はじめに
PMP試験は計算問題の比率が高いわけではありませんが、出題される計算は解法がほぼ固定されており、覚えれば確実に取れる得点源です。逆に公式を曖昧にしたまま本番に入ると、1問あたりの読解時間が伸びて他の問題を圧迫します。
本記事では、学習を通じて整理した計算問題のパターンを公式ごとにまとめます。
1. EVM(アーンド・バリュー・マネジメント)
まず3つの値を区別する
| 記号 | 名称 | 意味 |
|---|---|---|
| PV | 計画価値 | その時点で完了している「予定だった」作業の予算額 |
| EV | アーンド・バリュー | 実際に完了した作業の「予算」額 |
| AC | 実コスト | その作業に実際かかった費用 |
EVは「出来高」です。問題文に進捗率が与えられている場合は EV = BAC × 進捗率 で求めます。ここを取り違えると以降の計算が全部ずれるので、まず3つの値を余白に書き出す癖をつけると安定します。
差異と指標
| 指標 | 公式 | 判断 |
|---|---|---|
| CV(コスト差異) | EV − AC | プラスなら予算内 |
| SV(スケジュール差異) | EV − PV | プラスなら前倒し |
| CPI(コスト効率指数) | EV ÷ AC | 1超なら効率良好 |
| SPI(スケジュール効率指数) | EV ÷ PV | 1超なら前倒し |
覚え方は単純で、差異(V)は引き算、指数(I)は割り算、どちらもEVが先。これだけで符号の取り違えはほぼ消えます。
予測系
- EAC = BAC ÷ CPI … 現在のコスト効率が今後も続く前提。最も出題頻度が高い形です
- ETC = EAC − AC
- VAC = BAC − EAC
- TCPI = (BAC − EV) ÷ (BAC − AC)
「このペースが続いた場合、最終的にいくらかかるか」と問われたら BAC ÷ CPI です。ただし「残作業は当初計画どおりの効率で進む」などの前提が明記されている場合は別の式を使う設問もあるため、問題文の前提を読み飛ばさないことが重要です。
報告文を選ばせる問題
CPI 0.9、SPI 1.1 という数値が出たら「予算は超過しているが、スケジュールは前倒し」です。スポンサーへの報告として適切な選択肢を選ぶ問題では、2つの指標を両方とも正しく言い換えている選択肢が正解になります。片方だけ正しい選択肢が必ず混ざっているので、両方を確認してから選びます。
2. EMV(期待金額価値)
EMV = 発生確率 × 影響金額
- 脅威はマイナス、好機はプラスとして合算します
- 複数のリスクを合計させて「コンティンジェンシー予備はいくら計上すべきか」と問う形が定番です
- 同じ文脈で、コンティンジェンシー予備(既知の未知)とマネジメント予備(未知の未知)の区別も問われます。EMVで積み上げるのは前者です
3. 三点見積り(PERT)
ベータ分布: (楽観値 + 4 × 最可能値 + 悲観値) ÷ 6
三角分布 : (楽観値 + 最可能値 + 悲観値) ÷ 3
標準偏差 : (悲観値 − 楽観値) ÷ 6
問題文に「最も可能性の高い値を重視する」といった記述があればベータ分布、単純な平均を求めているなら三角分布です。公式を知っているかではなく、どちらを使うかを読み取れるかを問う設問が多い領域です。
4. コミュニケーションチャネル
チャネル数 = n(n − 1) ÷ 2
- 「メンバーが3人増えるとチャネルは何本増えるか」と差分を問う形が定番です。増加後と増加前をそれぞれ計算して引き算します
- nにPM自身を含めるかで答えが変わります。問題文の人数の定義を必ず確認してください
5. フロート(余裕)とクリティカルパス
トータルフロート = LS − ES = LF − EF
- クリティカルパスはフロートがゼロの経路です
- 「最長の経路」であって「最も重要な作業が並ぶ経路」ではありません。ここを言い換えた選択肢が引っかけとして出ます
- フリーフロート(後続作業の最早開始を遅らせない範囲)との違いも押さえておくと安全です
学習の進め方
公式そのものは一日で覚えられます。差がつくのは、問題文のどの数字がどの記号に対応するのかを見抜く速度です。私が有効だと感じたのは次の手順でした。
- 問題文を読んだら、まずPV / EV / AC / BAC を余白に書き出す
- 聞かれているのが差異か、指数か、予測かを判定する
- 公式に当てはめる
慣れてくると1問30秒前後で処理できるようになり、余った時間をシナリオ問題に回せます。
おわりに
計算問題は範囲が狭く、対策の費用対効果が非常に高い領域です。公式を暗記した後は、必ず問題文からの読み取り練習まで進めることをおすすめします。
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