0
0

Delete article

Deleted articles cannot be recovered.

Draft of this article would be also deleted.

Are you sure you want to delete this article?

コードを書いてツールを呼ぶ!エージェント、Cloudflare・Claude・AWS・Azureを同じ土俵で並べてみた

0
Posted at

「コードを書いてツールを呼ぶ」エージェント、Cloudflare・Claude・AWS・Azureを同じ土俵で並べてみた

はじめに

前回、CloudflareのCode Modeを掘りました。エージェントがツールを直接呼ぶのをやめて、コードを書いて呼ぶ。それだけでツール定義のトークンが桁違いに減る、という話です。書き終えてすぐ湧いたのは「これ、Cloudflareだけの話なのか?」でした。

調べると、答えははっきりしていました。同じ発想を、Anthropic(Claude)もAWSもMicrosoft(Azure)も、それぞれのやり方で持っています。しかも「どれかが決定的に優れている」という単純な構図ではなく、尖っている方向が四者四様でした。今回は、この4つを同じ土俵に並べて、どこが同じでどこが違うのかを整理します。特定の1社を持ち上げる記事ではありません。

先に3行でまとめると

  • 「コードを書いてツールを呼ぶ」は 3つの層でできている。実行サンドボックス、コードで動くパターン、統合基盤・MCP。この層で見ると4社を見比べやすい
  • Cloudflareは Code Mode、Claudeは Programmatic Tool Calling、Azureは CodeAct。AWSは単一ブランド名こそないが、Code InterpreterとStrandsで同じことをやる。狙いは共通で、中間結果をモデルの外で処理してコンテキストを軽く保つ
  • 優劣は一択にならない。Cloudflareはレイテンシとトークン効率、Claudeはモデル密結合、AWSはフレームワーク・モデル非依存の運用、Azureは企業ガバナンス、と強みが分かれる

🚀 Devin専門の解説メディア「StartDevin」を運営中!
Devinの導入・使い方・最新アップデート・活用事例を、日本語でまとめています。
👉 StartDevin をチェックする(startdevin.jp)

この記事にぜひ いいね❤️ していただけると励みになります 🙌

この記事に出てくる用語の位置づけ

4社の呼び名が入り混じります。迷ったらここに戻ってきてください。

用語 どこの言葉 ざっくりの意味
Code Mode Cloudflare ツールを型付きSDKに圧縮し、コードから呼ぶ方式
Programmatic Tool Calling Anthropic(Claude) コードでツールを束ね、中間結果を文脈に載せない機能
CodeAct Microsoft 行動をツール呼び出しではなく実行可能コードで表現する方式
AgentCore Code Interpreter AWS エージェントがコードを書いて安全に実行するサンドボックス
AgentCore Gateway AWS API・LambdaをゼロコードでMCPツール化する仕組み
Strands Agents AWS AWSのオープンソース製エージェントSDK(model-driven)
MCP 一般用語 エージェントに外部ツールをつなぐ標準プロトコル
Dynamic Worker Loader / dynamic sessions / Code Execution tool 各社のサンドボックス LLMが書いたコードを安全に走らせる隔離環境
Microsoft Agent Framework Microsoft AutoGenとSemantic Kernelを統合したエージェント基盤

「コードで動く」は3つの層でできている

4社を比べる前に、この技術が3つの層に分けられることを押さえると、話が一気に見通せます。実行サンドボックス、コードで動くパターン、統合基盤・MCP。この層に沿って各社を並べると、同じ土俵に乗ります。

🟠 Cloudflare 🟣 Claude 🟢 AWS 🔵 Azure
この記事では、この色でベンダーを区別します。図と表で共通です。

実行サンドボックス・コードで動くパターン・統合基盤の3層で、Cloudflare・Claude・AWS・Azureの対応する仕組みを並べたマッピング図

上から見ていきます。1つ目の実行サンドボックスは、LLMが書いたコードを安全に走らせる隔離環境です。Cloudflareは Dynamic Worker Loader(V8アイソレート)、Claudeは Code Execution tool、AWSは AgentCore の Code Interpreter、Azureは Container Apps の dynamic sessions が担います。2つ目の「コードで動くパターン」が、まさに前回のCode Modeにあたる部分で、Cloudflareは Code Mode、Claudeは Programmatic Tool Calling、Azureは CodeAct と、名前は違えど「ツール呼び出しの代わりにコードで表現する」という狙いは共通です。AWSだけは単一のブランド名がなく、Code Interpreter上でコードを書いて実行する動き(Strandsのmodel-drivenなアプローチ)として実現します。3つ目の統合基盤は、エージェントを載せる場所と外部連携で、いずれもMCPに対応しています。

🔎 ここがいちばんの発見
この3層が、4社ともきれいに埋まります。別々のプレイヤーが、同じ構造にたどり着いている。これは一過性の流行ではなく、エージェント設計の定石になりつつある、と読むほうが自然です。

4社を1つずつ

層で対応が見えたところで、それぞれの中身を短く押さえます。

🟠 Cloudflare|レイテンシとトークン効率

Cloudflareの Code Mode は、2,500を超えるエンドポイントを持つAPIを型付きSDKに圧縮し、従来なら約117万トークンかかるツール定義を約1,000トークンにする、と公表しています。実行環境の Dynamic Worker Loader は、ファイルシステムも環境変数も持たず、外部通信も既定で無効という締め方で、コードを走らせる危険を抑えています。エッジと一体で、起動がサブミリ秒という速さが持ち味です。

🟣 Claude(Anthropic)|モデルとの密結合

Claudeの側は、Programmatic Tool Calling です。Claudeがコード実行環境の中でスクリプトを書き、ツールを束ねて呼ぶ。生データはスクリプトが処理し、モデルが見るのは最終出力だけ、という作りです。Anthropicはこれを「Code execution with MCP」という設計として説明していて、エージェント検索のベンチマークでは、基本的な検索ツールにこれを足すと精度が平均11%上がり、入力トークンが24%減ったと報告しています。モデル本体と密に結びついているのが強みです。

🟢 AWS|フレームワーク・モデル非依存の運用

AWSは、実は単一の「Code Mode」的なブランド名を持っていません。その代わり、部品の組み合わせで同じことを実現します。エージェントがコードを書いて実行する場が AgentCore の Code Interpreter(複数言語ランタイム、大容量ファイルやネット接続、CloudTrailログ対応のサンドボックス)で、外部ツールとの接続は AgentCore Gateway が担います。Gatewayは、既存のAPIやAWS Lambdaをゼロコードで(コードを書かずに)MCPツールに変える仕組みで、認証やインフラの複雑さを引き受けてくれます。エージェント本体は、AWSのオープンソースSDK Strands Agents で組むのが素直で、これはモデルにツールの使い方や手順を任せる model-driven なアプローチを取ります。運用は、任意のフレームワークとモデルを載せられるマネージド実行環境 AgentCore Runtime に寄せる形です。名前が1つに定まらないぶん見えづらいですが、「コードを書いてツールを束ねる」という中身は他社と同じです。

🔵 Azure(Microsoft)|企業ガバナンスの網羅性

Azureは CodeAct です。Microsoft Agent Framework(AutoGenとSemantic Kernelを統合した基盤)で、BUILD 2026に合わせて打ち出された、行動を実行可能なコードとして表現する方式です。コードを走らせる場は Container Apps の dynamic sessions で、Hyper-Vで隔離された使い捨てサンドボックスをミリ秒で用意します。ここはMicrosoft Copilotの「高度なデータ分析」も実運用で使っている、実績のある基盤です。本番運用は Foundry Agent Service の Hosted Agents が受け持ち、Entra IDの認証やガバナンスまで含めて揃っています。

どこで選ぶか

では優劣はどうか。結論は「一択にならない」です。尖っている方向が違うので、前提と優先順位で選ぶ対象が変わります。

Cloudflare・Claude・AWS・Azureそれぞれの強みと、どういう時に選ぶかを並べた比較図

横に並べると、こうなります。

観点 🟠 Cloudflare 🟣 Claude 🟢 AWS 🔵 Azure
いちばんの強み レイテンシとトークン効率 モデルとの密結合 フレームワーク・モデル非依存 企業要件の網羅性
サンドボックスの隔離 V8アイソレート 実行環境 Code Interpreterサンドボックス Hyper-V(強い隔離)
MCPの扱い MCPを型付きSDK化 ネイティブ対応 API・LambdaをゼロコードでMCP化 MCP / OpenAPI / A2A
向いている場面 エッジ/大量APIを薄く速く Claude前提・推論品質重視 AWS中心・既存API資産の活用 全社導入・統制・マルチモデル

選び方の目安を図にすると、こう整理できます。

大づかみに言うと、すでにエッジやWorkersが基盤ならCloudflare、AWS中心で既存のAPIやLambda資産をツール化したいならAWS、Microsoft中心の環境で統制も要るならAzure、Claude前提で推論品質を最優先にするならClaude、という分かれ方です。もちろん実際には組み合わせもありえます(Claudeのモデルを、AWSやAzureの基盤で動かす、など)。

どれを選んでも、逃げられない落とし穴

4社に共通する注意点もあります。ここは前回書いたことの繰り返しになりますが、大事なので改めて。

いちばんはサンドボックスの責任です。コードを書いて何でも実行できる、ということは、裏を返せば危険なコードも走りうる、ということです。各社ともFS無効やHyper-V隔離といった対策を持っていますが、自前で組む範囲が広いほど、この隔離を自分で正しく設定する責任が乗ってきます。次にデバッグ。エージェントが書いたコードが失敗したとき、原因を追うのは1回のツール呼び出しを追うより手間です。そして、ツールを1回呼ぶだけで終わる単純タスクにコードを書かせるのは、どの会社の仕組みでも過剰です。トークンは減っても複雑さは増える、という天秤は共通しています。

おわりに

4社を並べてみて感じたのは、エージェント効率化の主戦場が完全に「モデルに何を渡すか」の情報設計に移った、ということでした。ツール定義を積みすぎない、中間結果をモデルに通さない。この同じ結論に、エッジのCloudflareも、モデル側のAnthropicも、AWSもAzureも別々にたどり着いている。名前は Code Mode、Programmatic Tool Calling、CodeAct とバラバラで、AWSに至っては単一の名前すらない。それでも、やっていることは驚くほど似ています。

Devinのようなエージェントを使うときも、結局は同じ問いに戻ります。この作業で、モデルに本当に見せる必要がある情報はどれか。どこに逃がすか。その逃がし先を、エッジのアイソレートに置くか、モデル直結の実行環境に置くか、企業ガバナンス込みのサンドボックスに置くか。今はその選択肢が、四者四様に出そろった段階だと思います。次は、この観点でDevinがどの層にあたるのかを、自分なりに位置づけてみるつもりです。

参考リンク

0
0
0

Register as a new user and use Qiita more conveniently

  1. You get articles that match your needs
  2. You can efficiently read back useful information
  3. You can use dark theme
What you can do with signing up
0
0

Delete article

Deleted articles cannot be recovered.

Draft of this article would be also deleted.

Are you sure you want to delete this article?