はじめに
初めまして、@stonebook_75 です!
花王では、社内での AI 活用促進を目的としたツール導入や開発などを担当しています。
今回は、 Google が提供する企業向け生成 AI プラットフォーム「 Gemini Enterprise 」を利用するまでの設定手順と導入直後に利用可能なデフォルト機能についてご紹介します。
Gemini Enterprise とは
Gemini Enterprise は、Google より、リリースされた新しい企業向け生成 AI プラットフォームです。
※ 元々は Google Agentspace というサービスでしたが、2025年10月より Gemini Enterprise というサービス名に改名しています。
また、公式サイトによると以下のように記述されています。
Gemini Enterprise は、あらゆる従業員がすべてのワークフローで最先端の Google AI を利用できる高度なエージェント プラットフォームです。
Gemini Enterprise を使用すると、チームは単一の安全な環境で AI エージェントを発見、作成、共有、実行できます。
つまり Gemini Enterprise は、単なるチャット型 AI や文章生成ツールに留まらず、組織内のデータや業務プロセスと連携し、AI エージェントによるワークフローの自動化や情報検索・分析などを可能にする企業向け総合 AI プラットフォームとなっています。
この記事で扱う内容
本記事は以下の順番で説明していきます。
- Gemini Enterprise の設定手順
- Google Cloud のプロジェクト作成
- Gemini Enterprise サブスクリプションの作成
- アプリの登録
- 権限の設定とライセンス付与
- Gemini Enterprise へのアクセス確認とデフォルト機能の紹介
Gemini Enterprise の設定手順
1. Google Cloud のプロジェクト作成
Google Cloud でリリースされているサービスを利用するためには、Google Cloud 上でプロジェクトを作成する必要があります。Gemini Enterprise も例外ではありません。
Google Cloud のプロジェクトを作成するためには、主に以下の 2 点が必要になります。
- プロジェクト作成の権限を有する Google アカウント
- Google Cloud 利用料の請求先を管理する請求先アカウント
この 2 つが準備できたら、以下の公式サイトを参考に Google Cloud のコンソール画面からプロジェクトの作成が可能です。
プロジェクトの作成と管理 | Resource Manager | Google Cloud Documentation
今回は Gemini Enterprise がメインのためプロジェクトの作成手順等は割愛します。
2. Gemini Enterprise サブスクリプションの作成
Gemini Enterprise を利用するためには、サブスクリプションの作成が必要になります。このサブスクリプションで Gemini Enterprise のライセンスをいくつ購入するのか等を設定していきます。
では、実際に Gemini Enterprise サブスクリプションを作成していきましょう。
Google Cloud のコンソール画面で「 Gemini Enterprise 」と検索すると、以下のような Gemini Enterprise の管理画面が表示されます。「サブスクリプションを管理」より、サブスクリプションの管理画面へ移動しましょう。
サブスクリプションの管理画面では、請求先アカウントごとにサブスクリプションの作成・管理が可能です。今回は新しくサブスクリプションを作成しますので「サブスクリプションを作成」を選択します。
作成の際に Gemini Enterprise のプランを選べます。2025年12月現在、選べるプランは 2 つで「 Gemini Enterprise Standard 」と「 Gemini Enterprise Plus 」になります。この 2 つのプランの違いは、主に料金と利用できるストレージ量に差があります。
プランの内容は日々更新されますので、以下の公式サイトを参考に必要なプランを選択してください。
Gemini Enterprise のエディション比較 | Google Cloud Documentation
プラン選択後に以下の情報を入力してサブスクリプションの作成が完了になります。
- 支払い情報(請求先アカウント・登録名・ライセンス数)
- サブスクリプション期間(毎年・毎月)※
- サブスクリプションの自動更新
- 配信の詳細(プロジェクト選択・APIの有効化)
- ロケーション(global・eu・us)
※ 毎年を選ぶと 12 か月契約になり、割引が適用されます。
作成が完了すると、以下のようにサブスクリプションの管理画面に作成したサブスクリプションが追加されます。
3. アプリの登録
「アプリ」とは、Gemini Enterprise の管理単位のことで、アプリごとに連携する「データストア」の設定が可能です。
「データストア」とは、ファーストパーティ( Cloud Storage など)のデータソースやサードパーティ( Jira や Salesforce など)のコネクタから連携されるデータのことを指します。
つまり、「アプリ」は Gemini Enterprise における箱のようなもので、その箱の中にどのようなもの(データ)を入れるかを「データストア」で設定しています。最終的には、Gemini Enterprise がその箱の中身を使って「自然言語での検索や要約」 「AI エージェントによる自動タスク」などを実行していきます。
では、実際にアプリを作成していきましょう。
Gemini Enterprise の管理画面から「アプリ」タブに移動します。アプリが一つも登録されていない場合は、以下のような画面になると思います。「新しいアプリを作成」を選択し、アプリを作成していきます。
以下の情報を入力し、作成を選択するとアプリが作成されます。
- 表示名(アプリ名・エンジンID)
- ロケーション(global推奨)
- (オプション)外部向け社名
アプリが作成されると以下のように自動で URL が発行されます。ユーザーはこの URL を用いて、Gemini Enterprise へアクセスします。
今回は、「データストア」の設定は割愛しますが、アプリごとにデータストアを設定することで Google Cloud や Google Workspace、サードパーティ上にあるデータを参照することが可能になります。
4. 権限の設定とライセンス付与
設定手順の最後として、権限の設定とライセンスの付与を行っていきます。
作成したアプリの概要タブを開くと以下の 3 つの設定が指示されています。
- Workforce Identity の設定
- IAM 権限を設定
- ライセンスを管理
まず、Workforce Identity の設定をしていきます。
こちらでは、Gemini Enterprise へアクセスする際の認証をどの ID(アカウント)を使って行うかを設定します。選択肢としては、「 Google Identity ( Google アカウント)」と「サードパーティの ID プロバイダ」の 2 つがあります。こちらは、社内のセキュリティ要件や運用ニーズに合わせて設定をしてください。
次にプロジェクトごとに管理する IAM 権限を設定していきます。
Gemini Enterprise を利用するためには、以下のどちらかの権限をユーザーに付与する必要があります。
- Discovery Engine User
- Gemini Enterprise User(Beta)※
※ 2025年12月現在、Gemini Enterprise User は beta 権限となっています。必ず内容を確認して設定しましょう。
注意:Google Cloud ではプロジェクト単位で IAM 権限の制御を行います。そのため、もしアプリごとにアクセス可能なユーザーを制御したい場合は、Google Cloud プロジェクトを分けてアプリの作成が必要になります。
最後にライセンスの管理になります。
ライセンスの管理は、Gemini Enterprise 管理画面にある「ユーザーの管理」タブから行えます。以下のようにロケーションを選択すると、サブスクリプションの一覧とライセンスを割り当てられているユーザーの一覧が表示されます。
ユーザーの一覧表の上にある「ユーザーの追加」よりユーザーを指定して、今回作成したサブスクリプションのライセンスを付与しましょう。
補足: 「ライセンスを自動的に割り当てる」を設定すると、アプリから発行された URL へアクセスしたユーザーに自動でライセンスが割り当てられるようになります。管理工数の削減につながりますが、自動で付与されるためライセンスの無駄遣い(予期しないユーザーへのライセンス付与等)につながる可能性もあります。注意しながら設定してください。
以上で Gemini Enterprise の設定手順は完了になります!
Gemini Enterprise へのアクセス確認とデフォルト機能の紹介
権限とライセンスを付与したユーザーでアプリから発行されている URL を叩いてみると、以下のような画面が表示されます。表示されたら無事にアクセスできています!
チャットによる文章生成はもちろんのこと、最近話題の「Google Nano Banana」を用いた画像生成も可能です。
今回は「データストア」を設定していませんが、設定することで自然言語による社内ソースの検索も可能になります。こちらは Google の公式サイトを参考にぜひ設定をしてみてください。
アプリとデータストアについて | Gemini Enterprise | Google Cloud Documentation
また、デフォルトのエージェント機能として「 Deep Research 」 「 Idea Generation 」 「 NotebookLM Enterprise 」もついています。デフォルトのエージェントに加えて、Gemini Enterprise では自作のエージェントの作成も可能です。
その他にも機能モリモリですが、ここで書き始めるとおわらなくなりそうなのでこのぐらいにしておきます。ぜひ興味のある方は Google の公式サイトをご覧ください!
Gemini Enterprise: ビジネスに最適な Google AI
おわりに
この記事では、Gemini Enterprise を利用可能にするまでの設定手順とデフォルト機能について簡単に紹介しました。
今回紹介した基本設定だけでなく、「エージェント」や「データストア」を設定いただくことで、「業務プロセス自動化」や「社内検索」など、業務改善の可能性は大きく拡張していきます。
また、Gemini Enterprise はまだ成長途中の生成 AI プラットフォームです。Google のアップデート次第で実現できることは今後さらに広がっていきます。
ぜひ本記事が、Gemini Enterprise の活用のきっかけになれば幸いです。ご意見や改善案などありましたら、お気軽にコメントいただけると嬉しいです。






