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ROS講座03 Pub & Sub 通信

Last updated at Posted at 2018-05-03

環境

この記事は以下の環境で動いています。

項目
CPU Core i5-8250U
Ubuntu 20.04
ROS noetic

インストールについてはROS講座02 インストールを参照してください。
またこの記事のプログラムはgithubにアップロードされています。ROS講座11 gitリポジトリを参照してください。

概要

このページはROSチュートリアルのシンプルな配信者(Publisher)と購読者(Subscriber)を書く(C++)とほぼ同等の内容です。このシリーズの流儀で少し書き直しています。

Pub & Sub通信

ROSのメインコンセプトはプロセス間でデータ通信です。ROSのプログラムの最小単位はROSノードです(基本的にに1つのROSノードは1プロセスに対応します)。ROSノードは単純な処理を行い、ロボットの複雑な処理は多数のROSノードが通信しあって共同で実行します。本来プロセス間通信を行うのは意外と面倒ですが、ROSフレームワークではPub&Sub型の通信が用意されています。各経路には名前がついて区別され、ROSトピック呼びます。
以下の図の例ではbasic_simple_talkerという名前のROSノードが送信をして、basic_simple_listenerという名前のROSノードが受信をします。この2つはchatterという名前の付いたROSトピックの経路でデータの送受信をします。また受け渡しをするデータの型はROSメッセージと呼びます。今回使ったものは文字列を送るstd_msgs::String型です。基本的なデータ型としてstd_msgs::Float64std_msgs::Int32があったり、カメラ画像を表すsensor_msgs::Imageやパスを表すnav_msgs::Path等があります。

basic_pubsub.png

前準備

ROSのプログラムを作るまでの前準備を行います。

  • ROSのインストール
  • catkin_wsの作成
  • ROSパッケージの作成

この3つはROS講座02 インストールで解説しているのでそちらをご覧ください。
今回は~/catkin_wsにあるcatkin_wsの中のbasic_lectureというROSパッケージの中にプログラム作るということを前提に解説します。

ソースファイル

Publisherのコーディング

basic_lecture/src/basic_simple_talker.cpp
#include <ros/ros.h>
#include <std_msgs/String.h>

int main(int argc, char** argv)
{
  ros::init(argc, argv, "basic_simple_talker");
  ros::NodeHandle nh;
  ros::Publisher chatter_pub = nh.advertise<std_msgs::String>("chatter", 10);
  ros::Rate loop_rate(10);

  while (ros::ok())
  {
    std_msgs::String msg;
    msg.data = "hello world!";
    ROS_INFO("publish: %s", msg.data.c_str());
    chatter_pub.publish(msg);

    ros::spinOnce();
    loop_rate.sleep();
  }
  return 0;
}
  • ros::Publisher chatter_pub = n.advertise<std_msgs::String>("chatter", 10);でROSのPublisherを作成します。
    • 通信するROSトピックの名前はchatter
    • 通信するROSトピックの型はstd_msgs::String
    • 最後の引数の数字はバッファーサイズです。基本的に10程度の値を入れておけば十分です。

Subscriberのコーディング

basic_lecture/src/basic_simple_listener.cpp
#include <ros/ros.h>
#include <std_msgs/String.h>

void chatterCallback(const std_msgs::String& msg)
{
  ROS_INFO("subscribe: %s", msg.data.c_str());
}

int main(int argc, char** argv)
{
  ros::init(argc, argv, "basic_simple_listener");
  ros::NodeHandle nh;
  ros::Subscriber sub = nh.subscribe("chatter", 10, chatterCallback);

  ros::spin();
  return 0;
}

ros::Subscriber sub = n.subscribe("chatter", 10, chatterCallback);の2番目の引数の整数値は受信バッファーサイズです。リアルタイム性の高いトピック(=常に最新の値が欲しいトピック)では小さい数字にします。また、取りこぼしがあってほしくないトピックでは大きめの値を選びます。
公式のROSwikiのtutrialでは1000という非常に大きい値になっていますが、このように大きい数字にすると処理がバグることがあるので推奨しません。

CmakeListの設定

パッケージ直下にCmakeLists.txtがありここにビルド用の情報を書き足します。今回の場合はCmakeLists.txtに以下の4行を書き加えるだけです。

CmakeLists.txtに追加
project(basic_lecture)

find_package(catkin REQUIRED COMPONENTS
  roscpp
  std_msgs
)

include_directories(
  ${catkin_INCLUDE_DIRS}
)

add_executable(basic_simple_talker   src/basic_simple_talker.cpp)
add_executable(basic_simple_listener src/basic_simple_listener.cpp)

target_link_libraries(basic_simple_talker
  ${catkin_LIBRARIES}
)
target_link_libraries(basic_simple_listener
  ${catkin_LIBRARIES}
)
  • project()はこのROSパッケージの名前を入れます。
  • find_package()ではこのROSパッケージが依存するROSパッケージ名を入れます
  • include_directories()ではヘッダファイルのディレクトリの依存を記述します。基本的に${catkin_INCLUDE_DIRS}だけで充分です。
  • add_executable()では実行ファイルの生成の設定を書きます。1番目が実行ファイル名(自由に付けられる)で、2番目ではソースファイルを列挙します。
  • target_link_libraries()ではライブラリの依存を書きます。基本的に${catkin_LIBRARIES}だけで十分です。

ビルド

cd ~/catkin_ws
catkin build

catkinワークスペースでcatkin buildコマンドを実行するとワークスペース中のすべてのパッケージのビルドを始めます。コンパイルエラーが出た場合はここで表示されます。

実行

roscoreを実行するターミナル、simple_talkerを実行するターミナル、simple_listenerを実行するターミナルの3つのターミナルを使います。rosノードを実行するためにはあらかじめroscoreを実行する必要があります。各ターミナルごとに実行前にsource ~/catkin_ws/devel/setup.bashを実行する必要があります。

1つ目のターミナル
roscore
2つ目のターミナル
rosrun basic_lecture basic_simple_talker
3つ目のターミナル
rosrun basic_lecture basic_simple_listener

#結果
3つ目のターミナルで以下のような表示が出てきて、/chatterトピックが受信できていることが確認できました。

basic_pubsub1.png

参考

ROS wiki: publishとsubscribe

目次ページへのリンク

ROS講座の目次へのリンク

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