Cursor の MCP サーバーが JSON 対応したので便利機能をまとめたリポジトリを作りました
🔄 2025 年 3 月 9 日更新: WSL 環境での MCP サーバーの実行に対応しました。WSL ユーザーの方は、新しく追加された
setup-mcp-servers-wsl.sh
スクリプトを使用してセットアップできるようになりました。
はじめに
こんにちは!最近、Cursor IDE がModel Context Protocol(MCP)の JSON 対応を実装し、AI アシスタント機能を大幅に拡張できるようになりました。これにより、様々な外部ツールと Cursor の AI を連携させることが可能になりました。
しかし、MCP サーバーの導入はまだ情報が限られており、セットアップが煩雑です。そこで、私は複数の有用な MCP サーバーを簡単に導入できるリポジトリ「MCP for Cursor」を作成しました。
この記事では、MCP の概要から、このリポジトリを使った導入方法、各 MCP サーバーの具体的な使い方までを解説します。
Model Context Protocol (MCP)とは?
Model Context Protocol(MCP)は、Anthropic 社が開発した、LLM(大規模言語モデル)アプリケーションと外部データソースやツールを連携させるためのオープンプロトコルです。
簡単に言えば、AI に「外の世界とやり取りする能力」を与えるための標準化された方法です。これにより:
- AI がファイルシステムにアクセス
- データベースへのクエリ実行
- Docker コンテナの操作
- GitHub リポジトリの管理
など、様々な操作が可能になります。
Cursor IDE がいち早く MCP をサポートしたことで、AI 開発アシスタントがこれらの外部ツールと連携できるようになりました。
MCP for Cursor リポジトリの概要
私が作成したMCP for Cursorリポジトリは、以下の機能を提供します:
-
複数の MCP サーバーの一括セットアップ
- Docker 操作用 MCP
- ファイルシステム操作用 MCP
- GitHub 操作用 MCP
- テキストエディタ用 MCP(Python 3.13 以上が必要)
-
Cursor 向け自動設定ファイル
-
.cursor/mcp.json
が自動的に設定される
-
-
簡単なセットアップスクリプト
- PowerShell 用インストールスクリプト
セットアップ方法
前提条件
以下のソフトウェアがインストールされている必要があります:
- Python 3.12 以上(docker-mcp 用)
- Node.js 18 以上(Node.js 20 以上推奨)
- npm 9 以上
- Git
- Docker(docker-mcp を使用する場合)
WSL 環境を使用する場合の追加要件
- WSL2
- Ubuntu 20.04 LTS 以上(推奨)
手順
- リポジトリをクローン
git clone https://github.com/sorein-mio/MCP_for_Cursor.git
cd MCP_for_Cursor
- リポジトリ内のセットアップスクリプトを実行
# Windows PowerShellで実行する場合
./setup-mcp-servers.ps1
./setup-typescript-servers.ps1
# WSL環境で実行する場合
chmod +x setup-mcp-servers-wsl.sh
./setup-mcp-servers-wsl.sh
- Cursor でプロジェクトを開く
- Cursor を起動し、クローンしたリポジトリフォルダを開きます
- Cursor は自動的に
.cursor/mcp.json
を検出し、MCP サーバーを使用可能にします
WSL 環境でのセットアップに関する注意点
- WSL2 を使用していることを確認してください(
wsl -l -v
で確認可能) - WSL 環境内で Node.js と Python をインストールすることを推奨します
- Docker MCP を使用する場合は、WSL2 上の Docker を使用することができます
WSL 環境向けセットアップスクリプトの詳細
setup-mcp-servers-wsl.sh
WSL 環境向けの Bash スクリプトです。このスクリプトは以下の処理を行います:
-
WSL 環境の検出
スクリプト開始時に、現在の環境が WSL であるかを確認します。 -
apt リポジトリの更新と依存関係のインストール
apt を使用してリポジトリの更新を行い、Node.js および Python3 のインストール状況を確認します。足りない場合は自動的にインストールを試みます。 -
MCP サーバーのセットアップ
指定された MCP サーバー(例: docker-mcp、mcp-text-editor)のディレクトリ内で、各種ビルドおよびセットアップ処理(npm install や pip install 等)を実行します。 -
Python バージョンのアップグレード (オプション)
mcp-text-editor など、一部のサーバーでは Python 3.13 以上が必要です。オプション--upgrade-python
を指定して実行すると、pyenv を使用してユーザーレベルで Python のアップグレード(例:3.13.0 のインストール)が試みられます。
WSL 環境での実行方法
基本的なセットアップ
WSL 環境で次のコマンドを実行してください:
bash setup-mcp-servers-wsl.sh
Python のアップグレード (必要に応じて)
mcp-text-editor のセットアップで Python バージョンが不足している場合、以下のコマンドで Python のアップグレードが可能です:
bash setup-mcp-servers-wsl.sh --upgrade-python
このオプションは、pyenv を自動でインストール・設定し、指定されたバージョン(例: 3.13.0)の Python をインストールしてから、グローバル環境に設定します。
※ pyenv 使用時には、シェルの初期化ファイルへの設定追加が必要な場合があります。詳細はスクリプト内のコメントを参照してください。
導入済み MCP サーバーの活用例
1. Docker 操作用 MCP
この MCP サーバーを使うと、Cursor の AI アシスタントが Docker コンテナの操作を直接行えるようになります。
使用例:
- コンテナのリスト表示
- イメージの管理
- コンテナの起動/停止
- Dockerfile の作成支援とビルド
# Dockerコンテナの操作例
コンテナをリストアップし、停止中のものを起動してください
2. ファイルシステム操作用 MCP
AI がファイルシステムを直接操作できるようにします。
使用例:
- ファイル一覧の取得
- ファイル内容の読み取り
- ファイルの作成・編集
- ディレクトリの作成・削除
# ファイル操作例
現在のディレクトリ内のJavaScriptファイルを検索し、内容を表示してください
3. GitHub 操作用 MCP
GitHub リポジトリの操作を AI が直接行えるようにします。
使用例:
- リポジトリ情報の取得
- イシューの管理
- PR の確認・作成
- コミット履歴の参照
# GitHub操作例
このリポジトリの直近5件のコミット内容を教えてください
4. テキストエディタ用 MCP(Python 3.13 以上が必要)
テキストファイルの編集機能を強化します。
使用例:
- 高度なテキスト変換
- ファイル内検索・置換
- 構文解析と編集
# テキスト編集例
このファイル内の全ての関数名をキャメルケースに変換してください
トラブルシューティング
MCP サーバーが動作しない場合のトラブルシューティング手順:
- ターミナルから手動でサーバーを起動して、エラーメッセージを確認
# Windows環境でのDocker MCP
cd mcp-repos/docker-mcp
python -m docker_mcp
# Windows環境でのFilesystem MCP
cd mcp-repos/servers/src/filesystem
npx ts-node index.ts
# WSL環境での実行
wsl
cd mcp-repos/docker-mcp
python3 -m docker_mcp
- 依存関係の問題を確認
# Windowsでの依存関係確認
pip list
npm list
# WSL環境での依存関係確認
wsl
pip3 list
npm list
- Node.js や Python のバージョンアップが必要な場合は、リポジトリ内の以下のスクリプトを使用
# Windows環境
./install-latest-python.ps1
./install-latest-nodejs.ps1
# WSL環境
chmod +x install-latest-python-wsl.sh
./install-latest-python-wsl.sh
WSL 環境特有の問題解決
-
WSL と Windows の連携に関する問題
- WSL のバージョンが 2 であることを確認:
wsl --version
- Windows との統合機能が有効か確認:
wsl --status
- WSL のバージョンが 2 であることを確認:
-
パーミッションの問題
- スクリプトの実行権限を付与:
chmod +x *.sh
- 必要に応じて sudo を使用:
sudo ./setup-mcp-servers-wsl.sh
- スクリプトの実行権限を付与:
-
Docker 関連の問題
- WSL2 上の Docker デーモンの状態確認:
service docker status
- 必要に応じて Docker を起動:
sudo service docker start
- WSL2 上の Docker デーモンの状態確認:
実際の使用例: MCP を活用したコーディング体験
Cursor IDE で MCP サーバーを導入すると、以下のような体験が可能になります:
例 1: Docker コンテナの管理
AI アシスタントに「現在実行中の Docker コンテナの状態を確認して、使用していないイメージを削除してください」と指示するだけで、AI が Docker 環境を整理してくれます。
例 2: ファイル操作の自動化
「このプロジェクト内のすべての JavaScript ファイルから、console.log ステートメントを削除してください」という指示で、AI がファイルシステムを検索・編集できます。
例 3: GitHub との連携
「最近の Pull Request をレビューして、共通の問題点をまとめてください」と依頼すれば、AI が GitHub API を通じて情報を収集・分析できます。
まとめと今後の展望
Model Context Protocol(MCP)は、AI アシスタントの能力を大幅に拡張する革新的な技術です。Cursor がこれをサポートしたことで、開発者はよりパワフルな AI アシスタントの恩恵を受けることができます。
「MCP for Cursor」リポジトリを使えば、複数の MCP サーバーを簡単に導入できるため、すぐにこの新しい機能を試すことができます。
今後の展望としては:
-
より多くの MCP サーバーの追加
- データベース操作用 MCP
- AWS/Azure などクラウドサービス操作用 MCP
- CI/CD パイプライン操作用 MCP
-
カスタム MCP サーバー作成ガイド
- 独自の MCP サーバーを作成するためのテンプレートとガイド
-
ユースケース別の設定例
- 言語/フレームワーク別の最適な MCP 設定
もし興味があれば、GitHub リポジトリをチェックしてみてください。コントリビューションも歓迎しています!