エンジニア組織でマネジメントをしています。
普段から、チームや後輩に対して、「ゲーム感覚で仕事やれると良い」ということを伝えているのですが、科学的に証明されてることがやはりあったのでいくつか紹介してみようと思います。
※この記事は個人ブログの記事の焼き直しです。Qiitaのほうが多くのエンジニアの目に着くだろうと思って、我ながらいい感じにまとまったので、焼き直しました。
ゲーミフィケーションとは
いわゆるゲーム化することです。
仕事や、家事、その他日々発生するタスクをゲーム化することを意味します。
ゲーミフィケーションするためのアクションプランとメリット
やりながら学ぶ、身につける
多くの人、特に完璧主義思考の強い民族である日本人には多い傾向にあると思いますが、「基本的な勉強をしてから実践にうつる」という考え方を否定し、
とりあえず始めてみて、つまずくたびに、そのつまずきを解消するために必要な知識やスキルを都度学んでいくという方法論です。
ゲームをやるときに、何かを学んでスキルを獲得してから始める人は殆どいないと思います。
たとえばRPGなどは以下のことやってから始める人はいますか?
- 全行程を予めインプットする
- 出てくるモンスターの技や特性をすべて事前に把握する
- どこにどんなキャラクターが出てくるか事前に把握する
仕事なども同じで、都度学んでいくほうが効率も良いし、身につくスピードも早いです。
これはアクティブ・ラーニングの「自ら体験する」の過程での学びになるためです。
一方先に学ぶ形式でやるとどう頑張っても「読書」「視聴覚」レベルにしかなりませんので、効率には数倍の差がでます。
その際に、当然知らないものや、やったことないことに飛び込むことにはなる事もあるため、自分なりの工夫をし続け、トライ・アンド・エラーを繰り返していくことで、次回以降に向けた経験の蓄積が出来ます。
次に何をすべきか可視化する
迷ったときに、次何をやるか方向性が分かっているかどうかで、集中力やモチベーションに大きな差が出てきます。
ゲームの世界では、お助けキャラが「まずあそこの村へ行って鍵を取ってくるのじゃ」とか教えてくれたり、行けるステージまでしか道がつながっていなかったりしています。
これは、いわば次にやることを限定していて、プレイヤーの進むべき方向や順番を可視化してくれていると言えるでしょう。
ポケモン世代の私の場合、
- マサラタウンを出発したら、四天王に挑戦するために各地のジムリーダーからバッチを貰う必要があります
- 概ね戦える順番は決まっています
そういう感じで、次に進むべき方向がなんとなく決められているので「タケシに勝ったら、カスミ」みたいに次がわかったりします。
それによって、次に進みたい意欲やモチベーションが掻き立てられると同時に、「明日はここまで進めたい」と目標設定すらできるようになります。
仕事でも同様のことが言えて、デカいプロジェクトか、小さいタスクかは問わず、次何をすべきかの方向性がわかっているだけで、目標が決められるだけでなく、予定も立てられます。
そしてタスクごとの合間に「次何やろうか」と迷うことで一気に集中力が途切れ、戻ってこれないという経験をしたことある人は多いと思いますが、そのようなことを限りなく減らすことができます。
またこれらの「次の方向性がわかっている状態にする」「次何やるか迷わないようにする」話は、Developers Summit2023に登壇した際に「TODO分解で着実にゴールに迫る」「緊急度・重要度を見極め迷いなく」のあたりで話しました。
Developers Summit2023参考ページ
損失回避思考
「これをやったら給料上がる」「これを成功させたら昇進できる」みたいな考え方ではなく、
「今これをやらないと二度と経験できない」「これが遅延すると、やりたいあのプロジェクトの担当が他者に回ってしまう」というような感じで考えることによって、
失う物事への恐怖を掻き立てることです。
そのタスクに対する集中力やモチベーションを高めることができるとともに、強い動機に繋がります。
得るものにフォーカスすることで人間は安定する方、確実性の高い方を求めることが、2002年ノーベル経済学章を受賞した経済学者のダニエル・カーネマン等によって提唱されています。(プロスペクト理論)
成長や成功を求めるのであれば、失うものに対してフォーカスすることで、リスクを取って成長、成功に向かって行動することができるようになります。
参考wiki
損失回避思考を上手く運用するには「取り上げインセンティブ」を活用するのが良いです。
例えば
- 太った旦那にダイエットして欲しいと思っている妻がいるとします。
- 3ヶ月後に5キロ減量していることが目標です。
- 旦那は今一番欲しいものが「10万円する新しいゴルフのドライバー」です。
多くの場合は以下のようなアクションプランを選択しがちです。
- 3ヶ月後に5キロ減っていたら10万円のドライバーを買い与える
しかし、これの場合、失敗したところで旦那にデメリットはありません。損失するものが無いのです。(奥さんの気持ちは失うかもしれませんがw)
一方、損失回避思考を活用する場合、以下のようなアクションプランにします。
- まず10万円のドライバーを買い与える
- 3ヶ月後に5キロ減っていなかったらメルカリで売るからね
これにより旦那は成功しなければ、ドライバーを3ヶ月後に失うことになります。
これは旦那にとってデメリット(損失)が発生することになるので、前述のアクションプランに比べ、モチベーションを高く出来、成功率が向上しそうなことは容易に推測できます。
仕事の中でもこういうことを上手く組み込むことで、成功率を上げることができるということです。
進展フィードバック(プログレスフィードバック)
目標までどの程度近づいているのか、把握できる仕組みを持っているか?
習慣が継続できているかを把握できる仕組みを持っているか?
これが仕事や趣味などで重要なポイントです。
特に仕事や筋トレなど多少の苦痛を伴うものについては、目標やゴールだけでは足りず、確実に前進している感覚が最もモチベーションを上げます。
例えば私はソフトウェアエンジニアをやっていますが、機能開発や不具合修正をする際には、
「XXXという機能をYYYY/MM/DDまでに出す」とか「XXXというバグを直す」ではなく、もっと細かいTODOに落とし込みます。
- 不具合再現
- 原因箇所の特定
- 修正&テストコード(TDD)
- PR作成
- E2Eテスト作成
- リリースノート作成
- Review
- Build&Deploy
- 打鍵
こうなっていると0 vs 100の進捗ではなく~10%刻みの進捗が見えるだけでなく、1個のTODOが見積もれるし、
1個でも終われば「今日は1個終わった」という感じで進んでいる感覚を味わうことができます。
これはTODOを刻まずに0%の進捗よりもプログレスバーがどんどん伸びる感覚によってモチベーションがキープできます。
また、習慣化の観点で最も困難な「継続すること」については、継続日数や継続回数をポイント制にしてしまうことが良いです。
1日やったら1Point、1週間やったら7Pointのようにです。
あとは、習慣が途切れたら2回継続したら1Pointとすることで、1度途切れても習慣をもとに戻すことが比較的容易になるのです。
ポケモン世代の私の場合、ポケモンで例えると、
レベルが上がるほど必要な経験値は増えるのですが、金銀から経験値のインジケーターが実装されました。
これにより「もうちょっとでレベル上がるからやり切っちゃおう」とかなるわけです。ほらね?継続できそうでしょ?
今自分がどの位置にいて、あとどれくらいで目指すべき場所にたどり着きそうか、それをみえる状態にしておくことは様々な理由で重要なのです。
そしてこれらは、プロジェクトマネジメントでも活用できるノウハウなのでぜひ身に付けたい方法論だと思います。
※進捗の重要性についてはマネージャーの最も大切な仕事-進捗の法則という別記事に記載しています。
最後に
※追記していくつもりはあります