はじめまして。株式会社PRUMでエンジニアをしている、すもも🍑です
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褒め言葉よりも、「なぜ必要か」を一言伝える方が、AIも人も動く
AIに指示を出すとき、「お願いします」「助かります」といった一言を、なんとなく添えるようにしている方も多いのではないでしょうか。私自身、もしAIに感情があった場合、「褒め言葉を使った方が良さそうだから」という理由だけで、AIに対して丁寧な言葉や褒め言葉を添える習慣がついていました。
ただ、それが本当に回答の精度に影響しているのか、根拠を確かめたことは一度もありません。そこで今回、実際にそうした研究があるのか調べてみることにしました。
感情プロンプトについて
結論から言うと、「AIをただ褒めるだけ」で回答の精度が上がる、ということを直接証明した研究は見当たりませんでした。ただし、褒め言葉に近い"感情的な言葉"を指示文に加えることで、回答の精度が実際に変わるという研究は存在していました。
▶ 大規模言語モデルは感情的な刺激を理解し、それによって強化される可能性がある
マイクロソフトを中心に、中国科学院・北京師範大学・香港科技大学などの研究者が加わった国際共同研究チームが、ChatGPT・GPT-4・Llama 2など6種類のAIモデルを対象に、通常の指示文と「感情的な刺激」を加えた指示文を比較する実験を行っています。結果は、次のようになりました。
- 文法や数学など、答えが決まっているタスクで平均8%の精度向上
- 複数の分野にまたがる複雑なタスクでは115%の精度向上
- 要約や創作など、人が評価するタスクでも約11%の評価向上
ここで気になったのが、実際に加えられていた言葉の中身でした。論文で使われていた文言を見てみると、次のようなものが含まれていました。
① 「これは私のキャリアにとってとても重要なことです」(重要性・理由を伝えるタイプ)
② 「あなたの能力を信じて、目標に向けて努力してください」(期待をかけ、背中を押すタイプ)
これらは、私が漠然と使っていた「お願いします」「ありがとう」のような褒め言葉や丁寧語とは、少し性質が異なるものでした。単なる褒め言葉ではなく、①「重要性や理由を伝える」、②「期待をかける」という、相手の意欲そのものに働きかける言葉だったんです。
AIに効果があるなら、人への依頼・報告にも応用できるのでは?
ここまで調べていて、ふと引っかかったことがあります。感情プロンプトの実験で使われていた文言は、「これは私のキャリアにとって重要です」「あなたを信じています」といった、相手に重要性や期待を伝える言葉でした。
これって、AIに限った話なんでしょうか。仕事で誰かに何かを依頼するときや、進捗を報告するときにも、同じような一言を添えるかどうかで、相手の受け取り方や動き方が変わることがある気がしませんか。
AIという、感情を持たないはずの存在にすら効果があったのだとしたら、感情を持つ人間相手なら、なおのこと効果がありそうです。そう考えて、実際の仕事の場面に当てはめて考えてみることにしました。
本当に人に効果があるのか?
なぜ、AIだけでなく人に対しても同じような効果が期待できそうなのか。調べてみると、心理学の世界にも近い実験がありました。
とある心理学者(エレン・ランガー)が行った実験では、コピー機の順番待ちの列で、「先に使わせてください」という依頼に理由を添えるかどうかで、承諾率がどう変わるかを検証しています。
- 理由を伝えなかった場合の承諾率:60%
- 「急いでいるので」など理由を伝えた場合の承諾率:94%
根拠や理由を一言添えるだけで、承諾率は30ポイント以上変わりました。ただし、依頼する枚数を20枚に増やした場合は、理由なしで24%、理由ありでも42%にとどまり、相手にとって負担が大きい依頼ほど、単に理由を添えるだけでは効果が薄れることも分かっています。
(※この実験が裏付けているのは、①「重要性や理由を伝える」方の効果だけです。②「期待をかけ、背中を押す」方について、人間に対する効果を裏付ける研究までは、今回は見つけられませんでした。)
ただ、①②に共通しているのは、"省略せずに、一言添える手間を惜しまない"という姿勢そのものだと思います。AIに対しても人に対しても、効率だけを求めて言葉を削るのではなく、あえて一言加える手間をかけられるかどうかが、結果を左右しているのかもしれません。
具体的な行動リスト
せっかくなので、この調べた内容を日々の仕事の中に取り入れて、次のようなことを意識してみようと思います。
- タスクを依頼するときは、「なぜそれが必要か」を一言添える(例:「明日の朝礼で使うので」)
- 進捗を報告するときは、作業内容だけでなく、それが相手にとってどう役立つかまで伝える
- 負担の大きい依頼をするときほど、理由を"それっぽく"済ませず、相手にとって納得できる中身まで用意する
- 感謝や期待を伝える一言(「助かりました」「引き続きよろしくお願いします」)を、作業依頼の前後にセットで添える
どれも特別なテクニックではなく、AIに対しても人に対しても、"なぜ"を惜しまず言葉にする、というシンプルな話なのかもしれません。
まとめ
AIに褒め言葉を使うようにしていたのは、なんとなく「そうした方が良さそうだから褒めとこう」という理由でした。ただ調べてみると、AIの回答精度に効いていたのは褒め言葉そのものではなく、理由や重要性を伝える言葉、そして期待をかける言葉でした。
AIにも人にも、結局一番効いているのは、省略せずに一言添える手間を惜しまないことなのだと思います。
AIに対しては、褒めたり労ったりする一言を、なんとなく惜しまず使えています。だとしたら人に対しても、理由や期待を込めた一言を、もっと惜しまなくていいのかもしれません。
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