博士号を取って本当に良かった。
私は2015年4月に大阪大学 基礎工学部 システム科学科に合格し、そのまま大学院へ進学、2024年春に博士課程を卒業しました。
卒業要件(=論文の件数)がギリギリなのが少し恥ずかしいですが、一応ストレート卒業です。
実は学部3年生までは、修士で卒業して三菱重工で戦闘機やロケットの制御に関わる事が「現実的な」夢でした。
しかし 博士を取ったおかげで、 今は「小学生の頃からの夢」であるヒューマノイドの研究・開発を仕事にしています。
一般的な企業は旧帝大の修士卒でも配属部署ガチャがあります。
しかし博士は中途採用枠だったため、公募があれば狙ったポジション(=研究チーム)に一点賭けでエントリーできます。これは修士では決して出来ない、 超贅沢かつ私の生涯で最も価値のある「選択権」 でした。
配属ガチャ免除です。自分の人生を運に任せず、100%自分でコントロールできます。この価値が分かる人は博士行くべきです。
博士が就職困難という噂
恐らくウソです。
私の主観ですが、周囲の博士は就職に困っていません。恐らく工学系・情報系だからです。
文系の博士は企業にとって戦力になりづらいと聞きます。その話の主語が大きくなったんじゃないかな、と。
私の周囲の博士卒業後の進路は、
大企業に就職:3名 (NTT,トヨタ)
大学でポスドク:1名 (阪大)
政府の研究機関:3名 (産総研)
ベンチャー企業:6名 (うち5名が東京)
海外:2名 (カナダ)
という感じです。
ベンチャー企業に就職する博士は結構多いです。
これも冒頭の「選択権」と同じ話で、博士のような尖った人達が目指す「やりたい仕事」、「挑戦したい開発」がベンチャー企業の方が多いため、皆さん業務内容に比重を置いてエントリーする傾向があるんだと思います。
博士に行くべき人、行かないべき人
・今の研究テーマが好き
・夢がある
・徹夜で研究してる
・教授から背中を押される
上記1つでも当てはまれば博士に行って良いと思います。
少なくとも私の周りで「博士行って後悔した~」って話は聞いたことがありません。行っていいんです。
博士の就活
学部卒や修士卒の人は、旧帝大院の理系だろうが「SPI試験」だの「夏季インターン」だの「就職説明会」だの、いわゆる日本の就活をします。
私は何もしませんでした。
ただ目の前のロボットを歩かせる事で頭が一杯で、毎日研究室でC++と論文を書いてました。
世間知らずの馬鹿すぎて就職なんて目もくれてませんでした。
トヨタ未来創生センターを知ったのは博士2年の10月末、IROS2022(京都)の企業展示ブースで、WovenCityと並んでロボットを展示していました。Wovenのロボットの方がカッコよくて、当時はWovenの社員さんと名刺交換&研究紹介してました。
その1ヵ月後、YouTubeでトヨタのロボット開発のライブ配信があると噂があり、これが決め手となってエントリーしました。
入社前に自分の上司を選べた事が最大の決め手です。
この人たち全員天才だって直観で感じました。
今では毎日話す仲ですが、やはり皆さん本当に凄いです。僕なんかデコピンで吹き飛びます。
以上のように、博士の就活がトリッキーなのは本当だと思います。群れの流れに乗って新卒向け企業説明会とか行く次元じゃないです。
自分で考え、単独で行動に移せる人じゃないと厳しいと思います。
最後に
博士に行くか悩んでいる、という後輩からよく相談を受けます。
自分の研究室レベルで結構いるという事は、日本中にもっと沢山いるんだと思います。
悩める学生の判断材料になる情報が非常に少ないため、本記事が何らかの助けになれば幸いです。