 「まあ、こういうケースは◯年目の自分ならやらないですね」
✘ 「ちゃんと設計を理解してから書きましょう」
自分が成長していることを誰かに見てほしい気持ちは自然です。
ただしレビューの場では、“相手を動かす言葉”こそが価値であり、“目立つこと”は目的ではありません。
✅ 愛あるレビューに変えるための実践アドバイス
✅ 1. 指摘よりも「問いかけ」の形にする
✘ なぜこんな非同期処理にしてるんですか?
◎ この非同期処理、awaitを使わずにPromiseで書かれている理由が気になりました。何か意図があるのでしょうか?
→ 「聞く姿勢」 に変えるだけで、相手の警戒心が緩み、建設的な会話が生まれます。
✅ 2. 「まず受け止めてから提案」する
🟢「この書き方、`A → B → C` の順で直感的に追えて読みやすかったです!
ただ、`B` の部分だけ責務が少し大きく見えたので、関数分離も検討できるかもしれません」
→ 良いところを認める+改善提案。信頼があってこその指摘は、より効果的です。
✅ 3. “自分のやり方”と“チームの方針”を分けて考える
✘ 僕ならこんなふうに書きます
◎ チームのガイドライン的にはこちらの書き方の方が一貫性があるかもしれません
→ 「自分の意見」ではなく「チーム視点」に立つことで、対話の軸がブレません。
✅ 4. 指摘に根拠・背景を添える
「この命名は`fetchData`でもOKですが、他のコンポーネントと比較すると`loadXXX`系に統一されているようなので、`loadUserData`にすると読み手が混乱しにくいかもしれません。」
→ 「なぜそう思ったのか」「何と比較しているのか」を示すことで、提案に説得力が生まれます。
「レビューは育て合いの場」
レビューとは、「誰が正しいか」ではなく「どうすればより良いコードになるか」を考える協業の場です。
- レビューで自分を証明しようとしない
- 相手と共にレベルアップしようという視点を持つ
- 批判ではなく、未来への提案にする
そのマインドがあれば、3年目のあなたは、“技術の知識”だけでなく“人を動かす力”を持った本物のプロフェッショナルへと成長していきます。
⚾️ 10年目のベテランが陥りやすいこと
「見えてしまう」からこそ、レビューが“保守的”になる
🔍 はじめに:10年という蓄積がもたらす「視野の広さ」と「リスク回避本能」
10年以上の実務経験を積んだエンジニアは、数々のプロジェクトで「痛み」を経験しています。
- 設計ミスが大炎上につながった記憶
- 安易に新技術を導入して保守不能になった記憶
- 外部ライブラリのバージョンアップで地獄を見た記憶
- 曖昧な責務分離が招いたチーム間衝突
こうしたトラウマに近い記憶は、次第に “変化を恐れる”レビューのスタンス を形成します。
いわば、「安全運転が身に付きすぎたドライバー」のようなものです。
🔻 陥りやすいパターン(+その心理背景)
①「昔やって失敗したから」は、果たして今もNGか?
コメント例(NG):
「この方式、数年前に試して炎上したからやめておこう」
問題点:
- その失敗は、時代・文脈・チーム体制に依存していなかったか?
- 今はツールも技術も変わり、同じ問題は起きないかもしれない
- 過去の失敗を「封印理由」に使うと、成長の芽を潰す
より良いアプローチ:
「以前、似たアプローチでXという問題が起きたことがあります。今回はそれをどう回避する想定でしょうか?」
☑ “歴史を共有しつつ、未来を問う”
これがベテランのレビューのあるべき姿です。
② 「このやり方が一番安全」は、イノベーション殺し
コメント例(NG):
「この設計、冗長だけど壊れにくいからこのままで」
問題点:
- 「壊れにくさ」=「最適解」ではない
- 技術的負債が溜まり、将来の保守性や拡張性を犠牲にしている可能性
- ベテランの“決めつけ”は、**若手にとって「正解の押し付け」**になる
より良いアプローチ:
「このやり方は堅牢性がありますが、将来的に要件が変わった時の柔軟性はどう考えていますか?」
☑ 正解を“決める”のではなく、“問いかけ”で導く
③ 若手の挑戦に「過剰な制動」をかけてしまう
現象:
- 若手が新しいアーキテクチャを試した → 「危ないから戻して」
- TypeScriptの型を柔軟に使っている → 「こんなの動的型と変わらない」
- テストに新しいアプローチ(e.g. property-based testing)を導入しようとする → 「うちには早すぎる」
心理背景:
- 自分の知っている「安全圏」から出ることに不安を感じる
- 時間的コスト、チーム教育コストを本能的に回避しようとする
- 技術のキャッチアップコストが年々上がってきている実感もある
でも本当にそれでいいのか?
✅ 高度なレビュー姿勢の再構築:「老練さ」を「指導力」に昇華する
✅ 1. 「封じる」のではなく「サンドボックス化」する提案を
🟢「この新方式、リスクはあるけど、まずは1コンポーネント内で試験導入して、1ヶ月後にレビューしましょうか」
→ いきなり拒絶せず、小さく試し、計測し、評価する仕組みを用意するのがプロ
✅ 2. 「再発防止」ではなく「教訓共有」にフォーカスする
🟢「以前、類似の設計で依存関係が肥大化したことがあります。その時の反省点としては…」
→ 「ダメ」ではなく「経験を伝える」ことで、若手の判断材料が増える
✅ 3. 「レビュー=統制」ではなく「環境づくり」にする
- 若手が自由にトライできるための 技術検証枠(PoC枠) を用意
- 設計判断を否定する前に 「なぜそれを選んだのか?」 を必ず聞く
- 失敗しても「プロセスは正しかった」と評価する姿勢
🌱 10年選手のレビューとは「チーム文化を耕す時期」である
10年を超えたベテランに求められるのは「正しさ」よりも「健やかさ」。
- 若手が挑戦できる空気を作る
- レビューで過去の経験を“語り継ぐ”
- “変化の安全ネット”として存在する
この3つこそ、現代のベテランエンジニアにしかできない“仕事”です。
🧭 まとめ
項目 | NGな姿勢 | プロ的な姿勢 |
---|---|---|
新技術の導入 | 昔失敗したからNG | 「過去はこうだった」+今の条件で再考 |
若手の挑戦 | 危ないから止める | スモールスタートで試す |
自分の経験 | 失敗を避けるための壁になる | 経験を未来に活かす教材にする |
レビューの目的 | 統制・防衛 | 指導・環境整備・文化育成 |
これができる10年目のあなたは、「知識の守護者」ではなく、「技術文化の庭師」 になれるはずです。
🧙♂️ 20年目以上の超ベテランが陥りやすいこと
「レビューすること」に慣れすぎて、対話が失われる
🧭 はじめに:知識の厚みと引き換えに失われる「温度」
20年を超えるキャリアともなれば、コードレビューは日常の一部です。
むしろ「レビューをしない日」の方が稀でしょう。
しかし、その慣れがもたらすのは、以下のような静かな問題です:
- コメントが「判断結果」だけになる(OK / NG / 要修正)
- 指摘に背景や共感がない
- 人材育成の視点よりも、仕様チェック・ルール遵守だけを見がち
レビューが“コードとの対話”から、“作業タスク”に変わってしまっているのです。
🔻 よくある落とし穴(+その背景)
① 「テンプレート化されたレビュー」に陥る
✘ 「命名がわかりづらいです」
✘ 「テスト書いてください」
✘ 「これ、どこで使ってますか?」
✘ 「ifのネストが深いですね」
これらは確かに“正しい”。
しかし、誰でも書けるコメントです。
20年の知見を持つあなたがレビューするなら、そこに以下が加わってほしいのです:
- なぜそうすべきか
- どんな設計方針と矛盾しているのか
- なぜその書き方が将来トラブルを呼ぶのか
思考の深さが可視化されないレビューは、若手の学習機会を奪います。
② 「人に興味がなくなる」
これは非常に危険な兆候です。
- 若手がどんな意図で書いたかに目を向けず、「ルール通りか」だけを見てしまう
- コードの外側にある「その人の成長」「チームの雰囲気」に無関心になる
- 結果、レビューが“通すか否かのゲート”になる
⚠️ これは組織にとって致命的。
レビューから“信頼”が失われると、コードは書きやすくても、意見は出しにくくなります。
③ 「文化・文脈の空気読みレビュー」
20年目になると、自分が作ったルールや流儀が暗黙化し、それを無意識にレビュー基準にしてしまいがちです。
- 「うちのやり方ならこう」
- 「今までもこうやってきた」
- 「それはこのチームではありえない」
こういったレビューは、反論できない“前提の押し付け” になってしまいます。
✅ 超ベテランと成長への強育レビューとは
✅ 1. 「思想を伝えるレビュー」を意識する
たとえば:
この命名、少し曖昧に見えました。ここは責務が集まりやすい箇所なので、具体性を持たせた方が保守性が上がると思っています。
→ これは **「経験」ではなく「判断根拠」を伝えるレビューです。
→ 若手は、指摘されたこと以上に、「なぜそう言えるのか」**から学びます。
✅ 2. ポジティブフィードバックを“意図的に”入れる
ここの分岐処理、フラグの命名と条件の書き方が非常に直感的で良かったです!
将来的に条件が増えても対応しやすい構造ですね。
20年のキャリアを持つ人がこのコメントをくれると、若手のモチベーションは飛躍的に上がります。
✔️ 成長を“観察”する立場
✔️ 技術的モラルの“指針”になる存在
これは 技術そのものより大きな価値です。
✅ 3. 「レビュー=文化と信頼の伝達手段」と認識する
- 単なる仕様チェックではなく、思考・判断・設計の原則を伝える場
- 対話を通じて、チームの価値観を統一する手段
- そして、「あなたがちゃんと見ているよ」という見守りのサイン
レビューとは、“ナレッジの保存”であり、“文化の継承”であり、“信頼の構築”なのです。
🧭 まとめ:20年目のあなたにしかできないレビュー
項目 | NGな姿勢 | プロ的な姿勢 |
---|---|---|
レビューの姿勢 | 作業化・判定化 | 思考共有・対話重視 |
コメント文 | 指摘のみ | 背景・理由・共感つき |
若手との関係 | 教える立場で止まる | 見守り、引き出す |
組織貢献 | ルール遵守の番人 | 技術文化の育成者 |
🌱 締めくくり
✅ 新人エンジニア向け
コードレビュー時のチェックリスト
〜レビューって何を見ればいいの?がわかるようになる〜
コードレビューに慣れていないと、
「何を見ればいいかわからない」
「エラー出てないからOKでしょ?」
と流してしまいがちです。ですが、レビューは「動くか」だけを見る場ではありません。
このチェックリストを使えば、「レビューで見るべき観点」を段階的に身につけることができます!
🔰 初心者・新人向けレビューの基本チェック項目
🔹1. 読みやすい名前が使われているか?
-
変数名・関数名に意味がある(
a
,b
,temp
などになっていない) - 命名ルール(キャメルケース、スネークケースなど)が統一されている
- 「何をする関数か」が名前だけでなんとなく想像できる
✅ 補足:「名前を見て想像できる」=いいコードです!
🔹2. 処理の流れが直感的に追えるか?
- 処理の順序が自然(前提→計算→出力など)
- ネスト(if, forなどの入れ子構造)が深くなりすぎていない(2〜3階層まで)
- コメントがなくても、ざっくり意味がわかる
✅ 補足:レビューとは「説明なしでもわかるコードか」を見る行為でもあります!
🔹3. 意図が伝わるコードになっているか?
- 一時的な変数や処理が「なぜ必要なのか」が読み取れる
-
「マジックナンバー」(例:
if (status === 3)
)に意味付けがある(定数化など) - ロジックの背景が読めないときは、素直にコメントで聞けている
✅ 補足:「この書き方にした理由は何か?」を見てみよう!
🔹4. チームやプロジェクトのルールに沿っているか?
- インデントやスペースなど、フォーマットが統一されている
- 使用禁止・推奨されている関数やライブラリを守っている
- 命名やディレクトリ構造が他のファイルと合っている
✅ 補足:ルール違反=動いてもチームで困るコードになります
🔹5. 将来の修正がしやすそうか?
- 同じ処理が繰り返し出てきていない(共通関数化できそうか?)
- 特定の条件に強く依存していない(汎用性があるか)
- 仕様が変わっても影響範囲を把握しやすい作りになっている
✅ 補足:「半年後の自分が読むつもり」で見てみよう!
🔹6. 安全に動くか?
- 例外処理(エラー時の挙動)が入っているか
- null/undefined、0除算、型エラーの対策がされているか
- APIやDBアクセスなどの外部要因に対して耐性があるか
✅ 補足:「壊れにくさ」もコードの大事な性能のひとつです!
🔹7. テストや確認がされているか?
- ユニットテストがある(なければテスト観点を確認)
- 実際に動かしてみて、入力→出力が想定通りか確認したか
- 境界値や異常系(例:空配列、nullなど)にも対応しているか
✅ 補足:テストされていないコードは「信用されないコード」です!
👂 最後に:レビューは「間違い探し」ではなく「意図探し」
レビューでは、
- 「このコード、なぜこう書いたのか?」
- 「他にもっと良い方法はないか?」
- 「将来の自分やチームが困らないか?」
といった “相手の意図を読み取る姿勢” が何より大事です。
✨一歩上を目指すには
- “気づいたこと”はメモにする(自分の学びになる!)
- “わからなかったこと”は素直に聞く(恥ではなく成長のチャンス!)
- “良いところ”も言語化して伝える(チームに温かさが生まれる!)
📥 テンプレート付き:コメント例(コピペOK)
❓「この部分、こう書いた意図があれば教えてほしいです」
💡「この変数名、〇〇という意味でしたら `totalAmount` みたいな名前にしてみいいかも?」
👍「ここの条件分岐、すごく読みやすいです!今後参考にします!」
🔚 締めくくり
レビューは「レビューされる側」だけでなく、「レビューする側が一番成長できる場」でもあります。
迷ったらこのリストを見ながら、
“そのコードが未来のチームを困らせないか” という目線を忘れずにチェックしていきましょう!
💬 実際のレビューコメント例集
👶 新人向け(〜1年目)
🎯 目的:コーディングの基礎や命名の意図、処理の流れを理解してもらう
❓ この変数名の `tmp` は何を表していますか?もう少しこの変数の意味が分かる名前にすると後で、読み返す時に困らないようにしたいです。
💡 `if` 文の中で複数のことをしているようなので、一度、関数に切り出してみるのも良いかもしれませんね。フローチャートなどで整理すると良いかもですね。
✅ この処理の順番、入力→検証→出力 で流れが自然でとても読みやすかったです!
❓ この処理は「ユーザーが存在しないとき」の対応をしていると思うのですが、エラーメッセージやログの出力は必要ないでしょうか?
👨 入社3年目向け
🎯 目的:設計意図、再利用性、チーム方針との整合性を問う
💡 この `calculateScore` 関数、以前別のファイルにも似た処理があった気がするのですが、共通化の余地があるかもしれませんね。
❓ このアプローチ、`async/await` ではなく `Promise.then()` を選んだ理由もしくは意図があれば教えてください!
👍 条件分岐が整理されていて、例外処理まで丁寧にカバーされているのが好印象でした!
🧭 チームでは原則、ユーティリティ関数は `utils/` 以下に置いているので、配置場所を再確認していただけると嬉しいです。
👴 10年目向け
🎯 目的:保守性、設計思想、開発方針との一貫性をレビュー対象にする
🧠 このロジック、現時点では明快ですが、条件が今後追加される可能性も考慮するとステートパターン *1 のような分離が適しているかもしれません。
❓ `isAvailable()` の判断ロジックが少し複雑になってきているように見えました。将来的な改修を見越して、責務を分割する可能性は考えてみてもいいかもしれません
📌 型安全性は確保されていますが、チームとしては zod *2 のような schema validation も積極的に取り入れていく方針なので、一度試すのもアリかと思います。
👍 「ドメインの概念が関数の粒度に反映されている」点、とても良いと思いました。今後の実装でも参考にしていきたいです!
*1 ステートパターン(State Pattern)は、オブジェクトの状態(=内部の条件)に応じて、振る舞い(メソッドの処理内容)を切り替えるデザインパターン
*2 zod とは、TypeScript 向けのスキーマベースのバリデーションライブラリ
🧙♂️ 20年目以上向け(CTO・テックリードクラス)
🎯 目的:レビューの方向性、組織設計、育成・文化継承の視点から
🪴 この実装、スコープ的には問題ありませんが、今回若手メンバーが読んだときの“認知負荷”をもう少し下げる工夫もあると、育成にも繋がりそうですね。
🔄 設計的にはベストに近いと思いますが、新人の方にも伝わるようドメイン用語の定義やユビキタス言語の整備をコードコメントに含めてもいいかもしれません。
🧭 このレビュー対象箇所は、今後拡張の中心になると見込まれるので、レビュー時点で設計判断の背景を明記しておくと、未来のチームが助かります。
🌱 若手がこの設計に挑戦してくれているのは非常に良い流れだと思います。もし時間が取れれば、一緒に設計レビューの回を設けるのもありかもしれません。
📝まとめ:各キャリア層でのコメントの変化
キャリア | コメントの主眼 | 推奨スタイル |
---|---|---|
新人 | 書き方と意図理解 | やさしく具体的に、問いかけ+補足 |
3年目 | 改善と選択の理由 | 自由度を与えつつも論点を明確に |
10年目 | 設計判断と保守性 | 技術の背景+チーム整合性を問う |
20年目 | 方針と文化形成 | 視野広く、未来・人材・組織を意識 |
✅ よくある悪いレビューコメント例 vs 良いコメント例
👶 新人向け(〜1年目)
🎯 目的:基本的な文法、命名、可読性の向上と“意図を持つこと”を育てる
❌ 悪いコメント例
変数名がダメ。もっとちゃんと考えてください。
✅ 良いコメント例
この `tmp` は「一時的な合計」だと理解しましたが、`totalTempValue` のように具体的な意味を含めると、後から読む人にとってもわかりやすくなりますよ!
❌ 悪いコメント例
この書き方じゃ読めない。書き直してください。
✅ 良いコメント例
この`if`文、少しネストが深くなっていて読みづらく感じました。
例えば `isValid()` を先に変数にして分岐を明確にすると、ロジックの意図がより伝わると思います!
👨💻 入社3年目向け
🎯 目的:設計判断、再利用性、チーム方針との整合性を意識させる
❌ 悪いコメント例
こんなロジック初めて見た。僕ならやらない。
✅ 良いコメント例
このロジック、初見だと少し意図がつかみにくかったのですが、何か前提条件や業務背景がある意図なのでしょうか。念のため、処理順と例外時の動作も確認させてください!
❌ 悪いコメント例
Promise使うとか時代遅れ。async/awaitにして。
✅ 良いコメント例
この非同期処理は `Promise.then()` を使っていますが、チームでは最近 `async/await` で統一しているので、読みやすさの観点からも変更を検討いただけるとありがたいです!
👴 10年目向け
🎯 目的:保守性・拡張性・チーム技術方針の視点からレビュー
❌ 悪いコメント例
この設計、ややこしすぎてメンテできないのでやめてください。
✅ 良いコメント例
この設計は現在の要件にはマッチしていますが、将来的に責務が拡張された場合に、依存関係が複雑化する可能性もあります。例えば、Strategyパターンや分割の選択肢もあるかもしれません検討してみませんか?
❌ 悪いコメント例
こういうときは昔からこの書き方だって決まってる。
✅ 良いコメント例
過去に同様のロジックでトラブルがあったことがあり、この書き方をチームでは推奨しています。
今の要件に照らしても、そちらを採用するメリットがあると思いますが、もし、他の案があれば聞かせてください。
🧙♂️ 20年目以上向け(CTO・テックリード)
🎯 目的:技術方針・文化形成・育成視点でレビューする
❌ 悪いコメント例
まあいいんじゃない。好きにして。
✅ 良いコメント例
このアプローチ、少しチャレンジングですが、判断の意図が伝わってきて良いですね。
他メンバーが同様の状況に直面したときに備えて、ドキュメント化しておくとチームの財産になると思います。
❌ 悪いコメント例
これはもうレビューするまでもない。昔からこうだから。
✅ 良いコメント例
この方針は長年使っているものですが、時代や規模の変化に合わせて定期的に見直していけるといいですね。
一度、設計会議などで代替案の検討をテーマにしても面白そうです。
📝 まとめ:良いレビューは「納得・育成・共感」がある
キャリア | 悪いレビュー傾向 | 良いレビューの特徴 |
---|---|---|
新人 | 抽象的・上から目線 | 丁寧で具体的、意図を引き出す |
3年目 | 自分基準で断定 | 背景を聞き、改善提案に変える |
10年目 | 保守的・拒否的 | 未来への懸念と共に選択肢を提示 |
20年目 | 無関心・省略 | チーム文化・育成に寄与する助言 |
✅ コードレビュー時に使える「共感ワード」ポジティブテンプレート集
〜 心が通うレビューは、チームを強くする 〜
🌱 1. 初めての実装へのエール
🌸 初めての実装とは思えないくらい、丁寧に考えられていて素晴らしいです!
💡 書き方もきれいで、意図がとても読み取りやすかったです。読みながら「勉強になるな〜!」と思っていました。
✨ このコード、工夫がありすごくいいと思いました。また、どの部分に一番時間を割いたか、今度詳しく聞かせてください!
👀 2. 小さな工夫に気づいたとき
🌼 このコメント、とても助かります!細やかな気遣いが伝わってきました。
💫 この処理の順番、ちゃんと目線が読み手に沿っていて、コードに優しさを感じました!
🎯 この命名、シンプルなのに機能をちゃんと表していて、今後真似したいです…!
🔁 3. 改善の余地がありそうな時の“やんわり提案”
🔍 この書き方、たしかに動きますし読みやすいですね!
ただ、将来この部分が拡張されるとしたら、〇〇の形にしておくと安全かもしれません。一緒に検討してみませんか?
👀 なるほど、この方法も面白いですね!
一方で、〇〇パターンだと少し簡潔になるかもです。シンプルにできるか一度別の方法も試してみませんか?時間ある時に声かけて欲しいです。
💭 ここの処理、背景があってこの対応をされたと思うのですが、もしよければどういう意図か教えていただけますか?チームとして参考にしたいです!
🌟 4. 読みやすくて助かった!という気持ち
📘 めちゃくちゃ読みやすくて、レビューできました…!ありがとうございます!
💬 コメントも明確で、レビューしながら納得できるところが多かったです。実装も含めてすごく丁寧ですね!
👣 コードをたどると考え方が自然と浮かんでくる感じで、「こういう書き方っていいな」と思いました。
💌 5. チームに良い影響を与えるコードだったとき
💎 このコード、他のメンバーにとってもすごくいい参考になりそうですね。ポイントをドキュメントかslackに共有してもらえると嬉しいです!
🧭 実装の中に、判断の軸や意図がちゃんと見えて、素晴らしいなと感じました。チーム全体的に今後の開発の文化として残しておきたいですね。
🏕 こういう“ちょっとした設計の工夫”って、後から大きな価値になりますよね。気づいて実装できることってなかなかできないので、すごいです!
☕ 6. 最後に添えたい、ほんの一言の気遣い
お疲れさまでした!!ひと休み、一緒にコーヒーでも飲みましょう
細部まで気を配ったコードから、誠実さが伝わってきました。ありがとうございます!
いいコードって、書いた人の人柄が出ますね。この実装、とても好きです。
📝 まとめ:共感コメントの3原則
項目 | 内容 |
---|---|
🎯 ねぎらい | 「丁寧さ」「頑張り」「気遣い」に気づいて言葉にする |
💬 感動 | 「読みやすさ」「工夫」に対して“嬉しい気持ち”で返す |
🤝 対話 | 「なぜこうしたの?」を責めずに“一緒に考える姿勢”を示す |
📥 ダウンロード用まとめ形式(例)
シーン | コメント例 |
---|---|
初めてのPR | 初めての実装とは思えないほど丁寧で読みやすいです!素敵です! |
命名のセンス | この命名、とても伝わりやすくて読みながら心地よかったです |
改善提案時 | この実装も良いですが、将来拡張される可能性を考えると〇〇の形もありかもです!どうでしょう? |
🎁 おまけ:SlackやPRで使える絵文字付きテンプレ
💡 なるほど、そういう考え方だったんですね!参考になります 🙏
📌 ここの工夫、地味にめちゃくちゃ効いてて感動しました…!
👏 読みやすくて、読みながらうなずいてしまいました!
🌱 チームの財産になるコードですね!ありがとう!
✅ 上司・後輩それぞれへのレビューの工夫
〜 対話と時代の流れを意識して、レビューは“信頼の橋”になる 〜
👥 なぜ「相手によってレビューの伝え方を変える」必要があるのか?
- 同じ指摘でも「立場」「世代」「文化」で伝わり方は大きく変わる
- 正しいことも、伝え方を間違えれば「壁」になってしまう
- レビューとは「指摘」ではなく「対話の入り口」
🔻 シチュエーション別:よくあるつまずき
相手 | よくある悩み |
---|---|
上司 | 指摘しにくい・遠慮しすぎる・空気を読みすぎて黙る |
後輩 | 全部教えたくなる・正解を押しつけてしまう・感情が出る |
世代ギャップ | 論理優先vs共感優先、ドキュメント派vs動画派、Slack派vs口頭派 |
👔 上司へのレビューの工夫
🎯 ポイント:
- “ダメ出し”でなく、“確認”をベースに
- 上司の判断に「敬意を持った疑問」を投げる
- 指摘より信頼関係を優先する
✅ 実践コメント例
🙇♂️ この部分、他の設計方針と少し違っていたので、背景を伺えますか?私の理解不足でしたらすみません。
💡 もし意図的にこの形にされた理由があれば、ぜひ共有いただけると嬉しいです!学びにしたいです。
🧭 この設計判断、今後もチーム標準になりそうなので、レビューを機に一度共有会などで深掘りしてもよいかもしれません!
🔑 「対等な敬意 × 共有の提案」で、指摘ではなくチームの前進を促す
👶 後輩へのレビューの工夫
🎯 ポイント:
- 正解を与えるのではなく「考え方を育てる」
- 書き方ではなく「考え方」にコメントする
- 萎縮させずに「やってみて良かった」と思わせる
✅ 実践コメント例
🌱 ここ、どう書こうかすごく悩んだんじゃないかなと思いました。実装の工夫が伝わってきて良かったです!
💬 このやり方も動きますが、〇〇という条件が追加されたときにどうなるか、一緒に考えてみませんか?
👏 命名や処理の順番など、よく僕・私もつまづいたんです。ここよく押さえていてすごいです!あとでチームメモにも共有しましょう!
🔑 「認める→問う→引き出す」が黄金の流れ
伝え方ひとつで、“指導”が“信頼”に変わる
🌏 時代の流れとレビューの変化
昔ながら | これからのレビュー |
---|---|
指摘・修正中心 | 対話・納得感重視 |
書いた人に責任 | チームで育てる意識 |
正しさの主張 | 意図の引き出し・解釈の共有 |
無言のレビュー | コメント+温度のある声かけ |
🗣 Z世代・若手とのレビュー文化
- 「いきなり修正される」ことにストレスを感じる → 理由+会話が大事
- 「褒められ慣れていない」 → ポジティブフィードバックを明示的に
- 「納得しないと覚えない」 → "なぜそれが良いか"の説明のフォローを
📝 最後に:レビューは“評価”ではなく“信頼構築の儀式”
レビューで伝わるのは、コードの良し悪しだけではありません。
- 「あなたの努力を見ています」
- 「もっと良くなる可能性を信じています」
- 「このチームで共に成長していきましょう」
そんなメッセージが込められているとき、
レビューは、ただの指摘の場から、チーム文化の育成場へと進化します。
💬 まとめテンプレート:上司・後輩への使い分け早見表
相手 | NGパターン | OKワード例 |
---|---|---|
上司 | 無言 or 無遠慮な修正 | 「確認させてください」「背景を教えていただけますか」 |
後輩 | ダメ出し、正解押し付け | 「ここ、すごく良い方針です!」「一緒に考えてみましょう」 |
両者共通 | 感情・疲労が出るレビュー | 「お疲れさまです!」「丁寧さが伝わります」 |
必要なものがあれば、いつでもご相談ください!
✅ レビューにおける「新しい技術トレンド」との付き合い方
~ 指摘せず、押しつけず、共に学ぶ ~
🎯 はじめに:「技術の進化は、レビューに映る」
コードレビューとは、ただコードの正誤を判断する場ではありません。
それは同時に、「その人がどんな技術を選び、どんな未来を描こうとしたのか」を読み解く場です。
そこに新しい技術トレンドが含まれていると、次のようなすれ違いが起こりがちです:
- 「なぜこのライブラリを?」(上司)
- 「その書き方、うちのルールと違いますよ」(先輩)
- 「知らないので却下されそう…」(後輩)
つまり、**レビューは“技術と世代の交差点”**でもあります。
👶 新人のレビュー × 新技術トレンド
💡 よくあるケース:
- 公式ドキュメントにあるからと、最新のAPIや構文を使う
- ChatGPTやYouTubeで得た知識をそのまま実装する
- 「これが流行ってるらしいから」と使ってみる
⚠️ ありがちな失敗:
- なぜその技術を選んだか説明できない
- 「試したい」気持ちはあるが、レビューでうまく伝えられず却下
- 規約や既存コードに合わず「浮いた実装」になる
✅ レビュワーの接し方:
🌱 「新しい書き方ですね!この構文、どこで知ったか教えてもらえますか?背景を知っておきたいです」
💡 「このライブラリ、初見でした。実装したきっかけや選定理由があれば、学びたいので教えてもらえますか?」
👍 「知らない技術を試せた勇気、素晴らしいと思います。あとでチームにも紹介しましょう!」
👨💻 3年目のレビュー × 新技術トレンド
💡 よくあるケース:
- React Server Components、Vite、Zod、TanStack Query…新しいものに次々挑戦
- 「これは便利だから」と導入したい気持ちが強くなる
- 一方、レビューで「それ必要?」と止められることも
⚠️ ありがちな失敗:
- ベストプラクティスを“押しつけるレビュー”になりがち
- なぜ今それを使うべきかの文脈不足
- 現場と理想のギャップにストレス
✅ レビュワーの接し方:
📘 「このライブラリ、たしかに便利ですね!ただ、導入コストや既存コードへの影響も含めて一緒に検討しましょう」
🤝 「この構文、React 18以降では標準になるかもですね。PoCで切り出して試せそうですか?」
📚 「チーム内でキャッチアップが必要そうなので、READMEや使用例があると嬉しいです!」
👴 10年目のレビュー × 新技術トレンド
💡 よくあるケース:
- 過去に流行った技術の“黒歴史”を思い出す
- 「そのやり方、昔試して失敗したぞ…」という経験から慎重に
- 安定性・既存資産を優先したくなる
⚠️ ありがちな失敗:
- 拒絶反応として「知らないからNG」としてしまう
- レビューが守り一辺倒になり、若手が萎縮
- チームの進化を“抑制”してしまうことも
✅ レビュワーの接し方:
🧠 「この技術、以前似た構成でトラブルがあったのですが、今は改善されていそうですね。どうリスクを見積もっていますか?」
🧭 「このやり方、初見ですが挑戦的で面白いですね。まずは限定範囲で導入してみるのはアリかもです」
🌱 「個人的には昔ながらの方式に慣れていますが、新しい選択肢として理解しておきたいです。良ければ詳しく教えてください」
🧙♂️ 20年目(リード・CTOクラス)のレビュー × 新技術トレンド
💡 よくあるケース:
- 「それ、うちのチームで本当に必要?」
- 検証・リファクタの工数・教育コストがまず頭に浮かぶ
- 「保守できるか」「再現性があるか」を重視する
⚠️ ありがちな失敗:
- 判断が“自分の知ってる世界”に限定される
- 評価よりも沈黙してスルーしてしまう
- 技術選定の透明性が下がり、属人化
✅ レビュワーの工夫:
📈 「この技術選定、導入と保守のコストの見積もりまで考えているなら素晴らしいですね。今後の標準化を視野に検証してみませんか?」
🪴 「この設計、レビューしたことで私自身も勉強になりました。将来の育成観点でも、この知見をチームに展開してみたいですね」
📌 「この技術が選ばれた理由と、その判断基準を言語化してくれると、他のリーダー陣にも共有しやすくなります!」
✨ まとめ:レビューは「技術トレンドとの距離感をチューニングする場」
キャリア | 主な課題 | ベストな姿勢 |
---|---|---|
新人 | 使いたいけど理由が言えない | 背景を聞いて、良い挑戦を褒める |
3年目 | 押しつけがち・理想先行 | 共に検証する仲間としての対話 |
10年目 | 保守的になりがち | リスク管理の視点から可能性を探る |
20年目 | 無関心や拒絶 | 判断・承認・文化継承の起点にする |
💬 最後に
新しい技術をレビューで見かけたとき、それは「流行りだから」ではなく、
**その人なりに課題を解決しようとした“選択の痕跡”**です。
レビューとは、その選択に「共に耳を傾ける」行為。
- 拒絶するのではなく、問いかける
- 直すのではなく、引き出す
- 指摘ではなく、共有する
その先にこそ、チームとしての技術進化が待っています。
🧭 レビューにおける「本当の価値」と「マネジメント転向」のバランス
〜 コードを見る目が、組織と事業の未来を左右する 〜
✅ 1. レビューの「本当の価値」は、利益を生む判断の起点
レビューは単なる「技術チェック」ではない:
- コストのかかる設計を未然に防ぐ
- サービス障害を回避する余地を残す
- 開発スピードを落とす非効率に気づく
- チームの属人性やスキル格差を可視化する
つまりレビューとは、品質担保と同時に「損失回避」と「利益最大化」の意思決定地点でもあります。
💰 2. 本質的な価値とレビューは両立できるか?
✔️「利益に寄与するレビュー」とは何か?
観点 | 例 |
---|---|
保守性 | 将来の改修コストが抑えられる設計か? |
再利用性 | 機能が別のプロダクトでも使いまわせるか? |
スピード感 | 今回は多少“雑”でも、市場タイミング的に出すべきか? |
トラブル防止 | バグの影響範囲が限定されているか?ログで検知できるか? |
→ レビューとは、「事業判断の一端を担う場所」でもある。
🧩 3. マネジメント転向との葛藤:レビューから離れる不安
❓ よくある葛藤:
- 「コードを見ないと、自分の技術が衰えるのでは?」
- 「手を動かさない自分に存在価値はあるのか?」
- 「レビューをメンバー任せにしたら、品質が落ちるのでは?」
これは自然な感情です。
ただし、それを乗り越える鍵は、**「レビューの再定義」**にあります。
🔄 4. 技術レビュー → 組織レビューへのアップデート
👨💼 マネジメント転向者に求められる新しいレビューの形
従来のレビュー | マネジメントとしてのレビュー |
---|---|
コードの内容を見る | 判断基準とプロセスをレビューする |
ミスを正す | 判断できるチームを育てる |
品質を担保する | 学習機会・文化・伝達手段を設計する |
つまり、「コード」ではなく「レビュー文化」そのものを育てる立場へ。
📌 5. マネジメント転向後も技術視点を活かすには?
✅ 実践アドバイス:
-
PoCやアーキ設計フェーズだけレビューに入る
→ 設計の判断基準だけ明示し、詳細実装は任せる
-
「レビューガイドライン」を整備・育成
→ 自分がレビューしなくても品質が保たれるチームへ
-
若手のレビュー力を評価制度に反映
→ レビュー=責任・成長の指標とする
-
コードを「通す」ことより「語る」ことを重視
→ 「なぜこう書いたか」「どう考えたか」の対話設計へ
💬 6. マネタイズ × マネジメント × レビューの交点
質問 | 視点 |
---|---|
このレビューで避けられる損失は? | ✅ コスト削減視点 |
この実装が将来、事業拡大に耐えられるか? | ✅ スケーラビリティ視点 |
このレビューを通じて、誰がどう成長するか? | ✅ 組織育成視点 |
このレビューの形式は再現性があるか? | ✅ ナレッジ伝承視点 |
→ つまり、レビューは「技術判断を通じて、利益と人材と文化を設計する行為」へと昇華する。
✨ レビューは、経営的・文化的資産である
- CTOやマネージャーは「レビューの内容」より「レビューの構造と目的」を見る
- 技術に触れない=技術を捨てる、ではない
- 技術判断力こそが「レビュー文化の設計者」として最も重要な武器
🧠 補足:マネージャーが使えるレビュー戦略3選
戦略 | 内容 |
---|---|
📚 ドキュメントレビューの導入 | PRだけでなく設計書・仕様書にもレビュー文化を波及 |
🧪 技術方針レビュータイム | 月1で「なぜこの技術を選んだか」レビュー会を開催 |
👥 ピアレビュー育成 | 「レビューできる人を育てる」ことをミッションにする |
🎁 最後に:
あなたの1行のレビューが、「若手がコードを書く意味」や「このチームにいていいという実感」に繋がるかもしれません。
ベテランの言葉には重みと希望があります。
レビューはコードだけでなく、人をレビューしている自分自身を映す鏡でもあります。
その言葉が、チームにとってどんな景色を見せているかを、改めて振り返ってみてください。
✨ 最後に
「レビューとはチームで書くプログラムとチームの本質的な価値を上げること」
レビューとは、「自分と異なる視点を受け入れる訓練」であり、「共に良いプロダクトを育てる行為」でもあります。
どのキャリア層でも、レビューを“個人の能力判定の場”にしてしまうと、チームの雰囲気は悪化し、生産性も落ちます。
プロフェッショナルの意識を持ちチームビルディングでより持続的した開発環境をみんなで――
- 「コード」ではなく「意図」を読む
- 「自分の意見」ではなく「チームの原則」で語る
- 「正す」より「伸ばす」レビューができる人
📝あとがき:
この記事が、あなたのチームにおけるレビュー文化の成熟と、次世代エンジニアとのより良い対話の一助になれば幸いです。