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ChatGPT・Gemini・Claude…データはAIの学習に使われるのか?情報漏洩のリスクは? 34製品の利用規約を読み比べてみた

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「このAIに入れた内容、バレませんか」

社内で AI を使い始めるとき、いちばん多い質問だと思います。聞かれる側は「たぶん法人版なら大丈夫です」と答えがちで、私もそうでした。曖昧にしか答えられないのが気になったので、AI チャット・AI エージェント・AI-OCR・iPaaS の 34 製品について、利用規約・プライバシーポリシー・ヘルプを 1 件ずつ開いて、何と書いてあるかを記録しました(調査日 2026-08-26。全件に出典 URL つき)。

結論を 1 枚にまとめたのが次の図です。

主要12製品について、入力がAIの学習に使われるかを個人利用と法人・API利用の2列に、保存の期間と場所を第3列に並べ、使われる・設定で選べる・使われない・記載なしを色と絵文字で示した一覧図。国旗は提供元の国

  • 「学習に使われる」の中には、性質やリスクの異なる 3 つの経路が混ざっている(① 再学習される/② 人が読む 👀/③ 保存される 💽)
  • 同じ製品名でも、個人向けと法人向けで結論が逆になる(34 件中 10 件が契約の種類で分かれる)
  • 「人が読む場合がある」と規約に書いてある製品が、実際にある
  • そして、いちばん聞きたい**「学習された内容が他人の回答に出てくるのか」に、規約はほとんど答えていない**(§2 で公開研究の側から補います)

この記事は全体を通して、製品 → ① 学習に使われるか → ② 人が読むか → ③ どれだけ・どこに残るか → 学習の種類 → 何が漏れうるか、の対応で並べています。リスクは丸の色で統一して示します(🔴 使われる・そのまま見える/🟡 条件つき・低いがゼロではない/🟢 使わないと明記・集計されるため個別の情報漏洩と考えにくい/⚪ 記載なし)。

図は要約です。正確な条件は §3 の表に、製品ごとの原文と出典は §5 の一覧から辿れます。


1. 「学習に使われる」の意味(経路)を分けてみる

AIに入れたデータに起きうることを、①再学習される(事前学習・追加学習・選好チューニングの3段階)、②人が読む(人のレビュー)、③保存される(保存と開示)の3つの経路の木構造で示した図

「学習に使われる」という一言には、性質の違うことが混ざっています。まず経路を分けます。

以降、この記事では ① 再学習される② 人が読む 👀③ 保存される 💽 の番号で通します。① だけが「モデルに覚えさせる」話で、その中にさらに 3 つの段階があります。ひとつずつ、順に説明します。

事前学習 📖 — AI モデルを最初に作るときに、インターネット上の公開文書を大量に読ませる段階です。世の中の言葉の使い方をここで覚えます。あなたの会話がこの段階に入る、と書いた規約は 34 件のどこにもありませんでした。規約が「学習に使う」と書くとき、指しているのは次の 2 つの段階です。

追加学習 ➕ — できあがったモデルに、利用者の入力や修正結果を追加で覚えさせる訓練です。ここで大事なのは、入力がそのまま保存されるのではなく、モデルの「重み(パラメータ)」という数値のかたまりに変換されて取り込まれることです。会話がデータベースに入って検索されて出てくる仕組みではありません。これは提供元自身の言葉でも書かれています — DX Suite は「不可逆的な『パラメータ』に変換してから学習する」と説明しています。実例: DX Suite(利用者の確認・修正結果まで学習)、スマートOCR(クラウド版は教師データとして 2 次利用)、CrewAI(入力と出力を訓練に使う権利を許諾すると明記)。

選好チューニング 👍 — 回答の「良し悪し」を人の評価から学ぶ、仕上げの段階です。画面の 👍/👎 ボタンで送った評価と、そのときの会話が対象になる型が多くあります。実例: Claude(評価を送った会話は最長 5 年保持される)、NotebookLM(評価を送ったときに限り内容が確認される)。

② 人が読む 👀(人のレビュー) — これは学習ではありません。提供元の従業員や委託先が、品質確認などのために内容を目で読むことです。「バレる」という心配に、いちばん近いのはこの経路です。実例: Gemini(個人版でアクティビティを使う設定のとき、人がレビューすると明記)、Antigravity(従業員と業務委託先が閲覧しうると記載)。逆に NotebookLM の Workspace 版は「人間のレビュアーに確認されることはない」と明記しています — 書いてある製品には、ちゃんと書いてあります。

③ 保存される 💽(保存と開示) — 学習に使うかどうかとは別に、データが残ること・第三者に出されうることです。学習を止めても、保存は別に続きます。実例: Perplexity(学習利用を止めても、止める前に取得済みの分は削除・除去できないと明記)、Manus(第三者 AI プロバイダーがコンテンツを使用・開示する権利を保持し得ると記載)、Claude Code(学習に使う設定なら保持 5 年、使わない設定なら 30 日 — ③ が ① の設定に連動して変わる例)。

まとめると — ① と ②③ は連動しません。「学習には使わない」と書いてある製品でも、保存はされます。そして、どの段階の学習に入るのかまで特定した規約は、34 件にはありませんでした(ほとんどは「学習・改善に使う」とだけ書きます。上の製品名は、段階まで読み取れる書き方をしていた実例です)。


2. データの分類から見た「情報漏洩」のリスク

再学習・人のレビュー・保存・匿名化集計の4経路と、個人情報・機微情報・キーワード・アイデア・社内秘の5種類の情報について、漏れうる可能性の目安を絵文字と色のマスで示した一覧表

入れるデータの種類ごとに、§1 の経路から何が漏れうるかを 1 枚にまとめました。

個人情報(氏名・連絡先) — 訓練データから氏名・連絡先を含む文字列を復元できることは、後述の公開研究が実証しています。ベンダー側の対策は「学習の前に伏せる」で、34 件でこれを具体的に書いていたのは DX Suite と DeepSeek の 2 件だけでした(DeepSeek は「厳格な匿名化処理・不可逆性を前提として」使用と記載)。CrewAI・Dify・Manus の「匿名化」は集計データを作る話で、学習前の除去とは別です。残りの 29 件は、この問いについて何も述べていません — 「対策していない」という意味ではなく、公開情報の側がその状態だという記録です。

機微情報(健康・人事評価・与信など) — 34 件の規約に、機微情報を学習の場面で特別扱いする条項は見つけられませんでした(個人情報の枠に含める書き方が主です)。漏れ方の仕組みは個人情報と同じです — ① では繰り返し現れた文字列ほど再現されやすく、② の経路ではそのまま見えます。

キーワード・固有名詞(顧客名・取引先・未発表の製品名) — 一回きりの固有名詞がそのまま出てくる可能性は低い側ですが、繰り返し入力される名前ほどモデルに記憶されやすい、というのが後述の実証研究が示す傾向です。②③ の経路では、当然そのまま残ります。

アイデア — ① 経由(重みに取り込まれて他人の出力へ)は大量のデータの統計なので、ひとつのアイデアが形を保ったまま他人の画面に出る可能性は、かなり低い側です。現実的に「バレる」に近いのは、むしろ ② と ③ です — 人が読む、保存されたものが開示される、あとから止めても過去の分は残る。

社内秘(コード・戦略文書) — 後述の研究は、文章とコードを区別しません。訓練データに繰り返し現れた文字列ほど出やすい、という同じ実験結果が当てはまります。一度きりの貼り付けが一言一句そのまま出る可能性は低い側でも、保証はなく、②③ の経路はそのまま効きます。

図の ① の欄の目安は、次の公開研究に基づいています。

  • モデルが訓練データをそのままの文字列で再現する現象は実在し、実験で確かめられています。本番規模のモデルから訓練テキストを取り出す攻撃は 2021 年に実証され、2023 年には本番の ChatGPT からも訓練データを引き出した報告があります。
  • 一方で、再現されやすさは「その文字列が訓練データに何回現れたか」に強く依存するという実証研究があります(繰り返しが多いほど・モデルが大きいほど・与える文脈が長いほど、覚えている率が上がる)。

そして規約の側はどうか。

34 製品の規約のどこにも、「学習した内容が他の利用者の回答に現れるか」を正面から述べた条項は見つけられませんでした。

書かれているのは、その手前まで — 「識別できる文字列は伏せてから学習する」(DX Suite。ただし同じページに「マスキングや変換は、完全な精度を担保するものではありません」と自ら注記)、「止める前に取得済みの学習データは削除・除去できない」(Perplexity)、「第三者が使用・開示する権利を保持し得る」(Manus)というところまでです。

だから「学習を止めたから安心」ではなく、②(人が読むか)と ③(どれだけ・どこに残るか)まで含めて読む必要があります。

なお、ここで挙げた研究は 34 製品の規約の外側にある一般の公開研究です。特定の製品で同じ抽出ができる、という意味ではありません。図の色も規約の記述と公開研究から編集部が読んだ可能性の目安であって、保証・評価ではありません。


3. 主要 12 製品を、プラン別に ①②③ で並べる

冒頭の図の正確版です。各セルは編集部が読んだ規約の記述に対応し、書いていないことは「⚪ 記載なし」と書いています(推測で埋めていません。原文は各製品名のリンク先に、出典 URL と調査日つきで載せています)。

製品 プラン・設定 ① 学習に使われるか ② 人が読むか ③ 保存
ChatGPT 個人(無料・Go・Plus・Pro) 🔴 使われる(初期設定)。設定で止められる ⚪ 記載なし ⚪ 記載なし
法人(Business・Enterprise・API) 🟢 使われない(初期設定) ⚪ 記載なし Enterprise は保管地域を日本含む 10 地域から選択可
Claude 個人(Free・Pro・Max) 🟢 使われない(設定で許可したときのみ) ⚪ 記載なし 評価を送った会話は最長 5 年
法人(Team・Enterprise・API) 🟢 使われない ⚪ 記載なし 管理者が評価送信を無効化可
Claude Code 個人(Free・Pro・Max) 🟡 設定で選べる ⚪ 記載なし 使う設定なら 5 年/使わない設定なら 30 日
法人(Team・Enterprise・API) 🟢 使われない ⚪ 記載なし 手元に平文で 30 日
Gemini 個人(アクティビティを使う 🔴 使われる 🔴 人間のレビュアーがレビュー 18 か月で自動削除(変更可)。人が読んだ分は削除しても最長 3 年
個人(アクティビティを使わない 🟢 使われない ⚪ 記載なし 72 時間
Workspace 🟢 使われない 🟢 人によるレビューもしないと明記 ⚪ 記載なし
GitHub Copilot 個人(Free・Pro・Pro+・Max) 🔴 使われる(初期設定)。設定で止められる ⚪ 記載なし ⚪ 記載なし
法人(Business・Enterprise) 🟢 使われない(文書による指示がない限り) ⚪ 記載なし ⚪ 記載なし
Perplexity 個人(Free・Pro・Max) 🔴 使われる(初期設定)止める前の分は消せないと明記 ⚪ 記載なし ⚪ 記載なし(場所: 米国へ移転と記載)
法人(Enterprise Pro・Max) 🟢 使われない(第三者提供者にも学習禁止) ⚪ 記載なし 添付ファイルは 7 日で削除
Grok 個人(ログインして使う) 🟡 設定で選べる(初期値の記載は見つからず ⚪ 記載なし 削除要求は最大 30 日(場所: 米国へ移転と記載)
個人(ログインせずに使う 🔴 使われる(完全な権利を付与と明記) ⚪ 記載なし ⚪ 記載なし
法人(Enterprise) 🟢 使われない ⚪ 記載なし ⚪ 記載なし
Cursor Privacy Mode 有効(誰でも設定可) 🟢 使われない(提供者ともゼロデータ保持) ⚪ 記載なし 違反検知に反応した場合は調査のため保存されることがある
Privacy Mode 無効 🔴 使われる場合あり ⚪ 記載なし ⚪ 記載なし
Codex 法人ワークスペース・API 🟢 使われない(初期設定) ⚪ 記載なし 保管地域は契約による
個人(Plus・Pro など) 一次資料に記述が見当たらず
DeepSeek 個人(ウェブ・アプリ) 🔴 使われる(初期設定)。拒否する権利あり ⚪ 記載なし 場所: 中国国内に保存と明記
API(開発者向け) 明示した条項を確認できず
NotebookLM 個人 🟢 使われない(初期設定) 🟡 評価を送ったときに限り Google が確認 ⚪ 記載なし
Workspace / Education 🟢 使われない 🟢 人間のレビュアーに確認されないと明記 ⚪ 記載なし
Microsoft 365 Copilot 全般 🟢 基盤 LLM の学習に使わないと明記 🟢 不正使用の監視は対象外にしてあると記載 管理者が保持を設定可・本人も削除可(近い DC に保存、混雑時は他地域も)

「⚪ 記載なし」が多いこと自体が、この表のいちばんの結論です。 ②(人が読むか)を明記しているのは、この 12 製品でも Gemini・NotebookLM・Microsoft 365 Copilot の 3 つだけでした。

なぜ「プラン別」でしか答えられないのか。規約そのものが、契約の種類で条件を分けて書いてあるからです。 たとえば GitHub Copilot の利用規約は、個人向けについて「設定で外すか、法人契約の場合を除き、入力と出力を AI の開発・訓練・改善に使うライセンスを付与する」という趣旨を定めています — 同じ製品名でも、法人契約かどうかで結論が反対になる構造が、条文にそのまま書かれています。ChatGPT のヘルプも、個人向けは「コンテンツをモデルの訓練に使うことがある(設定で外せる)」、法人向けは「Business・Enterprise・API では初期設定で訓練に使わない」と書き分けています。Grok に至っては、ログインしていれば設定で選べる一方、ログインせずに使うと「提供したデータを製品開発とモデル訓練に使う完全な権利を付与する」という趣旨の条項が適用されます

「うちは ChatGPT を使っています」だけでは、答えが決まらないということです。どのプランで・どの設定で使っているかまで分かって、初めて決まります。


4. さまざまな注意点

規約を読み比べて見つけた、つまずきやすい点を 3 つにまとめます。

4-1. 設定は、名前ではなく「学習に使うか」で読む

製品ごとに違う設定の呼び名を「有効にすると学習に使われる側」と「使われない側」に翻訳して並べ、Cursorだけ有効にしたときの意味が逆であることを示した図

呼び名が製品ごとに違うのが、いちばんの落とし穴でした。ChatGPT「モデルの改善」、Gemini「Gemini アプリ アクティビティ」、Perplexity「AI data retention」、DX Suite「自動最適化」— 全部、① の学習利用を指す設定です。

そして Cursor の「Privacy Mode」は、有効にすると学習に使われない側です。有効にしたときの意味が他の 4 つと逆になります。Cursor の公式資料は「有効にすると顧客データを訓練に使わない」という動作の側を書いており、Enterprise 版では最初から有効になっている、とも明記しています(原文は製品ページのリンク先へ)。

設定は名前ではなく、動作の文で読むのが確実です。 この記事の図と表が、どの製品の設定も「使われる/使われない/設定で選べる」に読み替えて並べているのは、そのためです。

4-2. 学習利用の「初期設定」は、どこで決まっているか

学習利用の初期設定が、契約の種類で決まる10件・設定の名前で決まるもの・初期状態が規約に書かれていない3件、の3通りに分かれることを製品名つきで示した図

契約した瞬間・使い始めた瞬間に、学習利用が有効と無効のどちらで始まるかは、3 通りの決まり方をしていました。

とくに、初期状態が規約に書かれていない 3 件はこういう状態です。

  • Grok — ログインして使う場合は設定で選べると規約が定めていますが、その設定の初期値が有効・無効のどちらかを明示した記述は、確認した規約本文には見当たりませんでした。
  • DX Suite — 自動最適化が有効な環境では学習に使い、無効なら一切使わないと注意事項にありますが、どちらが初期状態かは書かれていません。 編集部が保存した原本(タグを除いて 12,351 字)をテキスト検索(全文検索)した範囲では、「初期」「デフォルト」「既定」「標準」はいずれも 0 件でした。
  • SmartRead — 画面のチェックボックスで選ぶ形ですが、そのチェックの初期状態は規約に書かれていません。

DX Suite については、利用約款が「【利用者】はあらかじめ当該活用を承諾します。」と利用を原則にしていること、注意事項が「自動最適化をOFFに設定してからアップロードしてください」と止める操作を利用者に指示していることから、編集部としては「学習利用が有効なことを前提にした書き方」だと読みましたただしこれは編集部の読みであって、提供元がそう書いているわけではありません。 契約前に確認する価値のある一問だと思います。

4-3. 「使いません」は、どこまでを保証しているか

規約の「使いません」という一言が保証する範囲を6つの型に分け、該当する製品名と原文の要点つきで並べ、範囲の広さを丸の色で示した図

34 件を読み比べていちばん強く残ったのがここです。同じ「学習には使いません」でも、保証が効く範囲がまるで違いました。

保証の範囲 製品 提供元の言葉(要点) 保証の外に残るもの
🟡 基盤モデルの学習に限定 Microsoft 365 Copilot 「基礎 LLM のトレーニングには使用されません」 それ以外の用途は別に読む必要がある
🟡 原則は使わないが保証はしないと自ら注記 exaBase 生成AI 「ただし、全ての生成AIモデルについて保証するものではありません。」 提供元自身が例外の可能性を残している
🟡 他のテナントに使わない tsuzumi 「他テナントのモデルに利用されることはありません。」 自テナント内での学習を否定してはいない
🟡 「学習」ではなく「サービス改善」の語 Kiro(AWS) サービス改善に使う/使わない、という言い方 語がそろわず他社と直接は比べられない
🔴 この規約が適用されない Antigravity(企業プラン経由) 「この追加規約は適用されない」 「使わない」と書かれてはいない
🟡 自社分のみ。持ち込んだ鍵の先は別 Cline・Dify・n8n・OpenClaw 自社では学習させない。接続先次第 責任が接続先へ移るだけ

とくに注意したいのは最後の型です。自分で用意した API キーを挿して使う型(持ち込みキー型)のツールは、「自社では学習させない」としか保証できません。 Cline は企業向けページで「コードをモデルの訓練に使うことはない」という趣旨を書く一方、プライバシー通知には「接続先の AI モデル提供元は、そちらで学習利用の停止を選ばない限り、内容を訓練に使うことがある」という趣旨の記載もあります。持ち込んだキーの先は、キーの発行元の規約で決まります

「使いません」を見つけたら、誰の・何を・どこまでの 3 つを続けて探してください。そこまで読まないと、同じ一言でも保証の中身が別物になります。


5. 34 製品の一覧(2026-08-26 時点)

社内で名前が挙がった製品を引くための一覧です。要旨は編集部がまとめたものなので、判断に使うときは必ずリンク先の原文をご確認ください。(型の色: 🟢 使わないと明記/🟡 条件・契約で分かれる/🔴 使うと定めている/⚪ 記載を確認できず)

国旗は開発元の本社(登記)の国です。契約の相手方は日本法人になる製品があります(Microsoft 365 Copilot は日本マイクロソフト、Agentforce はセールスフォース・ジャパン)。OpenClaw は非営利の OSS 財団のため、国は付けていません。

製品 開発会社と国 学習利用について書かれていること(要旨)
ChatGPT OpenAI 🇺🇸 個人は初期設定で使い、設定で止められる。法人と API は使わない 🟡 契約で分かれる
Claude Anthropic 🇺🇸 法人は使わない。個人は設定で許可した場合などに使う 🟡 契約で分かれる
Claude Code Anthropic 🇺🇸 個人は設定で選ぶ(使う=保持 5 年/使わない=30 日)。商用は使わないと明記 🟡 契約で分かれる
Claude Cowork Anthropic 🇺🇸 個人は止める設定にしない限り使われうる。商用は対象外 🟡 契約で分かれる
Cursor Anysphere 🇺🇸 Privacy Mode が有効なら使わない。Enterprise は最初から有効 🟡 契約で分かれる
Gemini Google 🇺🇸 個人はアクティビティを使うとき使い、人のレビューを伴う。Workspace は事前の許可なく使わない 🟡 契約で分かれる
GitHub Copilot GitHub 🇺🇸 個人は初期設定で使い、設定で止められる。法人は文書による指示がない限り使わない 🟡 契約で分かれる
Grok SpaceXAI 🇺🇸 ログイン時は設定で選べる。ログインせずに使うと使われる。法人は使わない 🟡 契約で分かれる
Kiro AWS(Amazon)🇺🇸 無料枠と個人契約は初期設定でサービス改善に使う。企業利用者は使わない 🟡 契約で分かれる
Perplexity Perplexity AI 🇺🇸 個人は初期設定で使う状態。設定で止められる。法人は使わないと契約に定め 🟡 契約で分かれる
Antigravity Google 🇺🇸 評価・開発・改善に使うと定め、従業員と業務委託先が閲覧しうると記載 🔴 使うと定めている
CrewAI CrewAI 🇺🇸 入力と出力を、モデルの訓練を含む改善に使う権利を許諾すると明記 🔴 使うと定めている
DeepSeek 深度求索(DeepSeek)🇨🇳 個人向けは訓練と改善に使うと明記。拒否する権利も記載 🔴 使うと定めている
DX Suite AI inside 🇯🇵 自動最適化が有効な環境では確認・修正結果まで利用。無効なら一切使わない 🔴 使うと定めている
スマートOCR インフォディオ 🇯🇵 クラウドは教師データとして 2 次利用。停止は文書での申し出 🔴 使うと定めている
SmartRead Cogent Labs 🇯🇵 学習等に利用できると定め、画面のチェックを外したものは使わない 🔴 使うと定めている
Agentforce Salesforce 🇺🇸 プロンプトと応答は保存されず、第三者 LLM の学習にも使わないと明記 🟢 使わないと明記
AIRead アライズイノベーション 🇯🇵 自社の AI 学習には一切使わないと FAQ に明記 🟢 使わないと明記
exaBase 生成AI エクサウィザーズ 🇯🇵 原則として使わない。ただし全モデルは保証しないと同じ回答に注記 🟢 使わないと明記
Microsoft 365 Copilot Microsoft 🇺🇸 基礎 LLM のトレーニングには使用されないと明記 🟢 使わないと明記
NotebookLM Google 🇺🇸 個人は評価を送らない限り使わない。Workspace は人のレビューもなし 🟢 使わないと明記
tsuzumi NTT 🇯🇵 テナント内のモデルにのみ適用され、他テナントには利用されない 🟢 自テナント内に閉じる
Cline Cline Bot 🇺🇸 自社提供の推論では使わない。持ち込みキーの先は提供元次第 🟡 自社分のみ
Dify LangGenius 🇺🇸 自社では学習させないと明記。持ち込みキーの先は提供元の条件に従う 🟡 自社分のみ
n8n n8n 🇩🇪 顧客コンテンツと出力を使わないと明記。持ち込み LLM は別 🟡 自社分のみ
Ollama Ollama 🇺🇸 ローカル実行では収集も保存も送信もしない。クラウドでも使わない 🟢 手元で動く
OpenClaw OpenClaw Foundation(OSS) 利用者の端末で動く。モデルへ送った内容はキーの発行元次第 🟢 手元で動く
Codex OpenAI 🇺🇸 法人ワークスペースと API は使わない。個人向けの記述は見当たらず 🟡 法人側だけ判明
Felo Felo 🇯🇵 法人版は明示的な同意がある場合を除き使わない。個人向けは条項が限定的 🟡 法人側だけ判明
Genspark MainFunc 🇺🇸 Team と Enterprise は学習の対象から外れると明記 🟡 法人側だけ判明
Devin Cognition 🇺🇸 使う場合があると記載。適用は契約条件による。停止手段の記載なし 🟡 契約次第
Manus Butterfly Effect 🇸🇬 可否を直接述べた条文が見当たらない。集約した形での改善を定める ⚪ 条文が見当たらない
Make Celonis 🇺🇸 Google Workspace API 由来のデータは使わないと明記。対象はその範囲 🟡 記載が一部に限定
LINE WORKS OCR LINE WORKS 🇯🇵 本調査では学習利用の条項を確認していない ⚪ 未確認

各製品の出典 URL と調査日は renkeimap.jp/tool の各ページに載せています。

正直に書いておくと、34 件のうち 2 件は、公開資料から ① の扱いを読み取れませんでした。Manus は利用規約・プライバシーポリシーを読みましたが学習の可否を述べた条文が見当たらず、LINE WORKS OCR(現行の SaaS 名は LINE WORKS PaperOn)は該当の記載を見つけられませんでした。「使われる」という意味でも「使われない」という意味でもありません。見落としでしたら教えてください。


6. 自社のツールを選定する流れ

自社のツールを選定する流れを、契約の確定から「止めたら過去の分も消えるか」の確認までの6手順として矢印でつないだ流れ図

ここまでの内容を、1 つの流れに整理します。この順番は編集部が組んだもので、提供元が示しているものではありません。

最後の 6 が、いちばん見落とされます。学習利用の停止(オプトアウト)は、あとから設定しても、それまでに入れた分には効かないのが普通です。 Perplexity のヘルプは「停止が効くのは停止日より後に取得する分だけで、取得済みの学習データは削除・除去できない」という趣旨を明記しています。GitHub の利用規約も、停止の効力は効力発生日から先についてと定めています。

つまり設定の切り替えが効くのは「切り替えた日から先」だけで、それまでに入れたものは別の話です。導入前に確認する意味は、そこにあります。


7. まとめ

持ち帰り 一言
「学習」は 3 つの経路 再学習・人が読む・保存は連動しない(§1)
経路と情報の種類で、漏れ方が違う そのまま見えるのは「人が読む」経路(§2)
そのまま出るかは規約にない 逐語の再現は研究で実証されているが、効くのは繰り返し。ゼロの保証もない(§2)
単位は製品名ではない 個人と法人で結論が逆になるのが 10 件(§3)
設定は名前で読まない Privacy Mode は有効=使わない側(§4)
「使いません」は 6 つの範囲 誰の・何を・どこまでを続けて読む(§4)
初期設定が書かれていない製品がある 3 件は画面で確認するしかない(§4)
あとから止めても、過去の分は消えない 設定の切り替えが効くのは「切り替えた日から先」だけ(§6)

どの製品が安全か、という順位はこの記事には書きません。 規約の違いは、それぞれの提供元が置かれた事情の違いであって、優劣ではないからです。書けるのは、同じ日に、同じ問いで読み比べたら、こう書いてあったというところまでです。


この記事の調査範囲について

  • 対象は編集部が一次調査を終えた 34 製品(AI チャット 13・AI エージェント 13・AI-OCR 5・iPaaS 3)。調査日は 2026-08-26(34 件すべて同日)です。仕様も規約も変わりますので、導入を検討されるときは、自分の契約に当たる文書を、開いてご確認ください。
  • 英語の規約は、本文では趣旨の和訳で書いています。原文は各製品ページのリンク先(出典 URL)でご確認ください。
  • 図 1 の国旗は提供元の国です(データの保存場所そのものではありません — 保存場所は規約に記載がある製品だけ、文字で書いています)。
  • 「確認した範囲では見つからなかった」と「提供元は公開していない」は別のこととして書き分けています。書かれていないことを「そう振る舞う」とは読んでいません。
  • §2 で挙げた研究は規約の外側にある一般の公開研究です。特定の製品への当てはめを主張するものではありません。図の色は、規約の記述とこれらの研究から編集部が読んだ可能性の目安であって、安全性の保証・評価ではありません。
  • 「安全です」「危険です」という評価はしていません。 認証取得の有無を安全性の優劣として扱ってもいません。インシデント事例は調べていません。

【転載OK】本記事の転載について

本記事の文章・図表は、すべて転載 OK です。図は加工しないままお使いください。転載の際は、出典として renkeimap.jp もしくは本記事へのリンクをお願いします。事前の連絡は不要です。

※ 筆者は日立系ITベンダー・介護ソフトベンダー・大学病院IT部門を経て独立し、現在は中小企業のIT・DX支援をしながら、業務システムの「つながり」を一次資料で調べています。 文中の「編集部」は、筆者が所属する IT連携マップ編集部 のことです。誤りを見つけられましたら 訂正窓口(無料・アカウント不要)へお願いします。訂正履歴も公開しています。

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