【ElasticIP】パブリックIPとの違いと必要性
インターネット上でサーバーを運用する際、IPアドレスはそのサーバーへの「住所」として機能します。Amazon Web Services(AWS)で提供されるEC2(Elastic Compute Cloud)インスタンスには、パブリックIPとElastic IPという二種類のIPアドレスがあります。これらは似ているようでいて、重要な違いがあります。この記事では、EC2の概要と、パブリックIPとElastic IPの特徴、さらにElastic IPの必要性について初心者にも分かりやすく解説します。
EC2の概要
クラウド上の仮想サーバー
Amazon EC2は、AWSが提供するクラウドコンピューティングサービスの一つで、仮想サーバー(インスタンス)をオンデマンドで提供します。ユーザーは、必要に応じてサーバーの種類、サイズ、設定を選択し、クラウド上で自由に構築、管理することができます。
特徴
- 柔軟性: さまざまなタイプのインスタンスから選択可能で、用途に応じたリソースの確保が可能です。
- スケーラビリティ: 要求に応じてリソースを拡張・縮小でき、効率的な運用が可能です。
- コスト効率: 使用した分だけ料金を支払うため、コストを抑えてサーバーを運用できます。
パブリックIPとElastic IP
それぞれの特徴
パブリックIP
パブリックIPは、EC2インスタンスを起動する際に自動的に割り当てられる一時的なIPアドレスです。インスタンスを停止または終了すると、このIPアドレスは解放され、再起動時に新しいパブリックIPが割り当てられます。
- 一時的なアドレス: インスタンスの起動・停止に応じて変動します。
- コスト無料: 追加料金なしで利用可能です。
Elastic IP
Elastic IPは、AWSが提供する静的なIPアドレスで、インスタンスに永続的に割り当てることができます。Elastic IPはユーザーに対して割り当てられ、特定のインスタンスに紐付けることが可能です。
- 静的なアドレス: インスタンスを再起動しても変わりません。
- コストが発生する場合がある: 使用していないElastic IPは料金が発生することがあります。
Elastic IPの必要性
固定アドレスの利点
Elastic IPは、インスタンスのIPアドレスを固定するために重要です。特に以下のような場面でその価値があります。
- DNSとの統合: 固定IPを持つことで、DNS設定を一度だけ行えば、その後のインスタンスの停止や再起動に影響されません。
- 信頼性の向上: IPアドレスが変わらないため、外部からのアクセスやシステム間通信の信頼性が高まります。
- 管理の簡素化: 複数のインスタンスを
運用する際に、IPアドレスを記憶したり、設定を変更したりする必要がなくなります。
まとめ
AWSのEC2では、パブリックIPとElastic IPという二つの異なるタイプのIPアドレスが利用できます。パブリックIPは一時的でコストがかからない反面、インスタンスの停止や再起動で変更されるため、持続的な外部接続には不向きです。一方、Elastic IPは固定のIPアドレスを提供し、DNSとの統合や信頼性の向上に貢献しますが、使用していないとコストがかかる点に注意が必要です。これらの特徴を理解し、用途に応じて適切に選択することで、効率的かつ安全なクラウド環境を構築することが可能になります。