はじめに
こんにちは、GxPの@stsudaです。
この記事はグロースエクスパートナーズ Advent Calendar 2021の1日目です。
私が部長を務めている部署は、若手からベテランまで約30名程が所属しています。
チームは大きく分けて5チームほどですが、アジャイル開発のチームもあればウォーターフォール開発のチームもあり、それぞれが顧客と向き合いながら日々プロジェクトを進めています。
そんな部署のメンバー全員を対象に、私を含めたマネージメント層で「自走できるチーム作り」をモットーに掲げ、月1回程度のワークショップを行っています。
主にチームビルディングに関連する簡易的なものですが、1日目の今日はそこで行った取り組みの1つについてご紹介したいと思います。
取り組みの背景
COVID‑19がきっかけで、弊社もリモートワークを前提としたチーム毎のローテーション出社となりました。
リアルでコミュニケーションを取ることも大幅に減り、同じオフィスにいれば分かったチームの様子は「報告」や「相談」という形に、他部署との交流は社内で企画したイベントといった、あらかじめ用意された形で行われることが多くなりました。
コミュニケーションのツールとしてSlackやZoomを使い、基本的な業務に困ることもないし、開発自体は上手くいっている・・・ような気がするのだけど、なんだかちょっと違うな、と思うことがチラホラ増えてきました。
それは1on1での相談内容が「コミュニケーションを取ることで改善、解決の一歩になる」ものが多くなったこと。さらにチームによって、課題解決の経過にも大きく差が出てきていました。
ちょっと長くなりましたが、以上が取り組みの背景となります。
何をしたか
問題を改めて考えてみた
1on1を続けていくと、以下の内容に集約されてきました。
- 案件のゴールが共有されていない・しているが理解してもらえていない
- 自立した行動を求められるが、丸投げに感じてしまう
- 自分の想っている・考えていることに自信がない
- チームで気軽に話せる雰囲気がない
- リーダーが多忙で予定がいっぱい。話をするタイミングが見つからない
これを受けて私なりに考えた結果、
- スケジュールに余裕が無く、改善することに時間を割けない
- チームの未来やメンバーへの期待値について話をする機会が少ない
- リーダーとメンバー間のコミュニケーションが少なく信頼関係が出来上がっていない
これらを上手く解決していくことが良いのでは、という考えに至りました。
では、どういったサポートをすればチームが改善する方向に進むのか・・・?
スケジュールに余裕が無いこと自体はプロジェクトの事情にもよるので、安易に「納期ずらせば?」とは言えませんし、「話すれば?」と言っても、最低限の会話やコミュニケーションは取っている為、忙しくて余裕がない状況では「話?してますけど!?」と反発される事態にもなりかねません(実際なった)。
チームの関係性を深めるきっかけを作ることにした
そこで私が思いついたのは、メンバー自身が改善したいと想う気持ちを共有しやすいような場を設けること。
@aishimura-gxp にオススメされたふりかえりを拡張する「ふりかえりチートシート」を参考に、関係性の質を向上させるような「ふりかえり」のプログラムを部署のワークショップとして行うことにしました。
部署として取組むことで、「自分たちのチームが出来てないからやらされている」といったネガティブな印象を減らすことと、複数のチームで同じ内容をやることで他チームにも多かれ少なかれ課題があり、取組んで行こうとする様子がわかります。
そこで**自分たちも改善して行こうと思うきっかけが出来るのでは?**と考えたのです。
なぜ「ふりかえり」なの、という点ですが、弊社ではどんな開発手法のチームでも「ふりかえり」をする文化が定着しつつあります。
チームだけにとどまらず、新入社員の週報など様々な場面でふりかえりが行われており、「ふりかえる」ことが仕事のなかで当たり前に行われています。
急に新しいことをやるより、導入がスムーズなのでは、と考えたことも理由の一つです。
プログラムの内容
通常、チームではKPT(Keep、Problem、Try)が多く使われていますが、複数のふりかえりを組み合わせて実施することにしました。
(ふりかえりの具体的な内容はアジャイルなチームをつくる ふりかえりガイドブックを参考)
- 感謝:チームの誰かへ感謝を伝える。最初に行う事で、ふりかえりに臨む気持ちが明るくなる
- チームストーリー:時系列にチームに起きた出来事と、どんなコミュニケーションが取られたか、どう良くしていくかアイデアを話し合う
- 質問の輪:次に取組むべきことは何か、を問いながらチームで取組む内容を決める
- 感謝:ふりかえりの時間での良い気付きや行動に感謝を伝える
実施にあたり、課題のあるチームにはチームメンバー以外のファシリテーターをつけました。これにより、リーダーも含めチーム全員で考えることが出来たと思います。
他に、目安の時間は設けたものの、終わらせることが目的にならないよう途中までの実施でも良いことにしました。
このワークショップはあくまでもきっかけ作りという位置づけだからです。
結果
意外なことに、課題があるチームの方が感謝が多く出ました。
特徴的だったのは内容が具体的で、その場にいないメンバーへの感謝も多く出ていたこと!(私への感謝もありがとう!)
メンバー自身も、自分のタスクがチームの為になっている、見てもらえているという実感が得られたのではないかと思います。
他のチームも、普段と違うふりかえりの手法を使ったことで、課題を改めて共有し、新しい気付きを得られたようです。
その後の変化
対象のチームは、以前よりリーダーとチームメンバーが話す機会が増えたように見受けられます。それが、スケジュールに余裕が出来たからなのか、ワークショップの効果かどうかは正直わかりません。
ただ、メンバーとの1on1では以前のような課題があがらなくなったことや、自身で次のアクションを考えようとする姿勢が多く見られるようになったことは、小さくとも良い変化だと感じています。
他のチームではプロジェクトで行っているふりかえりに「感謝」を取り入れ始めたり、今まで行っていたふりかえり自体を考えるきっかけになった、といったチームがありました。
対象だったチームの変化は小さいものですが、当初の目的である「きっかけ作り」としての効果は出たのかな、と感じています。
最後に
チームの関係性を醸成するには、コミュニケーションが欠かせません。
世情もあり、コミュニケーションの取り方は多様化しました。リアル/オンラインの形態に捉われないコミュニケーションの取り方、各チームにとってより効果のある方法の模索をしていくとともに、小さい変化でも少しずつ積み重ねていくことでメンバーがそれぞれの力を発揮できるような環境を作っていきたいと思います。
「自走するチーム作り」への取り組みはまだまだこれからです!