概要
AIエージェントのコーディングでよく起きていた問題として、UnitTestは通るのに実際の処理がスタブのまま、あるいはPlanにある項目が実装されていない、などがありました。ドキュメント作成とチェックを挟むことでそうした問題を減らしたり状況を分かりやすくする、SKILLを作りました。
1年近く前からこうした問題に取り組んできましたが、実は最近はAIエージェント側の進化でだいぶ問題は減っています。それでもまだ使い所はあると思うので、紹介します。
最初に結論まとめ
使い所は限られますが、「複数の機能が連携して動くなど複雑さが有って、分割して作った方がいい」「レビューや手動テストで漏れを見つけきるのが難しいので、実装段階で漏れを最小限にしたい」といった大きめの課題で狙って使うと良いと思います。
導入
使いたいリポジトリ上で次のapmコマンドを実行して導入します。
apm install suusanex/coding_agent_plan_and_verify_process/apm-packages/plan-coverage-residual-flow --target copilot,codex,agent-skills
Codexで別の機能も合わせて使いたい場合などはまた補足がありますが、とりあえずこの記事の内容を使うにはこれで十分です。
使い方
このSKILLを指示に入れて実行します。例えばCodexで最小の指示を出すとしたら
issue #45 を $plan-coverage-residual-flow で実装して
この程度でもOKです。
説明
当時のコーディングエージェントで起きていた問題
2025年後半から2026年前半くらいのコーディングエージェントでは、プランモード->実装と進めたのに完成していないことがよくありました。
多かったのは、UnitTestは確かに合格だが、本物の実装が存在しない。よく確認すると、スタブのまま「//現時点では本番経路は未実装とする」といったコメントが有ってイラッとした経験がある人も多いのでは?
プランに書かれていたのに実装が全く無い事もありました。
他にも、長時間エージェントが動いたあげく予算が尽きて停止。しかし何が完了し、何が未完了なのか、状況が分からない。という問題も有りました。
原因をまとめると、Planから完了までを網羅する一覧がなく、各項目の状態を追跡できていために、問題が起きていたと思います。
そういう問題を解決するためのAI向けプロセスを作った
そこで、Planに要求と完了条件を明示し、各項目をドキュメントに書いて追跡するようにしました。ドキュメントに書くことで網羅チェックはもちろん、途中で止まってしまった場合にどこまで完了しているのかを確認しやすくなります。
それがこの plan-coverage-residual-flow ですが・・・長いので中身は読まなくて良いと思います。
要するに、SKILLで開発の順序とドキュメントのフォーマットを示したもので、ちょっとした開発プロセスです。
正確にはこの記事で紹介したもの以外の要素もいくつか盛り込まれているので、それは別の記事で紹介しようと思います。
得られた効果
通常の「Planモードから、そのまま実装」という進め方と比べて、実装漏れはだいぶ減ったというのが実感です。
途中で作業を引き継ぐ場合も、完了した項目と残件を一覧から確認できます。レビュー時にも、要求と完了条件に対して何が実装・検証されたのかを追いやすくなりました。
一方で、Planとは別に状態を管理し、実装後も各項目を確認するため、トークン消費量は増えます。とはいえ、トークン消費量が少ない代わりに抜けがある成果物を作っても意味がないので、それだけの価値はあったと思います。
AIエージェント側の進化によって使い所が変化
現在はAIエージェントのモデルやハーネスなどが強化されて能力が上がり、通常の「Planモードから実装」でも、以前ほど漏れが発生しなくなりました。作業を再開するときの状況把握も速くなっています。
そのため、単発の課題のissueを1つ解決するような普段の開発では、トークン消費に対する効果が合わなくなってきました。
今でも使い所があるのは、Planをさらに分割して実装・統合する必要があるような少し複雑な課題です。UI・サービス・カーネルで通信して動くようなシーケンスが複雑な物には効きやすいと思います。
レビューや手動テストに入る前に、実装段階で抜けを最小限にしておきたい。という場合にも向いています。AIの予算に余裕は有るが、工数に余裕がない、と言う場合などです。
考え方自体は今でも使えるが、より要求レベルが高い場面で使うようになってきた、という感じです。
使い方
導入
以前の記事で紹介したapmを使えば、作業をするリポジトリへ簡単に取り込めます。こんな感じです。
apm install suusanex/coding_agent_plan_and_verify_process/apm-packages/plan-coverage-residual-flow --target copilot,codex,agent-skills
補足
この記事で紹介した以外にも、実装をサブエージェントへ振る仕組みなどが入っていて、それも使いたい場合はさらに追加が必要です。もしそこまで興味のある人がいたら、今後の紹介記事を待つか、長いReadMeを頑張って読んでみてください。
使い方
細かい事は全てSKILLに書いたので、使う時はプロンプトにスキル名を入れればOKです。この $ の記法はCodexの例ですが
issue #45 を $plan-coverage-residual-flow で実装して
という程度の指示でもちゃんと使ってくれます。
前回プロセスで残った課題
前の記事でも似たようなプロセスを書いてたよね?と思った人、連続で読んでもらってありがとうございます。そう、AIにコーディングさせるときに抜けを減らすためのプロセスを以前にも書きました。
ただ、前回のプロセスは「全ての問題を直して、チェックリストが埋まるまで、修正ループを回し続ける」という発想でした。
これはAIがかなり自走してくれるので楽なのですが、その代わりに高難度の要素が混ざったときにトークン消費量が急増しやすいです。ここで紹介したのはその点の改善版で、無限にやり続けるのではなく、出来たこと、できなかったことを明確にして完了するようになっています。
まとめ
AIコーディングで抜けがちと感じている点を補強するプロセスを作り、apmで手軽に導入して使えるようにしました。記事にまとめるまでにだいぶ状況が変わって、常に有効なプロセスではなく特に漏れ抜けを避けたい時に使う重量級プロセスという感じになってきましたが、まだ使い所はあると思います。
