はじめに
新しいプロジェクトの計画には、たいてい同じ穴が空きます。
データ移行が想定より時間がかかって停止時間をオーバーした。要件が後から増えて、テスト期間だけが削られた。どれも、過去にどこかのチームが一度は踏んだやつなんですよね。なのに、新しい計画を立てるときには、その教訓がきれいに抜け落ちている。
理由ははっきりしていて、過去の失敗が「その人の記憶」の中にしか残っていないからです。振り返りのドキュメントは書いてあるのに、次の計画づくりのときに誰も掘り返さない。結局、組織としては同じ失敗を何度も繰り返すことになります。
この「過去の教訓を、次の計画にちゃんと引き継ぐ」という部分は、実はAIにかなり助けてもらえます。今回は、新しいプロジェクトを立ち上げるときに、過去案件のリスクを横断的に拾い上げて計画へ盛り込む進め方を紹介します。使うのは、ONES.comの次の3つです。
- ONES Project:課題やタスクを登録して、対応状況やワークフローを管理するプロジェクト管理のツールです。
- ONES Wiki:要件定義書や振り返りメモなどを書いて貯めておける、ナレッジベース管理のツールです。
- ONES Assistant:ONESの画面に組み込まれたAIアシスタントです。ONES ProjectとONES Wikiの両方を横断して、意味の近い情報を探し出してくれます。
💡 計画を立てる前に、過去のリスクを聞いてみる
やることは、拍子抜けするほど単純です。新しいプロジェクトの立ち上げ資料をONES Wikiに置いた状態で、ONES Assistantに「これから始めるこのプロジェクトと似た過去案件で、どんなリスクや失敗があったか教えて」と聞くだけなんです。
するとONES Assistantが、過去プロジェクトの課題(ONES Project)と、振り返りや設計のドキュメント(ONES Wiki)の両方を横断して探し、似たプロジェクトで実際に起きたつまずきを拾ってくれます。「データ移行が停止時間を超過した」「要件追加でテスト期間が圧縮された」といった前例が、根拠になった課題やページのリンクつきで返ってくるんですよね。
ここが効くところで、課題管理とドキュメントを別々に検索しなくていいんです。1回の会話の中で両方をまたいで探してくれるので、「あの失敗、どのプロジェクトだったっけ」と画面を行き来する往復がまるごと消えます。しかもキーワードの完全一致ではなく意味の近さで拾うので、当時と違う言葉で書かれていても引っかかります。
拾ったリスクは、新しい計画のリスク項目としてONES Wikiに残せますし、注意が必要なものはONES Projectの課題に落として担当者や期日を割り当てられます。眺めて終わりではなく、そのまま今回の計画に組み込めるのが地味に効きます。
📋 そのまま使える依頼テンプレート
うまく引き出すには、聞き方に少しコツがあります。「リスク教えて」とだけ投げると一般論が返ってきて、自分のプロジェクトの話になりにくいんですよね。次の点を渡すと、過去案件に根ざした具体的な内容になります。
これから始めるプロジェクトの立ち上げ資料を参照してください。
このプロジェクトと似た過去案件で発生したリスク・失敗を洗い出したいです。
・今回の概要:〇〇(例:既存ECの決済基盤リプレイス)
・過去案件と似ている観点:〇〇(データ移行、外部連携、短納期 など)
似た事例があれば「事象/原因/当時の対応」の3点セットで並べ、
根拠になった課題やナレッジベースのページはリンクで示してください。
概要と観点を書き換えるだけです。チームで使うなら、この型を計画づくりのテンプレートに1つ入れておくと、誰が立ち上げても同じ精度で過去のリスクを引き継げます。
⏱ 「思い出せない」がなくなった
いちばん変わったのは、計画のリスク欄が埋まるまでの時間です。以前は過去案件を知っている人を捕まえてヒアリングしたり、古い振り返りを探し回ったりで、半日がかりでも拾いきれませんでした。今は資料さえそろっていれば、15分ほどで「過去に踏んだ穴」の一覧がリンクつきで出てきます。
もうひとつ大きいのは、属人化がほどけたことです。「あのプロジェクトにいたベテランに聞かないと分からない」状態だったのが、書き残されてさえいれば誰でも同じ前例にたどり着ける。個人の経験が、そのままチームのナレッジとして効いてくる感覚があります。
⚠️ 書き残していないリスクは、出てこない
ひとつだけ、正直にお伝えしておきたい注意点があります。ONES Assistantが拾えるのは、あくまで誰かが書き残した過去だけ、という点です。
当時ヒヤッとしたのに課題にもドキュメントにも残さなかったリスクは、ヒットしません。逆に言えば、プロジェクトが終わるたびに振り返りをひとこと残す習慣さえあれば、教訓が次々に積み上がって次の計画が賢くなっていくということでもあります。
権限も関係します。自分が参照できない範囲の課題やページは、検索結果にも出てきません。ですから「1件も見つからない=リスクがない」ではなく、「見える範囲に記録がないだけ」かもしれない、と受け止めておくと過信せずに済みます。返ってきたリスクも完成品ではなく、たたき台として自分の目で取捨選択してから計画に入れてください。
おわりに
同じ失敗を組織で繰り返してしまうのは、誰かがサボっているからではなく、過去の教訓を掘り返す手間が重すぎるからなんですよね。そこをAIに肩代わりしてもらうと、計画づくりの入り口で「そういえば、あれ大丈夫かな」と立ち止まれます。真っ白なリスク欄を記憶だけで埋める前に、一度過去の案件に聞いてみる。それだけで、埋められる穴の数がずいぶん変わるはずです。
過去の経験を組織の資産として使い回したい方は、ONES.com から手触りを確かめてみてください。自社のデータで試したい場合は、support@ones.com までお問い合わせいただければ個別にご案内します。

