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Spring Boot Webサービスで Hello World する

Last updated at Posted at 2023-03-04

Spring Boot Webサービスで Hello World する

こんにちは、@studio_meowtoon です。今回は、WSL の Ubuntu 24.04 で Spring Boot Web アプリケーションを作成して Hello World を出力する方法を紹介します。
spring-boot_on_ubuntu.png

目的

Windows 11 の Linux でクラウド開発します。

こちらから記事の一覧がご覧いただけます。

実現すること

ローカル環境の Ubuntu で、Spring Boot Web サービスの JAR ファイル形式のアプリを起動します。

JAR ファイル形式のアプリを起動

要素 概要
terminal ターミナル
Ubuntu OS
JVM Java 実行環境
app.jar Java アプリケーション
tomcat Web サーバー

技術トピック

Spring Boot とは?

こちらを展開してご覧いただけます。

Spring Boot

Spring Boot は、Java で Web アプリケーションを開発するためのフレームワークの一つで、Spring Framework をベースにしたライブラリの集合体です。

特徴
設定が簡単で、コードを書くだけで Web アプリケーションを作成できます。
アプリケーションの自動構成や自動検出などの自動化された機能を備えています。
Spring Framework の依存関係を自動的に解決するため、開発者はライブラリの管理に時間を費やすことがありません。
多様なデータソースやセキュリティ機能などの多くのライブラリをサポートしているため、柔軟性が高く、多くの用途に使えます。
アプリケーションをマイクロサービスとして実行するための Spring Cloud という拡張も提供されています。
メリット
開発者はアプリケーションのビジネスロジックに集中でき、煩雑な設定やセットアップに時間を費やすことがなくなります。
Spring Boot の自動化された機能により、開発者はコードをより迅速に開発し、より迅速に反復してビルド、テスト、デプロイを行うことができます。
柔軟性が高く、豊富なライブラリを備えているため、多様な用途に対応できます。
Spring Cloud を使用することで、アプリケーションをマイクロサービスとして実行するための拡張機能を提供し、スケーラビリティと堅牢性を向上できます。

開発環境

  • Windows 11 Home 23H2 を使用しています。

WSL の Ubuntu を操作していきますので macOS の方も参考にして頂けます。

WSL (Microsoft Store アプリ版) ※ こちらの関連記事からインストール方法をご確認いただけます

> wsl --version
WSL バージョン: 2.2.4.0
カーネル バージョン: 5.15.153.1-2
WSLg バージョン: 1.0.61

Ubuntu ※ こちらの関連記事からインストール方法をご確認いただけます

$ lsb_release -a
No LSB modules are available.
Distributor ID: Ubuntu
Description:    Ubuntu 24.04 LTS
Release:        24.04
Codename:       noble

Java JDK ※ こちらの関連記事からインストール方法をご確認いただけます

$ java -version
openjdk version "11.0.23" 2024-04-16
OpenJDK Runtime Environment (build 11.0.23+9-post-Ubuntu-1ubuntu1)
OpenJDK 64-Bit Server VM (build 11.0.23+9-post-Ubuntu-1ubuntu1, mixed mode, sharing)

Maven ※ こちらの関連記事からインストール方法をご確認いただけます

$ mvn -version
Apache Maven 3.8.7
Maven home: /usr/share/maven
Java version: 11.0.23, vendor: Ubuntu, runtime: /usr/lib/jvm/java-11-openjdk-amd64
Default locale: ja_JP, platform encoding: UTF-8
OS name: "linux", version: "5.15.153.1-microsoft-standard-wsl2", arch: "amd64", family: "unix"

この記事では基本的に Ubuntu のターミナルで操作を行います。Vim を使用してコピペする方法を初めて学ぶ人のために、以下の記事で手順を紹介しています。ぜひ挑戦してみてください。

作成する Web アプリケーションの仕様

No エンドポイント HTTPメソッド MIME タイプ
1 /api/data GET application/json

/api/data というエンドポイントに対して HTTP GET リクエストを送信すると、JSON データがレスポンスされるシンプルな Web サービスを実装します。
{"message":"Hello World!"}

Hello World を表示する手順

プロジェクトの作成

プロジェクトフォルダを作成します。
※ ~/tmp/hello-spring-boot をプロジェクトフォルダとします。

$ mkdir -p ~/tmp/hello-spring-boot
$ cd ~/tmp/hello-spring-boot

アプリケーションクラスの作成

アプリケーションクラスを作成します。

$ mkdir -p src/main/java/com/example/springboot
$ vim src/main/java/com/example/springboot/Application.java

ファイルの内容

Application.java
package com.example.springboot;

import org.springframework.boot.SpringApplication;
import org.springframework.boot.autoconfigure.SpringBootApplication;

@SpringBootApplication
public class Application {

    public static void main(String[] args) {
        SpringApplication.run(Application.class, args);
    }
}
説明を開きます。

Spring Boot を使用して Web アプリケーションを作成するため Application クラスを作成しています。

@SpringBootApplication アノテーションは、Spring Boot の自動設定を有効にするために必要です。これにより、Spring Boot はクラスパスに基づいて自動的に必要な設定を検出し、アプリケーションを自動構成します。

main メソッドはアプリケーションを起動するために必要なもので、SpringApplication.run() メソッドを呼び出して、Application クラスを渡します。このメソッドは、Spring Boot アプリケーションを起動し、必要な設定をロードし、アプリケーションを実行します。

また、このコードは Spring Boot アプリケーションを起動するための最小限のコードであり、アプリケーションの構成やルーティングのような詳細な設定は、別途追加する必要があります。

コントローラークラスの作成

コントローラークラスを作成します。

$ mkdir -p src/main/java/com/example/springboot/controller
$ vim src/main/java/com/example/springboot/controller/HelloController.java

ファイルの内容

HelloController.java
package com.example.springboot.controller;

import java.util.Map;

import org.springframework.web.bind.annotation.GetMapping;
import org.springframework.web.bind.annotation.RequestMapping;
import org.springframework.web.bind.annotation.RestController;

@RestController
@RequestMapping("/api")
public class HelloController {

    @GetMapping("/data")
    public Map<String, String> getData() {
        Map<String, String> map = Map.of("message", "Hello World!");
        return map;
    }
}
説明を開きます。

Spring Boot アプリケーションにおける REST API エンドポイントを定義するためのクラスを作成しています。

@RestController アノテーションが付与された HelloController クラスを定義しています。 @RestController アノテーションは、クラスが RESTful なエンドポイントを定義することを示します。

@RequestMapping アノテーションは、HTTP リクエストに応じてこのエンドポイントに到達するための URL パスを定義します。この場合、リクエストパスは /api エンドポイントにマッピングされます。

@GetMapping アノテーションが付与された getData メソッドは、HTTP GETリクエストが /data エンドポイントに送信されたときに、Map 型のオブジェクトを返します。

Map オブジェクトは、キーと値のペアを格納するデータ構造で、この場合は "message" というキーに "Hello World!" という文字列を関連付けています。

返された Map オブジェクトは JSON 形式でシリアル化され、HTTP レスポンスのボディに埋め込まれます。

このコードを実行すると、/api/data への GET リクエストが受信され、"Hello World!" という JSON レスポンスを返します。

pom.xml の作成

pom.xml ファイルを作成します。

$ vim pom.xml

ファイルの内容

pom.xml
<?xml version="1.0" encoding="UTF-8"?>
<project xmlns="http://maven.apache.org/POM/4.0.0"
    xmlns:xsi="http://www.w3.org/2001/XMLSchema-instance"
    xsi:schemaLocation="http://maven.apache.org/POM/4.0.0 https://maven.apache.org/xsd/maven-4.0.0.xsd">
    <modelVersion>4.0.0</modelVersion>
    <parent>
        <groupId>org.springframework.boot</groupId>
        <artifactId>spring-boot-starter-parent</artifactId>
        <version>2.7.8</version>
        <relativePath/> <!-- lookup parent from repository -->
    </parent>
    <groupId>com.example</groupId>
    <artifactId>hello-spring-boot</artifactId>
    <version>1.0</version>
    <name>hello-spring-boot</name>

    <properties>
        <java.version>11</java.version>
        <project.build.sourceEncoding>UTF-8</project.build.sourceEncoding>
    </properties>

    <dependencies>
        <dependency>
            <groupId>org.springframework.boot</groupId>
            <artifactId>spring-boot-starter-web</artifactId>
        </dependency>
    </dependencies>

    <build>
        <finalName>app</finalName>
        <plugins>
            <plugin>
                <groupId>org.springframework.boot</groupId>
                <artifactId>spring-boot-maven-plugin</artifactId>
            </plugin>
        </plugins>
    </build>
</project>
説明を開きます。

Maven プロジェクトのプロジェクトオブジェクトモデル (POM) です。プロジェクトの情報、依存関係、ビルド設定などが含まれています。

各項目は以下のとおりです。

項目 内容
groupId プロジェクトのグループIDを定義します。
artifactId プロジェクトのアーティファクトIDを定義します。
version プロジェクトのバージョンを定義します。
dependencies 依存関係のリストを定義します。この例では、Spring Boot の Web スターターを含む spring-boot-starter-web が定義されています。
build プロジェクトのビルド設定を定義します。この例では、ビルド時に Spring Boot の spring-boot-maven-plugin を使用することが指定されています。また、finalName を定義しています。これは、生成されるアプリケーションのファイル名に使用されます。

なお、この POM の中には親 POM が指定されており、Spring Boot の依存関係を自動的に管理するための設定が含まれています。

プロジェクトの構成

プロジェクトのファイル構成を表示してみます。

$ tree
.
├── pom.xml
└── src
    └── main
        └── java
            └── com
                └── example
                    └── springboot
                        ├── Application.java
                        └── controller
                            └── HelloController.java
説明を開きます。
No ファイル 内容
1 pom.xml Maven プロジェクトの設定ファイルであり、プロジェクトの依存関係やビルド設定を定義します。
2 Application.java Spring Boot アプリケーションのエントリーポイントであり、アプリケーションの起動時に実行されます。主に、アプリケーションの設定や構成、Spring のコンポーネントスキャンを行うために使用されます。
3 HelloController.java Spring MVC アプリケーションのコントローラーであり、HTTP リクエストを受信し、それに対するレスポンスを返します。特定の URL パスにマッピングされたメソッドを提供し、クライアントとの間でデータの受け渡しを行うために使用されます。

Spring Boot アプリを構成するために作成したファイルは、今回の例では3つだけです。これらのファイルを組み合わせることで、Spring Boot アプリケーションを構築することができます。

アプリを起動

アプリを起動します。
※ アプリを停止するときは ctrl + C を押します。

$ mvn spring-boot:run
説明を開きます。

spring-boot:run このコマンドは、Maven を使って Spring Boot アプリケーションをビルドし、ビルドされたアプリケーションを実行します。ビルドが完了した後、Spring Boot が埋め込み Tomcat サーバーを起動し、Web アプリケーションを実行します。つまり、Spring Boot アプリケーションをローカルで実行するためのコマンドです。

ここまでの手順で、Spring Boot アプリを開発モードで起動することができました。

アプリの動作確認

別ターミナルから curl コマンドで確認します。

$ curl -v http://localhost:8080/api/data -w '\n'

出力

* Host localhost:8080 was resolved.
* IPv6: ::1
* IPv4: 127.0.0.1
*   Trying [::1]:8080...
* Connected to localhost (::1) port 8080
> GET /api/data HTTP/1.1
> Host: localhost:8080
> User-Agent: curl/8.5.0
> Accept: */*
>
< HTTP/1.1 200
< Content-Type: application/json
< Transfer-Encoding: chunked
< Date: Sun, 14 Jul 2024 11:21:30 GMT
<
* Connection #0 to host localhost left intact
{"message":"Hello World!"}

ここまでの手順で、ターミナルに {"message":"Hello World!"} と表示され、JSON データを取得することが出来ました。

アプリのビルド

Java アプリをビルドします。
※ target/app.jar が作成されます。

$ mvn clean package

実行します。
※ アプリを停止するときは ctrl + C を押します。

$ java -jar target/app.jar

ここまでの手順で、Spring Boot アプリの JAR ファイルをビルド・起動することができました。

まとめ

Ubuntu に構築したシンプルな Java 開発環境で、Spring Boot Web サービスを実行することができました。

実際の業務での Spring Boot の使用ケースでは、構成ファイルなどが追加されるため、ここで示したようなシンプルな構成とは異なる場合があります。しかしながら、最小構成の例を学ぶことで、Spring Boot がどのような構成が必要なのかを理解することができます。

どうでしたか? WSL Ubuntu で、Spring Boot Web アプリケーション開発環境を手軽に構築することができます。ぜひお試しください。今後も Java の開発環境などを紹介していきますので、ぜひお楽しみにしてください。

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