はじめに
AWSのクラウドアーキテクチャを設計する際、S3バケットにファイルがアップロードされたときに自動的にECS(Elastic Container Service)でタスクを実行したいシナリオはよくあります。代表的な実現方法として、以下の2つの構成があります。
- S3 → SQS → ECS
- S3 → EventBridge → ECS
本記事では、それぞれのアーキテクチャの特徴、メリット・デメリット、利用シーンの違い、失敗時の対応策などについて、具体的な事例を交えて解説します。
1. S3 → SQS → ECS アーキテクチャ
🔍 アーキテクチャ構成
- Amazon S3: ファイルがアップロードされると、S3イベント通知を設定してSQSにメッセージを送信します。
- Amazon SQS (Simple Queue Service): メッセージキューとして、ECSが処理するタスクを蓄積します。
- Amazon ECS: SQSからメッセージを取得してタスクを実行します。
✅ メリット
- メッセージバッファリング: SQSがメッセージを一時的に保存することで、ECSタスクが処理を追いつけない場合でもデータが失われません。
- メッセージの再試行が容易: Visibility Timeout と DLQ(デッドレターキュー)を使って、失敗したメッセージを安全に再試行できます。
- 高いスケーラビリティ: SQSのメッセージ数に応じて、ECSタスクを動的にスケール可能です。
- メッセージ順序の保証 (FIFOキュー): メッセージの順序が重要な場合にFIFOキューを利用できます。
⚠️ デメリット
- 遅延が発生する可能性: ECSはSQSをポーリングする必要があり、最短でも1分間の遅延が発生することがあります。
- ポーリングコストがかかる: SQSを頻繁にポーリングする場合、APIコールのコストが増加します。
- メッセージキュー管理が必要: キューが溢れるとメッセージが消失するリスクがあります。
🛠️ 失敗時の処理方法
- Visibility Timeout: 処理に失敗すると、メッセージはキュー内に再度表示され、再実行が可能になります。
- DLQ (デッドレターキュー): 一定回数以上失敗したメッセージはDLQに移行し、手動で再処理することも可能です。
2. S3 → EventBridge → ECS アーキテクチャ
🔍 アーキテクチャ構成
- Amazon S3: ファイルがアップロードされると、S3イベント通知を設定してEventBridgeにイベントを送信します。
- Amazon EventBridge: 特定のイベントパターンに基づき、ECSタスクを直接実行します。
- Amazon ECS: イベントを受け取ったECSタスクが即時に処理を開始します。
✅ メリット
- 即時実行可能: S3にファイルがアップロードされると、ほぼリアルタイムでECSタスクが起動します。
- 設定がシンプル: EventBridgeルールでECSをターゲットに設定するだけで完了します。
- 複雑なフィルタリングが可能: 特定のファイルタイプやパスに基づいたイベント処理が可能です。
⚠️ デメリット
- 大量のイベントに弱い: イベントごとに1つのECSタスクが起動するため、ECSタスク数が急激に増加するリスクがあります。
- イベントが失われる可能性: イベントが処理されない場合、設定によってはそのまま失われる可能性があります。
🛠️ 失敗時の処理方法
- 再試行ポリシー: EventBridgeでは再試行ポリシーを設定できますが、ECSタスク全体の再実行となるため、部分的な失敗には対応しにくいです。
- エラー通知設定: EventBridgeからSNSやLambdaに通知を飛ばして、手動でエラー処理を行うことも可能です。
🔍 SQS と EventBridge の違いをまとめた比較表
項目 | S3 → SQS → ECS | S3 → EventBridge → ECS |
---|---|---|
配信方法 | プル型(ポーリング) | プッシュ型(即時実行) |
遅延時間 | 最小1分 (ポーリング間隔) | 即時実行 |
メッセージ保持期間 | 最大14日間 | 24時間 (イベントバス内) |
再試行方法 | メッセージ単位(DLQ対応) | タスク単位(再試行ポリシー設定可能) |
エラー時の対応 | メッセージがキューに残る | 失敗したイベントは設定により消失する可能性 |
スケーラビリティ | キューのメッセージ数に応じて調整可能 | イベント数に応じてタスクが自動実行 |
🏁 結論: 適切なアーキテクチャの選び方
✅ S3 → SQS → ECS を選ぶべき場合
- 大量のファイルが頻繁にS3にアップロードされる場合
- メッセージを バッファリングして順序通りに処理したい場合
- メッセージの再試行やエラー管理をしっかり行いたい場合
✅ S3 → EventBridge → ECS を選ぶべき場合
- 即時実行が求められる場合
- イベント頻度が 低い、またはシンプルなワークフローの場合
- フィルタリング設定が必要で、特定の条件下でのみECSタスクを実行したい場合
💡 まとめ
S3からECSタスクを実行する場合、SQSを使うことでメッセージのバッファリングや再試行が可能になります。一方、EventBridgeを使うことで、よりシンプルかつ即時実行が可能です。
システムの要件やメッセージの頻度、エラー処理の方針に応じて、最適なアーキテクチャを選びましょう。
本記事を参考に、あなたのプロジェクトに最適なAWSアーキテクチャを構築してみてください!
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