AI(Claude Code)に作業を任せていると、過去に決めたこと(既決)に反する提案が出てきます。当方では、既決を見落として逆走した実害が 3 件ありました。「決定を検索させれば防げる」と思って 3 つの経路を試し、3 つとも実用になりませんでした。いま動いているのは、いま効いている既決だけ(2026-09-18 時点で 23 件・1 件 1 行。10-01 現在は 24 件)を入口の文書に置き、結論を書く直前に 1 問だけ問う形です。3 つの経路の数字は 2026-07-31 の実験記録です。
この記事の位置づけ(2026-09-26 追記)
- この記事で新しく示すこと: 既決を探させる 3 経路の数字(正解が 50 位・予告語彙 9%・予算の 52 倍)と、いま効いている既決だけを置く形。
- 当てはまる範囲: 当方の運用(既決 23 件は 2026-09-18 時点の件数で、10-01 現在は 24 件)。逆走は低頻度なので、効果の証明ではありません。
数字の元データと再現の手順は、検証の記録(Lab)にまとめています。
試して実用にならなかった 3 経路
| 経路 | 何をしたか | 結果 |
|---|---|---|
| 字句検索 | 決定文書を AI に検索させる | 自然な問いで、正解の決定が 50 位 |
| 違反を予告する語彙で検知 | 「この語が出たら違反の可能性」を事前に用意し、盲検で当てる | 4/45(9%)。実害 3 件には 0/3 |
| 全部注入 | 決定文書を毎回すべて読み込ませる | 31 文書 515,332 字=入口に常時注入できる予算(約 10,000 字)の 52 倍 |
⚠ 「上限の 52 倍」の上限は、**当方が入口の文書に常時注入すると決めている予算(約 10,000 字)**で、モデルの文脈上限ではありません。⚠ RAG や埋め込み検索は比較していません。だから「検索では防げない」とは言いません。言えるのは「字句検索・事前の語彙・全量注入は当方では実用にならなかった」までです。
死んだ理由は、当方は 2 系統だと読んでいます。字句検索と予告語彙には共通の弱点があり、決定文に書いてある語が違反の文に出るとは限らない(9%)。違反の枠は決定の側でなく、違反する側の状況から来る、と読んでいます。だから事前に語彙を想像しても当たらなかった、と考えています。全量注入は別の理由で、単純に入口の予算を 52 倍超えた。
全部を探させず、いまの既決だけを置く
やめたのは「探す」。代わりに、入口の文書に決定文だけの一覧を常時置きました。
- 1 件 1 行。いま効いている決定だけ(23 件)。却下した案・数値の読み方・覆す条件は別の正本へ逃がす(一覧に混ぜると読む量が増えて読まれない)。
- 結論を書く直前に 1 問: 「この結論を無効にする既決があるか」。思い当たったら正本を引く。思い当たらなければそのまま進む。
- 違反や訂正が起きた瞬間に、その実例を 1 行足す。事前の想像で語彙を作らない(9% の教訓)。
効いた 1 例(2026-09-18)。記事の解析で「CTA を直せば到達率が上がるのでは」を改良候補に挙げ、1 問を当てたら「30 日実測の定義は 10-17 まで凍結」という既決に当たり、「触らない」と裁定しました。その既決は、10-01 現在の入口の 24 件には見当たりません(理由は確認していません)。
台帳の最小形式
23 件(09-18 時点)を文章の一覧にせず、4 列の最小台帳にすると寿命が伸びます(当方の台帳は id・scope・file・line・body の 5 列で、失効はまだ本文の文「前の裁定 X はこれで失効」で追っている=4 列目は次に足す改良)。
| 列 | 中身 | なぜ |
|---|---|---|
ID |
d-20260918-zenn-title-70 のような固定 ID(日付+短い語) |
引用できる |
| いまの決定 1 行 | 例:「Zenn の記事の title は 70 字以内(下書きでも超えるとリポジトリ全体のデプロイが止まる)」(70 字は当方の観測で、Zenn の公式文書には記述を見つけていません) | 一覧に出すのはこれだけ |
| 適用範囲 | 例: 記事の公開 | 無関係な場面で発火させない |
superseded-by |
失効したら後継の ID | 古い既決を消さずに失効を記す(消すと「決まっていない」に見える。残すと逆に古い既決で事故る。両方を防ぐ) |
当方は 23 件(09-18 時点。10-01 現在は 24 件)を入口に置き、詳細は正本に逃がしています。件数が増えて入口の一覧を毎回目視できなくなったときが再訪条件で、そのときに索引・検索・RAG を比較します。今は決めません。
言わないこと
- 「検索は無駄」とは言わない。試したのは字句検索・語彙検知・全量注入の 3 経路で、RAG・埋め込みは未比較。
- 23 件の中身(事業の裁定)は書かない。件数と形式だけ(例に挙げた 1 行は記事の運用の決定で、事業の裁定ではない)。
- 「上限」は入口の注入予算(約 10,000 字)。モデルの文脈上限ではない。
- n=1 の運用(決定 23 件は 09-18 時点・盲検 45 本)の記録で、一般法則ではない。
この記事の本家(3 経路の数字・台帳の形式・検証の記録)は Sumitsuke Lab → いま効いている既決だけを入口に置く——字句検索 50 位・予告語彙 9%・全量注入 52 倍の後に「探さない、置く」。
AI の利用について
3 経路の実験は AI(Claude Code)と人で行い、盲検の判定・「探さない」への裁定・公開の判断は人が行いました。
関連
この記事は、結論を書く前に既決を確かめる仕組みの話でした(当方は、条件を満たさないと進めないよう止めるチェックを「門」と呼んでいます)。前は、規律をどこに置くかの話 → 規律の置き場所——同じ規律を 5 つの置き場所に書いて効いたのは記憶の 1 行、公開直前のスクリプトに置いたチェックは初回で 2 本拾った。最初に戻る → Windows で AI にファイルを書き換えさせたら触っていない行が変わった——5 つの型を 5 行のファイルで再現した。
次に読む: 同じ AI レビューを 1 日に 7 回かけたら、同じ誤りが 4 回続いた——回答の数は証拠の量ではない。判断は「新しい証拠」で
この記事は Zenn にも同じ内容を掲載しています。
