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Microsoft 365とオンプレミスサーバーの比較と共存戦略

Last updated at Posted at 2025-12-25

はじめに

近年、多くの企業でクラウド活用が当たり前になりつつあり、その中心にあるのが Microsoft 365(M365) です。一方で、長年利用してきたオンプレミスサーバーをすぐに手放すのは難しく、現在も多くの企業が両者の使い分けや共存に悩んでいます。

  • 「クラウド移行が重要なのは理解しているが、すべてを一気に移行するのは不安」
  • 「既存のオンプレミス環境や業務システムを活かしたまま、M365のメリットを取り入れたい」

こうした声は多く、完全クラウドか、オンプレ継続かという二択ではなく、ハイブリッド構成という現実的な選択肢が注目されています。

本記事では、以下の観点からMicrosoft 365とオンプレミスサーバーを詳しく解説します。

  • Microsoft 365とオンプレミスサーバーの違いと比較
  • Microsoft 365とオンプレミスサーバーのメリット・デメリット
  • ハイブリッド構成とは何か
  • ハイブリッド構成のメリット・デメリット
  • ハイブリッド構成の代表的なパターン
  • 移行・共存時の注意点とベストプラクティス
  • まとめ

1. Microsoft 365とオンプレミスサーバーの違いと比較

まず、Microsoft 365とオンプレミスサーバーの違いを整理します。

項目 Microsoft 365 オンプレミス
導入コスト サブスクリプション型(初期費用が低い) ハードウェア・ライセンス購入(初期費用が高い)
運用負担 Microsoftが管理(自動更新・保守) 自社で管理(パッチ適用・障害対応)
可用性 SLA 99.9%(冗長構成が標準) 設計・予算次第
セキュリティ Microsoftが提供する高度なセキュリティ機能 自社ポリシー・運用レベルに依存
拡張性 ユーザー追加・縮小が容易 ハードウェア制約あり
利用場所 インターネットがあれば利用可能 社内ネットワーク中心

Microsoft 365の特徴

  • メール(Exchange Online)、ファイル共有(SharePoint/OneDrive)、コミュニケーション(Teams)などをクラウド上で包括的に提供
  • サーバー管理が不要
  • 常に最新バージョンを利用可能
  • テレワーク・モバイルワークと相性が良い

オンプレミスサーバーの特徴

  • 自社内(またはデータセンター)にサーバーを設置し、自社で管理
  • 独自システムとの密接な連携
  • 細かいカスタマイズ
  • データを社外に出さない運用

オンプレミスで利用できるサービス例

  • メールサーバー(Exchange Server など)
  • ファイルサーバー(Windowsファイルサーバー など)
  • 認証基盤(Active Directory)

2. Microsoft 365とオンプレミスサーバーのメリット・デメリット

Microsoft 365のメリット

  • サーバー運用・保守の負担が大幅に削減
  • リモートワーク・モバイル対応が容易
  • セキュリティ対策・機能改善が自動で反映
  • 利用人数の増減に柔軟に対応可能

Microsoft 365のデメリット

  • 月額コストが継続的に発生
  • 一部カスタマイズ制限あり

オンプレミスのメリット

  • 自社要件に合わせた自由な設計
  • 既存業務システムとの高い親和性
  • データを自社内に保持できる安心感

オンプレミスのデメリット

  • 運用・保守の属人化
  • ハードウェア更新のコスト
  • 災害対策・可用性確保が課題

3. ハイブリッド構成とは?

ハイブリッド構成とは、M365とオンプレミスサーバーを組み合わせて利用する構成を指します。
スクリーンショット 2025-12-25 095554.png

すべてを一気にM365へ移行するのではなく、

  • クラウドが得意な領域はM365を活用
  • オンプレミスで残すべきシステムは継続利用

とすることで、業務影響を抑えながら段階的な移行が可能になります。


4. ハイブリッド構成のメリット・デメリット

ハイブリッド構成のメリット

  • 段階的なクラウド移行が可能
  • M365とオンプレミスの強みを用途ごとに使い分けられる
  • 既存のADや業務システムを継続利用できる
  • ユーザー体験を大きく変えずにクラウド活用を進められる

ハイブリッド構成のデメリット

  • 構成が複雑になり、設計・運用の難易度が上がる
  • M365とオンプレミス双方の知識・スキルが必要になる
  • オンプレミス運用コストとM365ライセンス費用が同時に発生する

5. ハイブリッド構成の代表的なパターン

多くの企業が採用しているのは、Microsoft 365のExchange Onlineを共存させる構成です。

代表的なハイブリッド構成

Exchange Hybrid

  • オンプレミスのExchange Serverと、M365のExchange Onlineを共存
  • 一部ユーザーはオンプレメール
  • 一部ユーザーはクラウドメール
  • メールフローやアドレス帳は統合
  • 段階的なメール移行を希望する企業でよく採用

Azure AD Connect

  • オンプレミスActive Directory(AD)と、Microsoft Entra ID(旧 Azure AD)の同期
  • ユーザーID・パスワードを統合
  • シングルサインオン(SSO)を実現
  • 既存AD資産を活用可能
  • 既存オンプレミスAD環境を持つ企業において、M365導入時にはほぼ必須

6. 移行・共存時の注意点とベストプラクティス

ID管理の統合

  • Azure AD Connectを活用し、IDを一本化することがハイブリッド成功の鍵
  • パスワード管理の簡素化
  • ユーザーの混乱防止
  • セキュリティポリシーの統一

ネットワーク設計

  • VPNによる安全な接続
  • より安定性を求める場合はExpressRoute
  • クラウド前提のネットワーク設計に見直すことが重要

ライセンス・コスト管理

  • オンプレミス+M365の二重コストに注意
  • 利用実態に合わせたライセンス最適化
  • 「とりあえず全部E5」は避け、段階的な見直しがおすすめ

7. まとめ

Microsoft 365への完全クラウド移行は理想的ですが、すべての企業にとって現実的とは限りません。

そのため、

  • 業務要件
  • 法規制・セキュリティ
  • コストと運用体制

を軸に、オンプレミスとMicrosoft 365を組み合わせたハイブリッド構成を検討することが、多くの企業にとって最適解となります。

段階的な移行とID統合を意識し、自社に合ったIT基盤を構築していきましょう。

さいごに

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