【一皮剥けたいテスタへ】低給ドリブン・テスタスキルアップメソッド
背景(興味がない方は「覚醒」まで読み飛ばしてください)
25歳の夏、私は転職して、とあるシステム開発会社の 「テスト部隊」 として採用されました。
Webシステム開発とは何か。
ソフトウェアテスト・品質管理とは何か。
そういった基礎を自社の研修カリキュラムで一通り学び、
実際の開発プロジェクトにテスタとして参画しました。
業務内容はシンプルです。
- テストケースに沿って操作を行う
- 期待しない動作・表示であれば NG → 不具合報告書を起票
- 期待通りであれば OK
それを淡々とこなし、迎えた初めての給料日。
そこで、目を覆いたくなる現実が襲いかかりました。
や、安すぎる……!
前職の 3分の2 しかもらえていない……!!
25歳の私は、給料がまったく期待値を満たしていなかったため、
思わず 人事・総務宛てに不具合報告書を起票しかける ところでした。
同時に、こうも痛感しました。
「テストで食っていくなら、もっとレベルアップしないとダメだ……」
覚醒 〜俺の仕事はテストケースを埋めるだけじゃない〜
価値のあるテスタとは、どんなテスタなのか。
- 不具合をたくさん見つけられる人?
- 分かりやすい不具合報告書を書ける人?
そもそも、
不具合報告書は何のために書くものなのか?
考え続けた末、自分の中で一つの答えにたどり着きました。
「NGの向こう側」を知り、それを開発に共有すること
本質 〜価値はNGのその先にある〜
不具合を発掘し、NG判定をして、不具合報告書を起票する。
それだけでも、テスタとしての役割は果たしています。
しかし私は、
NG判定を出した「その後」にこそ、テスタの価値がある
と考えています。
例:性別表示がおかしいケース
例えば、次のような不具合を発見したとします。
- 男性で会員登録した
- 会員情報確認画面を見ると、性別が「女性」と表示されている
多くの場合、ここで
「性別表示が不正です」
として起票して終了します。
これは 「よくいるテスタ」 です。
洞察 〜NGの向こう側へ〜
ここからが本題です。
会員情報編集画面では、性別はどう表示されているか?
- もし 「男性」 と表示されていれば
→ 登録データ自体は正しく、
→ 確認画面の表示ロジック(フロント側)の不具合では?
女性で会員登録した場合はどうなるか?
- もし 「男性」 と表示されていれば
→ マスタデータと表示ロジックの不整合では? - もし 「女性」 と表示されていれば
→ 男性登録時のみ、データ登録に問題があるのでは?
このように、
「どこまでが正常で、どこからが壊れているのか」
を切り分けていくことで、
不具合報告書は単なる 「NG通知」 から、
「原因特定を助ける情報」 へと変わります。
まとめ:テスタの価値は「原因にどれだけ近づけたか」
テスタはコードを書かなくても、
- どのレイヤーまで正常か
- どこから壊れている可能性が高いか
再現条件と正常系との差分を整理し、共有することができます。
NGを見つけるだけなら他のテスタを越えられない。
NGの向こう側を考え、共有できるテスタは強い。
低給は、
視点を変えるきっかけになりました。
同じような境遇のテスタの方の、
何か一つでもヒントになれば幸いです。
ちなみに私は1年後に無事昇給しました。
しかし、NGの向こう側の旅はまだまだ長いのです。
NGの向こう側で会おうぜ
おまけ
あなたをNGの向こう側へと誘う翼を授けます。
実務では、この切り分けは次のようなレイヤー視点で考えると整理しやすくなります。
- フロントエンド
- 表示ロジック
- ラベル・マッピング
- APIレスポンス
- 値自体が正しいか
- 想定外の値が返っていないか
- DB
- 登録時点で壊れていないか
- 性別コード・マスタ参照は正しいか
わかんねえよ、技術系は知らねえよ、ってなった方。
細かい技術的な話は出来なくてもいいのです。
少しでも情報を開発者に渡すことができれば、開発者が「どの層まで正常か」を読み解いてくれるかもしれません。
それだけでも不具合報告の精度は一気に上がります。




