はじめに
うちのナレッジベースを数えてみたら、1年以上まったく更新されていないページが3割ありました。
こんにちは!ONESのふえです。この数字自体は、正直そんなに怖くありません。まるごと古いページは、開いた人が「これは古いな」と自分で気づけるからです。
本当に事故になるのは、こういうページのほうでした。
- 半年前に一度だけ更新されていて、ぱっと見は新しそうに見える
- 書いてある手順のうち、3つ目だけが今の実装と違う
- 「暫定対応」と書かれた箇所が、いつの間にか正式な仕様になっている
9割は合っているので、読むほうも疑いません。そのまま作業して、レビューで初めて食い違いが出てきます。差分が小さいほど発覚が遅れるという、なかなか意地の悪い性質を持っています。
そこで、人がページを読み直して確かめるのをやめました。ページの記述と、その機能に紐づく課題の更新履歴を、AIに突き合わせてもらう形に変えています。 月に1回、スペース単位で回すだけです。
以下の話に出てくるONES.comの製品は、この3つです。
- ONES Wiki:仕様書や運用手順を書いて貯めておける、ナレッジベース管理のツールです。
- ONES Project:要件・タスク・バグを課題として登録し、ステータスや変更の履歴を残していくプロジェクト管理のツールです。
- ONES Assistant:ONESの画面に組み込まれたAIアシスタントです。権限のある範囲でナレッジベースのページと課題の両方を読めるので、1つの会話の中で両者を見比べられます。
🕰 古くなるのはページではなく「決定」のほうです
そもそも、なぜドキュメントは古くなるのでしょうか。
書いた人が怠けているから、ではないと思っています。仕様が変わる瞬間って、たいていドキュメントの外で起きるんです。バグ対応の中で判定条件を1つ足した、レビューで引数の扱いを変えた、リリース直前に閾値を戻した。どれも課題の中では正しく記録されています。ページに戻る動線がないだけなんです。
つまり、最新の情報がどこにもない、という話ではありません。最新の情報は課題の側にあって、ページの側と接続されていない、というのが実態でした。
だとすると、やるべきなのはページを読み直すことではなく、2つを並べて差分を見ることです。人がやると重いのですが、これは機械が得意な作業に見えました。
🔎 ページと課題を、同じ会話に入れて見比べる
ONES Assistantは、入力欄の「+」から、ONES Wikiのページやスペース、課題、今開いている一覧のフィルター条件を、そのままコンテキストとして会話に持ち込めます。ここが今回の肝でした。ページを開いた状態で課題を検索し直す、といった画面の往復がいりません。
やっているのはこれだけです。対象のスペースからページを1枚コンテキストに入れて、隣に、その機能を担当しているプロジェクトのフィルター条件(直近3か月に更新された課題、など)を入れます。あとは突き合わせを頼みます。
そのまま貼って使える依頼文を置いておきます。
[📄 対象のページ] と [🔍 現在のフィルター条件] の課題を見比べてください。
1. ページ本文に書かれている仕様・手順のうち、課題側の更新内容と食い違う箇所を挙げてください
2. 各項目は「ページの該当記述」「根拠になった課題」「どちらが新しいと考えられるか」の3点で書いてください
3. 根拠が課題の説明文やコメントに見当たらない場合は、断定せず「要確認」として分けてください
4. 食い違いが見つからなかった項目は、書かなくて大丈夫です
4番目の指定を入れる前は、合っている箇所まで丁寧に報告してきて、結局こちらが全部読むはめになりました。確認したいのは差分だけなので、一致は返さなくていい、と最初に伝えておくと出力がぐっと短くなります。
出てきた結果は、ONES Wikiに残しておくと次の担当が楽になります。「この結果を棚卸しメモとしてスペースに保存して」と続けて頼めば、そのまま保存できます。
✅ 頼み方で、返ってくるものがかなり変わります
最初のころは雑に聞いていて、あまり使えない答えばかり返ってきていました。
❌ このページの内容は最新ですか?
これだと、ページ単体を読んだ感想が返ってきます。文章として整っているか、古そうな表現がないか、といった話です。知りたいのはそこではありません。
✅ このページの記述と、[🔍 現在のフィルター条件] の課題の更新内容で、食い違っている箇所だけを挙げて。根拠の課題も一緒に書いて。
比較する相手を明示して、根拠を書かせる。この2つを足すだけで、確認できる出力になりました。根拠の課題が付いていると、報告を受けた側がその場で開いて自分で判断できます。ここが一番効いた気がしています。
⏱ 丸1日かかっていた棚卸しが、40分になりました
四半期に一度、担当2人でページを開いて読み合わせる時間を取っていました。1スペースぶんで、ほぼ丸1日です。
| 以前 | 今 | |
|---|---|---|
| やり方 | 2人でページを頭から読み合わせる | ONES Assistantに突き合わせを頼み、挙がった箇所だけ見る |
| 1スペースあたり | 約8時間 | 40分前後 |
| 見つかるズレ | 誰かが覚えているものだけ | 課題の履歴という根拠が付いてくる |
| 実施の間隔 | 四半期に1回(重いので流れることも) | 月に1回 |
時間が短くなったこと以上に、実施の間隔が縮んだことのほうが効きました。丸1日の作業は予定に入りません。40分なら、月初に入れておけます。
⚠️ この方法で見つけられないズレもあります
万能ではないので、拾えないパターンも書いておきます。
| こういうズレ | どうなるか | やっていること |
|---|---|---|
| 会議で口頭だけ決めて、課題に何も残していない | 根拠がないので検知されない | 決めたことは1行でも課題のコメントに残す |
| 課題の説明が「対応する」だけで、何を変えたか書いていない | 「要確認」に寄って精度が落ちる | 完了時に変更点を1行だけ足す |
| 権限のないスペースやプロジェクトの情報 | そもそも読めない | 棚卸しの担当者に必要な閲覧権限を付けておく |
3つ目は制限というより、安心して任せられる理由でもあります。AIが見られる範囲は、頼んだ本人の権限を超えません。
あと1つ。挙がってきた食い違いを、そのままページに反映させるのは避けています。どちらが新しいかの判断は、実装を知っている人がやるべきところです。AIには「どこを見るべきか」まで出してもらって、直すかどうかは人が決める。この線引きは崩さないようにしています。
おわりに
ドキュメントが古くなる問題は、書く習慣の話として語られがちです。でも、うちで実際に効いたのは習慣の改善ではなく、課題の側にある最新情報と、ページの側を定期的に突き合わせる仕組みを1つ足したことでした。
手元のナレッジベースで、いちばん参照されている仕様書を1枚開いてみてください。その機能に、直近3か月で入った変更を全部言えるでしょうか。すぐに出てこないなら、たぶんページのほうも追いついていません。
同じことを試すなら、ONES.com が入口になります。自社のスペース構成でどう回すかを相談したい場合は、support@ones.com までご連絡ください。