はじめに
Adventカレンダー「エンジニアのためのWebマーケティング」の3日目です。
サクッと読める記事を目標に。異論・ツッコミ大歓迎。
それでは参りましょう
Web広告の歴史
広告の歴史は、江戸時代の越後屋の「引札」から始まり、チラシ・看板・CM・DMなどなど多岐にわたって来ていますが、今回はその詳細な変遷までは触れません。
(越後屋の話は**コチラ**で)
あくまで、「Web」に関連するものだけを取り上げていきます。
Web広告は独自の進化を遂げている
Web広告は、だいたい以下のような変遷を遂げています。
- 純広告
- アフィリエイト広告
- リスティング広告
- 行動ターゲティング
- オーディエンスターゲティング
みなさんも聞いたことのあるワードが並んでいるのではないでしょうか。
順番に見ていきましょう
その前に用語を知っておく
広告用語の話は 12/7のAdventCalendarのお題で取り上げる予定でいますが、その前に簡単な広告用語を予習しておきましょう
-
広告主
- 広告を出す人。商品・サービスを売りたい人。
- この広告主がお金を払って、世の中に広告を出す
-
出稿先
- 広告を出す場所。広告を出すサービスをしているところ。
- 広告主が払ったお金は、出稿先に払われる
-
マス
- 大衆・集団を意味する言葉
- 「マスメディア」というと、大衆に向けて発信される媒体を指す
- テレビ・ラジオ・雑誌・新聞など
-
SEO
- Search Engine Optimization の略
- 検索エンジンの検索結果を最適化する考え・技術
- 「SEO上がった!」というと検索の順位が上がったということを指す
では、予習も終わったので見ていきましょう。
純広告(バナー広告)
1994年に誕生。横長のbanner(旗)に似ていたことからそう呼ばれました。
バナー広告は「純広告」とも呼ばれ、画像と文字で表現された媒体です。
クリックされたことで広告主サイトへの誘導を促します、いちばん有名なのは、Yahoo!のトップページですね。

特徴
インターネット黎明期は、バナー広告が主体でした。
バナー広告は、**「時間と場所」**をお金で買います。Yahoo!のブランドパネル(上記トップページの大きなバナーの部分)レベルになると、何百万という大きな額が動きます。
それもそのはず。
ここに広告を出すとYahooにアクセスしてきたすべての人が目にします。マス(大衆)要素が非常に大きいです。
それが故に、その広告が刺さるユーザーを選定して配信が行われていないため、広告が表示された消費者が実際に興味を持つかどうかはわかりません。
考え方としては、街角で見かける看板と似ています。
あれも「時間と場所」、つまりいつまでここに看板を出すかを契約して掲載するものです。通りかかる様々な人に見てもらうのが目的ですね。
余談1: 1995年
Yahoo!がサービスを開始したのは、1995年。
(Yahoo! Japanは遅れること1996年4月にサービス開始)
ちょうどこの1995年は、Googleの創業者、ラリー・ペイジとサーゲイ・ブリンが出会った年でもあります。彼らがGoogleを起業するのは、3年後ですがこの年には何か運命的なものを感じます。
余談2: 世界初のバナー広告
1994年10月27日、世界初のバナー広告が誕生します。それが以下のもの。
(出典: http://thefirstbannerad.com/ )
**「あなたはここをマウスでクリックしましたか?」**と聞いています。
今こんなバナーがあったらスパムでしかない印象を受けますね(笑)UI/UXともてはやされる現在ですが、当時はWebの技術もそれほどまだ進化していない時代。こんな風に書かれるだけで皆さんクリックしていたようです。
アフィリエイト広告
1996年に誕生。
純広告(バナー広告)が「時間と場所」に対してお金を使うシステムだったのに対し、アフィリエイト広告は成果報酬型の広告です。
特徴
掲載するのは、バナー形式の広告ですが、掲載するだけではお金は発生しません。
実際にその広告をクリックして、商品が購入されることで報酬が出稿先に支払われます。
みなさんも実際にご覧になられたことないですか?
ブログなどで商品のレビューを紹介して、実際にAmazonなどのリンクを載せているサイトがありますよね。そのブログを見て商品を購入した場合、ブログの主に報酬が払われます。
長所
このアフィリエイトは広告は広告主と消費者(ブログの読み手)のニーズが一致する可能性が高いので、純広告のように**「興味ない人に無駄に広告を打つ」という可能性**を減らせます。さらに成果報酬型であるがゆえに、広告主がビジネスの成功(消費者が購入する)をしない限りはお金を払わなくても良いというメリットがあります。
レビューが上手で商品を買わせるのに長けているブログサイトなどは、アフィリエイトの出稿先として人気になっていきます。
閑話休題 -90年代から2000年代へのWebの変遷-
自発的検索がメインに・・・
1990年後半になってくると、インターネットがだんだん本格化していきます。
日本ではテレホーダイが登場し、11時以降のネットサーフィンが盛んになります。
URLを打ち込んで見に行くよりも、自発的に検索をしてWebサイトを見に行くことがだんだんメインに。情報を集約している「ポータルサイト」の重要度も増してきます。
そんな時代の移り変わりの中、検索スキルは必須になっていきます。
SEO至上主義の到来
2000年代に入ると、SEO至上主義の時代に入ります。
一言で言うなら、**「検索結果こそ全てだ!!」**という考えです。
人々は如何にして、検索結果で上位に入るかを競い合うようになります。
それもそのはず、
- 検索結果はスクロールされない
- そのため、検索結果2ページ目だとサイトにそもそも来訪されない
という状況が生まれていたからです。
「サイトを露出することが、信頼性を高めるんだ!」という考えは、Webサイトを運営する人たちの共通のマインドとなっていきます。
(SEOの話は、12/8の記事で書く予定です)
そんなSEO主義の時代、2002年に革命が起こります・・・
リスティング広告
2002年に登場。
Googleがサービスを開始。検索結果に連動して表示される広告。
能動的に情報を取りに行こうとしているユーザーが対象となる。クリック課金で、インプレッション(表示)されるだけでは課金されない
特徴
今までの広告が「時間と場所」に対してお金を払っていたに対して、**「キーワードと機会」**に対してお金を払います。そのため、コストパフォーマンスが非常に高くなります。検索結果に連動しているということは、少なくともユーザーはそのことに対して関心を持っているということ。
「検索結果こそ全てだ!」という思想の世の中で、この広告形態は非常にブームになります。
また、SEOに対して、リスティング広告も付与した形で検索結果をコントロールしていくことをSEM(Search Engine Marketing)と呼ぶようになっていきます。
例えば・・・「美白」と検索した場合

これは2・3年前の検索結果画面なので、今のUIとは少し違います。
赤い枠が広告で、実際の検索結果は青い枠です。画面を占めている広告の数が多いのが見てわかります。
リスティング広告は、検索結果よりも上に表示されるので、Webサイトへの誘導機会は大変大きな貢献ができたのです。
番外編:コンテンツマッチ広告
2003年に日本ではサービス開始。
リスティング広告が「検索結果とマッチした広告」だったのに対し、コンテンツマッチ広告はサイトのテーマと連動した広告になります。広告主は広告を出す場所を、自分で決定しません。出稿先となるWebサイトの内容に関連した広告に対して、広告のネットワークが自動的に露出するようになります。
このコンテンツマッチ広告、広告費の規模としてはあまり大したものではないのですが、この「広告主が出稿先を直接選ばない」という手法が後の広告に生きてきます。
行動ターゲティング広告
2005年に「技術」が登場。
ユーザーの行動を分析し、
配信ユーザーを選定する仕組み。
実は技術が出てきてから、広告への応用として注目を浴びるのは
、もうちょっと後。
Cookieの重要性に、世の中が気づき始めてきます。
「キーワードと機会」に対してお金を払っていたのが、今度は**「集団と単価」**に対してお金を払うようになります。
特徴
Webサイト上の「ユーザーの行動」を記録していき、その行動から出す広告を決定するもの。
みなさんも経験ありませんか?Amazonや楽天で商品を検索していたら、「この商品を買っている人は、こういうものも買っています」というリマインドを。
これはユーザーのCookie情報から、消費者の行動をある程度セグメント化し、そのセグメントに対して「この広告を出せば効果があるんじゃない?」という統計のもと、広告を配信するというものです。
簡単に言うと、
「『ゼルダの伝説』のゲームを買う人は『スマッシュブラザーズ』のゲームを買う傾向がある!」
ということがわかったら、
「ゼルダの伝説」のゲームを買った人に、「スマブラ」のゲームもレコメンドしてみる広告を出すということです。もしくはその逆も。
「( ゚д゚)ハッ!そういえば自分もそういう広告で買ったことある!」
という方々もいるかも知れません。
オーディエンスターゲティング広告
そして、2008年・・・
今も主流になっている広告「オーディエンスターゲティング」が登場します。
これについては・・・また明日!
(オーディエンスターゲティングだけでも、内容が多くなるので分割します)
明日の記事をお待ち下さい。
まとめ
広告の種類 | 登場した年 | 何にコストを払うか |
---|---|---|
純広告 | 1994年 | 時間と場所 |
アフィリエイト広告 | 1996年 | 成果 |
リスティング広告 | 2002年 | キーワードと機会 |
行動ターゲティング | 2005年 | 集団と単価 |
オーディエンスターゲティング | 2008年 | 個人と単価 |
こうしてみると、段々と対象が細かくなっているのがわかりますね。
対象が細かくなっているのは、より適切な消費者へ届ける技術が進化していっているからです。
どうでもいい話
自分はAmazonの「この商品を買った人はこの商品も買っています」によくハメられます。
といっても、
タブレットを買ったら、ケースやプロテクターを買ったり。
パソコンを買ったら、キーボードも一緒に買ったり。
ゲーム機を買ったら、コントローラーを買ったり。
別に余計なものを買わされている感覚はなく、自分が**「そうそう!これもいる!」と**思えるものばかりが出てきます。優秀な広告というのは、「消費者のニーズを合致している」ものです。
とはいえ、衝動買いを繰り返すのは危険なので、本当に自分にいるものか?というのは自問自答するようにしましょう。
おわりに
明日は、上記でも触れた「オーディエンスターゲティング」についてです。