「まだ使われているの?」と聞かれることも多いですが、
実は今でも現役で稼働しているレガシー × ローコード基盤です。
- 「Notes/Dominoって名前だけ聞いたことある」
- 「正直よくわからない」
- 「突然保守を引き継ぐことになった…」
そんな方向けに、今さら聞けない Notes/Domino の基本をまとめます。
製品としての歴史は長いですが、現在でも業務システムとして利用されている企業は存在します。
目次
- Notes/Dominoとは何か
- データの単位:NSFファイル
- 何ができるのか
- 基本構成
- ワークスペース
- 基本用語
- メリット・デメリット
- Microsoft 365との比較
- 今後のNotes/Dominoの位置づけ
- まとめ
Notes/Dominoとは何か
Notes/Dominoは、Lotus → IBM → HCL と受け継がれてきた、日本でも長年利用されてきたグループウェア基盤です。
2026年2月時点の最新バージョンは 14.5 と、現在も開発が継続されています。
主な構成は次の通りです。
- HCL Domino:サーバー製品
- HCL Notes:クライアント製品
一般的にはまとめて「Notes」と呼ばれますが、
実際には サーバー(Domino)とクライアント(Notes)の組み合わせが前提となっています。
さらに、開発・管理向けに次の専用クライアントが用意されています。
- Domino Designer:NSFアプリを作成する開発ツール
- Domino Administrator:ユーザー管理やサーバー設定を行う管理ツール
データの単位:NSFファイル
Notes/Dominoでは、DB = NSFファイルという考え方です。
- 拡張子:
.nsf
NSFの中には大きく分けて3つの要素が格納されます。
- 文書(データ)
- 設計要素(フォーム、ビュー、スクリプト)
- アクセス権限
つまり、アプリケーションを丸ごと1ファイルで管理できるのが特徴です。
そのため、コピーや配布が非常に簡単という利点があります。
何ができるのか
代表的な用途は次の通りです。
標準機能
- メール・スケジュール
- 会議招集・施設予約
- ユーザー・グループ管理
- ディスカッション掲示板
- 文書ライブラリ
いわゆる基本的なグループウェア機能が揃っています。
エンタープライズ機能(業務アプリ)
以下のような業務アプリをローコードで作成できるのが大きな特徴です。
- 稟議申請
- 問い合わせ管理
- 台帳管理
- 案件管理
- ナレッジ管理
- メッセージ
- Webサーバー
- モバイルアプリ
2000年代には、社内アプリ基盤として爆発的に普及しました。
レプリケーション(同期)
Notes/Dominoの大きな特徴が、NSF単位でのレプリケーションです。
- サーバー間同期
- クライアントとサーバーの同期
- オフライン作業 → 後で同期
Notes/Dominoでは、NSFファイル単位でレプリケーションが行われます。
サーバー間ではNSFそのものを複製し、Notesクライアントはサーバー上にあるNSFのレプリカと同期する仕組みです。
そのため、クライアント同士が直接同期するわけではありませんが、サーバーを介して結果的に同じデータを共有できるようになっています。
ネットワークが貧弱だった時代の設計で、 分散拠点・オフライン環境に非常に強いのが特徴です。
基本構成
Dominoサーバーの役割
- DB管理
- メール配送
- 認証
- レプリケーション管理
Notesクライアントの役割
- メール操作
- 業務アプリ利用
- 個人DB(ローカルNSF)保持
- ワークスペース
Webアクセスも可能ですが、基本はクライアント前提の設計です。
ワークスペース
ワークスペースは、Notesクライアントの起点となる画面です。
メールや業務アプリを、アイコンやタブとして自由に配置でき、
ユーザーごとに自分専用の作業環境を作ることができます。
一般的なポータル画面のように情報を一覧表示するのではなく、
業務で利用するアプリケーションへの入口をまとめた作業スペースという位置づけです。
基本用語
フォーム(Form)
入力画面のテンプレート
例:申請書フォーム、問い合わせ入力フォーム
ビュー(View)
一覧画面
例:申請一覧、案件一覧
文書(Document)
1レコードに相当するデータ単位
Notesでは「レコード」ではなく「文書」と呼びます。
エージェント(Agent)
処理を自動化する仕組み
- スケジュール実行
- 手動実行
- イベント実行
ACL(アクセス制御リスト)
DBごとにアクセス権を設定する機能
閲覧・作成・編集・管理などを、ユーザー・グループ単位で制御します。
メリット・デメリット
メリット(今でも使われている理由)
-
レプリケーションが強力
分散拠点・オフライン運用に強い -
アプリとデータが一体
NSF1ファイルで配布・複製が簡単 -
セキュリティ設計が堅牢
IDファイルによる認証 -
ワークフロー構築が得意
承認フローを作りやすい -
互換性が高い
古いアプリが最新バージョンでも動作
デメリット
- 開発者・管理者人口の減少
技術情報も少なめ - 独自技術が多い
LotusScript・Formulaなど、習得コストは高い。 - 検索が遅い
DBをまたいだ情報検索や、データの絞り込みに時間がかかる - 運用コストがかかる
Notes/Dominoのユーザーライセンス費用は1人当たり年間約13,000円程度かかる
※2026年2月6日時点の情報です
さらに、近年はMicrosoft 365などのグループウェアを別途利用するケースが多いため、コストの二重化も課題です。
今から触る人への実践アドバイス
保守・引継ぎで触る場合、まずは以下を確認しましょう。
- NSFの数と種類(DB構成)
- サーバー構成(台数・役割)
- バックアップ状況
- ユーザー・グループ数(ライセンス)
- 他プラットフォームとの連携状況
Microsoft 365との比較
Notes/Dominoだけを見ても評価しづらいため、ここでは現在のグループウェアの主流であるMicrosoft 365と比較し、その違いを整理します。
全体像の比較
| 観点 | Notes/Domino | Microsoft 365 |
|---|---|---|
| 提供形態 | オンプレミス / クラウド | クラウド(SaaS) |
| 立ち位置 | 業務アプリ開発を中心に据えた基盤 | 既成サービス活用を中心に据えた基盤 |
| 導入形態 | サーバー構築・環境準備が前提 | 契約後、初期設定を行うことで利用開始 |
| オフライン環境での利用 | 非常に強い | 限定的 |
| 運用 | OS・ミドルウェア・サーバーまで含めた運用が必要 | 基盤部分はMicrosoftが管理し、テナント・サービス設定や権限制御を運用 |
| モバイル対応 | 専用設計・調整が必要 | 基本的に標準で最適化済み |
Notes/Dominoは「自前で運用するアプリ基盤」、
Microsoft 365は「完成されたサービスを組み合わせて使う環境」という前提の違いがあります。
グループウェア機能の比較
| 機能 | Notes/Domino | Microsoft 365 |
|---|---|---|
| メール/予定表 | Notesクライアント中心 | Microsoft Outlook /Exchange Online |
| 掲示板/ナレッジ | ディスカッションDB | SharePoint Online/Microsoft Teams/Microsoft Viva Engage |
| 文書管理 | 文書ライブラリDB | SharePoint Online/OneDrive for Business |
| 稟議/ワークフロー | NSFアプリとして実装 | Power Apps + Power Automate |
| 認証 | Notes ID(証明書ベース) | Microsoft Entra ID(旧AzureActive Directory) |
データモデル・設計思想の比較
| 観点 | Notes/Domino | Microsoft 365 |
|---|---|---|
| データ構造 | 文書指向(非正規化) | リスト / テーブル指向(正規化) |
| 業務アプリの構成 | NSF(1ファイル) | 複数のサービスを組み合わせて構成 |
Notes/Dominoは「1文書に必要な情報をすべて持たせる」設計です。
そのため、画面・データ・処理をまとめて管理できます。
一方、Microsoft 365はデータ・画面・自動化が別サービスとして分離されており、スケールや検索性、外部連携に強い構造です。
今後のNotes/Dominoの位置づけ
新規導入は減少傾向ですが、 レガシー資産の継続運用としての需要は依然存在します。
触れる人が減っているからこそ、 理解している人材は現場で重宝されます。
まとめ
Notes/Dominoは、グループウェア機能、アプリ実行環境、DBを1つの基盤で完結させる設計を採用した、当時としては非常に完成度の高いグループウェア基盤です。
この設計により、
- メール / スケジュール
- 業務アプリ(ワークフロー)
- データ管理
- レプリケーション
を1つの仕組みで提供することが可能になっています。
今さらでも理解しておくことで、保守・調査・移行の現場で大いに役立つ知識になります。
さいごに
テンダでは、「こんなプロジェクトに挑戦したい」「こんなチームで働きたい」「理想のチームを創りたい」と願う仲間を求めています。
カジュアル面談も随時受付中です。ぜひ一度お話ししましょう。

