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【RPA】2種類の適用業務 - 「効率化できた業務」「人手では無理だった業務」

Last updated at Posted at 2019-11-10

RPAは様々な業種の様々な業務に適用されているが、業種/業務の内容にかかわらず、RPAの事例をいろいろと聞いていると、適用した業務の種類には大きく2種類の性格があることがわかる。それは「効率化できた業務」「人手では無理だった業務」である。RPAを導入中のユーザーは、効果をどう測ろうか悩んでいる場合もあるだろう。その際に、適用しようとしている業務がどちらの性格のものかを考えて、それに応じたKPIを設定してみるとよい。

"効率化できた業務"

おそらく読者の皆様が想像する多くの事例はこちらになるかもしれない。いわゆる、「●●時間かかっていた業務を削減できた」「●●人分の仕事を削減できた」というやつである。今までの仕事がどれくらいの人数と時間で行われていたかを測り、RPA適用前、適用後で比べてみることになる。

ただし、RPA適用のための業務整理の段階で、必要ない仕事だとわかってやらなくなるなどRPAツールの直接的な効果ではないもの (変革プロジェクト全体としては成果だが)や、いったん削減した後は継続的にどのように効果を出しているように見せるのか、などの課題をクリアする方法を考える必要がある。

適用業務例:

  • 全部門の請求書の処理
  • 全社員の給与計算
  • 入金情報から回収予定表の作成、入金消込等の自動化
  • 経費精算における領収書との照合作業
  • 交通費精算における運賃と行先との照合
  • 人事システムから従業員への通知メール送信
  • 過重労働の従業員を上長および本人にメール通知
  • 部品の安全性検査
  • 顧客からのメールに添付されている見積もり依頼をAIで自動判定して見積書を作成
  • 取引先への申請、発注業務。各メーカーサイトへの登録作業自動化。
  • 電子納品後の証拠書類の提出
  • 減価償却仕訳入力
  • 資産情報から会計システムへの入力。SAPやAS400などの基幹システムの操作。
  • 税務署へ提出する償却資産税申告書データの作成
  • ITシステムの管理、ログの出力と報告/通知
  • センサーなどのデバイスデータの自動集計 (IoT)。
  • 商品在庫補充の発注業務
  • 各社内システムから情報収集し、経営向けレポート作成
  • POSデータの自動収集と分析システムへの自動登録
  • ソフトウェアのテスト業務

「年間2万時間の業務時間の削減」は大きいか小さいか

最近の日経コンピュータの特集によると調査した90社のRPA導入企業のうち8割は年5万時間未満の削減、約半分の40社程度は年2万時間未満の削減にとどまったようだ。ここで年間2万時間の意味について考えてみよう。2万時間というと大きな数のように思えるかもしれないが、これは何人分なのかということを考えてみると、1人当たりの年間営業日は240日程度、1日8時間労働とすると1,920時間、つまり約2千時間が1人分ということになる。そうすると、2万時間は10人分ということになる。

この年間10人という数字が大きいのかどうか、会社によって違うだろうが、調査対象になっているのがほぼ従業員1,000人以上の大企業であるので、全体からすると1%未満のインパクトということになる。果たしてそれが経営者にとってうれしいのかどうか、現状のRPAの導入方法だと限界があるだろう。しかも、有期雇用でない限り日本企業は簡単に従業員を解雇できない。削減案と同時にどの仕事に再配置するのか、教育をどうするのかなどを考える必要がある。

"人手では無理だった業務"

もう1つのパターンは、RPA導入により「できることが広がった業務」「人手では無理だった業務」である。季節変動など突発的なもの、人による作業では動機づけが難しい、人による作業だと時間がかかりすぎるもの、人的ミスを抑えたいもの、など、人間の従業員の特性上の限界によりいままで不可能だったことがRPAにより新たな価値が生まれたものである。この場合は、この「新たな価値」を定量化して時間やお金と比較をすることで可視化することになるだろう。RPA導入の際は、このパターンの業務への適用も同時に検討できるとよいだろう。

また、「RPAに業務を任せたことで、毎日の細かい作業から解放され、心が救われた」という意見も意外と多いようだ。従業員の働き方改革にもつながり、プライスレスな部分かもしれない。これは例えば昔は飛脚で走って届けていた荷物をいまはトラックで運ぶといったように、人間がやる仕事ではないことから人間を解放することになり、人間がより高付加価値な業務に集中するためには不可欠な過程であろう。

適用業務例:

  • 外部サービスで利用していないアカウントの全数チェックと削除
  • 特定キーワードに関するニュースの検索エンジン上での定期監視とレポートの頻度を毎日に
  • 監査や性能チェックのために収集されたデータをサンプリング調査から全数調査へ
  • コールセンターにおけるオペレーターと上司の間のリアルタイムな情報仲介
  • ディープラーニングに提供するデータの収集業務 (より広範囲から収集)

まとめ

RPA導入にあたっては、「効率化できた業務」「人手では無理だった業務」のどちらの種類の業務であるかを考え適切なKPIを設定しよう。

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