Ubuntuで5GHz帯アクセスポイントが作成できなかった話
要約
Ubuntuで無線LANルーターの代わりが出来ると聞いて試してみたら、5GHz帯が使用できなかった。原因はIntelチップセット用Linuxドライバiwlwifiの仕様。atherosドライバの一部ならいけるらしいが試せていない。
環境
- OS: Ubuntu 20.04 LTS
- ハードウェア: 小型PC。WiFiチップはIntel AC7265。インターフェイスはm.2 2230。
現象
- UbuntuだとGUIからアクセスポイント作成可能ということで、手順に沿ってアクセスポイントを作成した。
- 2.4GHz帯を指定すると問題なくアクセスポイントとして機能するのに、5GHz帯を指定すると機能しなかった。
- もちろんハードウェアは2.4GHz, 5GHz両方に対応しているし、設定すれば5GHzのアクセスポイントに問題なく接続できる。
調査結果
Intelのドライバは5GHzアクセスポイントモードが無いという記述があった。確かに紹介されていたリンクには"AP mode on 2.4GHz (on devices driven by iwlmvm)"とあり5GHzと書かれていない。ということは、クライアントモードなら5GHz対応だがアクセスポイントモードには5GHz非対応であると考えられる。
Intel AC7265のページ自体には対応周波数しか書かれていないので、ハードウェアというよりドライバ側の仕様なのだろうか。
上記に至るまでに試したこと
APモード対応確認
上記ページにあったリンク先の記載に従ってiw list
でAPに対応可能か確認したら対応していた。2.4GHz帯と5GHz帯でAPモード対応に違いがあるかもと思って調べたが、両周波数に共通の項目だった。
create_apの導入
- 2.4GHz帯のチャンネル指定では動作して5GHz帯は不可という点は変わらず。
- 国コードが関係しているという話から、JPを指定すれば変わるかもしれないと思ったがそんなことはなかった。
- チャンネルを複数指定できるかと思ったができない。
- 2.4GHz, 5GHzでそれぞれ別々にアクセスポイントをたてられるかと思ったが、
チップセットによって同時に立てられるアクセスポイント数が決まっているとのこと。iw list
の結果なのでcreate_apに限った話ではない。
試さなかったこと
カーネル再構築
no IR フラグについての回答にカーネルにパッチを当てると出来るみたいなことを書いてあるのだけれど、Debianの話なので少なくともそのまま適用できるものではない。仮に可能だとしても、分析して適用してみようとまでは思えなかった。
無線LANチップの交換
外付けアンテナ(無線アダプタ)を買うぐらいなら小型WiFiルーターを買ったほうがいいわけで、あくまでも内蔵無線LANチップを交換する路線で。
Qualcomm製チップ用ドライバには対応しているものがあるとのことだが、残念ながらそのチップが載ったカードはMini PCI Expressのみで、Amazonではm.2 2230対応のカードは常識的な価格では入手不可能。
あきらめずに調べているとBointec DGF109AというチップにQCA6174A-5のチップが使われていて、さらに探すとMOUSERというところで売っていた。
MOUSER自体はコンシューマー向けではないものの、それなりの会社っぽい(よくはわからない)。ただ、購入しようとすると購入サイトでエラーが頻発すること、4,118円+エクスプレス料金2,000円とそれなりに高額なこと、2.4GHz帯のアクセスポイントは必要なので5GHz帯のアクセスポイントと排他的にしか運用できない仕様であった場合、仮に5GHzで使えても無駄な投資になることなどから注文を断念した。
考察
5GHz帯はDFSなどの問題もありドライバも対応が難しいのかもしれない。
改訂履歴(表現の修正などは除く)
2020/5/30: 下書き
2020/6/20: 初版