OpenAI・Codexの「28日間アップデート」をこれからも毎日調査して発信します。続きが気になる方はぜひフォローしてください。
2026年10月8日(米国時間)、OpenAIの「28日間、毎日改善またはリセット」企画のDay 4が発表されました。
今回は大きく2つのアップデートです。
- Day 4.1:GPT-6.1 SolのUltrafastモード提供開始 — API、Codex、ChatGPT Workで高速なトークン生成を利用できる
- Day 4.2:Near-instant steering — Codexが実行中でも、追加指示により素早く方向転換できる
さらに、同じ10月8日にCodex CLI 0.162.0も公開されています。これは28日企画の番号付き2件とは別の関連リリースとして、後半で整理します。
情報の基準日:2026年10月9日(日本時間)。 本文では、OpenAI Developer Community、OpenAI API Changelog、公式料金表、ChatGPT Help Center、Codex Changelogを確認しています。モデルやプランの提供状況は段階的に変わることがあります。
先に結論:何が変わった?
| 項目 | 変更内容 | 注意点 |
|---|---|---|
| Ultrafast | GPT-6.1 Solの生成速度がStandard比で最大8倍 | 作業全体の完了時間が8倍速い保証ではない |
| API料金 | 入力・出力トークン料金はStandard比6倍 | 速度8倍と料金6倍を混同しない |
| API提供 | OpenAI APIユーザー全体に提供(レート制限あり) | サブスクの対象プランとは異なる |
| Codex / Work | Pro $500、対象Enterprise・Eduで利用可 | Plus、Pro $100/$200、Businessは開始時点で対象外 |
| Near-instant steering | 実行中のCodexに送る指示への反応を高速化 | Queueとは違い、現在の実行に指示を入れる |
| 関連リリース | Codex CLI 0.162.0を公開 | Day 4の番号付き施策には含めない |
Day 4.1:Ultrafastとは何か
Ultrafastは、新しいGPTモデルの名前ではありません。既存モデルに対して選択する、**低遅延な処理モード(service tier)**です。
低遅延とは、リクエストから処理結果が返り始めたり、途中の結果が届いたりするまでの待ち時間が短いことを指します。
10月8日のOpenAI API Changelogには、gpt-6.1-sol のResponses APIで
{
"model": "gpt-6.1-sol",
"service_tier": "ultrafast",
"input": "このコードの問題点を簡潔に説明してください。"
}
という指定で利用できると書かれています。
ポイントは、modelではなく**service_tierが変更される**ことです。
-
model:何を考えるAIか -
service_tier:どの速度・処理クラスでそのモデルを実行するか
従来のStandardと比べ、出力トークンを生成する速度が最大8倍と案内されています。
「最大8倍」はどこが8倍になる?
ここを誤解すると期待値が大きく変わります。
OpenAIが示しているのは、主に生成トークン間の時間、つまり文章やコードを順番に出力する速さです。
たとえば、Codexの仕事は次のような複数の工程で構成されます。
依頼を読む
↓
モデルが方針を考える・生成する
↓
リポジトリを調べる
↓
依存関係やテストを実行
↓
モデルが結果を分析・修正する
↓
GitHubにPRを作成
Ultrafastが速くするのは、主にモデルの出力部分です。
そのため、ネットワーク、テスト実行、CIの待ち時間、外部ツール実行などが支配的な作業では、仕事全体は必ずしも8倍になりません。
同様に、推論性能そのものが8倍になるという意味でもありません。
Standard / Fast / Ultrafast
これらは、基本的に同じモデルを異なる処理速度と料金で利用するための区分です。
Standard : 標準の速度・料金
Fast : 速度を優先する上位モード
Ultrafast: さらに出力速度を優先する最上位モード
「高速モードだから推論設定をHighからLowにする必要がある」という話でもありません。モデルや推論設定と、service tierは別の選択肢です。
UltrafastのAPI料金:最大8倍速でも価格は6倍
OpenAI Developer CommunityのDay 4発表およびモデル料金表では、GPT-6.1 SolのUltrafastはStandardの6倍のトークン料金です。
| GPT-6.1 SolのAPI料金(100万トークン) | Standard | Ultrafast |
|---|---|---|
| 入力 | $2 | $12 |
| 出力 | $10 | $60 |
| 料金倍率 | 1倍 | 6倍 |
トークンとは、AIが文章やコードを処理するときに使う文字列の単位です。日本語の1文字が必ず1トークンになるわけではありません。
仮にAPIで入力100万トークン、出力100万トークンを処理した場合、上記の入出力料金だけで計算すると、
Standard : $2 + $10 = $12
Ultrafast: $12 + $60 = $72
になります。
実際の請求額には、キャッシュ入力・キャッシュ書き込み・長いコンテキスト・地域処理などの条件が関わる場合があります。比較は必ず最新の公式料金表で行ってください。
Codex / Workの「使用量」も6倍?
APIトークン料金の6倍を、ChatGPTサブスクリプションの消費倍率へそのまま当てはめてはいけません。
APIは主にトークン料金、Codex / Workのサブスクリプションはプラン利用枠やクレジットで管理されます。
OpenAIの料金表はそれぞれ計算方法を分けて説明しています。タスクの前に、モデル選択画面と使用状況を確認するのが安全です。
APIでは誰でも使えるが、Codex / Workでは対象プランが限定
ここが今回の発表で特に紛らわしいポイントです。
APIの場合
GPT-6.1 Sol UltrafastはOpenAI APIユーザー全体へ提供されています。ただし、別枠のRate Limit(呼び出し制限)が適用されます。
公式ドキュメントにあるGPT-6.1 Sol Ultrafastの標準的なTPM(Tokens Per Minute:1分当たりに処理できるトークン数)は次の通りです。
| API Tier | UltrafastのTPM |
|---|---|
| Build | 1,000,000 |
| Launch | 4,000,000 |
| Grow | 40,000,000 |
これは組織のプラン・制限設定などで変わるため、実際の上限はAPI Dashboardで確認してください。
Codex / ChatGPT Workの場合
2026年10月8日の公式Changelogでは、次の対象が案内されています。
| ChatGPT側のプラン | Ultrafast |
|---|---|
| Plus | 開始時点で対象外 |
| Pro $100 | 対象外 |
| Pro $200 | 対象外 |
| Pro $500 | 対象 |
| Business | 開始時点で対象外 |
| 対象Enterprise | 管理者の有効化が必要 |
| 対象Edu | クレジット方式で利用可能 |
Pro $500ではプランに含まれるWork / Codexの使用枠から先に消費し、その後は利用可能なクレジット残高が使われます。対象Enterprise・Eduではワークスペースのクレジットが使われます。
Enterpriseはデフォルトでは無効で、ワークスペース所有者または管理者側の設定が必要です。
「APIで誰でも利用可能」イコール「ChatGPT PlusのCodexですぐ選択できる」ではありません。
APIからUltrafastを使う実装例
Python SDKでは、既存のResponses API呼び出しへservice_tier="ultrafast"を追加します。
from openai import OpenAI
client = OpenAI()
response = client.responses.create(
model="gpt-6.1-sol",
service_tier="ultrafast",
input="Pythonの例外処理について3行で説明してください。",
)
print(response.output_text)
ここでの意味は次の通りです。
-
from openai import OpenAI:OpenAI公式Python SDKを読み込む -
OpenAI():環境変数のAPIキーを使うクライアントを準備 -
client.responses.create(...):Responses APIでモデルへ問い合わせ -
model="gpt-6.1-sol":対象モデルを指定 -
service_tier="ultrafast":高速処理クラスを選択 -
input:モデルへ渡す質問 -
response.output_text:返された回答テキスト
SDKをまだ導入していない場合のインストールコマンドは次の通りです。
python3 -m pip install --upgrade openai
python3はPython 3の実行、-m pipはそのPython環境のパッケージ管理機能を呼び出し、installは追加、--upgradeは既存パッケージを新しいバージョンへ更新する指定です。
APIキーはソースコードへ直接書かず、環境変数OPENAI_API_KEYなどで管理してください。
WebSocketを推奨する理由
OpenAIのUltrafastドキュメントは、ツール呼び出しが何度も発生するエージェント用途ではWebSocketを強く推奨しています。
WebSocketは、一度作成した接続を維持して双方向にデータをやり取りする仕組みです。
たとえば、
HTTPを毎回利用
接続 → モデル → 切断
接続 → ツール結果を渡す → モデル → 切断
WebSocket
接続
├→ モデル
├→ ツール結果を渡す
├→ モデル
└→ 次のターン
という違いがあります。
モデルの出力だけ高速になっても、毎回の接続処理に時間がかかれば効果が目減りします。継続的にツールを使うAIエージェントでは、接続を再利用する方が高速化のメリットを得やすくなります。
ただしHTTPでもUltrafastを利用可能で、必ずWebSocketに作り直さなければならないわけではありません。
データ保存地域は?
GPT-6.1 Sol Ultrafastはグローバル処理に加えて、米国・EUのデータレジデンシーをサポートします。
データレジデンシーとは、モデルの推論処理をどの地域で実行するかに関する要件です。一般の全ユーザーが自動的にその地域へ固定されるという意味ではなく、契約・プロジェクト設定の条件も確認が必要です。
なお、GPT-6 Astra Ultrafastは先に公開されていましたが、同時点の公式ドキュメントではEUの推論レジデンシーに対応していないため、両モデルの地域サポートは同一ではありません。
Day 4.2:Near-instant steeringとは何か
**Steering(ステアリング)**とは、Codexの実行中に追加メッセージを送り、現在進行中の作業へ指示を反映させることです。
たとえばCodexへ、
リポジトリ全体のバグを調査して修正して。
と依頼した後、作業の途中で、
認証周りは変更しないで。まずテストケースを追加して。
と送りたいことがあります。
今回のDay 4.2は、その途中指示へCodexがより素早く反応する改善です。
以前からSteer機能そのものは存在していました。Day 4は「初めて途中で指示を送れるようになった」ではなく、応答速度を改善したという発表です。
SteerとQueueは何が違う?
OpenAI Help Centerによると、両者は次のように区別されます。
| 操作 | 意味 | 具体例 |
|---|---|---|
| Steer | 現在実行中の作業へ追加指示 | 「認証機能は変更しないで」 |
| Queue | 現在の実行終了後に次の指示を渡す | 「終わったらREADMEも更新して」 |
Steer
作業Aを実行中
├── 途中で指示を追加
└── 作業Aの方針を調整して続行
Queue
作業Aを実行中
└── 追加指示は待機
↓
作業Aが完了
↓
次の作業Bとして実行
デスクトップアプリでの設定
ChatGPTデスクトップアプリのCodexでは、次から標準の挙動を設定できます。
Settings
→ General
→ Follow-up behavior
ここで、途中の追加メッセージをSteerとQueueのどちらへ送るか選びます。
Codex CLIの場合
CLIでは、Codexが作業中にメッセージを入力し、
- Enter:現在の実行へSteer
- Tab:次の実行へQueue
という操作が案内されています。
今回の高速SteeringはまずChatGPTデスクトップアプリのCodexへ段階的に展開されると説明されています。そのため、CLIを含むすべてのクライアントで同時に「ほぼ瞬時」の応答が保証されたわけではありません。
途中指示を速く届けると何がうれしい?
たとえば次のようなケースです。
- レビュー中:「このPRはマージしないで、まず重大な指摘だけ整理して」
- バグ修正中:「仕様を変更するのではなく既存動作を維持して」
- テスト中:「本番DBには接続せず、モック環境だけで検証して」
- 長時間調査中:「その原因は違いそうだから、ログ調査を優先して」
長時間タスクほど、途中で誤った前提に気づいたときの方向修正が重要です。
ただし、既に実行したファイル変更・デプロイ・外部サービスへの書き込みが自動的に元へ戻るわけではありません。重要な操作には引き続き適切な権限制限、レビュー、Gitによる差分確認などが必要です。
同じ10月8日の関連リリース:Codex CLI 0.162.0
OpenAIの公式Changelogでは、Day 4と同じ2026年10月8日にCodex CLI 0.162.0も公開されています。
ただし、これは公式の28日追跡スレッドにある「Day 4.1」「Day 4.2」の番号付きリリースとは別です。
主な変更には、以下があります。
- Git worktreeの作成・一覧を扱うツール(機能有効化時)
- Command Centerでタスクをピン留め
-
/copyによる会話ログのコピー操作改善 - 承認画面やMCP確認画面のURLをクリック可能に
- Windows / Linuxのサンドボックス関連の不具合修正
-
apply_patchによる変更時のCRLF改行保持 - Responses / WebSocketのリトライ時、サーバーの
Retry-After指示を尊重
Git worktreeは、同じGitリポジトリから複数の作業ディレクトリを用意し、異なるブランチを並行して扱う仕組みです。複数のCodexタスクを分けて実行する場合に役立ちます。
CRLFは、主にWindowsで使われる改行コードです。パッチ適用時に勝手に改行がLFへ変わると、変更していない行まで差分になってしまうことがあります。
Retry-Afterは、APIが一時的な制限などを返すときに、再試行までの推奨待機時間を伝えるHTTPヘッダーです。
CLIのアップデート方法
npm install -g @openai/codex@0.162.0
コマンドの意味は次の通りです。
-
npm:Node.jsのパッケージ管理ツール -
install:パッケージをインストール -
-g:グローバル領域へインストール(通常のターミナルから利用可能にする) -
@openai/codex:OpenAI公式のCodex CLIパッケージ -
@0.162.0:バージョン0.162.0を明示的に指定
これはCLIを更新するコマンドです。モデルをUltrafastへ切り替えるコマンドではありません。
Day 4にフルリセットは来た?
10月9日午前(日本時間)の公式情報確認時点で、Day 4の追加フルリセットは確認できませんでした。
公式追跡スレッドでDay 4として列挙されているのは、
- Day 4.1:GPT-6.1 Sol Ultrafast
- Day 4.2:Near-instant steering
の2件です。
前日のDay 3では**banked reset(保存可能なリセット)**が配布されていますが、それをDay 4の新規リセットと混同しないよう注意してください。
「Day 4にリセットがなかった」と永久に断定するものではなく、この記事の確認時点で追加の公式発表が見つからなかったという意味です。
Day 1〜Day 4の変化を振り返る
| 日 | 主な更新 |
|---|---|
| Day 1 | GPT-6 Astra / GPT-6.1 Solのサブスクリプション経由での速度改善 |
| Day 2 | Auto-review無料化、API Tier簡略化、Meetings、Decisions API、一斉リセット |
| Day 3 | GPT-6+Intelligent UI、Codex / Workの4,000万人、保存可能リセット |
| Day 4 | GPT-6.1 Sol Ultrafast、Near-instant steering |
Day 1はデフォルトの速度改善、Day 4は速度をさらに優先したい場合に自分で選ぶ上位モードです。両者は別のアップデートです。
同様にDay 3は通常チャットのUI体験、Day 4はCodexの実行中の操作性に焦点が当たっています。
まとめ
Day 4は「新しいモデルの公開」よりも、既存のGPT-6.1 Solを高速に使う方法と、Codexを途中で操作しやすくする改善が中心でした。
押さえたいポイントは次の通りです。
- Ultrafastは新モデルではなく
service_tierで選択する高速モード - GPT-6.1 SolではStandard比で出力生成が最大8倍速い
- APIのGPT-6.1 Sol Ultrafast料金はStandardの6倍
- APIでは全ユーザーが利用可能だが、専用のRate Limitがある
- Codex / ChatGPT WorkではPro $500、対象Enterprise・Eduが中心
- Near-instant steeringで、実行中のCodexへ追加指示した際の反応が速くなる
- Steerは現在の実行へ指示、Queueは次の実行へ指示
- 同日のCodex CLI 0.162.0は別枠の関連リリース
- Day 4の追加フルリセットは確認時点で未確認
特に、APIの料金とChatGPT側の利用可能プランを分けて考えること、そして「最大8倍」をモデル出力速度の話として理解することが重要です。
参考・一次情報
- OpenAI Developer Community:UltrafastとNear-instant steeringのDay 4追跡情報
- OpenAI Developer Community:GPT-6.1 Sol Ultrafast正式発表
- OpenAI API:Ultrafast mode
- OpenAI API:Changelog
- OpenAI API:GPT-6.1 Solモデル料金
- OpenAI Help Center:ChatGPT Work and Codex
- OpenAI Help Center:ChatGPT release notes(10月8日 Faster steering)
- OpenAI Help Center:Using Codex with your ChatGPT plan
- OpenAI Changelog:Codex CLI 0.162.0
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